流産の種類を一覧で解説|症状・時期・回数の違いと処置 | DNA先端医療

流産の種類を一覧で解説|症状・時期・回数の違いと処置

更新日:2026.09.22

出産

流産・切迫流産とは?流産の種類、原因や症状・治療法まで

稽留流産、不全流産、化学流産と、流産には多くの名前があります。診断名を告げられても、自分がどの状態にあるのかわからず不安になる方は少なくありません。

流産の種類は「時期」「症状と進行度」「回数」の3つのものさしで整理できます。1回の流産が複数の名前を同時に持つため、1つに絞ろうとするとわ分かりにくくなります。

この記事では、種類ごとの違いと症状からの見分け方、週数で変わる処置、原因と受けられる検査までを、学会や公的機関の情報にもとづいて解説します。

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流産とは|妊娠22週未満で妊娠が終了した状態

そもそも流産とは

流産には、名前が似ていて混同されやすい言葉もあります。まず4つの違いを整理します。

  • 流産と切迫流産の違い
  • 早期流産と後期流産の違い
  • 流産と死産の違い
  • 流産と人工妊娠中絶の違い

それぞれ見ていきます。

流産と切迫流産の違い

切迫流産は流産ではありません。赤ちゃんが子宮の中で生きている状態を指します。

日本産科婦人科学会は、妊娠22週未満で子宮内で赤ちゃんが生存しているのに、出血や腹痛など流産が進みそうな徴候を認めた場合を切迫流産としています。妊娠が終わってしまった流産とは、状態が正反対です。上の表に切迫流産が入っていないのは、流産の種類ではないためです。

名前に「流産」と付いているため、診断された時点で妊娠が終わったと受け取ってしまう人は少なくありません。切迫流産と告げられても、妊娠が続く可能性は残されています。

同学会は、安静にしたり薬を投与したりしても流産を予防する効果はなさそうだとしています。ただし重い労働や長時間労働は避けることがすすめられており、勤務を緩める必要があるかどうかは主治医に相談することになります。

早期流産と後期流産の違い

分かれ目は妊娠12週です。妊娠12週未満に起きた流産を早期流産、妊娠12週以降に起きた流産を後期流産と呼びます。

この区分は呼び名の違いにとどまりません。原因が異なります。早期流産では赤ちゃん側の染色体異常が最も多い原因になりますが、後期流産では子宮の形の異常や感染など、母体側の要因が関わってきます。

行われる処置も異なります。早期流産では子宮内容除去術や自然排出を待つ方法がとられるのに対し、妊娠12週以降は分娩に準じた処置になります。同じ流産という言葉でも、時期によって医療の内容は別物です。

流産と死産の違い

分ける基準は妊娠週数です。死産の届出に関する規程は、死産を「妊娠第四月以後における死児の出産」と定めています。妊娠第四月とは妊娠満12週のことです。

妊娠12週以降に赤ちゃんが亡くなった場合は、医学的には流産であっても、届出の上では死産として扱われます。妊娠12週未満であれば死産にはあたりません。

この違いは手続きに直結します。妊娠12週以降では死産証書が作成され、死産後7日以内に市町村へ死産届を提出することになります。妊娠85日(4ヵ月)以後の死産や流産は、出産育児一時金の対象にもなります。

死産にはさらに自然死産と人工死産があります。人工死産は、胎児が母体の中で生きていることが確実なときに、人工的な処置を加えたことで死産にいたった場合を指します。それ以外はすべて自然死産です。

出典:厚生労働省|死産の届出に関する規程

流産と人工妊娠中絶の違い

違いは、人の手によるものかどうかです。母体保護法第二条は、人工妊娠中絶を「胎児が、母体外において生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出すること」と定めています。

人工妊娠中絶を行える時期は、厚生事務次官通知により通常は妊娠満22週未満とされています。実施できる条件も母体保護法第十四条で定められており、妊娠の継続や分娩が身体的または経済的な理由で母体の健康を著しく害するおそれがある場合などに限られます。

手術を行えるのは母体保護法指定医師のみです。同意については、法律婚または事実婚の場合は原則として本人と配偶者の同意が必要です。ただし未婚であれば本人の同意のみで足ります。夫からのDV被害を受けているなど夫婦の関係が実質的に破綻して配偶者の同意を得ることが難しい場合も、本人の同意のみで実施できます。性被害による妊娠の場合、加害者の同意は不要です。

出典:日本医師会|医の倫理の基礎知識 母体保護法とその問題点

症状と進行度で分かれる流産の種類

流産の兆候や症状

このものさしは、症状と所見で分かれる稽留流産・進行流産と、子宮の中のものがどこまで排出されたかによって生化学的妊娠・不全流産・完全流産に分かれます。

症状だけで種類は確定できません。出血や腹痛は異所性妊娠でも起こるため、超音波検査やhCG検査で確認する必要があります。

日本産科婦人科学会は、妊娠初期の少量の出血や軽い腹痛であれば、すぐに受診しても有効な対処法はないため、まず自宅で安静にするのがよいとしています。ただし月経のような多めの出血があったり腹痛がひどい場合は、夜間や休日であっても産婦人科へ連絡するよう案内しています。

  • 化学流産(生化学的妊娠)
  • 稽留流産
  • 進行流産
  • 不全流産
  • 完全流産

それぞれ見ていきます。

化学流産(生化学的妊娠)

妊娠検査薬では陽性が出たものの、超音波検査で胎嚢が確認できる前に、月経のような出血が起きて妊娠が終わった状態です。生化学的妊娠とも呼ばれます。

胎嚢が見えないだけでは化学流産と確定できません。排卵の時期がずれていれば、まだ見えないだけということもあります。子宮の中に胎嚢が見えない場合は異所性妊娠の恐れもあり、hCGの推移と超音波検査で確認していくことになります。

日本では化学流産を流産の回数に含めません。特に治療は必要ないものとして扱われています。米国生殖医学会も回数に含めない立場をとっていますが、欧州ヒト生殖医学会は異なる見解を示しています。

流産を何回経験したかを数えるとき、化学流産は数に入りません。

出典:日本産婦人科医会|1.生化学的妊娠(Biochemical pregnancy)の扱い方

稽留流産

出血や腹痛といった流産の症状がないまま、子宮の中で赤ちゃんが亡くなっている状態です。「けいりゅうりゅうざん」と読みます。

自覚症状がないため、超音波検査を受けてはじめてわかります。診断の根拠になるのは超音波の所見だけです。日本産婦人科医会は、告げられたときの患者のショックははかりしれないとして、診断は正しく慎重に行われなければならないとしています。

診断の目安は示されています。赤ちゃんの頭からお尻までの長さが20mm以上(妊娠8週相当以上)あるのに心拍が確認できない場合、稽留流産と診断されます。一度確認できた心拍が確認できなくなった場合も同じです。それより早い時期では、2週間あけて再検査し、発育の停滞が確認された時点で診断されます。

稽留流産は起こる時期が決まっているものではありません。妊娠22週未満の流産のうち、症状がないまま子宮の中に留まっている状態を指す呼び名です。診断の目安として妊娠8週相当という数字が出てきますが、これは超音波で判断できるようになる時期であって、稽留流産が8週までしか起こらないという意味ではありません。 

出典:日本産婦人科医会|8.稽留流産の診断

進行流産

子宮の出口が開き、出血が増えて流産が進み始めている状態です。

妊娠を自然に終わらせるために子宮収縮が起こり、出血や腹痛といった症状が現れます。自覚症状がない稽留流産と違い、本人が異変に気づけます。

子宮の中のものが外に出ようとしている段階のため、ここから先は2つに分かれます。すべて排出されれば完全流産、一部が残れば不全流産です。どちらになるかで、必要な処置が変わります。

流産した組織は、いずれ自然に排出されることが多いとされています。ただし出血や腹痛が強い場合は、子宮内容除去術が必要になることもあります。

不全流産

流産組織の一部が子宮の中に残っている状態です。排出が始まったものの途中で止まっており、出血や腹痛が続きます。

稽留流産と混同されやすいのですが、状態は大きく異なります。稽留流産は排出がまだ始まっておらず、自覚症状もありません。不全流産は排出が始まっていて、症状が続きます。

分かれ目は、排出が始まっているかどうかです。

子宮の中に残っているものがあるため、子宮内容除去術が必要になることが多いとされています。

完全流産

流産組織がすべて自然に排出された状態です。出血や腹痛は軽快していることが多く、追加の処置も必要ありません。

不全流産とは、子宮の中に残っているものがあるかどうかで分かれます。出血の量や排出されたものの見た目だけでは判断できないため、医療機関で確認してもらう必要があります。

流産の種類と時期で異なる処置

流産の種類と原因

どの処置になるかは、妊娠週数と子宮の中の状態に加えて、出血の量、感染の有無、全身の状態、本人の希望、医療機関の体制を踏まえて決まります。

海外では薬を使う方法もありますが、流産に対する薬物療法は日本では認可されていません。国内で承認されている経口中絶薬は人工妊娠中絶のための薬であり、流産の処置には使えません。日本で選べるのは次の4つです。

  • 経過観察
  • 待機療法
  • 子宮内容除去術
  • 分娩に準じた処置

出典:日本産婦人科医会|1.早期流産の処置方法の選択

それぞれ見ていきます。

経過観察

完全流産と判断された場合、追加の処置は必要ありません。子宮の中に残っているものがないため、そのまま経過を見ます。

自宅で排出があったとしても、それだけで完全流産と決まるわけではありません。一部が残っていれば不全流産にあたり、処置が必要になります。出血があった後は、医療機関で子宮の中を確認してもらうことになります。

待機療法

自然に排出されるのを待つ方法です。妊娠13週未満で、感染の兆候がなく、血圧や脈拍などのバイタルサインが安定していることが条件になります。

平均するとおよそ2週間後に75〜90%前後が排出されます。2週間で排出されない場合も、4週間程度まで待つことは許容されるとされています。

待機療法と薬物療法と手術の3つは、ほぼ同じ治療効果をもたらすとされています。5年後までの妊娠成績にも有意な差はなかったと報告されています。待つことを選んでも、次の妊娠が不利になるわけではありません。

一方で、国立成育医療研究センターは、待機を選んだ場合に出血や腹痛による緊急入院の割合が高くなるとしています。手術を選ぶ理由のひとつは、自宅で突然起こる多量出血などの可能性を減らせることにあります。手術にも合併症はあるため、どちらが安全と一律には決まりません。

子宮内容除去術

子宮の中に残っているものを取り除く手術です。流産手術とも呼ばれ、稽留流産や不全流産で行われます。

以前は掻爬法が主体でしたが、子宮の中に癒着が起こることを考慮して、体への負担が少ない吸引法へ移る施設が増えています。吸引法には器械を使うものと手動のものがあります。治療にかかる期間が最も短く、追加の治療も要らない点が利点です。

自然流産に対する流産手術は保険診療の対象です。診療報酬点数表では、妊娠11週までは手動真空吸引法が4,000点、その他の方法が2,000点、妊娠11週を超えて21週までは5,110点と定められています。1点は10円で、窓口で払う額は加入している健康保険の自己負担割合に応じて決まります。

出典:診療報酬点数表|K909 流産手術

分娩に準じた処置

妊娠12週以降の流産では、手術ではなく分娩と同じ方法がとられます。子宮収縮を促す薬を使って、赤ちゃんと胎盤を排出します。

手順は3段階です。時間をかけて子宮の頸管を広げ、次に子宮収縮薬を投与し、最後に超音波検査で子宮の中に残っているものがないかを確認します。後期の流産では胎盤が残ることが多く、放置すると子宮内感染の原因になるためです。

処置の前には、本人とパートナーへの説明と、書面による同意が必要になります。

処置の後に母乳が出てくることがあります。冷やすことで落ち着く場合もありますが、薬を使うこともあります。

出典:日本産婦人科医会|5.後期流産の処置

流産が起こる原因|早期と後期で異なる

流産の原因は妊娠12週の前後で大きく変わります。早期流産では赤ちゃん側の染色体異常が中心で、後期流産では母体側の要因が関わってきます。

  • 胎児の染色体異常
  • 母体年齢
  • 子宮内感染
  • 子宮頸管無力症
  • 自己免疫疾患
  • 喫煙とカフェイン

はじめの2つは早期流産に最も多い原因、続く3つは後期流産の要因、最後は生活習慣との関連が確認されているものです。それぞれ見ていきます。

胎児の染色体異常

早期流産で最も多い原因です。流産した組織を調べると、高い割合で染色体の異常が見つかります。

割合の報告には幅があります。日本産科婦人科学会は約80%、日本産婦人科医会は60〜70%(40歳以上では80%以上)、日本生殖医学会は70〜80%としています。

これは、精子と卵子から受精卵ができる段階で、すでに流産することが決まっていたことを意味します。日本産婦人科医会は、初期の流産を予防も治療もできない自然淘汰という自然現象と説明しています。

日本産科婦人科学会は、赤ちゃんの染色体異常はほとんどが偶然のできごとであり、また流産を繰り返すかもしれないと過度に心配する必要はないとしています。

流産した組織では、16番染色体が3本ある16トリソミーが最も多く見つかります。

出典:日本生殖医学会|Q19.不育症の原因にはどういうものがありますか?

母体年齢

年齢が上がると流産率も上がります。日本産科婦人科学会は、40歳を過ぎると40%以上が流産するとしています。

年齢そのものが直接の原因ではありません。卵子は減数分裂という過程で染色体を46本から23本に減らしますが、加齢に伴って不均等に分かれ、染色体が22本や24本の卵子ができる頻度が高くなります。この卵子が受精すると流産につながります。

年齢は、胎児の染色体異常を増やすことを通じて流産率を押し上げています。

子宮内感染

子宮の中で細菌などの感染が起こると、妊娠12週以降でも流産することがあります。感染を伴って起こった流産は感染流産と呼ばれ、放置すると感染が全身に広がることがあるため注意が必要です。

腟の中の細菌が上がってきて、赤ちゃんを包む絨毛膜や脱落膜に入り込むことで起こります。早期流産の15%、後期流産の65%に感染が関与しているとされています。

細菌の成分が炎症を起こす物質の産生を促し、子宮の筋肉を収縮させます。卵膜がもろくなることで破水しやすくもなります。

出典:日本産婦人科医会|3.絨毛膜下血腫/感染性流産による流産

子宮頸管無力症

妊娠の中期に、お腹のはりや出血といった症状がないまま子宮頸管が静かに開き、赤ちゃんを包む胎胞が出てくる状態です。

自覚症状がないまま進むことが特徴です。原因ははっきりわかっていませんが、体質的な問題に加えて、以前の出産や子宮の手術が影響している恐れがあるとされています。

以前の妊娠で診断されている場合は、妊娠12週以降に子宮頸管を縫い縮める予防的縫縮術が行われることがあります。妊娠中期に頸管の短縮と胎胞の出現がみられた場合は治療的縫縮術が行われますが、常に成功するとは限らず、破水や損傷のリスクもあります。

出典:日本産科婦人科学会|早産・切迫早産

自己免疫疾患

自分の体を守るしくみが自分自身を攻撃してしまう病気です。全身性エリテマトーデスや抗リン脂質抗体症候群があると、妊娠12週以降でも流産することがあります。

日本生殖医学会は、抗リン脂質抗体症候群を治療法が確立された唯一の原因としています。抗リン脂質抗体が陽性の人は、不育症の患者の10.7%です。

流産を起こすしくみは複数報告されています。胎盤に血栓ができて血流が悪くなるという説のほか、子宮の血管に入り込んだ絨毛組織の分化が抑えられるという説もあります。

喫煙とカフェイン

生活習慣のうち、流産との関連が確認されているのは喫煙とカフェインです。

ヘビースモーカーの流産率は、たばこを吸わない人の2倍です。後期流産との関連が特に高いとされています。

カフェインについては、日本産婦人科医会が1日350mg以上の多量摂取で流産のリスクが高まるとしています。世界保健機関は2016年の勧告で、1日300mg以上によって出生時の低体重、流産や死産のリスクが高まる恐れがあるとして、妊娠中は摂取量を減らすことを推奨しています。

飲み物に含まれる量は農林水産省が示しています。コーヒーの浸出液は100mlあたり60mg、紅茶は30mg、玉露は160mg、せん茶は20mgです。コーヒーであれば500ml程度で300mgに達します。

出典:
日本産婦人科医会|1.総論
農林水産省|カフェインの過剰摂取について

繰り返す回数で分かれる流産の種類

このものさしは、自然流産を何回経験したかで分かれます。回数は検査を考える目安にもなります。

  • 反復流産
  • 習慣流産

それぞれ見ていきます。

反復流産

自然流産を2回繰り返した状態です。この頻度は2〜5%とされています。数えるのは自然流産だけで、化学流産は含めません。

近い言葉に不育症があります。こちらは流産と死産を合わせて2回以上経験した状態で、流産だけを数える反復流産より範囲が広くなります。連続している必要はなく、間に出産があっても該当します。

国内の不育症の患者数は、約35万〜50万人と見積もられています。

出典:
日本生殖医学会|Q17.不育症とはどういうものですか?
Q18.不育症の人はどのくらいいるのですか?

習慣流産

自然流産を3回以上繰り返した状態です。この頻度は約1%とされています。

この区分は、抗リン脂質抗体症候群を疑う目安にもなっています。国際抗リン脂質抗体学会は、妊娠10週未満で3回以上連続する習慣流産を、この病気の臨床症状のひとつに挙げています。

流産の原因を調べるための検査

検査は、不育症の4つの主な原因に対応しています。日本生殖医学会は、抗リン脂質抗体陽性、子宮形態異常、夫婦どちらかの染色体異常保因、胎児(胎芽)の染色体異常の4つを挙げています。

対象になるのは、流産や死産を2回以上経験して不育症と診断された場合です。ただし2回に達していなくても検査を考えてよいケースがあります。妊娠10週の大きさ(頭殿長で3cm)まで育った後の原因不明の流産を1回でも経験している場合は、抗リン脂質抗体症候群の恐れが考えられます。

化学流産を3回以上繰り返している場合について、日本生殖医学会は回数には数えないとしたうえで、産婦人科で不育症の検査をすることを推奨しています。

  • 流死産検体の染色体検査
  • 抗リン脂質抗体検査
  • 夫婦の染色体検査
  • 子宮形態の検査
  • 内分泌・代謝の検査

それぞれ見ていきます。

流死産検体の染色体検査

流産した組織の染色体を調べる検査です。2022年4月から保険が適用されています。

対象となるのは、流産や死産と診断され、その組織を採取できた場合です。他の3つと違い、流産したときの組織がなければ実施できません。受けるかどうかは、処置の時期に決めることになります。

保険診療で行われるのはギムザ分染法による絨毛染色体検査です。自然流産の既往があり、流産手術を行った人に限られます。診療報酬点数表では4,603点と定められており、厚生労働大臣が定める施設基準を満たして届け出た医療機関でのみ実施できます。

ギムザ分染法は細胞を培養する方法のため、自然に排出された検体では実施できません。待機療法を選んだ場合、保険診療のこの検査は受けられないことになります。

次世代シーケンサーを使う「流死産絨毛・胎児組織NGS染色体検査」は先進医療として実施されており、自然に排出された検体でも調べられます。自治体によっては助成制度があります。

出典:
診療報酬点数表|D006-5 染色体検査
厚生労働省|先進医療の内容(流死産絨毛・胎児組織NGS染色体検査)

抗リン脂質抗体検査

血液を採って、抗リン脂質抗体があるかどうかを調べます。保険が適用されます。

日本生殖医学会は、ループスアンチコアグラントの測定が特に大切だとしています。1種類の検査では見つけられないため、2種類以上を行うことが推奨されています。ただし健康保険で認められるのは1つだけです。

抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI複合体抗体と抗カルジオリピン抗体は、どちらかを測定すれば足ります。

陽性が出ても、その時点では確定しません。診断には、該当する妊娠歴や血栓症といった臨床上の条件と、12週間あけた再検査で陽性が続くという検査上の条件の両方が必要です。国際抗リン脂質抗体学会は、臨床上の条件として妊娠10週以降の子宮内胎児死亡、胎盤機能不全などによる妊娠34週以前の早産、妊娠10週未満で3回以上連続する習慣流産を挙げています。

出典:こども家庭庁|不妊症・不育症へ向き合いやすく 保険診療の基礎知識

夫婦の染色体検査

夫婦それぞれの血液から染色体を調べます。日本生殖医学会によると、5〜10%のカップルに染色体の変化が見つかり、最も多いのは均衡型転座です。早期流産を繰り返す人に多い傾向があります。

卵子や精子が作られる減数分裂の過程で、一定の割合で異常な染色体を持つ卵子や精子ができます。これが受精すると流産になります。正常な染色体を持つ卵子や精子もできるため、出産は可能です。

均衡型転座の多くは両親から受け継いだもので、結果は兄弟姉妹にも影響が及びます。同学会は、検査を受ける前に結果がもたらす意味をよく考えるようすすめています。夫婦のどちらに変化があるかを特定しないまま説明を受けることもできます。

子宮形態の検査

経腟超音波検査で子宮の形を確認します。子宮形態異常がありそうな場合は、MRIや子宮鏡を組み合わせて確定診断を行います。

調べるのは、生まれつき子宮の形が通常と異なる状態です。中隔子宮、双角子宮、単角子宮、重複子宮などがあります。

日本生殖医学会によると、不育症の患者の3.2〜10.4%にみられます。子宮の中で赤ちゃんが亡くなることのほか、早産や逆子とも関係します。

内分泌・代謝の検査

血液検査で甲状腺の機能や糖代謝を調べます。

日本産科婦人科学会は、甲状腺などのホルモンの異常を不育症のリスク因子として挙げています。一方で日本生殖医学会は、潜在性甲状腺機能低下症や抗甲状腺抗体が陽性の場合について、最近の研究では治療は必要ないことがわかってきたとしています。検査の位置づけは変わりつつあります。

まとめ|流産の種類がわかると、いま決めることが見えてくる

流産の種類が多く見えるのは、「時期」「症状と進行度」「回数」の3つのものさしが混ざっているためです。1回の流産が複数の名前を同時に持ちます。どれか1つに決めようとする必要はありません。

これから処置を決めるなら、選び方によって流産した組織の染色体検査を受けられなくなることを知っておく価値があります。保険診療のギムザ分染法は培養が必要なため、自然に排出された検体では実施できません。原因を知りたい気持ちがあるなら、処置を決める前に主治医へ相談する意味があります。

すでに流産を経験した後であれば、早期流産の多くは受精卵ができる段階ですでに決まっており、日常の行動が招いたものではありません。繰り返している場合の「原因不明」は、調べていないためにわからないままのこともあれば、精密検査を受けても特定できないこともあります。日本産科婦人科学会は、不育症の精密検査を行っても半数以上は原因不明だとしています。

次の妊娠で赤ちゃんの染色体を調べておきたい場合、出生前検査という選択肢があります。流産を防ぐための検査ではありませんが、妊娠中に染色体の状態を知る方法のひとつです。

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記事監修

足立明彦先生

赤十字病院副部長・国立大学非常勤講師。首都圏の徳洲会やセンター病院での勤務歴もあり。学歴:2003年 薬学部卒業、2007年 医学部卒業、2014年 大学院修了。取得資格:薬剤師、医師、博士(医学)、複数分野の専門医・指導医。

ABOUT ME

原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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