更新日:2020.10.01
出生前診断

NIPTで「陽性」の結果が出ると、頭が真っ白になる方も多いでしょう。しかし、陽性は確定診断ではなく、「可能性が高い」ことを示すものにすぎません。
陽性的中率や偽陽性の仕組みを正しく理解することが、冷静な判断への第一歩です。
この記事では、NIPT陽性の意味から確定検査の流れ・費用・リスク、陽性確定後の選択肢、相談先まで幅広く解説します。結果を受け取ったばかりの方の参考になれば幸いです。

NIPT(新型出生前診断)で「陽性」という結果が出ると、大きな不安を感じる方も多いでしょう。しかし、陽性という結果が何を意味するのかを正しく理解することが、次の行動を考えるうえで重要です。
ここでは、NIPT陽性の意味と、陰性・判定保留との違いについて解説します。
NIPT陽性とは、赤ちゃんに染色体異常がある「可能性が高い」と判定されたことを意味します。陽性はあくまでもスクリーニング(ふるい分け)検査の結果です。確定診断ではありません。
NIPTは、母体の血液中に含まれる胎盤由来のDNAを解析する検査です。赤ちゃん本人の細胞を直接調べるわけではありません。そのため、陽性と判定されても、実際には赤ちゃんに異常がないケースもあります。
陽性の結果を受けたら、すぐに結論を出す必要はありません。まずは医師や遺伝カウンセラーに相談し、確定検査を検討することが大切です。
NIPTの判定結果は「陽性」「陰性」「判定保留」の3種類があります。
| 判定結果 | 意味 |
|---|---|
| 陽性 | 染色体異常がある可能性が高い |
| 陰性 | 染色体異常がある可能性が低い |
| 判定保留 | 結果を判定できなかった |
陰性は「染色体異常の可能性が低い」ことを示します。ただし、100%異常がないとは言い切れません。※DNA先端医療の陰性的中率は99.99%以上です。
判定保留は、母体血液中の胎児由来DNA量の不足など、さまざまな原因で結果を判定できなかった場合に出ます。赤ちゃんの異常を直接示すものではありません。この場合は、1週間程度あけて再検査を行うか、確定検査(羊水検査など)を検討することになります。

出生前に行う検査には、「非確定検査」と「確定検査」の2種類があります。それぞれの主な違いは下記の通りです。
| 非確定検査 | 確定検査 | |
|---|---|---|
| 目的 | 異常がある可能性を調べる | 異常の有無を確定する |
| 母体への負担 | 少ない | 大きい |
| 流産リスク | なし※1 | あり※2 |
| 診断の確実性 | 確定診断にならない | 確定診断になる |
| 代表的な検査 | NIPT・超音波検査・母体血清マーカー検査 | 羊水検査・絨毛検査 |
※1 採血や超音波のみで行うため、検査自体による流産リスクはありません。
※2 お腹に針を刺して検体を採取するため、一定の流産リスクを伴います。リスクの程度は施設や術者の経験によって異なるため、担当医に確認することをおすすめします。
非確定検査で陽性が出た場合は、確定検査に進むかどうかを医師や遺伝カウンセラーと相談することが一般的です。
非確定検査とは、赤ちゃんに染色体異常がある「可能性」を調べる検査です。母体への身体的な負担が少ないことが特徴です。
ただし、陽性が出ても確定診断にはなりません。代表的な非確定検査は以下の3つです。
NIPTは、妊婦さんの血液を採取して行う検査です。母体の血液中に含まれる胎盤由来のDNAを解析することで、赤ちゃんの染色体異常の可能性を調べます。
主に下記の3つの染色体異常を調べることができます。
採血のみで行うため、母体への負担が少なく、他の非確定検査と比べて精度が高いことが特徴です。※DNA先端医療のNIPTは、3つの染色体異常に加え、全染色体検査・微小欠失検査・性別判定を調べることができます。
超音波検査は、お腹に機器を当てて赤ちゃんの状態を画像で確認する検査です。妊婦健診で必ず行われる検査であり、母体への負担はありません。
赤ちゃんの成長や発達を確認するだけでなく、体の形や構造に異常がないかを調べることもできます。ただし、染色体異常そのものを確定するものではありません。
母体血清マーカー検査は、妊婦さんの血液を採取して行う検査です。血液中に含まれる特定の物質(マーカー)の量を測定することで、赤ちゃんの染色体異常の可能性を数値で示します。
現在主流なのは、4種類のマーカーを測定する「クアトロテスト」です。妊娠15〜17週頃に受けられます。
結果は「可能性が高いか低いか」を確率で示すものであり、確定診断にはなりません。またNIPTと比べると検出精度が低く、母体の年齢によっても結果が変わる点に注意が必要です。
非確定検査で陽性が出た場合や、赤ちゃんに異常の可能性がある場合に行う検査です。妊娠中の確定検査には、羊水検査と絨毛検査の2種類があります。
代表的な確定検査は以下の2つです。
| 絨毛検査 | 羊水検査 | |
|---|---|---|
| 検査の時期 | 妊娠11〜15週 | 妊娠16週以降 |
| 流産リスク | あり※ | あり※ |
| 主な合併症 | 出血・感染・流産など | 破水・感染・出血・流産など |
| イメージ |
※流産リスクの程度は施設や術者の経験によって異なります。担当医に確認してください。
羊水検査は、お腹に細い針を刺して羊水を採取し、赤ちゃんの染色体を調べる検査です。妊娠15〜16週以降に受けられます。
ダウン症(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーをはじめ、さまざまな染色体異常を調べることができます。結果が出るまでには、施設によって異なりますがおおむね2〜4週間かかります。
一定の流産リスクを伴うため、担当医とよく相談したうえで受けるかどうかを決めることが大切です。
絨毛検査は、お腹に針を刺して胎盤の一部(絨毛)を採取し、赤ちゃんの染色体を調べる検査です。妊娠11〜14週に受けられ、羊水検査よりも早い時期に結果を得られる点が特徴です。
ダウン症(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーをはじめ、さまざまな染色体異常を確認できます。ただし、まれに胎盤と赤ちゃんの染色体が一致しない「胎盤性モザイク」が起こることがあり、その場合は改めて羊水検査が必要になります。
一定の流産リスクを伴い、実施できる施設も限られているため、担当医とよく相談することが大切です。

NIPTで陽性と判定されても、実際に赤ちゃんに染色体異常がある確率は100%ではありません。この確率を「陽性的中率」といいます。陽性的中率がなぜ変わるのか、また偽陽性が起きる理由について解説します。
陽性的中率は、主に「妊婦さんの年齢」と「疾患の種類」の2つの要因によって変わります。
【妊婦さんの年齢】
年齢が上がるほど染色体異常が起きる確率が高くなるため、陽性的中率も高くなる傾向があります。反対に、年齢が若いほど陽性的中率は低くなります。
【疾患の種類】
陽性的中率は疾患によって異なります。21トリソミー(ダウン症)が最も高く、次いで18トリソミー、13トリソミーの順に陽性的中率が低くなります。
なお、陽性的中率は検査会社や検査アルゴリズム、母集団によっても異なります。具体的な数値は担当医に確認してください。
偽陽性とは、NIPTで陽性と判定されたにもかかわらず、実際には赤ちゃんに異常がない状態のことです。
NIPTは赤ちゃん本人の細胞ではなく、母体の血液中に含まれる胎盤由来のDNAを解析します。そのため、胎盤にのみ染色体異常がある「胎盤限局性モザイク」という状態が起きた場合、赤ちゃんは正常でもNIPTが陽性を示すことがあります。
その他にも、母体自身の染色体異常や、ごく初期に消失した双子(バニシングツイン)のDNAが影響するケースもあります。

NIPT陽性の結果を受けたあと、すぐに結論を出す必要はありません。まずは落ち着いて、順を追って対応を進めることが大切です。
最初に行うべきことは、遺伝カウンセリングを受けることです。
遺伝カウンセリングとは、染色体異常や検査結果について、専門の医師や遺伝カウンセラーが丁寧に説明・相談を行う医療サポートです。
カウンセリングでは下記のような内容を相談できます。
確定検査を受けるかどうかはご自身で決めます。カウンセリングは、その判断を医学的・心理的な両面からサポートする場です。
遺伝カウンセリングを経て確定検査を希望する場合は、羊水検査または絨毛検査を受けます。
確定検査では、赤ちゃんの染色体異常の有無をはっきりと確認します。結果が出るまでには施設によって異なりますが、数週間かかります。妊娠週数によっては時間的な余裕が限られるため、早めに医師に相談することをおすすめします。
確定検査の結果が出たあとは、その結果をもとに今後の方針を家族で話し合います。
最終的な判断を下すのはご家族自身です。医師は決定者ではなく、意思決定を支える役割を担います。どの選択をしても、医療や福祉のサポートを受けながら進むことが可能です。

確定検査で染色体異常が確定した場合、次に考えるのは今後の方針です。どの選択をするかは、ご家族自身が決めることであり、医師はその判断を支える役割を担います。
染色体異常が確定しても、妊娠を継続する選択があります。
継続を選んだ場合は、出産前から医療機関や小児科と連携し、出生後の治療方針やケア体制を整えます。また、障害のある子どもを支える公的な福祉サービスや発達支援制度も活用できます。不安なことは遺伝カウンセリングを通じて整理していきましょう。
中絶を選ぶ場合、日本では母体保護法により妊娠21週6日までが期限と定められています。確定検査の結果が出るまでに数週間かかるため、時間的な余裕は限られています。早めに担当医に相談することが大切です。
日本では、母体保護法に基づき、母体の健康面や経済的事情などを踏まえて総合的に判断されます。詳しくは担当医や遺伝カウンセラーに相談してください。
中絶の決断は大きな精神的負担を伴います。遺伝カウンセリングや専門機関による心理的サポートを積極的に活用してください。
NIPT陽性の結果を受けたとき、一人で抱え込む必要はありません。状況や悩みに応じて、下記の相談先を活用してください。
NIPT陽性の結果は、赤ちゃんに染色体異常がある「可能性が高い」ことを示すものであり、確定診断ではありません。陽性の結果を受けても、すぐに結論を出す必要はありません。
まずは遺伝カウンセリングを受け、結果の意味や今後の選択肢を正しく理解することが大切です。確定検査を受けるかどうかも含め、すべての判断はご家族自身が行うものです。どの選択をしても、医療や福祉のサポートを受けながら進むことができます。
不安を感じたときは、一人で抱え込まず、担当医や専門機関に相談してください。
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