2024.04.25

妊娠

いつも通りの生理がきていたのに妊娠だった!

妊娠を経験した女性の中には、「生理が来ていたのに妊娠していた」という経験を持つ人が少なからずいます。妊活中で妊娠を強く望んでいる人にとって、生理が来ても妊娠しているケースがあるのは気になりますよね。

そこで、生理が来ていたのに妊娠となる理由について解説します。生理があっても、妊娠に心当たりがある人は参考にしてみてください。

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「生理が来ていたのに妊娠」と勘違いする理由

生理があったのに妊娠していたケースで多いのが、出血を経血と勘違いしていることです。生理と間違いやすい出血は以下の通りです。

排卵出血

排卵出血とは、卵巣から卵子が飛び出た際に起きた出血が子宮外に排出されることです。排卵期は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく変化するため、子宮内膜の一部が剥がれて生理のような出血が起こることもあります。

一般に排卵期は最後の月経から2週間ほどで起こります。この時期に精子と卵子が出合い、受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠となります。人によっては、排卵期の出血を生理と勘違いしていたものの、結果的に妊娠していたという例もあるでしょう。

着床出血

妊娠初期に生理と間違いやすい出血に着床出血があります。着床出血は、受精卵が卵管から子宮に移動し、子宮内膜に根を下ろす際に起こる出血です。受精卵が着床すると、子宮内膜の細かい血管が破壊されるため、少量の出血が生じます。

ただ、着床出血が4日ほど続く人もいるので、生理と勘違いする人もいます。その後、妊娠が発覚した際に、「実は妊娠していた」と感じることもあるでしょう。

異所性妊娠

異所性妊娠とは子宮外に受精卵が着床することをいいます。受精卵が子宮へ移動する際に卵管が閉鎖等していると、子宮内膜ではなく別の場所に着床することがあります。

異所性妊娠では、受精卵の成長とともに周りの組織を圧迫するため、出血や腹痛が起こります。ある程度の出血量があれば、生理と勘違いしやすく、自身の妊娠に気づかずに異所性妊娠と診断されることもあります。

異所性妊娠をそのままにすると、卵管破裂等により妊婦さんの命にも危険が及びます。「いつもの生理と違う」「生理が長めだ」と感じた場合は、妊娠を想定していなくても産婦人科を受診することが大切です。

流産による妊娠

流産とは、妊娠22週未満で赤ちゃんが亡くなってしまうことをいいます。特に妊娠初期は流産が起こりやすく、10~15%の割合で起こります。流産になると、腹痛や出血が起こるため、「生理だと思っていたけれど流産だった」というケースもあります。

ピルの服用

低用量ピルは妊娠を防ぐための経口避妊薬です。低用量ピルを服用している際の妊娠率は0.6%と低い割合ですが、飲み忘れなどがあると妊娠率が8%まで上昇します。

低用量ピルには「生理を止める」というイメージを抱く人も多いですが、休薬期間には生理のような出血がみられます。薬の飲み忘れなどで、妊娠していても、低用量ピルの服用により妊娠に気づかないケースがあります。

生理とそれ以外の出血の特徴

妊娠中に起こる出血を生理と勘違いしていると、自身の妊娠に気づきづらくなります。ここでは、経血とそれ以外の出血の特徴について説明します。

経血の特徴

生理でみられる経血は赤や暗赤色をしており、レバーのような塊や膜のようなものが混ざることもあります。経血は子宮内膜からできており、酵素によって液状になるためです。

子宮内膜症などにより子宮内膜が厚くなると、大きめの凝血塊がみられることがあります。

排卵出血や着床出血の特徴

排卵出血と着床出血では出血が起こる場所が異なりますが、出血の量や色がよく似ています。2つの出血では、量がそれほど多くないため、真っ赤な血液ではなくピンク色の血液がみられます。また、古くなった血液が排出される際は、血液の酸化により茶色の出血が排出します。

排卵出血と着床出血はともに出血量がわずかであり、下着やトイレ時のティッシュに付着する程度です。出血がみられても、1日から数日で出血が止まることがほとんどです。

異所性妊娠による出血の特徴

異所性妊娠による出血は、症状の段階によっても異なります。病状の初期であれば、腹痛をともなう不正出血がダラダラと続きます。また、受精卵が着床した場所によっては、出血が排出されずにお腹にたまるため、腹部が膨らんだ状態になることもあります。

異所性出血の病状が進むと、破裂を起こすため、大量の出血が起こります。出血量が多いことからショック状態に至ることもあるので注意が必要です。

流産による出血の特徴

流産による出血では、大量の出血と腹痛が起こります。出血量が多いことから、吐き気や冷や汗、顔面蒼白などの症状をともなうこともあります。

流産が起こると、子宮内の内容物がすべて排出されることがほとんどです。しかし、内容物の一部が排出しきれていないと感染を起こす危険があるため、除去手術を受けなければかりません。

また、流産の一歩手前である切迫流産でも出血がみられます。切迫流産では、ダラダラとした出血とともにお腹の張りがみられます。安静にするなど適切な治療により妊娠を継続できるため、早めに医療機関を受診する必要があります。

生理とそれ以外の出血を間違えないために

妊娠中に出血が起こっても、生理と勘違いしてしまうことはよくあることです。妊婦さんが他の出血と経血を勘違いすると、適切な妊娠生活を送りにくくなるリスクがあります。

性器出血がみられたときは、すぐに生理と決めつけるのではなく、以下の点を確認するようにしましょう。

出血の時期をみる

生理は月経周期のリズムでみられます。毎月の月経周期を数えて、自分の生理がいつ頃からくるのか把握しておきましょう。

自分の月経周期が分かると、排卵出血も判断しやすくなります。例えば排卵出血は、月経が終わってから2週間ほどで訪れます。月経周期が不規則な人は、基礎体温を測ってみるのもよいでしょう。

月経周期のリズムとは異なって出血がみられる場合、不正出血の可能性があります。生理以外での出血であることが分かれば、妊娠の可能性も考慮できるでしょう。

出血の量や性状を確認する

生理の経血は、5日から7日ほど続きます。また血液の性状もサラサラではなく粘度があり、時にはレバー状の塊がみられます。

生理以外の出血では、出血する期間が生理よりも短いか、反対にダラダラと1週間以上続きます。性器からの出血の量や性状に気づくことで、妊娠の可能性を考えることにもつながります。

まとめ

妊娠を経験した人の中には、「生理が来ていたのに妊娠していた」という経験を持つ人がいます。女性の性器出血は生理中の経血だけでなく、排卵や着床にともなう出血や不正出血の可能性があります。

性器からの出血を生理と決めつけてしまうと、妊娠の可能性に気づきにくくなり、健康的な妊娠生活を送る妨げにもなります。いつもの生理と違う出血がみられたときは、出血の時期や性状などを観察して、本当に生理なのか振り返ることが大切です

妊娠の可能性がある場合は、妊娠検査薬を使用したり、つわりなどの初期症状がないかを確認したりするようにしましょう。

参考:
日本産婦人科学会/流産・切迫流産
日本産婦人科学会/不正出血とは

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ABOUT ME

原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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