2021.07.01
出生前診断
新型出生前診断(NIPT)を検討している人の中には、18トリソミー(エドワーズ症候群)という言葉を耳にしたことのある人もいるのではないでしょうか?あまり聞きなれない病気ですが、どのような病気なのか気になりますよね。この記事では、18トリソミーの特徴や症状について紹介します。
18トリソミーは18番目の染色体が余分にあることで起こる先天異常疾患です。6000人に1人の割合でみられ、男児よりも女児によくみられる傾向があります。
染色体は体にある細胞の核に存在し、数百から数千もの遺伝子が含まれています。通常、染色体は23組2対の計46本あり、それぞれの染色体には番号が割り振られています。染色体はペアのように2本あると正常ですが、なんらかの異常により、3本になっていることをトリソミーといいます。18トリソミーは18番目の染色体が余分に1本あることで起こります。
18トリソミーの特徴である18番目の余分な染色体は、ほとんどの場合、母親から受け継いだものです。特に、35歳以上の高齢出産では、18トリソミーのリスクが高くなることが分かっています。
18トリソミーの赤ちゃんには、いくつかの身体や知能の発達に特徴があります。
18トリソミーの赤ちゃんは、妊娠中から胎動が強くない特徴があります。出生時には、赤ちゃんの体は小さく、筋肉や脂肪も十分に発達していない傾向があります。赤ちゃん自身も元気がなく、泣き声が弱かったり、時にはぐったりしているようにみえます。
18トリソミーの赤ちゃんは頭が小さく、耳の形に異常がみられることが多く、位置も低くなります。体は骨盤が小さく、胸骨が短めになります。手は握っているようで、人差し指が中指や薬指の上に重ねるように位置していることがあります。
足の親指は他の指よりも短めで、足の裏は内側に向いていたり、カーブを描いていたりすることがあります。18トリソミーの赤ちゃんは、内臓にも何らかの異常がみられることがあり、心臓・肺・消化器・腎臓などに重い異常がみられることがしばしばです。
18トリソミーの子どもの認知機能の発達に遅れがみられます。一方で、家族など他者の声かけなどに対して反応したり、感情を表したりすることもあります。また、まれな例ですが、言葉を使ったコミュニケーションができる例も報告されています。
お腹の赤ちゃんが18トリソミーであるとき、多くの場合は母親が妊娠中に自然流産となります。そのため、18トリソミーを持ちながら生まれてきた赤ちゃんは、奇跡のような存在といえます。
18トリソミーは重い合併症をともなうケースが多く、出生後に1年以上生きられる割合は10%以下になります。一方で、18トリソミーでも、15歳や20歳など、長く生きる子どももいます。これまでは18トリソミーで生まれた赤ちゃんに対して、積極的な治療が行われないこともありましたが、最近では子どもの倫理的な観点から、治療のあり方についても検討されています。
先天的に心臓の異常のある18トリソミーの子どもに、手術をすることで、その後の健康状態が改善して、生活の質が上がる例もみられています。18トリソミーは予後不良の先天異常で、死に至る原因となりやすいのが、心臓や肺の異常により引き起こされる心不全や肺高血圧症です。
18 トリソミー児の家族が、疾患について十分に理解し、医療の介入に積極的で、在宅治療や療養の環境が整っている場合は手術を検討することも可能です。
お腹の赤ちゃんや生まれてきた赤ちゃんが、18トリソミーと分かったとき、多くのご家族が、強い衝撃や大きな悲しみを感じるものです。赤ちゃんの両親が自分達を責めやすく、特に母親にその傾向がより強くなります。
また、余命がわずかである可能性が高くても、子どもを療養していくことを決意する方もいるでしょう。障がいのある子どもを育てることに不安や恐怖を感じることは自然なことです。他の健康な赤ちゃんの姿をみて、気持ちが苦しくなることもあるでしょう。
18トリソミーなど、染色体の病気に関する相談は、医療機関の遺伝カウンセリングで行っています。18トリソミーに関する情報で知識を深めるだけでなく、社会資源の活用についても説明を受けられます。国内で遺伝カウンセリングを実施している医療機関は限られていますが、ぜひ利用してみるとよいでしょう。
また18トリソミーの子どもを持つ家族の方とつながりを持つのもおすすめです。18トリソミーの家族会などを通して、日々感じる想いを共有することは、孤立感を和らげるのにも役立ちます。
赤ちゃんが18トリソミーかどうかは、妊娠中の検査や出産後の診察で分かります。妊娠中の検査には、超音波検査で羊水過多や小さい胎盤であることが分かります。また、出産後の診察で身体的な特徴や血液検査を通して、18トリソミーの診断を行います。
新型出生前診断(NIPT)は、お腹の赤ちゃんの18トリソミーであるかどうかの可能性を知ることができます。新型出生前診断(NIPT)は妊婦さんに採血をして、血液中に含まれる胎児のDNAのかけらを調べる検査です。
新型出生前診断(NIPT)は、日本医学会の認定を受けた認可施設だけでなく、認可外施設でも受けられます。いずれのタイプの施設でも、18トリソミーの可能性について調べることができます。
新型出生前診断(NIPT)で18トリソミーの項目が陽性となっても、確定されたわけではありません。超音波検査などで18トリソミーの可能性を指摘されたときも同様です。18トリソミーの診断を確定するためには、羊水検査や絨毛検査を受ける必要があります。
羊水検査や絨毛検査は流産や出血のリスクがあり、新型出生前診断の陽性時の確定診断は義務ではありません。新型出生前診断(NIPT)を受けるときは、検査結果が陽性時にどのように対応するか考えておくことも大切です。
18トリソミー(エドワーズ症候群)は18番目の染色体が余分にあることで起こる先天異常です。18トリソミーで生まれてきた赤ちゃんの多くは、1年以内に亡くなるケースが多く、親御さんが大きな悲しみを抱く傾向があります。
近年では、18トリソミーに対して医療的な介入を行う例もみられています。遺伝カウンセリングなど専門家と相談しながら、親としてどのように子どもと過ごしていくか決めていきましょう。
DNA先端医療株式会社では、認可外の医療施設と提携して、年齢制限のない新型出生前診断(NIPT)を行っています。検査では18トリソミー(エドワーズ症候群)を含めた胎児の染色体異常の可能性を知ることができます。
参考:
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