2022.10.03

妊娠

着床出血はいつ起こる?生理との違いや症状について解説

着床出血と生理は時期が近いため、どちらの出血か疑問に思う方も多いです。また妊娠の着床出血ではなく、不正出血の可能性も考えられます。今回は着床出血と生理との違いや症状、不正出血の原因と症状について紹介します。

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着床出血とは?

着床出血とは、妊娠初期に起こる出血のことです。出血がありびっくりする、心配になる方も多いかと思いますが、決して異常な出血ではありません。着床出血は妊婦全員に起こるわけではなく、着床出血が見られる割合はおおよそ4人に1人程度と言われています。

着床出血のメカニズムについて説明します。

受精卵が着床する際、受精卵から伸びた絨毛が、子宮内膜を傷つけてしまい、出血となることがあります。これは受精卵が子宮内膜に定着するための出血であり、胎盤を形成するためです。

着床出血はいつ起こる?

一般的に、着床出血は妊娠3〜4週目あたりに起きると言われています。生理周期が28日の場合、次の生理予定日の1週間前〜2・3日前後で見られることが多いです。

排卵日に精子と卵子が出会った場合、受精までは約48時間から72時間(約2~3日)程度かかると言われています。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管から子宮へ向かって移動し、受精から5~7日後ごろで着床が開始します。

受精からおおよそ12日程度で着床は完了しますが、着床出血は着床開始〜着床完了までの期間に起きます。

ちょうどこの時期が妊娠3〜4週目あたりで、生理予定日の2〜3日前後で着床出血がある場合もあるため、生理の出血と勘違いする方もいらっしゃいます。

着床出血と生理との違いや症状

着床出血と生理は、時期も似ていることから、どちらの出血か分からない、と不安に思う方も多いです。着床出血と生理の違いや症状について解説します。

出血量や色

着床出血の場合、生理の出血と比べて量は少ない事が多いです。大体の人はショーツが汚れる程度やティッシュで拭き取ることができる程度、まれにナプキンが必要なくらいの人もいますが、数回の取り替えで終了することが多いようです。

出血の色や性状も違いがあります。

着床出血の色はおりものに血が混ざったような薄い赤、ピンク色の場合や、鮮血のような真っ赤な色、時間が経過した場合は茶色っぽい色が多いです。

性状はさらっとしているか、おりもの程度の粘性がほとんどです。

生理の出血の場合、いわゆる血の色(暗赤色)でドロっとした血の塊が出ることがありますが、着床出血でドロっとした血の塊が出ることはほとんどありません。

通常の生理の場合、出血量は2〜3日目がピークですが、着床出血の場合、出血量が増えるといったことは少なく、血の塊が出ることもありません。

出血の期間

着床出血の場合、出血は1〜2日程度、長くても4日程度と、生理と比べて期間が短いことが特徴です。ショーツに1回血がついて、生理だと思ったらすぐに出血が止まった などの場合は、生理ではなく着床出血の可能性が高いでしょう。

腹痛などの身体症状

生理痛の場合、生理期間中ずっと腹痛などの症状があるという方もいらっしゃいます。

着床出血の場合、チクチクとしたお腹の痛みを感じる方もいらっしゃいますが、個人差があり、全く痛みがなかったという方もいらっしゃいます。またこの腹痛も、1〜4日程度でおさまることがほとんどです。

生理痛ほど重い痛みではないなら、生理痛ではなく着床出血の症状の可能性があります。

その他妊娠超初期症状として、眠気やだるさ、熱っぽさの症状が見られることもあります。ただしこれらの症状は生理時の症状ともよく似ているため、生理と間違う方も多いです。

基礎体温の変化

一般的に、妊娠していない場合、生理がはじまると基礎体温が下がり、低温期がはじまります。

一方妊娠が成立していると、基礎体温が下がらず、高温期が継続します。これはホルモンの変化によるもので、妊娠が成立すると、卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が妊娠後期まで増え続け、妊娠の継続を助けます。

高温期が続いている場合は、妊娠の可能性があります。

着床出血以外の不正出血?原因と症状

着床出血や月経以外に出血する場合もあります。不正出血の原因と症状を紹介します。

子宮外妊娠

通常受精卵は子宮内膜で着床しますが、子宮外妊娠は子宮内膜以外で着床します。

異所性妊娠とも呼び、全妊娠の1〜2%の割合で発生するなど、決して珍しくはありません。

子宮外妊娠の症状の1つに出血があります。超音波検査(経膣超音波検査)で子宮以外の場所に胎児が確認できた場合、子宮外妊娠となります。

子宮外妊娠で最も多い場所は卵管で、その他卵巣や腹腔などが子宮外妊娠の場所として挙げられます。大変残念ですが妊婦の身体にも危険があるため、妊娠の継続はできません。

胞状奇胎

胞状奇胎とは何らかの原因で受精がうまくいかず、胎盤を作る組織の絨毛が、つぶつぶのように変化する疾患です。ぶどうの粒のように増殖することから、「ぶどう子」と呼ばれていたこともあるようです。頻度は全妊娠の500-1000回に1回程度と言われており(※③)、こちらも残念ながら多くの場合妊娠の継続はできません。

症状として性器出血や腹痛があり、週数が進んだ場合は高血圧・浮腫・蛋白尿などの症状がある場合もあります。超音波検査で確認をします。

絨毛膜下血腫

絨毛膜下血腫とは、胎囊と子宮筋層の間に血腫(血液がたまること)がある状態で、妊婦の4~22 %程度に見られると報告されています(※②)。

絨毛膜下血腫の症状には性器出血と子宮収縮があり、超音波検査で絨毛膜下血腫の大きさを確認します。

多くの場合が安静などの経過観察で改善しますが、血腫が大きい場合や、不正出血が続く場合は注意が必要です。

子宮内膜症

子宮内膜症とは子宮内膜またはそれに似た組織が、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し発育する疾患です。20~30代の女性で発症することが多く(※①)、女性の約10%程度が子宮内膜症というデータもあります。

出血以外にも、月経痛や下腹部痛、腰痛や、排便痛、性交痛などの症状があります。年齢や妊娠希望に合わせて、薬物療法や手術などを選択します。

子宮膣部びらん

子宮の出口付近の炎症で、若い女性に一般的に見られる状態です。性交や内診などの刺激で出血が見られたり、女性ホルモンの影響で出血がある場合があります。まれに子宮頸がんの初期の場合もあるため、注意が必要です(※④)。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉組織由来の良性腫瘍で、若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患です(※⑤)。

症状の程度はそれぞれで、不正出血や腰痛、月経過多や月経痛などがあります。子宮筋腫は不妊や流早産の原因にもなります。内診や超音波検査、MRI検査などで診断します。

子宮頸がん・子宮体がん

子宮頸がん・子宮体がんなどの悪性腫瘍にも、不正出血の症状が見られる場合があります(※⑥)。

その他排尿時痛や性交時痛、下腹部の痛みなどの症状がある場合もありますが、無症状の場合もあり、症状には個人差があります。

着床出血と妊娠の関係についてのまとめ

今回の記事では、着床出血について、生理との違いや症状について紹介しました。

着床出血は妊娠3〜4週目あたりの出血のことで、おおよそ4人に1人程度の割合で見られます。

生理の出血と違い多くは1〜2日程度、長くても4日程度で、量も少なく、生理のようにドロッとした経血の出血はありません。

着床出血や月経以外に出血する場合もありますが、症状や程度には個人差がある上、着床出血と症状も似ている場合があります。

妊娠検査薬で陽性反応があった場合は産婦人科を受診し妊娠の確認を、それ以外で不正出血や症状が続く場合は婦人科を受診し、医師の指示に従いましょう。

【参考文献】
公益社団法人日本産科婦人科学会 – 子宮内膜症
公益社団法人日本産婦人科医会 – 3.絨毛膜下血腫/ 感染性流産による流産
和歌山県立医科大学 産科婦人科学教室 – 婦人科【絨毛性疾患】
公益社団法人日本産科婦人科学会 – 不正出血
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会 – 市民の皆さまへ 子宮筋腫
がん情報サービス – 子宮体がん(子宮内膜がん)
ロート製薬 – 排卵日の基本を解説
新宿駅前婦人科クリニック – 着床出血とは?生理との違いについて

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平野香菜子
内科、精神科にて看護業務に従事経験を持つ看護師・保健師のライター。2020年には、食事や運動をはじめとした生活習慣改善のための保健指導などを行う企業保健師としても活動中。 略歴:2016年 美容系専門学校講師、2017年 大学教員(助手)、2018年 看護師、2020年 企業保健師。取得資格:看護師、保健師。

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