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クラインフェルター症候群とは?症状や関連する合併症などについて

クラインフェルター症候群とは

クラインフェルター症候群という先天異常をご存知でしょうか。馴染みがなく、聞き なれない言葉と感じる方も多いのではないでしょうか。今回はクラインフェルター症 候群について、具体的なメカニズム、症状や治療、関連する合併症について詳しく説 明していきます。 

性染色体とクラインフェルター症候群

クラインフェルター症候群とは、性染色体の数に異常がある病気であり、男性に発生 する先天異常です。原因は様々ですが、高齢出産や、父親の性染色体の分離が不十分 なことによって発生すると言われています。

そもそも性染色体の異常とはどのような状態なのでしょうか。通常、男性は「XY」、 女性は「XX」の性染色体の組み合わせで性別が決定しています。しかしながらクライ ンフェルター症候群では、男性のX性染色体が1つ増える「XXY」や、2つ増える 「XXXY」など、Xが少なくとも1つ以上多いことが特徴です。

最も頻度の高い核型は「XXY」と、Xが一つ多い型であり、Xの染色体が増えるほ ど、クラインフェルター症候群の症状は強いとされています。

高齢出産や、父親の性染色体の分離が不十分であることが原因と前述しましたが、加 齢に伴い卵子の劣化がすすみ、性染色体の分離がうまくいかないこと、また父親の性 染色体の分離不十分により、X染色体が過剰になることが原因となり、性染色体のX の数が通常よりも多くなると言われています。 

症状について

Xの性染色体が通常よりも多いクラインフェルター症候群ですが、大きな特徴として、男性ホルモンである「テストステロン」の生成量の低下があります。これに伴う症状を見ていきましょう。

身体的特徴・症状

クラインフェルター症候群の身体的特徴・症状ですが、男性ホルモンである「テストステロン」の生成量の低下に伴い、いわゆる男性らしい身体的な成長が認められないことがあります。具体的には、高身長・やせ型・なで肩・長い手足・睾丸のサイズが小さいことが挙げられます。

男性ホルモンであるテストステロンは、主に睾丸(精巣)で作られます。テストステロンの量が少ないため、睾丸のサイズも小さいという特徴があるという訳です。加えて、ひげや陰毛といった、いわゆる思春期にみられる二次性徴が少ないということも特徴的であり、女性のような胸の膨らみが見られる女性化乳房や、一般的に女性に多い骨粗鬆症、筋力低下といった症状も現れます。

クラインフェルター症候群の発生頻度は男性約660人に1人とされています。思春期前にクラインフェルター症候群と診断されるのは10%以下という現状があります1)が、これは思春期以前に見られる身体的特徴があまりないことも要因の一つとしてあげられます。

精神的特徴・症状

クラインフェルター症候群の精神的特徴・症状ですが、知能が正常もしくはやや低く、学習障害があることが認められています。加えて言語能力にも遅れがみられることがあり、学校や社会でトラブルになるケースも報告されています。しかしながら程度や個人差、また本人の持って生まれた気質などもあるため、一概に全員に当てはまる訳ではありません。

生殖機能

クラインフェルター症候群ですが、性行動に影響はありません。加えて、性同一性障害が発生する可能性も、正常な人と比べて変わらないと言われています。

理由として、身体は女性だが心は男性、あるいはその逆である性同一性障害の原因は「心や脳」であり、「染色体の異常」が原因であるクラインフェルター症候群とは、そもそも根本的に原因が異なるからです。

生殖機能について、クラインフェルター症候群は男性ホルモンの生成や精子形成に影響があるため、精子が確認できない「無精子症」や、精子の数が少ない「乏精子症」といった状態となり、結果的に不妊症の原因となります。

幼少期にクラインフェルター症候群の診断がつくことは10%以下であると前述しましたが、初診時の平均年齢が約31歳と2)、不妊症がきっかけで病院を受診、その後診断されるケースも多いです。

しかしクラインフェルター症候群であっても、精巣が発達するケースがあります。この場合、精子が生産されていることから、子どもを持つことは可能となります。

合併症について

クラインフェルター症候群では、どのような合併症が発生するのでしょうか。具体的な病名を、理由と共にご説明します。

乳がん

女性がかかるイメージの多い乳がんですが、頻度は少ないものの男性にも発生します。クラインフェルター症候群では男性ホルモンの生産が少ないことから、一般男性と比べ、かかりやすさは20-50倍と言われています。

糖尿病

男性ホルモンと血糖値に関連があることはご存じでしょうか。男性ホルモンの生産量が少ないクラインフェルター症候群では、血糖値のコントロールが難しいことがあり、結果的に肥満や糖尿病といった合併症に繋がります。

骨粗鬆症

こちらも高齢の女性に多いイメージの骨粗鬆症ですが、骨密度は女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が重要であり、特に閉経後の女性はエストロゲンが減ることから、骨粗鬆症になりやすいと言われています。

男性の場合、男性ホルモンの一つであるテストテロンを原料にエストロゲンは作られますが、クラインフェルター症候群では、エストロゲンの量も少なくなり、結果的に骨密度の低下から骨粗鬆症に繋がります。

治療について

気になるクラインフェルター症候群の治療ですが、残念ながら、クラインフェルター症候群を完治させる根本的な治療は存在せず、あくまで対処療法となります。以下それぞれの症状にあった対処療法について説明します。

ホルモン補充療法

代表的な治療がホルモン補充療法です。これは、男性ホルモンの生産量が少ないクラインフェルター症候群に対し、男性ホルモンを継続的に補充する療法になります。具体的には2-4週間に1度程度、筋肉注射で男性ホルモンを投与します。

男性ホルモンが投与されることから、筋肉量が増え、男性らしい体つきになる、骨密度が増えるといった効果があります。また継続的にホルモン補充療法を行うことは、将来的な肥満、糖尿病のリスクが軽減できるといった効果にもつながります。

療育(発達支援)

程度や個人差はありますが、知能がやや低い、また学習障害、言語障害といった特徴がみられる場合は、療育(発達支援)を行います。クラインフェルター症候群はとりわけ言語能力に遅れがみられることがあります。

幼少期よりクラインフェルター症候群の診断がついた場合、学校や社会での生活に困らないよう、早い段階で継続的に専門家の療育(発達支援)を受けることができます。

不妊治療

精子の数が少ない乏精子症の場合、体外受精、顕微授精を行います。精子が確認できない場合、顕微鏡下精巣内精子回収術で精子を採取し、顕微授精に使用します。

クラインフェルター症候群は、20年程前までは治療困難な無精子症であり、妊娠は難しいと言われていました。しかしながら精巣機能の理解と治療、研究が進み、体外受精、顕微授精により子どもを持つことのできる割合は近年高まっています。

まとめ

クラインフェルター症候群とは、性染色体の数に異常がある病気であり、約660人に1人の割合で男性に発生する先天異常です。

高齢出産や、父親の性染色体の分離不十分が原因とされており、思春期以降に、いわゆる男性的な体つきが見られないことが身体的特徴です。その他知的、発達、言語障害といった特徴も見られることがあります。

代表的な治療にはホルモン補充療法があり、男性ホルモンの継続的な投与を行います。

生殖機能について、精子が見られない、もしくは少ない場合、体外受精、顕微授精、微鏡下精巣内精子回収術での不妊症の治療を行うことで、子どもを持つことのできる割合は近年高まっています。

*キーワード:クラインフェルター症候群

【引用文献】

ABOUT ME
平野香菜子
看護師・保健師のライターであり、
内科、精神科にて看護業務に従事経験を持つ。
また、2020年には企業保健師として、食事、運動をはじめとした
生活習慣改善のための保健指導なども活動中。 略歴 2016年 美容系専門学校講師
2017年 大学教員(助手)
2018年 看護師
2020年 企業保健師

 取得資格

 
看護師、保健師
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