2020.10.02

出生前診断

新型出生前診断における認可施設と認可外施設の違い

新型出生前診断における認可施設と認可外施設の違い

新型出生前診断(NIPT)は採血のみで胎児の染色体異常の有無を高精度で知ることができる検査として近年注目されています。しかし、「新型出生前診断」で検索してみると、認可施設や無認可施設についてのコラムがあったりしますが、無認定施設で検査を受けることは法律上何ら問題ございません。

今回は新型出生前診断における、認可施設と認可外施設の違いについて詳しく説明していきます。

新型出生前診断 欧米と日本の違い
新型出生前診断 欧米と日本の違い 新型出生前診断(NIPT)とは、お母さんの血液の中に含まれる胎児の染色体のかけらを採血で調べることによって、胎児の染色体異常の...

認可施設とは

認可施設とは

新型出生前診断(NIPT)が導入されるとなったときに、日本医学会と日本産科婦人科学会が平成25年に「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」という指針を出しました。その指針により認定を受けている施設を認可施設としています。

この認定を受けるための条件とは以下の6点です。

  • 出生前診断に精通した臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーが複数名所属し、専門外来を設置して診療している
  • 専門外来で30分以上の診療枠を設定してカウンセリングを行いその中で検査説明を行う
  • 検査後の妊娠経過についてのフォローアップが可能である
  • 絨毛検査や羊水検査などの侵襲的胎児染色体検査に精通し、安全に行える
  • 小児科の臨床遺伝専門医とも遺伝カウンセリングの連携が取れる体制である
  • 臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーは検査についての研修などを通し、検査法についての知識を十分に有し、結果説明やカウンセリングに対応できること

この認定を受けている施設は全国に92か所とされています。

しかし認可施設で新型出生前診断を受けるためには、以下の条件を満たすことが必要となります。

  • 高齢出産の人(出産時の年齢が35歳以上)
  • 胎児超音波検査、母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性があると指摘された場合
  • 染色体数的異常を有する子どもを妊娠、または出産した既往がある場合
  • 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーになる可能性がある場合

認可施設ではこれらの条件のいずれかに該当しなければ、新型出生前診断を実施することができません。

また、多くの施設では医師からの予約・紹介が必要となります。さらに夫婦同伴での外来受診が必要で即日の採血が可能な施設だけでなく、採血を実施するまでに2~3回の外来受診が必要な施設があります。検査項目は、21トリソミー(ダウン症)18トリソミー(エドワーズ症候群)13トリソミー(パト―症候群)のみとなっています。

認可外施設とは

認可外施設とは

日本医学会・日本産婦人科学会による認定を受けていない施設です。認定を受けていないからといって検査を受けることは法律上何ら問題はございません。認可外施設は認可施設と異なり、検査を受ける上での条件がない場合が多いです。弊社でも検査を受ける上での年齢制限などの条件は一切ありません。希望された方がどなたでも検査を受けて頂けます。

また、医師からの予約や紹介状が必要ではないことがほとんどです。DNA先端医療株式会社でも、予約や紹介状は不要で、当日に来院してそのまますぐに検査を実施することができます。

検査項目に関しては、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーだけでなく、すべての染色体について検査を実施することができます。弊社でも21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーに加えて22対のすべての常染色体と、1対の性染色体、さらには染色体の数的異常だけでなく構造上の異常の有無についても調べることができます。性別についても同時に検査可能となっています。

認可外施設のメリットとデメリット

認可外施設のメリットとデメリット

認可外施設のメリットとしては年齢制限などの検査を受けるための条件がないところです。35歳未満の胎児の健康について気になるお母さんにおいても検査を受けることが可能です。これまで35歳未満のお母さんは、これまで胎児超音波検査や母体血清マーカーなどの精度が低いスクリーニング検査を実施して、結局確定的なことが分からず侵襲のある羊水検査を受けるか否かで悩んでしまうということがありました。しかし新型出生前診断(NIPT)では、陰性的中率が99%以上であるため、そして陰性と診断された場合はほぼ安心できるため、不必要な侵襲のある確定検査を受ける必要がなくなりました。これが無認可施設ではどの年齢の方でも受けることができるようになり、誰でも早期に胎児の状態を知ることができるようになりました。

さらに医師からの予約や紹介状が不要であることから、働いていて多忙なお母さんや上の子がいて十分に時間が取れないお母さんにとっては、その日のうちに検査が完結することは非常にメリットと言えます。

検査項目については21トリソミー18トリソミー13トリソミーは全染色体異常疾患の約7割と言われていますが、それ以外の染色体異常についても検査できます。さまざまな染色体異常について検査をできることによって、その後の妊娠生活・産後の生活についての準備が可能となります。

また、認可外施設は検査をしてから結果が出るまで10日前後と、認可施設より早くなっています。妊娠10週から検査が可能ですので、例えば妊娠10週に検査をしたとして12週には検査結果を知ることができます。新型出生前診断で陽性であった場合、確定検査として羊水検査を実施することが推奨されていますが、羊水検査は妊娠16週~17週頃に実施されます。妊娠12週から16週までの間に遺伝カウンセリングを受けながら心の準備と身体の準備をすることができます。

認可外施設のデメリットは施設によっては、遺伝カウンセリングを実施しておらず自分で遺伝カウンセリングを探して受けなければなりません。また、検査をするだけしてアフターフォローがなく、新型出生前診断で陽性診断された後、自分で羊水検査をする施設を探して、羊水検査費用も自費で払わなければならないこともあります。

弊社ではそのような認可外施設のデメリットに関しては全く心配がありません。無料で遺伝カウンセリングが実施できる環境が整っており、万が一陽性と診断された場合は羊水検査の費用をすべて負担します。アフターフォローが非常に充実しているため、安心して検査を受けることができます。

まとめ
新型出生前診断における認可施設と認可外施設の違い まとめ

このように認可外施設には様々なメリットがあります。一つ注意点は、遺伝カウンセリングなどの検査前後のフォローが充実している施設をきちんと選ぶことが重要です。胎児の染色体異常の有無について、どのお母さんにも平等に知る権利があります。新型出生前診断は、陰性であれば安心を得られますが、万が一陽性であった場合のことを考えてきちんとアフターフォローが受けられるということが非常に大切になります。

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大河友美
国立大学医学部保健学看護科卒業後、大学病院で6年、看護師として勤務。その後、国立大学医学部保健学大学院へ進学し修士号取得。現在は、子育てをしながら医療ライター・監修者として活動中。学歴:平成21年 国立大学医学部保健学看護科 卒業、平成28年 国立大学医学部保健学大学院 修了。取得資格:看護師、保健師、修士(保健学)。

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