2021.07.01

妊娠

食べづわりを乗り切る方法とは?対策とやわらげるための工夫紹介

食べづわりを乗り切る方法とは?対策とやわらげるための工夫紹介

「妊娠してから空腹時に胃がムカムカするようになった」こんな症状を抱えていませんか?もしかしたらそれは「食べづわり」というつわりの一種かもしれません。この記事では、食べづわりの特徴や注意点、対策方法について紹介します。

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食べづわりとは

食べづわりとは

食べつわりは、妊娠中に空腹になると胃がムカムカして気持ち悪くなる症状のことをいいます。食べつわりをはじめとする、妊婦さんに起こるつわりは、全体の50~80%みられる症状です。つわりの症状は人によって異なり、吐き気や嗜好の変化により食べ物が摂取できなくなる「吐きづわり」や、頭痛や眠気など消化器以外の症状が現れることもあります。

食べつわりでは、吐き気を抑えるために、食べ物をとり続けてしまうことで、体重増加の原因になるので注意が必要です。妊娠中に体重が増えすぎると、出産時に悪い影響が起こる可能性があるためです。

妊娠すると、妊婦さんの体全体の糖分の消費量が増えます。そのため、妊娠していない時に比べて、空腹時の血糖値が低くなりやすく、空腹を感じやすい背景があります。

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食べづわりはいつからいつまで続く?

食べづわりなどつわりの症状は、妊娠5~6週に始まり、11~13週でピークを迎えます。食べつわりなどのつわりの症状は少しずつ落ち着いていき、妊娠14週頃には約半数、妊娠22週頃には90%が自然に収まるのが一般的です。

食べづわりで注意したいこと

食べづわりで注意したいこと

一般的なつわりとして知られている吐きづわりの場合、妊娠で食べ物が取れずに、赤ちゃんの栄養がおろそかになるというイメージがあります。一方、食べづわりは食事の摂取カロリーが増えることで、妊娠中の過剰な体重増加の原因になるといわれています。これは、体重増加がまだ少ないはずの妊娠初期に、食事量が増えてしまうためです。

妊娠中の体重増加は少なすぎても多すぎても、赤ちゃんの健康に影響を与えています。妊娠中に体重を増えすぎると、次のような健康への影響があります。

  • 妊娠高血圧症候群
  • 巨大児の分娩
  • 子宮外妊娠 妊娠中、お腹の赤ちゃんの袋である胎嚢が子宮内にない場合、子宮外妊娠の可能性があります。
  • 帝王切開による分娩

特に、妊娠中は食欲が増加して、体重が過剰に増えてしまい、体重管理に苦労される妊婦さんも少なくありません。妊婦さんで食べづわりの症状がある方は、工夫しながら妊娠中の体重をコントロールすることが大切です。

妊娠中の体重増加の目安について

妊娠中の体重増加の目安について

出産時の赤ちゃんの体重が3㎏程度ですが、そのほかの要素により妊婦さんの体重はおよそ12㎏増加します。妊娠前に平均体重の女性が、妊娠で増加する体重増加の内訳は以下になります。

  • 赤ちゃんの体重            約3㎏
  • 子宮内の胎盤や羊水の重さ       約1.5㎏
  • 肥大した分の乳房や子宮分の重さ    約1~1.5㎏
  • 妊娠により増加する血液や水分の重さ  約2~3㎏
  • 出産や授乳に備えて増加した脂肪の重さ 約2.5~3㎏

実際の妊娠中の体重増加の目安は、妊娠前の体格によっても異なります。妊娠中は体型に合わせた「適切な」体重増加が必要です。最近ではやせ気味の妊婦さんもおり、妊娠中でも体重増加を過剰にコントロールしているケースも少なくありません。

このため2021年、日本産科婦人科学会では、妊娠中の体重増加について、新たな目安を作りました。具体的な妊娠中の適切な体重増加は以下のようになり、やせと普通体型だった妊婦さんの体重増加の目安が増えています。

食べづわりのある人も、以下の範囲で体重増加ができるように、食べる量を調節していきましょう。

妊娠前の体格 理想の体重増加
18.5未満(やせ) 12~15㎏
18.5~25.0未満(普通) 10~13㎏
25.0~30.0以上(肥満) 7~10㎏
30.0以上(高度の肥満) ~5㎏

※BMIの計算式=妊娠前の体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

食べづわりへの対策

食べづわりへの対策

空腹時に吐き気が起こる食べつわりにより、一日中食べ物を摂取している人もいるでしょう。食べづわりが起きている間は、以下のような対策を取るのがおすすめです。

食事を小分けにして取る

妊娠中の空腹を和らげるために、食事を分けて食べるようにしましょう。妊娠初期は、赤ちゃんの糖分摂取はそれほど多くないため、空腹の度に食事を摂取していると、大幅な体重増加につながります。1回の食事を半分程度残して、間食に食べるようにしましょう。

手軽に食べられる物を用意しておく

食べつわり中は、症状が現れたときにさっと食べられる物を用意しておくのもおすすめです。仕事をしている妊婦さんは、小袋のビスケットなど簡単に食べられる物を用意しておきましょう。

ヘルシーな食品を選ぶ

「つわり中は食べられる物を取ろう」というアドバイスを耳にしたことのある人もいるでしょう。食べづわりの場合、好きな食べ物を好きなだけ食べていると、体重が大幅に増えてしまう原因になります。

食べつわりでは糖分の多いお菓子よりも、小さめのおにぎりや果物など、よりヘルシーな食べ物を取るようにするとよいでしょう。

カロリー食品を利用する

食べつわりの妊婦さんの場合、間食はカロリーの少なめの食べ物も組み合わせて取りましょう。食事の回数が必要以上に増えてしまうときは、野菜スティックや低カロリーのゼリーなどでお腹を満たすのもおすすめです。

空腹を紛らわす食品を利用する

ガムや飴などは、すぐに飲み込めずに口に長く留まるため、空腹感を紛らわすことができます。仕事中や夜中に食べつわりの症状が出たときにも、食べやすいので常備しておくとよいでしょう。

食べづわりの症状を和らげる工夫

食べつわりなどつわりの症状は、単に妊娠によるホルモンバランスなど体の変化だけで起こるものではありません。精神的なストレスや社会的な環境など、さまざまな要因により、つわりが起こると考えられています。

つわりの一種である食べつわりも、妊婦さんによって起こりやすい状況はさまざまです。食べつわりの症状を和らげるためのコツには以下のものがあります。

マッサージをする

体のマッサージは血行を促進して、ストレスを和らげる効果があります。精神的なストレスを感じているときに、食べつわりの症状を強く感じている人は、マッサージをしてみるとよいでしょう。

周囲に食べつわりであることを伝えておく

食べつわりの場合、食べ物を口に運ぶ機会が多くなるため、周りの人に対して恥ずかしいと感じる妊婦さんもいます。空腹時に心置きなく食べられるように、あらかじめ周囲の人に事情を説明しておくのもおすすめです。

まとめ

食べつわりは、妊娠中の空腹時に現れる胃のムカムカ感のことをいいます。空腹時に吐き気が現れるため、症状を和らげようとお腹が空く度に食べ物を口に運びがちです。

食べつわりにより食事量が増えすぎると、妊娠中の過剰な体重増加につながりやすく、お腹の赤ちゃんの健康や出産に影響を与えることがあります。記事内で紹介した内容を参考にして、食べつわりの症状を乗り越えてみてください。

参考:

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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