2020.10.02

出生前診断

新型出生前診断で分かること

新型出生前診断で分かること

お腹の赤ちゃんに健康で産まれてきてほしいという願いはどの妊婦さんにも共通だと思います。もしも、何か疾患があるのであれば事前に知ってきちんと準備しておきたいと考える方もいらっしゃると思います。生まれてくる赤ちゃんに生まれつきの病気や障害がある可能性は、全出生数3~5%程度と言われています。

これまでの出生前診断というと母体へのリスクがあるのではというイメージが定着していましたが、新型出生前診断(NIPT)は妊婦さんへの痛みやリスクが少ない処置にも関わらず精度が高い検査として近年注目されています。しかし実際にどのような疾患について検査ができるのか分からない人も多いのではないでしょうか。

今回は新型出生前診断によって分かること、逆に分からないことを詳しく説明していきます。

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新型出生前診断で分かること

新型出生前診断で分かること

妊娠すると、お母さんの血液中に胎児の染色体のかけらが溶け出します。新型出生前診断(NIPT)は、お母さんから採血をしてその血液中の胎児の染色体のかけらから染色体異常の有無を調べる検査です。認定施設でこの検査を受けた場合、分かる疾患は以下の3つです。

トリソミーとは通常2本1ペアである染色体が3本1ペアになっている状態のことを言います。また、人間の染色体は22ペアの常染色体(44本)と1ペアの性染色体(2本)から成り立っています。つまり21トリソミーとは22ペアある常染色体の21番目の染色体が3本ある状態ということです。

当施設での特別な検査項目

当施設での特別な検査項目

当施設では13、18、21番染色体以外の染色体の検査も実施可能となっています。具体的には大きく以下の3つです。

  1. 13、18、21番染色体を含む、22ペア全ての常染色体検査
  2. 性染色体検査
  3. 微小欠失検査

22ペア全ての常染色体検査

染色体疾患のうち21トリソミー(ダウン症候群)が全体の約50%、18トリソミー(エドワーズ症候群)が約15%、13トリソミー(パト―症候群)が約5%と言われており、この3つの疾患が染色体異常疾患の約7割を占めます。

残り3割は、性染色体異常と21、18、13トリソミー以外の常染色体異常となります。

しかし21、18、13トリソミー以外の染色体異常に関しては、妊娠継続が困難である場合が多く、出生例はまれとなります。ただし、まれであっても出生例はありますのですべての染色体について検査ができることはメリットであると考えられます。

性染色体検査

全染色体疾患のうち性染色体疾患は5%程度と言われています。性染色体異常に関しては、常染色体異常ほど大きな影響はないと言われています。代表的な疾患については以下の通りです。

ターナー症候群(Xモノソミー)

ターナー症候群は2つのX染色体のうちの1つ が部分的または完全に欠失した状態のことを言います。症状としては、リンパ浮腫や翼状頸、広い胸郭、低身長、新規系などがあります。

クラインフェルター症候群

出生男児の1/500に発生する、2つの異常X染色体と1つのY染色体が存在する状態のことを言います。高身長、硬い精巣、女性化乳房などの症状が出現します。

XXY症候群

出生男児の1/1000に発生する、2つのY染色体と1つのX染色体が存在する状態のことを言います。身体的問題は生じませんが、軽度の行動障害、多動性、注意欠如などの症状がみられます。

微小欠失検査

微小欠失検査とは染色体の一部が欠けることによっておこる染色体異常のことをいいます。これまで述べてきたものは染色体の数の異常を調べるものでしたが、この微小欠失検査は染色体の構造の異常を調べる検査です。体表的な微小欠失症候群は以下の通りです。

1p36欠失症候群

1番染色体の欠失で成長障害やてんかん、精神発達遅延などの症状が現れます。

ウォルフ・ヒルシュホーン症候群

4番染色体の欠失で成長障害、てんかん、精神発達遅延、多発奇形などの症状が現れます。

5p欠失症候群

5番染色体の欠失で甲高い鳴き声、特徴的な顔つき、精神発達遅延などの症状が現れます。

アンジェルマン症候群

15番染色体の欠失で知的障害、運動障害などの症状が現れます。

DiGeorge症候群

22番染色体の欠失で免疫低下、心奇形、口蓋裂、知的障害などの症状が現れます。

新型出生前診断で分からないこと

新型出生前診断(NIPT)はお母さんへの負担が少なく血液検査だけで染色体の変化を精度高く発見できますが、それは赤ちゃんの生まれつきの疾患や障害の全体の1/4程度と言われています。以下に新型出生前診断では分からないことをまとめました。

  • 単一遺伝子疾患
  • 他因子遺伝疾患
  • 環境・催奇形因子による障害
  • 視覚障害や聴覚障害
  • 発達障害

この場合の遺伝子疾患とは、遺伝子の数的異常や形態の異常を伴わないものであり、出生前診断では明らかにできません。

単一遺伝子疾患

単一遺伝子疾患とは1つの遺伝子の異常で発病する疾患のことで、子どもの遺伝子が突然変異して起こる場合と、親からの病気の遺伝子を受け取ることで起こる場合があります。発症する病気は大きく2つに分かれます。

  • 常染色体優性遺伝病:2本1ペアの染色体のうち、どちらか1本が病気の遺伝子だった場合に発病します。
     病名:家族性高コレステロール血症、多嚢胞腎、難聴など
  • 常染色体劣勢遺伝病:2本1ペアの染色体の2本両方が病気の遺伝子だった場合のみ発病します。
     病名:嚢胞性繊維症、セラセミア、ゴーシェ病など

他因子遺伝疾患

他因子遺伝疾患とは出現した症状が遺伝によるものか否かがはっきりしないものをいいます。

病名:先天性心疾患、二分脊椎、ヒルシュスプリング症など

環境・催奇形因子による障害

遺伝子によるものではなく外的要因により障害が発生する障害のことをいいます。サリドマイドなどの化学物質や、放射線、ウイルス、喫煙、薬の内服、酸素欠乏など様々な要因により胎児に奇形がおこります。

この胎児奇形に関しては新型出生前診断ではわかりませんが、妊婦検診のエコー検査で分かることもあります。

視覚障害・聴覚障害

先天性の視覚障害や聴覚障害は遺伝によるものとそれ以外のものがあります。遺伝によるものは全体の1/3程度と言われています。遺伝以外の原因としては、妊娠中の風疹・サイトメガロウイルスなどの感染症、早産などが挙げられます。

発達障害

発達障害とは生まれつき脳の発達に障害があることの総称であり、自閉症スペクトラム症や注意欠陥・多動性障害、学習障害などがあります。発達障害を引き起こす要因ははっきりと解明されていません。

まとめ

認定施設で行われる一般的な新型出生前診断では、21、18、13トリソミーについて検査をすることができます。この3つの染色体疾患は全染色体疾患の約7割と言われています。

 弊社ではこの3つの染色体異常以外に、すべての常染色体・性染色体異常の有無、数の異常ではなく構造の異常が発見できる微小欠失検査も実施しています。

生まれてくる赤ちゃんに希望をもつと同時に不安も抱いている方が多いと思います。当社ではそういった方の不安を少しでも取り除けるよう、お母さんにも赤ちゃんにも負担が少なくより多くのことを知ることができる新型出生前診断を実施しています。

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ABOUT ME

大河友美
国立大学医学部保健学看護科卒業後、大学病院で6年、看護師として勤務。その後、国立大学医学部保健学大学院へ進学し修士号取得。現在は、子育てをしながら医療ライター・監修者として活動中。学歴:平成21年 国立大学医学部保健学看護科 卒業、平成28年 国立大学医学部保健学大学院 修了。取得資格:看護師、保健師、修士(保健学)。

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