2024.10.02

妊娠

妊娠中期(5ヵ月・6ヵ月・7ヵ月)の過ごし方と知っておくべきこと

妊娠中期(5ヵ月・6ヵ月・7ヵ月)の過ごし方と知っておくべきこと

つわりなど妊娠初期にみられやすい不調が落ち着いてくる妊娠中期。妊娠による体型の変化や胎動を感じるようになり、赤ちゃんの存在に気づきやすい時期ですが、どのように過ごしていけばよいのか気になっている人もいるのではないでしょうか?

この記事では、妊娠中期にあたる妊娠5ヵ月・6ヵ月・7ヵ月の過ごし方について解説します。

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妊娠中期はいつから?

妊娠中期は、妊娠5ヵ月・6ヵ月・7ヵ月の時期をいいます。個人差がありますが妊娠初期のつわりが治まり、心身の状態が落ち着く時期でもあります。

妊娠中期と良く間違われやすいのが安定期です。妊娠の安定期は医学用語ではありませんが、初期流産のリスクが減る時期で、妊娠4~5ヵ月頃をいいます。

妊娠直後はパートナーや両親などの家族に伝えることも多いですが、安定期に入ると、職場や友人に妊娠を報告する人が多くなります。

妊娠中期のママと赤ちゃんの様子

妊娠中期に入ると、お腹に膨らみや胎動がみられるようになり、おなかの赤ちゃんの存在を実感しやすくなります。妊娠中期のママや赤ちゃんの体の状態について、さらに詳しくみていきましょう。

妊娠5ヵ月(妊娠16~19週)

赤ちゃんの身長が25cmほどになり、お腹に膨らみが見られるようになります。赤ちゃんの動きも活発になるので、早い人では妊娠5ヵ月で胎動を感じるようになります。また、この頃の赤ちゃんは、髪の毛や爪も生えてきます。

ママの乳房は大きくなり、母乳を出すための準備として乳管が開通するので、乳汁がみられることもあります。

妊娠6ヵ月(妊娠20~23週)

赤ちゃんの体重が700g程度になり、羊水の中を動き回るようになります。赤ちゃんの全身には産毛が生えるようになります。ママの体は、乳房の発育がさらに進み、サイズアップがみられます。

妊娠7ヵ月(妊娠24~27週)

赤ちゃんの身長は38㎝・体重1,200gほどになります。脳の発達も進み、体の動きをコントロールするようになります。赤ちゃんの耳は聞こえているので、いっぱい話しかけてあげましょう。

妊娠7ヵ月目の赤ちゃんは大きめになるので、ママの体には貧血や足のむくみを起こしやすくなります。

妊娠中期のお腹の張りや腹痛は?症状について

妊娠中期も引き続き、赤ちゃんの成長に伴い、妊婦さんの体に変化がみられます。妊娠中期にみられる症状は次のとおりです。

立ちくらみ

貧血や一過性の低血圧により立ちくらみを起こしやすくなります。妊娠中期は体を循環する血液量が増えるため、血液が薄くなったり胎盤の完成やおなかの赤ちゃんの成長にともない、貧血になったりするためです。

とくに、妊娠中はおなかの赤ちゃんに優先して血液が送られるため、脳への血流が不足しやすくなります。脳貧血といって、一時的に低血圧になることで、立ちくらみを起こしやすくなります。脳貧血を防ぐために、急に起き上がったり、立ちっぱなしにならないようにしましょう。

便秘

これまで快便だった人でも、妊娠中期に便秘になることがあります。妊娠中は出産まで女性ホルモンの分泌が増加します。とくに黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増えると、腸の動きが鈍くなり便が滞りやすくなり、便秘の原因になります。

また、妊娠中に食事内容が変化したり、体調や体型の変化により運動量が減ったりすることも便秘の原因になりえます。妊婦さんによっては、おなかの赤ちゃんに配慮して、排便時にいきんでいない人もいるでしょう。

妊娠中は排便回数が変化することがありますが、2~3日に1回に便通があれば大きな心配はいりません。硬い便で悩んでいる人は、産科医に便を柔らかくする薬を処方してもらうことができます。

腰痛

妊娠中期になりお腹が大きくなってくると、腰痛を感じることがあります。妊娠中は、「リラキシン」というホルモンの作用により、骨盤のゆるみが生じます。骨盤は体の重心を支える役割を担っています。

骨盤の関節が不安定ななか、妊娠週数が進んでお腹が大きくなると、腰回りの筋肉がカバーしようとします。腰の筋肉の緊張状態が続くことで、筋肉が硬くなり腰の痛みの原因となります。とくに大きくなったお腹を支えようと、前方に反った姿勢になると腰痛が悪化しやすくなります。

妊娠中期からの腰痛を予防するためには、背筋の伸びた正しい姿勢を心がけたり、マッサージなどで腰の筋肉をほぐしたりするとよいでしょう。

肌のかゆみ

妊娠中はホルモンバランスの変化等により、肌にかゆみが生じることがあります(妊娠性搔痒:にんしんせいそうよう)。妊娠中期からみられる肌のかゆみは、妊娠線が原因のこともあります。妊娠線とは、妊娠で大きくなったお腹に皮膚がついていけずに、真皮層から断裂が起こる症状です。

妊娠搔痒や妊娠線により肌のかゆみがみられているときは、かゆみのある部分を保湿するようにしましょう。皮膚を搔きむしると、かゆみ物質が放出されるため、さらに痒くなってしまいます。

保湿剤を塗っても肌のかゆみが改善しない場合は、医師の診察を受けましょう。

妊娠中期に注意すべき病気やリスク

妊娠中期には、妊娠初期とは異なる健康リスクがあります。妊娠中期に気を付けるべき病気は以下です。

貧血

貧血は、血液中の色素成分であるヘモグロビンの材料である鉄分の不足によって起こります。妊娠で体の血液循環量が増えると、血液中のヘモグロビンも相対的に減少します。

貧血になると、めまい・動悸・息切れ・頭痛などの症状がみられるようになります。妊婦さんによって、妊娠中期にだるさや眠気を感じることもあります。

妊娠中の貧血は、早産や出産時の出血過多のリスクを高めたり、出産後の母乳分泌に影響を与えたりする要因になります。

妊娠高血圧症候群

妊娠中に高血圧を発症する症候群のことで、以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。妊娠20週以降に高血圧を発症する妊娠高血圧症と、高血圧のほかに蛋白尿がみられる妊娠高血圧腎症があります。

重症化すると、けいれん発作(子癇)・脳出血・肝臓や腎臓などの機能障害を起こすリスクがあります。特に、妊娠34週前にみられる妊娠高血圧症候群は、重症化に注意が必要です。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿等とは、妊娠によってみられる糖代謝異常です。妊娠前から糖尿病であったり、妊娠中に明らかな糖尿病と診断されたりしている場合は、妊娠糖尿病に当てはまりません。

糖尿病では血糖値が高い状態です。妊娠中にママが高血糖であると、おなかの赤ちゃんも血糖が高い状態となるため、母子の健康に影響を与えます。妊娠糖尿病による健康リスクは次のとおりです。

≪ママの健康リスク≫

妊娠高血圧症候群・羊水量の異常・難産・網膜症や腎症の悪化

≪赤ちゃんの健康リスク≫

巨大児・流産・子宮内胎児死亡・低血糖・電解質異常など

また、妊娠糖尿病の妊婦さんから生まれた赤ちゃんは、将来、糖尿病やメタボリックシンドロームの発症リスクを高めます。妊娠糖尿病は出産後に血糖値が正常になることがほとんどです。しかし、妊娠中の高血糖は母子に影響を与えるため、適切な血糖管理が必要です。

切迫流産

流産は妊娠22週未満の分娩のことで、流産の一歩手前の状態を切迫流産といいます。切迫流産の兆候は、出血とお腹の痛みです。切迫流産でみられる出血は、必ずしも鮮血ではありません。出血量が少ない場合では茶色いおりものがみられたりすることもあります。

妊娠中期の過ごし方について

体型の変化や胎動を感じるようになる妊娠中期は、自分はもちろん赤ちゃんの健康にも気を付けた生活を送ることが大切です。ここでは妊娠中期の過ごし方のポイントについてみていきます。

食事

妊娠中期はママの貧血が起こりやすい時期です。この時期の赤ちゃんは、体がぐんと大きくなり、鉄分の必要な量も増えます。

妊娠中期は体重管理のために植物性食品を積極的に取る人もいますが、貧血予防のためには動物性食品もバランス良く取るようにしましょう。

≪鉄分を多く含む食品≫

豚レバー・牛モモ肉・まぐろ・かつお・あさり・小松菜・ほうれん草 など

また、塩分を取りすぎると、体に水分が溜まりやすくなり、足のむくみが悪化しやすくなります。出汁やスパイスなどを使って、塩分の過剰摂取を控えましょう。

休息と睡眠

お腹が張った時は、無理せず休息をしましょう。お腹が大きくなると仰向けでは苦しくなりやすいので、横向きになったり、枕やクッションを使うのもおすすめです。

妊娠中期で足のむくみが気になる人は、寝る前に下肢のマッサージをすると効果があります。

運動

妊娠中期は赤ちゃんも大きくなり、つわりも治まってくるので、妊婦さんの体重が増加しやすい時期です。妊娠中の体重増加の目安は、妊娠前の体重によって異なるので、運動を取り入れながら、体重管理をしっかり行いましょう。

特に全身運動は、妊娠中期からみられる下肢のむくみの改善効果があります。妊娠20週以降から、呼吸法の練習をするのもおすすめです。

夫婦生活

妊娠中期は安定期に当たるので、夫婦生活をしても差し支えありません。ただ、お腹が大きくなり始める時期でもあるので、お腹を圧迫しないように工夫しましょう。夫婦間でも感染予防のためにコンドームを使用することも大切です。

服装

妊娠中期は乳房が大きくなるので、サイズに合わせた下着を使用しましょう。お腹が大きくなると腹帯を使用する人もいますが、必ず着用しなければいけないものではありません。腹帯をすることで、お腹が安定したり、冷えを予防したりする効果が期待できます。

妊娠中期の適切な体重増加は?

妊婦さんのなかには、妊婦健診にて適正体重を維持することの重要性についてアドバイスされた人も多いでしょう。妊娠中はおなかの赤ちゃんの成長や発達のために、適切に体重増加をすることが重要です。

妊娠中の体重増加の目安は、妊娠前の体型によっても異なります。

妊娠前の体型(BMI値)妊娠中の体重増加の目安
やせ(18.5未満)12~15kg
普通(18.5~25.0)10~13kg
肥満(25.0以上30未満)7~10kg
肥満(30以上)5kgまで(個別相談)
※BMI=体重(kg)÷身長(cm)÷身長(cm)で計算

妊娠中体重を増やしすぎると、妊娠高血圧症群や難産のリスクを高めるとして、太りすぎないように気を付けている妊婦さんも多くいます。

しかし近年では、体重増加が不十分な妊婦さんも増えています。妊娠中に適切な体重増加がないと、赤ちゃんが小さく生まれる原因となるため注意が必要です。

妊娠中期の体重増加の目安

妊娠中は週ごとに均等に体重が増えるわけではなく、妊娠期によっても体重増加の程度が異なります。例えば、妊娠初期の体重増加は2~3kg程度であり、つわりの状態によっては元の体重よりもマイナスになることもあります。

妊娠中期になると、赤ちゃんも次第に大きくなり、血液の量もぐんと増えていきます。そのため、妊娠中期から妊娠後期は、妊娠週数に進むにつれて体重増加も進みます。

2024時点で妊娠週数ごとの体重曲線はありません。しかし、国立成育医療研究センターと九州大学が共同で行った調査に基づいた体重増加の目安をご紹介します。妊娠前の体型ごとの妊娠中期の体重増加の目安は以下です。

妊娠前の体型(BMI値)妊娠中期における体重増加の目安
やせ(18.5未満)5.0~7.5kg
普通(18.5~25.0)4.5~5.0kg
肥満(25.0以上30未満)3.0~3.8kg
肥満(30以上)2.2kg
※BMI=体重(kg)÷身長(cm)÷身長(cm)で計算

上記を見ると、妊娠前の体型がやせている妊婦さんは体重増加の度合いが大きく、肥満の妊婦さんは体重増加を抑える必要があることが分かります。

妊娠中期の体重増加の目安は、妊娠初期の体重や妊婦さんの健康状態によっても異なります。目安の範囲内の体重増加であっても、おなかの赤ちゃんの成長や発育が順調と断定できるわけではありません。実際の妊娠中期の体重増加の目安については、妊婦さん本人や赤ちゃんの健康状態によって個別でみていく必要があります。妊娠中期も継続して妊婦健診に通い、かかりつけ医のアドバイスと指導に従いましょう。

妊娠中期にすべきこと

心身が安定してくる妊娠中期は、アクティブに過ごす人も多いです。妊娠中期は以下の項目も忘れずに参加しましょう。

両親学級

自治体や医療機関の中には、妊娠中期に両親学級を開催していることが多いです。両親学級では、出産の流れや赤ちゃんの世話について学ぶことができます。出産当日や産後の生活をイメージしやすくするためにも、パートナーと一緒に参加するのがおすすめです。

歯科健診

安定期である妊娠中期に、虫歯や歯周病の治療を受ける人も多いでしょう。妊娠中はホルモンバランスの変化により、お口の環境に変化が生じやすい時期でもあります。

産後は赤ちゃんの世話で忙しく、なかなか歯医者に行く時間がない可能性が高いです。妊娠中期のうちに、歯科医院の健康チェックを受けると良いでしょう。

妊婦健診を受ける

妊娠7ヵ月になると、4週間に1回だった妊婦健診が、2週間に1回の頻度になります。妊婦健診は欠かさず通いましょう。

妊娠中期は、貧血やむくみなどの体のトラブルも現れやすい時期でもあります。体調で気になることがあったらかかりつけの産婦人科医に相談します。

まとめ

妊娠中期はお腹の膨らみや胎動など、赤ちゃんの存在を実感が深まる時期です。つわりが治まり安定期に入るので、妊婦さんも心身ともに落ち着く時期でもあります。

妊婦さんによっては貧血やむくみも見られやすくなるので、普段の生活の仕方を工夫して健やかな妊娠生活を送りましょう。

DNA先端医療株式会社では、妊娠中に役立つ記事を他にも多数公開しています。

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参考:
妊娠中の過ごし方
妊娠高血圧症候群とは
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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