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出生前診断

新型出生前診断 欧米と日本の違い

 新型出生前診断とは、お母さんの血液の中に含まれる胎児の染色体のかけらを採血で調べることによって、胎児の染色体異常の有無について調べるスクリーニング検査です。従来のスクリーニング検査と比較して、精度が高いことで世界中から注目されています。日本では、2013年から導入され徐々に検査を実施している人が増えています。

 今回は、新型出生前診断について欧米と日本でのさまざまな違いについて詳しく説明していきます。

アメリカの場合

アメリカ合衆国では、特別拒否をしない限りは通常の検査として新型出生前診断を多くの人が受けています。検査が保険適用となるので、比較的安価で検査を実施することができます。妊婦検診に行くと全員に出生前診断に関するパンフレットが渡され、そのパンフレットには出生前診断の種類や選択肢、確率などについて詳しく明記されています。

 アメリカでは、 新型出生前診断で陽性と診断された場合は、専門医のカウンセリングを受け確定診断に関する説明と、染色体異常のある赤ちゃんを出産した場合の必要なものや受けられるサポートについての紹介を受けます。しっかりとした社会のサポートがなされているので、アメリカでのダウン症の中絶率は6割程度と言われています。

フランスの場合

フランスでは、新型出生前診断は自由診療扱いになり保険適用外なので、非常に高額となっており検査を実施する人は少ないです。検査結果も2週間前後で郵送されるなど、日本における新型出生前診断をとりまく環境と似ていると言えます。

 フランスでは、初産の平均年齢が30歳前後で日本とほぼ同程度ですが、ダウン症の赤ちゃんが実際に生まれる数は年々減少しています。これは、1975年に女性の自己決定権を認める形で人工妊娠中絶が合法化されており、国の医療保険制度が適用され無料で実施されるため出生前診断でダウン症と確定した場合95%が中絶を選択しているためです。

障害であることを理由とした中絶が法律で認められており、医師の証明書があれば妊娠週数は何週であっても中絶可能となっています。

イギリスの場合

 イギリスは国をあげて、女性の自主的選択の機会を与えるために全妊婦さんにスクリーニング検査の実施を推奨しています。これは母体血清マーカーと胎児超音波検査を組み合わせたコンバインテストで、この検査は国民保険サービスで全妊婦さんが実施できます。

 イギリスでは、新型出生前診断は保険適用外ですので全額実費です。それでも90%の妊婦さんが新型出生前診断を受けています。

検査結果は約2週間ほどで郵送で届きます。イギリスでは中絶を選択した場合費用を公費負担してくれます。イギリスでも、出産直前まで複数の医師の判断の元であれば人工妊娠中絶が認められています。

イギリスでは、クラウドファンディングなどで資金を募ったチャリティ団体で、出生前診断によって病気が判明した人専門の相談機関「ARC」があり多くの人が利用しています。検査から検査後の相談窓口までを母子保健行政の一環として国をあげて取り組んでいます。

ドイツの場合

ドイツの場合は、妊婦検診のオプションの1つとして新型出生前診断をすることができます。比較的手軽に検査を実施することができます。ドイツでは、検査を受けられる期間は12~20週と決められており、性別確認が可能で検査結果は約2週間ほどで郵送で届きます。

 法律により全国に無料相談所が設置され、妊娠や中絶に対する悩み相談が気軽に実施できる体制が整っています。医師はお腹の子どもに障害があるとわかった場合に、「妊娠葛藤相談所」への紹介が義務付けられています。ドイツでは、1995年に胎児条項が廃止され、胎児の障害を理由とした選択中絶は法律で禁止されています。しかし、実際は法の拡大解釈で出生前診断で陽性だった場合、9割が人工妊娠中絶をしています。ただし、安易な中絶を防ぐために中絶の3日前までに妊娠葛藤相談所でカウンセリングを受けることが法律で義務付けられています。

オーストラリアの場合

 オーストラリアでは、新型出生前診断は一般的な検査として認知されており、特に異常な経過でなくとも医師から検査を受けるようすすめられます。検査に対する制限はなく、だれでも検査を受けることができます。検査は保険適用外です。

検査結果は1週間前後で判定が出て、病院で結果を聞くことができます。

 オーストラリアでは、全州において人工妊娠中絶が合法とされ、妊娠22週までは母親の意思による中絶が可能、22週以降は2人以上の医師の判断の元であれば合法であるとされています。

日本の場合

 日本では、新型出生前診断はそれほど一般的な検査として認知されていませんが、徐々に受検者数は増えてきています。検査は保険適用外で、すべて実費のため20万円前後かかります。結果は約2~4週間で分かり、病院で結果を聞くことができます。

 新型出生前診断を受けるためには、認定施設では出産時年齢が35歳以上であること、母体血清マーカーや胎児超音波検査で異常を指摘された方、染色体異常がある子どもを妊娠または出産したことがある方、遺伝的に染色体異常のリスクが高い方という条件を満たす必要があります。

 また母体保護法で人工妊娠中絶は、妊娠22週未満であること、妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるという条件の元でしか合法とされていません。

まとめ

欧米では、新型出生前診断は一般的であるという国が多いようです。特にアメリカでは、新型出生前診断の開発国ということもあり、国全体で支援され、検査が保険適用とされています。どの国においても、無責任に検査だけ受けて後の判断は受検者にまかせるということではなく、専門のカウンセラーや相談施設の整備がなされており、検査後のお母さんの判断を支えるということが十分にできています。

 また、人工妊娠中絶に関する法律も国によって異なり、日本のような中絶の条件制限がない国もあります。これにより、中絶の割合が増加すると考える人もいるかもしれませんが、遺伝カウンセリングなどが充実していることによって、むしろ女性に自由な選択肢を与えることができるとも言えます。

 日本では、新型出生前診断の倫理的な問題が叫ばれていますが、問題は検査自体を受けることではなく、その後のアフターフォローが不十分である場合、正確な情報が得られないまま人工妊娠中絶を受けてしまうことにあります。新型出生前診断は、胎児の染色体異常の有無についてを知るための当たり前の権利です。出生前診断で染色体異常があった場合、様々なリスクや出産後のフォロー体制などについて、すべての情報を遺伝カウンセリングで得た上で妊娠を継続するか否かを選択する権利がお母さんにはあります。

 当社では、検査を受けるための制限はありませんし、検査後最短6日~10日前後で検査結果を知ることができます。また、検査後は認定施設と同様に認定遺伝カウンセリングを実施しており、もしも陽性であった場合、正確な情報を受け取ってゆっくりと今後について考える時間を持つことができます。そういう意味では、当社では非常に欧米寄りで先進的な検査を実施することができると言えます。

ABOUT ME
大河友美
国立大学医学部保健学看護科卒業後、大学病院で6年看護師として勤務。 その後、国立大学医学部保健学大学院へ進学し修士号取得。 現在は、子育てをしながら医療ライター・監修者として活動中。 学歴 平成21年 国立大学医学部保健学看護科 卒業 平成28年 国立大学医学部保健学大学院 卒業 取得資格 看護師国家資格 保健師国家資格