2020.10.02

妊娠

妊娠前に気を付けておきたいこと

妊娠前に気を付けておきたいこと

特定のパートナーができるとその人との子どもが欲しいと思うのは自然な感情です。しかし、欲しいと思っても赤ちゃんがすぐにやってきてくれるとは限りません。子どもは授かりものですので、どのタイミングでお腹の中にきてくれるかは誰にもわかりません。そのため、妊娠を希望するようになったら生活するうえでいくつか準備しておくべきことがあります。今回は妊娠前に気を付けておきたいことについて詳しくお話していきます。

出生前診断にはどんな種類があるの?
出生前診断にはどんな種類があるの? 生まれてくる赤ちゃんの3~5%は、何らかの病気をもっていると言われています。その病気は、軽いものから重篤なものまでさまざまです...

生活習慣を見直す

生活習慣を見直す

女性の身体は非常に繊細で、少しのストレスや生活習慣の乱れで女性ホルモンのバランスが崩れ、排卵時期がずれたりそもそも無排卵になってしまうこともあります。妊娠を望む方は、規則正しい生活を送り、なるべくストレスがかからないように上手に発散することが大切です。同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、基礎体温もより正確な体温を測定することができます。

また、食事も非常に大切です。妊娠初期に葉酸の摂取が必要であることは、妊娠を望まれている方には広く知られていると思います。葉酸には、胎児の発育を助ける働きがあり、二分脊椎などの先天性疾患の予防に有効とされています。胎児は、受精したときから非常にはやいスピードで細胞分裂を続け様々な器官を形成していきます。通常、妊娠検査薬を使用するのは月経予定日の1週間後ですから、妊娠に気づくのは早くても妊娠5週頃となります。さらにそこから病院を受診して子宮の中に赤ちゃんの袋があるかを確認したり心拍を確認したりとなると妊娠8週頃になっています。実はそのころには、もうさまざまな器官が形成されており、その時点で葉酸を摂取し始めても遅いと言えます。妊娠前から葉酸を多く摂取しておくことが理想と言えますので、葉酸を多く含むほうれん草などの緑黄色野菜や鶏レバーなどを意識的に摂取したりサプリメントを服用したりするようにするとよいでしょう。葉酸だけに限らず、妊娠中に重要となる鉄分やビタミン類、ミネラルなどの栄養素は妊娠前からバランスのよい食事を摂取して体の調子を整えておくことが重要になります。

さらに、妊娠に大敵なのは肥満です。肥満は妊娠しにくくなる上、妊娠高血圧症などの妊娠中のトラブルも多く、出産自体もハイリスクとなります。自分の適性体重を知り、その体重に近づける努力をすることも大切です。バランスのよい食事をとることや適度な運動をすることで、体力もつきますし体重を落とすことができます。妊娠出産は、非常に体力を使う女性にとっての一大イベントです。それに向けて、適度な運動をすることで体力をつけておくことも重要です。

病院を受診する

病院を受診する

近年では、結婚の前にメディカルチェックを受ける方も増えていますが、結婚や出産の平均年齢が上昇しているため、妊娠前に婦人科でメディカルチェックを受けておくことがおすすめです。きちんと排卵されているのか、妊娠に必要な女性ホルモンは正常に出ているのかなど、自分の身体について事前に知っておくことが大切です。意外と排卵がきちんとされていなかったり、女性ホルモンのバランスが乱れている人は多くいます。医師に妊娠希望であることを伝え、もしメディカルチェックの時点で何か問題があったとしても、適切な処置や治療を受けることで妊娠に向けた体作りをしていくことができます。

さらに、重要なのは男性側のメディカルチェックです。不妊となるとどうしても女性側が原因のイメージがあるかもしれませんが、実は男性側が原因であることも多くあります。調べてみると精子が少なかったり精子に元気がなかったりすることがあります。男性は泌尿器科を受診することになり、さらには精子のチェックをしたりするのでどうしても病院でのメディカルチェックに対して前向きになれない方が多いです。しかし、妊娠し出産するのは女性ではありますが、妊娠中の支えになることはもちろんのこと、出産後の育児はパートナーである男性も一緒に行っていくことです。妊娠出産は女性のものという考え方を改めてもらい、妊娠に向けて同じ意欲をもって臨んでもらうためにも男性にもメディカルチェックを受けてもらうようにしましょう。

自分の身体を知る

自分の身体を知る

妊娠を望んでいる方もそうでない方も、基礎体温という言葉は聞いたことがあると思います。基礎体温とは、生命維持のための必要最低限のエネルギーしか消費していない安静時の体温のことで、朝目覚めて活動する前に測定します。この基礎体温で、月経の周期の目安を知ることができます。基礎体温は基本的には低温期と高温期の二相にわかれています。月経を機に低温期になり一番体温が下がった日付近で排卵が起こります。排卵を期に高温期へ移行し妊娠していなければ月経がはじまり再度低温期になります。基礎体温は、測定方法や測定時間にずれが生じたりさまざまな環境によっても大きく変化しますので、あくまで目安ではありますが二相に分かれているかどうかで排卵がきちんとされているかを把握することができます。また、妊娠を希望していて排卵日を知りたい方にも目安とすることができます。

基礎体温を正確に測定するためには、毎日同じ時間に起きる必要があるため規則正しい生活を送るためにも効果的です。つけ始めてすぐには、低温期や高温期の違いや排卵日の特定などが難しいため、自分の身体のリズムを知るためにも早くから基礎体温を記録するようにするとよいでしょう。

パートナーと話をする

パートナーと話をする

当たり前のように聞こえますが、妊娠出産に関してパートナーとしっかりと話し合っておくことはとても重要です。妊娠出産をするということはこれまでの人生と大きくライフプランが変わります。一つの命をこの世に誕生させるわけですから、産んでそこで終わりではなくそこからずっと大切な命を守り育んでいかなければなりません。そのためには、子どものために多くの時間を割く必要がありますし、お金もたくさんかかります。育児は一人ではできませんので、パートナーの協力が必要不可欠です。

妊娠出産することで、女性の働き方にも変化が必要となることが多くなります。仕事をしている方であれば妊娠を機に仕事を辞めるのか、継続するのであればいつまで育休をとるのか、保育園はどうするのか、収入が減少した場合生活が成り立つのかなど話し合うことは非常に多くあります。また、仕事を継続するつもりであったとしてもつわりがひどすぎて働き続けることが困難となることや、切迫早産などで辞めざるを得ない場合もあります。妊娠出産には想定外はつきものですので、いざという場合のことまで考えておく必要があります。

さらには、夫婦以外に育児の協力をしてもらえる人はいるのか、いない場合にはどのようなサポートを受ける必要があるのかなど出産後のことも考えておく必要があります。それほど妊娠出産とは、お互いの人生にとって大きな出来事なのです。

父親はなかなか自覚が持てないという話をよく聞きますが、あらかじめしっかり話し合っておくことで妊娠出産に対する当事者意識をパートナーにも持ってもらうことができます。実際にお腹に命を宿すのは女性ですが、一緒に責任をもって子を守り育てていくのだということをきちんと話し合っておくと実際に妊娠したときに慌てずにすみます。

まとめ

妊娠を希望する場合、妊娠する前に準備しておくことはたくさんあります。規則正しい生活を送ること、自分の身体について正しく知っておくこと、パートナーと妊娠出産からその後の育児についてきちんと話し合うことなどが非常に重要です。妊娠出産は女性がするものと考えがちですが、男性にも平等にその責任はあります。妊娠前から共通の認識をもっておくことで、女性がより安心した妊娠生活や出産を迎えることができます。愛する我が子に会うために、心と体の準備をパートナーと一緒にしておくことが大切です。

出生前診断は誰が受けるべき?
出生前診断は誰が受けるべき? 新たな命をお腹に授かって、親が何よりも願うことは、赤ちゃんに無事に元気で生まれてきてほしいということではないでしょうか。お腹の...

ABOUT ME

大河友美
国立大学医学部保健学看護科卒業後、大学病院で6年、看護師として勤務。その後、国立大学医学部保健学大学院へ進学し修士号取得。現在は、子育てをしながら医療ライター・監修者として活動中。学歴:平成21年 国立大学医学部保健学看護科 卒業、平成28年 国立大学医学部保健学大学院 修了。取得資格:看護師、保健師、修士(保健学)。

前後の記事

妊娠中のめまいの原因と対処法

同じカテゴリーの記事