2024.02.26

出産

陣痛ってどのくらい痛い?種類や対処法を解説

陣痛ってどのくらい痛い?種類や対処法を解説

お産を控えている妊婦さんの中には、陣痛について知りたい人もいるのではないでしょうか。陣痛が現れる時期や痛みの程度について気になりますよね。

そこで、陣痛の特徴や種類、陣痛がみられたときの対処法について解説します。臨月前の妊婦さんもぜひ参考にしてみてください。

出生前診断にはどんな種類があるの?
出生前診断にはどんな種類があるの? 生まれてくる赤ちゃんの3~5%は、何らかの病気をもっていると言われています。その病気は、軽いものから重篤なものまでさまざまです...

そもそも陣痛とは?

陣痛とは、お産の際にみられる反復する子宮収縮のことを指します。出産では、陣痛の子宮収縮により赤ちゃんが押し出される必要があります。陣痛の発生にはリズムがあり、収縮と休止を繰り返します。

一般的に「陣痛」というときは、分娩が開始する「分娩陣痛」を指します。一方で、陣痛には種類があり、妊娠中や産後の子宮収縮も広い意味で陣痛といいます。

以降では、陣痛の種類についてみていきましょう。

妊娠陣痛

妊娠陣痛とは妊娠中に起こる不規則な子宮収縮のことです。妊娠中の子宮収縮は不定期で、ストレスや膀胱や腸の充満によって引き起こされます。臨月が近づくと妊娠陣痛が頻繁に起こるようになります。

また、妊娠陣痛の中には「前駆陣痛」があります。前駆陣痛とは、分娩開始の数時間から数日前から起こる陣痛です。分娩開始前の陣痛であるため、妊娠陣痛のひとつでもあります。

分娩陣痛

分娩陣痛とは分娩時に起こる陣痛です。陣痛が10分間に1回または1時間に6回と規則的にみられると分娩開始となります。

分娩陣痛の中には、子宮口が全開するまでの子宮収縮である「開口陣痛」、お産で赤ちゃんの娩出により起こる「娩出陣痛」があります。

後陣痛

後陣痛とは産後の数日間に起こる陣痛です。後陣痛も子宮収縮による痛みであり、産後の出血量を抑えたり、子宮が元の大きさに戻ったりするために起こります。

陣痛はどんな痛み?

陣痛がどのような痛みなのか気になっている人もいるでしょう。陣痛の痛みの程度や部位は、陣痛の種類によっても異なります。

例えば、分娩陣痛では子宮収縮にともなう筋肉の痛みだけでなく、おなかの赤ちゃんの下降にともない、子宮頸部が開かれることで痛みが起こります。また、出産の際には赤ちゃんの娩出により骨盤底や会陰が開かれることで痛みがあります。

分娩時の痛みは個人差があり、多くの産婦さんが陣痛に対して大きな痛みを感じる人で、強い痛みを訴えない人もいます。時期にもよりますが、子宮収縮によるものでは、下腹部や腰に強い痛みを感じます。

特に、分娩陣痛の発生には規則的なリズムがあり、子宮収縮が休止しているときは痛みが消失するのが特徴です。

陣痛以外にお産の前兆はある?

臨月はお産がいつでも起こりえる時期です。特に、陣痛は分娩開始のサインであるため、いつ陣痛が起こるのか気になっている人もいるでしょう。お産が始まる前兆には、おしるし・破水・陣痛の3つがあります。

おしるし

おしるしは、赤ちゃんを包む卵膜が子宮壁から剥がれることで起こる出血のことです。妊娠中は卵膜が子宮壁にぴったり付いていますが、お産が近づくと子宮下部が開いていきます。

人によってはおしるしによる出血が数日続くこともありますが、経血と同程度の量であれば問題ありません。おしるしから陣痛が始まるまで数日かかることもありますが、おしるしがみられずに陣痛が始まることもあります。

破水

破水とは、赤ちゃんの下降により卵膜が破れて、羊水が流れ出ることです。卵膜の下側が破れると、破水により大量の水分が流れ出ることもあります。

一方で、卵膜の上側が破れると(高位破水)、チョロチョロと少量ずつ水分が流れるため、尿漏れと勘違いする妊婦さんもいます。

陣痛がある

妊娠中は不随意に子宮収縮が起こることもありますが、臨月を過ぎると子宮収縮の頻度が多くなります。陣痛が規則的に10分間隔で来ると、分娩陣痛となりお産が開始します。

本格的な陣痛が始まってもお産が進行するには時間がかかるので、焦りすぎる必要はありません。10分間隔で陣痛がみられたら、産院に連絡を受けましょう。

ただ経産婦の人は初産婦の人よりも、お産の進行が早くなります。陣痛が規則的にみられるようであれば、早めに産院に連絡する必要があります。

陣痛が続く時間はどのくらい?

陣痛が続く時間は、分娩の時期によっても異なります。ここでは、分娩の時期ごとの陣痛の特徴についてみていきましょう。

分娩第1期

分娩第1期は、分娩開始から子宮口が全開までの時期を指します。陣痛が10分間隔で起こると分娩開始となりますが、お産が本格的に始まるのは、子宮口が10cmに全開してからです。

分娩第1期の時間は初産婦さんが10~12時間、経産婦さんが4~6時間ほどになります。陣痛開始時は10分おきに20~30秒続きますが、子宮口が全開するときには2~3分ごとに40~60秒の陣痛が起こります。

分娩第2期

分娩第2期は、子宮口が全開してから赤ちゃんが生まれるまでの時期です。この時期の所要時間は、初産婦さんで1~2時間、経産婦さんで0.5~1時間ほどになります。

分娩第2期では陣痛が2~4分毎に起こり、40~90秒ほど続きます。赤ちゃんが子宮口や膣から出てくると、膣や会陰部に痛みが現れるようになります。

分娩第3期

分娩第3期は赤ちゃんが生まれてから胎盤が出るまでの時期です。赤ちゃんに続いて胎盤が出てくる必要があるため、軽い陣痛のような痛みを感じます。所要時間は5~15分ほどです。

多くの産院では産後すぐの母子のコンタクトを取るために、カンガルーケアを取り入れています。

分娩第4期

分娩第4期は、お産後に胎盤が出てから病室に戻るまでの時期です。お産が終わると、子宮が元に戻るために後陣痛がみられますが、後陣痛は1週間ほど続きます。

人によっては、後陣痛の痛みにはうつ伏せで和らぐことがあります。後陣痛や会陰の痛みに対しては痛み止めを使うことができます。強い痛みを感じるときは、遠慮なく医療スタッフに相談しましょう。

陣痛の対処法には何がある?

陣痛開始時は、深呼吸や呼吸法をしてリラックスするようにしましょう。陣痛がみられている間は子宮が収縮しているため、赤ちゃんに酸素が届きにくくなるためです。

また、体が緊張していると痛みを感じやすくなります。お産の進行を進めるためには、散歩などで体を動かすのもおすすめです。

陣痛開始後に尿意があるときはがまんせずにトイレへ行くにようにしましょう。膀胱が充満していると、子宮口が開きにくくなるためです。

子宮口が全開するまでの分娩第1期であれば、食事を取ることができます。家族の付き添いがあれば、食べ物や飲み物を買ってきてもらいましょう。おにぎりやサンドイッチ、ゼリー飲料などは陣痛開始後も摂取しやすいのでおすすめです。

陣痛がみられるときのテニスボールの使い方

お産の進行とともにお腹の赤ちゃんが下がってくると、肛門にいきみのような圧迫感が出ることがあります。

子宮口が全て開いていないときにいきむと、子宮の入り口や膣が裂けるリスクがあります。また体に力が入ることで、子宮口が開きにくくなり、お産の進行が滞ったりします。

肛門の感覚が気になるときは、テニスボール等で圧迫する方法があります。自分で肛門を圧迫するのは難しいので、付き添いの家族に手伝ってもらうのもよいでしょう。

まとめ

一般的に「陣痛」というときは、分娩が始まる「分娩陣痛」を指します。一方で妊娠からお産にかけて、時期別に陣痛の種類があり、痛みの部位も異なります。

陣痛について知ることは、お産のサインの理解にもつながり、いざというときに落ち着いて行動することができます。記事の内容を参考にして、分娩陣痛の特徴やお産の進行について理解を深めてみてください。

参考:
お産の経過
お産の進み方
出産当日。そのとき、何が起こるの?

出産を控えている妊婦さんの中には、陣痛促進剤について聞いたことがある人もいるかもしれません。この記事では陣痛促進剤の特徴や費用について紹介します。お産のときに陣痛促進剤を使うケースもあるので、参考にしてみてください。
陣痛促進剤 とは?使われるタイミングや誘発剤との違いについて 出産を控えている妊婦さんの中には、陣痛促進剤について聞いたことがある人もいるかもしれません。陣痛促進剤はどのようなときに使うの...

ABOUT ME

原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

前後の記事

妊婦の理想の体重の増え方は?体重管理について解説
子宮頸管(しきゅうけいかん)とは?短いとどうなる?

同じカテゴリーの記事