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中絶経験などからかかるPASとは︖心の病気の予防法などを解説

中絶経験などからかかるPASとは︖心の病気の予防法などを解説

皆さんは「PAS」「PASS」という単語をご存知でしょうか?いずれも中絶経験からかかる精神的な症状で、PTSDの一種とされています。今回の記事では、PTSDの症状の一種であるPAS、PASSについての具体的な説明や原因と症状、対処法や予防方法についてを紹介します。中絶経験や中絶手術は肉体的・精神的に大きな苦痛を伴います。中絶手術を行う決断を決定する過程からその後のメンタルまで、十分なケアが必要とされています。

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中絶経験などからかかるPAS、PASSとは?

皆さんはPAS(中絶後遺症候群)もしくはPASS(中絶後ストレス症候群)という言葉を耳にしたことがありますか?ご自身や周囲の人間が中絶経験や中絶手術、またそれに準じた経験をしていない限り、なかなか日常生活では耳馴染みのない言葉かもしれません。

PASはPost Abortion Syndrome の略で、中絶後遺症候群と訳すことができます。PASSはPost Abortion Stress Syndromeの略で、中絶後ストレス症候群と訳されます。いずれも中絶手術のストレスや感情を抑圧してしまうことで、肉体面や精神面、また行動面に影響を及ぼすとされています。

PAS、PASSともにPTSDの一種

PAS(中絶後遺症候群)もしくはPASS(中絶後ストレス症候群)ともに、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種とされています。

PTSDとは、Post Traumatic Stress Disorder の略で、心的外傷後ストレス障害と訳されます。PTSDとは、死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢を見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態です。PTSDは決して珍しいものではなく、精神医療においては「ありふれた」病気のひとつであると言えます(※①)。

筆者は一時精神科で看護師として勤務していたことがありましたが、PTSDの患者様は決して珍しい存在ではなく、精神医療においては「ありふれた」病気のひとつであるというのは、同意見です。患者様は、自身の辛い体験や記憶が原因で様々な症状が出現していました。

中絶経験などからかかるPAS、PASSの原因と症状

中絶経験などからかかるPAS、PASSの原因と症状

中絶経験などから発症するPAS(中絶後遺症候群)やPASS(中絶後ストレス症候群)の原因は、主にストレスです。

中絶経験・手術は、肉体的、精神的にも大きな負担を伴います。

肉体的なストレス:中絶の手術を受けることの痛み、(中期中絶の場合は)手術前処置と、当日の出産の痛みなど
精神的なストレス:中絶手術そのものの不安や恐怖・緊張、中絶に対する罪悪感や後悔、中絶をする・中絶をしたという行為に対する選択の葛藤、次回の妊娠への不安など

特に中絶手術の精神的なストレスや罪悪感、辛い、後悔といった感情を必要以上に抑圧してしまうことが原因と考えられています。

中絶経験などからかかるPAS、PASSの症状

PAS(中絶後遺症候群)の具体的な症状は以下の3つとされています(※②)。

  1. 過剰反応
    「イライラしやすくなった」「過剰に警戒してしまう」「孤独を感じてしまう」などの気持ちの変化といった症状や、「眠れない」などといった睡眠障害をはじめとした症状が現れます。
  2. 侵害行為
    「中絶手術のことをフラッシュバックする」「中絶手術や子どもの悪夢を見る」「うつ状態」になるなど、中絶手術を思い出し感情が過剰に動いたり、うつ状態になるなどの症状が現れます。
  3. 抑圧
    「中絶に関する感情や考えを否定する」「中絶の記憶を呼び起こす可能性がある行動を避ける」「中絶にかかわった人たちを避ける」など中絶したことを忘れようとするストレスがかかって起こります。自殺企図や自殺願望などの気持ち、行動が現れることもあります。

中絶経験などからかかるPAS、PASSの対処法と予防法

中絶経験などからかかるPAS、PASSの対処法と予防法

中絶経験などからかかるPAS、PASSはPTSD(​​心的外傷後ストレス障害)の一種です。対処法は主に、精神面(メンタル面)のケアになります。

まず第一に基本的なことですが、重要とされるケアが十分な休息です。十分な休息をとることで、心理的・精神的ストレス緩和につながることがあります。

人によっては十分な休息と合わせて、時間が経過するにつれて症状や気持ちが落ち着くこともあります。しかしながら、重度の場合自殺願望なども強くでることがあるため、病院の適切な介入、心理面でのサポートが重要になります。

その他PAS、PASSの治療にはPTSDの治療の一つである「認知行動療法」が有効な場合もあります。

認知行動療法とは、ものの受け取り方や考え方(認知)を変え、新しい行動をとることです。自分のストレスにならない新しい行動をとるために、偏った悲観的な見方を変える治療になります。

もちろん認知行動療法をしても、すぐに自分の思考の癖や感情、行動を変えることは難しいです。自分の生活や行動を振り返りながら、少しずつ考えと現実のズレに注目し、柔軟な視点で物事の見方を変える練習を行います。

PAS、PASSの予防法

PTSDの一種であるPASやPASSの予防法ですが、肉体面のストレスに関しては、麻酔をはじめとした痛みへの配慮、プライバシーを尊重する対応といった、中絶手術そのものに対しての介入を行います。心理面の配慮としては、中絶手術を行うにいたるまでのプロセスや意思を十分に尊重し、場合によっては必要な情報提供を医療従事者が行います。

自分自身が納得して中絶手術を行ったとしても、中絶手術は身体的・精神的に大きな負担を伴います。中絶手術前から感じている辛い、悲しいといった気持ちを押し殺さず、自分がそのときに感じた気持ちを素直に表出することも有効です。

医療従事者以外ができることとして、信頼できるパートナーや家族、友人などの周囲の人間への相談が挙げられます。

中絶経験などからかかるPAS、PASSのまとめ

中絶経験などからかかるPAS、PASSのまとめ

今回の記事では、中絶経験などからかかるPAS、PASSについて、用語の意味や原因と症状、対処法や予防方法についてご紹介しました。

PASはPost Abortion Syndrome の略で、中絶後遺症候群、PASSはPost Abortion Stress Syndromeの略で、中絶後ストレス症候群と訳されます。中絶手術のストレスや感情を抑圧してしまうことで、肉体や精神、行動面に影響を及ぼすとされています。

PAS、PASSともに、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種とされており、十分な休息をはじめ、医療従事者やパートナーや家族といった周囲の人間のサポート、また認知行動療法などが有効な場合もあります。

中絶手術には肉体面・精神面の両方に大きな負担を伴います。中絶手術前には、中絶手術を行うにいたるまでのプロセスや意思を十分に尊重し、場合によっては必要な情報提供を行います。

また中絶手術そのものの苦痛・ストレスを軽減させるために、手術環境の調整・配慮や麻酔の使用により、ストレスを軽減させる対策を行います。

中絶手術に対しての辛い、悲しいといった自分の気持ちや罪悪感、自責の念は必要以上に押し殺さず、そのときの感じた素直な気持ちを第三者に表出することも有効です。

参考文献:
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス PTSD
中絶後の症状・合併症・後遺症

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平野香菜子
看護師・保健師のライターであり、内科、精神科にて看護業務に従事経験を持つ。また、2020年には企業保健師として、食事、運動をはじめとした生活習慣改善のための保健指導なども活動中。 / 略歴 2016年 美容系専門学校講師 2017年 大学教員(助手) 2018年 看護師 2020年 企業保健師 / 取得資格 看護師、保健師
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