更新日:2020.10.02
出生前診断

NIPTとクアトロテスト、どちらを受けるべきか迷っていませんか。どちらも採血だけで受けられる出生前検査ですが、調べられる疾患・検査時期・費用・精度に大きな違いがあります。
この記事では、2つの検査の違いを比較しながら、それぞれの特徴や自分に合った検査の選び方について解説します。「クアトロテストはあてにならない?」といった疑問にもお答えしますので、検査を検討している方はぜひ参考にしてください。

NIPTとクアトロテストの主な違いは、下記の5つです。
| 比較項目 | NIPT(新型出生前診断) | クアトロテスト |
| 検査対象疾患 | 21・18・13トリソミー | 21・18トリソミー、開放性神経管奇形 |
| 検査時期 | 妊娠10週以降 | 妊娠15〜21週 |
| 費用目安 | 8〜20万円程度 | 2〜3万円程度 |
| 結果の通知形式 | 陽性・陰性・判定保留 | 確率(リスク値)で表示 |
| 受検条件 | 年齢制限なし・施設により条件あり | 年齢制限なし |
それぞれ詳しく説明していきます。
NIPTとクアトロテストでは、調べられる病気の種類が異なります。
NIPTは21・18・13トリソミーの3つの染色体異常を調べます。クアトロテストは21・18トリソミーに加え、開放性神経管奇形も調べられます。
開放性神経管奇形とは、脳や脊髄のもととなる神経管が正常に閉じない状態のことです。この病気はNIPTでは検出できないため、調べたい場合はクアトロテストを選ぶ必要があります。
NIPTは妊娠10週から、クアトロテストは妊娠15〜21週に受けられます。
クアトロテストは受検できる期間が限られているため、時期を逃さないよう注意が必要です。
NIPTは8〜20万円程度、クアトロテストは2〜3万円程度が目安です。どちらも保険適用外のため、全額自己負担となります。
NIPTは施設や検査項目の範囲によって費用に大きな差があるため、受検前に各施設の料金を確認することをおすすめします。
NIPTは「陽性・陰性・判定保留」で結果が伝えられます。クアトロテストは「1/500」のように確率で示されます。
どちらの検査も確定診断ではなく、あくまでリスクを評価するためのスクリーニング検査です。陽性または高リスクと判定された場合も、確定には羊水検査などの別の検査が必要です。
2022年の指針改定により、NIPTは認証施設においても年齢制限が撤廃されました。ただし、認証施設では遺伝カウンセリングの受講が必須であり、完全に条件なしで受検できるわけではありません。施設によっては独自の条件が設けられている場合もあるため、受検前に各施設への確認が必要です。
クアトロテストは年齢制限がなく、遺伝カウンセリングも必須ではないため、条件面では受検しやすい検査といえます。

母体母体血清マーカー検査(クアトロテスト)とは、妊婦の血液を使って胎児の先天性疾患のリスクを調べる出生前検査です。採血だけで受けられるため、母体や胎児への負担がありません。
確定診断ではなく、あくまで「その病気である可能性がどのくらいか」を確率で示す検査です。結果によっては、確定診断のために羊水検査などの追加検査が必要になる場合があります。
外来で妊婦の血液を採取し、血液中にある4つの成分(AFP・hCG・uE3・インヒビンA)の値を測定します。これらは妊娠中に胎児や胎盤でつくられる成分で、胎児に染色体異常がある場合に値が変動することが知られています。
測定した値に、妊婦の年齢・体重・妊娠週数などを加味して、各疾患のリスクを確率として算出します。結果は採血から10日〜2週間程度で出ます。
クアトロテストで調べられる疾患は以下の3つです。
21番染色体が通常より1本多い3本ある状態です。知的発達や運動発達に遅れが見られることがあり、心臓などの臓器に合併症を伴う場合もあります。
18番染色体が3本ある状態です。心臓や脳などの複数の臓器に重篤な合併症を伴うことが多く、生命予後が厳しい疾患とされています。
ただし、近年は医療の進歩により生存率が改善されているケースもあります。
脳や脊髄のもととなる神経管が、妊娠初期に正常に閉じない状態のことです。二分脊椎や無脳症などが含まれます。NIPTでは検出できないため、この疾患のリスクを調べたい場合はクアトロテストが必要です。
受検可能な期間は妊娠15週0日〜21週6日ですが、結果が出るまでに10日〜2週間かかります。陽性だった場合に羊水検査へ進むことを考えると、実質的には妊娠15〜17週頃までに受けることが推奨されています。
希望する場合は早めに担当医に相談することが大切です。
2〜3万円程度が目安です。保険適用外のため全額自己負担となりますが、NIPTと比べると費用の負担は少ない検査です。
クアトロテストは確定診断ではなく、あくまでリスクを調べる検査です。ラボコープ・ジャパンの調査によると、疾患別の検出率は下記のとおりです。
| 疾患 | 検出率 |
|---|---|
| 21トリソミー(ダウン症候群) | 約80〜85% |
| 18トリソミー(エドワーズ症候群) | 約75〜80% |
| 開放性神経管奇形 | 約80〜85% |
検出率とは、実際にその疾患がある場合に、検査で正しく陽性と判定できる割合のことです。裏を返せば、疾患があっても陰性と判定されるケースが一定数あります。
また、注意が必要なのは「陽性=疾患がある」ではないという点です。同調査では、陽性と判定された人のうち実際に疾患があったのは約2%にとどまりました。陽性と判定されても多くの場合は疾患がないため、必ず担当医に相談し、羊水検査などで確認することが大切です。

新型出生前診断(NIPT)とは、妊婦の血液を使って胎児の染色体異常のリスクを調べるスクリーニング検査です。母体への負担が少なく、精度が高いことから近年注目されています。
クアトロテストと同様に確定診断ではないため、陽性と判定された場合は羊水検査などの確定検査が必要です。
外来で妊婦の血液を採取し、血液中に浮かんでいるDNA断片(cfDNA)を分析します。このDNA断片の約10%は胎盤由来のもので、胎盤は原則として胎児と同じDNAを持っています。
このDNAを解析することで、特定の染色体の数に異常がないかを調べます。結果は採血から1〜2週間程度で出ます。
認証施設のNIPTで調べられるのは、以下の3つの染色体異常です。クアトロテストと異なり、13トリソミー(パトウ症候群)も検査対象に含まれます。
クアトロテストと同様に検査対象となる疾患です。21番染色体が通常より1本多い、3本ある状態です。知的発達や運動発達に遅れが見られることがあります。
クアトロテストと同様に検査対象となる疾患です。18番染色体が3本ある状態です。心臓や脳など複数の臓器に重い合併症が出ることが多く、生命予後が厳しい疾患とされています。
NIPTのみで調べられる疾患です。13番染色体が3本ある状態です。脳や心臓、眼など多くの臓器に重い異常が出ることが多いです。約80%が生後1ヵ月以内に亡くなるとされており、18トリソミーよりもさらに重篤なケースが多い疾患です。
妊娠10週以降から受けられます。クアトロテスト(妊娠15〜17週推奨)と比べて早い時期から受検できるため、結果を早めに知りたい方に向いています。
NIPTの費用は、医療機関や検査項目の範囲によって異なりますが、一般的に10万円弱〜20万円程度が目安です。保険適用外のため、全額自己負担となります。
費用や検査項目の詳細は、受検を検討している施設に事前に確認することをおすすめします。
NIPTは感度・特異度ともに非常に高い検査ですが、確定診断ではありません。
陽性と判定された場合に実際に疾患がある割合(陽性的中率)は、母体の年齢や疾患の種類によって異なります。出生前検査認証制度等運営委員会の公表データによると、ダウン症候群の陽性的中率は25歳で約79%、44歳で約99%です。年齢が若いほど染色体異常の発生率が低いため、陽性的中率も低くなる傾向があります。
陽性と判定された場合は、確定診断のために羊水検査を受ける必要があります。
NIPTは、日本医学会が認証した「認証施設」以外でも受けることができます。ただし、認証施設と非認証施設では、提供できる検査内容やサポート体制に違いがあります。
認証施設は日本医学会が定めた基準を満たした施設であり、検査前後に遺伝カウンセリングを受けることが義務づけられています。
一方、非認証施設は違法ではありませんが、遺伝カウンセリングや陽性時のサポートが十分でないケースもあります。
主な違いは下記のとおりです。
| 比較項目 | 認証施設 | 非認証施設 |
|---|---|---|
| 基本検査対象 | 21・18・13トリソミー | 21・18・13トリソミー |
| 追加検査項目 | 施設により異なる※1 | 施設により異なる※2 |
| 遺伝カウンセリング | 検査前後に必須 | 実施しない場合あり |
| 陽性時のサポート | 確定検査への案内・継続サポートあり | 施設によって対応が異なる |
※1 認証施設では精度や意義が十分に検証された検査項目に限定して実施しています。
※2 非認証施設では性染色体異常や微細欠失など、認証施設より幅広い項目を提供している場合があります。
受検施設を選ぶ際は、費用だけでなくサポート体制も確認することが大切です。

NIPTとクアトロテストはどちらも妊婦の血液を使ったスクリーニング検査ですが、費用・検査時期・検査精度・調べられる疾患の範囲が異なります。自分の状況や希望に合わせて選ぶことが大切です。
下記に当てはまる方はクアトロテストが向いている場合があります。
下記に当てはまる方はNIPTが向いている場合があります。
NIPTとクアトロテストについて、よく寄せられる疑問をまとめました。それぞれ簡潔にお答えします。
あります。クアトロテストの陰性はダウン症でないことを確定するものではなく、「基準値より確率が低い」ことを示すものです。ダウン症候群の検出率は約80〜87%であるため、疾患があっても陰性と判定されるケースが一定数あります。
クアトロテストはあくまで確率を示すスクリーニング検査であり、確定診断ではないためです。陽性であっても実際に疾患がないケースや、陰性であっても疾患があるケースが存在します。また、母体の年齢が高いほど陽性と判定されやすい傾向があるため、結果の解釈が難しいと感じる方もいます。
基本的には両方受ける必要はありません。NIPTはクアトロテストより検査精度が高く、早い時期に受けられます。ただし、開放性神経管奇形も調べたい場合はクアトロテストのみで検査できるため、担当医に相談のうえ判断することをおすすめします。
双子の場合、どちらの検査も精度や結果の解釈に制限が生じます。クアトロテストは双胎妊娠では結果の精度に制限があります。NIPTは双子でも受検できますが、どちらの胎児に異常があるかを特定することはできません。詳しくは担当医に相談することをおすすめします。
NIPTとクアトロテストは、調べられる疾患・検査時期・費用・精度のいずれも異なる検査です。それぞれに特徴があるため、自分の状況や希望に合った検査を選ぶことが大切です。
特に開放性神経管奇形も調べたい方はクアトロテスト、より高い精度で早期に結果を知りたい方はNIPTが向いています。どちらの検査も確定診断ではないため、結果の解釈は必ず担当医に相談するようにしましょう。
NIPTの受検を検討している方は、ぜひDNA先端医療株式会社のサービスもご覧ください。
ABOUT ME