2023.05.22

妊娠

受精から着床までのメカニズム!妊娠の仕組みについて解説

妊娠を希望している女性の中には、受精から着床までどのような流れなのか気になっている人もいるのではないでしょうか?妊娠率を上げるために、生活にも気を付けたいですよね。

この記事では、受精から着床までの流れや、生活の過ごし方のポイントについて解説しています。妊娠を計画している方はぜひ参考にしてみてください。

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受精から着床まで―妊娠の成立について

受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠の成立となります。妊娠の成立というと、卵子と精子が結合し瞬間をイメージする人もいるかもしれません。排卵期に卵巣から出た卵子は、卵管で精子との出合いを待ちます。

性交時に男性の射精が起こると、何億もの精子が膣内に放出され、卵子を目指して進んでいきます。卵子の寿命は1日程度、精子の寿命は3日程度なので、受精卵になるには、卵子と精子がタイミングよく出合う必要があります。

卵子と精子が出合って結合すると受精卵となり、細胞分裂がはじまり胚となります。受精卵(胚)は細胞分裂を繰り返しながら、卵管を移動した後、子宮内膜にたどり着くと着床が起こります。

受精から着床までの日数は?

射精により放出された精子は1~2時間ほどで、卵子の下にたどり着き、受精を行います。受精卵は卵管を移動していき、7日目には子宮内膜に到達し、着床を開始します。着床が完了するのは、受精から12日頃で5日程度かかります。

これらの経過を妊娠週数でみていきましょう。妊娠週数の第1日は最終月経日になります。排卵期は妊娠3週目になるため、受精卵が子宮内膜に到達して着床を終えるのが妊娠4週目頃になります。

なお、最終月経日が分からない場合は、妊婦健診のエコー検査で赤ちゃんの大きさを確認し、妊娠週数を概算します。

受精から着床までのおりものの状態

受精から着床までの期間、おりものの変化を感じることもあります。おりものは子宮や膣から出る分泌液で、膣の自浄作用を担っていたり、潤いを与えたりする働きあります。

妊娠を計画している人の中には、受精から着床までのおりものの変化について気になっている人もいるでしょう。おりものにより下着が汚れるので、ネガティブなイメージを抱えている人もいるかもしれません。

卵子と精子が受精する時期は、排卵期にあたるため、粘り気のある卵白のようなおりものが出ます。この時期のおりものは、精子が卵子にたどり着きやすくなるように助ける役割もあります。

卵子と精子が受精すると、女性ホルモンが増えるため、においが強くなることがあります。また、受精卵が着床すると、膣内のpHを変化させるためにおりものの性質も変化します。

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受精から着床までに起こる症状は?

受精から着床までに特定の症状が起こることがあります。ここでは、着床時によく聞かれる症状について説明します。

出血がある

着床後に少量の出血が起こることもあります。着床出血と呼ばれているもので、受精卵が子宮内膜に根を張る際に、細かい血管が破れることで起こります。

出血は少量であるため、すでに止血されていて古い血液を意味する茶色の出血や、おりものと混ざってピンク色の出血が出ることもあります。着床出血はすべての人に起こるわけではありません。

下腹部痛について

受精卵が着床する時期に、お腹がチクチクとした痛みを感じる人もいます。インターネットなどでは、着床にともなう痛みといわれることもあります。確かに、受精卵の着床は子宮内膜にのめり込むように起こり、少量の出血を生じることもあるので、痛みが現れるイメージがあります。

実際には、受精卵の大きさは1㎜程度なので、着床する際に痛みを感じることはないとされています。受精卵の着床時期に痛みを感じる人が多いのは、子宮の収縮が重なるためと考えられています。

高い体温が続く

受精卵が着床すると、36.7~36.8度の高体温が続くようになります。排卵後は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌によって、妊娠に備えて、子宮内膜が厚くなったり、水栄養や水分をため込みやすくなります。排卵期の後に基礎体温が高くなるのも、黄体ホルモンの働きによるものです。

通常は、生理を境に体温が低くなりますが、受精卵が着床して妊娠が成立すると、高体温が続いた状態になります。一般に、高体温期が2週間以上続くと、妊娠の可能性があるため、妊娠検査薬で確認してみるとよいでしょう。

生理がこない

受精卵が子宮内膜に着床すると、次の生理はきません。着床が完了する時期は、妊娠4週頃に当たります。妊娠が成立すると、子宮内膜は脱落膜(胎児と羊水を包む一番外側の膜のこと)になるため、生理が止まっている状態になります。

一方、妊娠が成立していなければ、厚くなった子宮内膜は不要となり、月経血として体外へ排出されます。

受精から着床までに気をつけること

妊娠までの生活に配慮したい人もいるかもしれません。ここでは、受精から着床までの過ごし方のポイントについてみていきます。

基本は普通に過ごす

受精から着床までは妊娠が成立しているわけではないので、特別な生活を送る必要はありません。そのため、妊娠に気づかずに過ごしていたとしても、大きな問題はないでしょう。

一方で、身体のコンディションが妊娠率に影響を与える可能性もあります。妊娠を計画している人は、栄養バランスのよい食事を取って、十分な睡眠を取るようにしましょう。アルコールや喫煙は妊娠率に影響を与えるという報告もあるので、受精から着床までのあいだは、控えた方がよいといえます。

性交は問題ない

受精から着床までの間は、性行為を行っても特に問題ありません。子宮内には、免疫システムにより精子を阻む仕組みもあります。受精卵も子宮内で異物として認識される恐れがあるため、着床率に影響を与える可能性があります。

受精から着床までの期間に性行為で精子が子宮内の膣へ侵入することによって、免疫システムが受精卵を異物と捉えにくくなるといわれています。

葉酸を摂取しよう

妊娠中はお腹の赤ちゃんが育つために、色々な栄養素をバランスよく摂取する必要があります。特に、妊娠初期に取り始めたいのが葉酸です。葉酸は赤ちゃんの神経管の形成に関わっている栄養素です。

葉酸は野菜や果物など幅広い食品に含まれていますが、妊娠に気づいた時には摂取推奨期間を過ぎていることもしばしばです。妊娠を計画している人は、毎日の食事の中で葉酸を積極的に摂取するように心がけましょう。妊娠初期は、吸収効率の高いサプリメントからの葉酸摂取がおすすめです。

まとめ

受精から着床までは、妊娠週数として数えられる期間ですが、妊娠が成立となるのは着床後です。受精卵が子宮内膜に着床すると、少量の出血や高体温が続くなどの兆候がみられるので、妊娠に心当たりのある人は、妊娠検査薬で確認してみるとよいでしょう。

また、妊娠を想定せずに着床までの期間を過ごしても大きな問題はありません。一方、タバコや喫煙が妊娠率に影響を与える可能性もあるので、妊娠を希望している人は、受精から着床までの間も健康的に過ごすことが大切です。

参考:
個体の発生と分化-配偶子形成と受精

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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