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妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは?原因や予防法について

妊娠中の女性の中には、妊娠高血圧症候群や妊娠中毒症という言葉について聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?中には、かかりつけ医で妊娠高血圧症候群と診断された方もいるかもしれません。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になると、母子の健康にどのような影響があるのか気になりますよね。この記事では、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の症状や予防のためのポイントについて紹介します。

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妊娠高血圧症候群とは?妊娠中毒症との違いについて

妊娠高血圧症候群とは、一昔前に呼ばれていた妊娠中毒症のことを指します。これまでは妊婦さんが以下の3つのうちのいずれかに当てはまると、妊娠中毒症と呼ばれていました。

  • 血圧が高い(高血圧)
  • 尿にたんぱくが含まれている(蛋白尿)
  • むくみがある(浮腫)

妊娠中毒症が悪化すると、子癇(しかん)といって妊娠中のけいれんの原因になり、妊婦さんやお腹の赤ちゃんの命を落とす危険性があります。一方で、妊娠中毒症は妊娠が終われば自然に治るのが一般的です。

このことから、妊娠中にお腹の赤ちゃんや胎盤から毒性物質が分泌されて、妊婦さんの体に異常を起こすのではないかと考えられ、妊娠中毒症という名前で呼ばれるようになった経緯があります。

妊娠高血圧症候群という呼び名に変わった理由

妊娠中毒症に関する研究が進むにつれて、高血圧・蛋白尿・浮腫の3つの症状のうち、高血圧が主体で起きていることが分かりました。具体的には、妊娠中は血管の内壁が傷つくことで、血液が固まりやすくなっていることや、母体が赤ちゃんを異物とみなし、拒絶反応が起こっていることが明らかになりました。

妊娠中毒症から妊娠高血圧症候群となってからは、その定義にも変更があり、浮腫や蛋白尿がみられても、血圧が高くなければ、妊娠高血圧症候群には当てはまりません。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の種類

妊娠高血圧症候群の症状や種類には以下のものがあります。妊娠中毒症に引き続き、妊娠高血圧症候群で主体となるのが、高血圧と蛋白尿の有無です。

妊娠中毒症の主症状であった浮腫は、多くの妊婦さんにもみられる症状であり、お腹の赤ちゃんの健康にも影響を与えるものではないため、妊娠高血圧症候群と呼ばれるようになってからは、外されています。

妊娠高血圧

妊娠20週以降に血圧が上昇して、出産後12週までに元の血圧に戻る場合を妊娠高血圧といいます。具体的な血圧の指標は、収縮期血圧が140㎜Hg以上、拡張期血圧が90㎜Hg以上になります。

妊娠高血圧腎症

妊娠中の高血圧に加えて、たんぱく尿がみられている病態です。妊娠中の高血圧にたんぱく尿がみられなくても、肝臓または腎臓の障害、脳卒中、けいれんや頭痛などの神経障害、血液凝固の障害、胎児や胎盤の機能不全がみられる場合も、妊娠高血圧腎症になります。

加重型妊娠高血圧腎症

妊娠前または妊娠20週前までに高血圧があり、妊娠20週以降に蛋白尿がみられる場合と、妊娠前または妊娠20週前に高血圧と蛋白尿の両方の症状がみられ、妊娠20週以降に悪化している場合をいいます。

高血圧合併妊娠

妊娠前または妊娠20週までに高血圧が認められ、出産12週以降も高血圧が続いている場合をいいます。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)による母子への影響について

高血圧は身近にみられる生活習慣病であるため、妊娠中に血圧が上がってもそれほど心配しない方もいるかもしれません。しかし、妊娠高血圧症候群になると、妊婦さんだけでなくお腹の赤ちゃんにも健康への深刻な影響を引き起こします。

妊婦さんに起こりやすい合併症

妊娠中の高血圧により、妊婦さんが以下の病気になる可能性があります。

  • 子癇発作(妊娠20週以降にはじめて起こるけいれん。てんかんやなんらかの病気の症状によるけいれん発作を除いたもの)
  • 脳出血や脳梗塞
  • 慢性腎不全への移行
  • HEELP症候群(妊娠中や出産後に、溶血・肝酵素上昇・血小板減少を起こしている病態のこと。多臓器障害を引き起こすことがある)
  • 常位胎盤早期剥離(出産前に子宮から胎盤が剥がれてしまう病態)
  • 子宮内胎児死亡
  • 将来的に高血圧や腎臓病のリスクが高まる

お腹の赤ちゃんの健康への影響

妊娠高血圧症候群になると、以下のリスクが高まることが分かっています。

  • 赤ちゃんの奇形
  • 流産

上記のほかにも、妊娠高血圧症候群により、お腹の赤ちゃんが十分に育たなかったり、羊水過少などの問題が起こったりすることがあります。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の原因は?予防のポイント

妊娠高血圧症候群の病態は、一般的な高血圧と病態が異なり、原因については明らかになっていません。一方で、妊娠中に胎盤の機能に異常が起こることで、症状が現れる可能性も指摘されています。

妊娠高血圧症候群には、家族歴や糖尿病などのリスク因子もあり、妊娠中の健康管理が大切になります。

妊娠中の塩分摂取について

高血圧対策というと、塩分制限を思い浮かべる人も多いでしょう、高血圧持ちの方は、塩分の摂取を制限することで、全身の血液の循環量が減少するため、血圧が下がります。

一方、妊娠高血圧症候群の治療では過剰な塩分制限が行われるわけではありません。妊娠高血圧症候群の場合は、すでに全身の血液の循環量が少なくなっており、過剰な塩分制限により症状の悪化を引き起こす可能性があるためです。

妊娠高血圧症候群の人は、1日7~8gを目安に塩分を摂取するとよいでしょう。日本食や加工食品の摂取は、1日の塩分摂取量が増える傾向があるので、だしを利用するなど、薄味を心がけましょう。

妊娠中の適正体重を維持する

妊娠中のつわりが落ち着くと、食欲が増加するため、体重が増えてしまう方も多くいます。食べすぎにより体重が重くなりすぎると、妊娠高血圧症候群のリスクを高めます。

近年では、やせ型で体重増加の少ない妊婦さんもいますが、妊娠中の体重増加が少なすぎても、お腹の赤ちゃんが少ない体重で生まれるリスクがあります。

妊娠中の体重増加の程度は、もともとの体型によっても異なるので、かかりつけ医のアドバイスに従って、適切な範囲で体重を増やしていきましょう。

なお、妊娠中の生活に気を付けても、妊婦さんの体質によっては、妊娠高血圧症候群になることもあります。妊娠中の健康管理はかかりつけ医の指示に従って、行うようにしてください。

まとめ

妊娠高血圧症候群は、一昔前の妊娠中毒症とは定義が異なり、妊娠中の高血圧によって起こる病態です。妊娠高血圧症候群によって、妊婦さんやお腹の赤ちゃんの健康にも影響を与える危険があるので、妊娠中の健康管理に努めることが大切です。

すでに妊娠高血圧症候群と診断された方は、医師や医療スタッフの指示に従い、症状をコントロールして安全な出産を迎えましょう。

参考:
妊娠高血圧腎症の管理

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴 2005年 国立大学看護学部卒業 取得資格 看護師、保健師
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