更新日:2026.08.20
妊娠

妊娠がわかったころから、体がふわふわと揺れる感覚や立ちくらみが続くと、赤ちゃんに影響はないのか、いつまで続くのか不安になります。
妊娠初期のめまいは、ホルモンの変化や血圧の低下、つわりによる脱水が重なって起こります。原因がわかれば、日常でできる対処も見えてきます。
この記事では、妊娠初期のめまいの原因といつまで続くのか、今日からできる対処法、受診が必要なケースを解説します。

めまいとは、自分自身や周囲は動いていないのに、揺れているような感覚になったり、平衡感覚を失ったような違和感を覚えたりする症状です。
感じ方によって、次の3つに分けられます。
| タイプ | 感じ方の表現 |
|---|---|
| ふわふわ揺れる浮動性めまい | ふわふわと浮いている、宙に浮いたよう、雲の上を歩いているよう、足元がふらつく、よろめく |
| 天井が回る回転性めまい | 天井や景色が回る、目が回る、壁が流れるように見える、体が傾いていく |
| 目の前が暗くなる失神性めまい | 目の前が真っ暗になる、血の気が引く、気が遠くなる |
感じ方は原因を考える手がかりのひとつです。続いた時間、どんなときに起きたか、ほかに出ている症状もあわせて確認しましょう。
それぞれ見ていきます。
妊娠初期のめまいでは、このふわふわとした感覚を訴える方が少なくありません。
はっきりと回転する感覚がないため、めまいだと気づきにくく、なんとなく体調が悪い状態として受け止められやすいめまいです。車酔いに近い感覚に例えられることもあります。
吐き気や気分の悪さが同時にあらわれることもあります。吐き気が重なると、つわりの症状との区別がつきにくくなります。妊娠初期は体の変化が大きい時期のため、気になる状態が続くときは健診の際に伝えておきましょう。
体のバランスを保つ平衡感覚の働きに異常が起きることで生じるめまいです。
自分が回っているように感じる場合と、周囲が回っているように感じる場合があります。めまいだけではなく、吐き気や頭痛が同時にあらわれることもあります。
めまいが起きた状況や続いた時間を記録しておくと、受診したときに伝えやすくなります。ぐるぐると回るめまいに耳鳴りや聞こえにくさが重なる場合は、妊娠による体の変化とは別の原因が関わっていることもあります。気になる症状があるときは、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
目の前が暗くなり、意識が遠のきそうになるめまいです。いわゆる立ちくらみと呼ばれるものです。
寝ている姿勢や座っている姿勢から立ち上がった瞬間に起こりやすいのが特徴です。一瞬のことであっても、軽く考えないほうがよいめまいです。
意識が遠のいてそのまま倒れると、転倒によっておなかに負担がかかる恐れがあります。妊娠前と同じように動いたつもりでも起こることがあるため、転倒に注意が必要なめまいです。

妊娠初期のめまいは、妊娠によって体に起こる変化が重なって生じます。妊娠すると女性ホルモンの分泌量が大きく変わり、血液の量や血圧にも変化が起こるためです。主な原因は次の4つです。
それぞれ見ていきます。
妊娠中はホルモンの分泌量が大きく変化し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
妊娠が成立するとhCGというホルモンが分泌され、妊娠9〜12週ごろまで急速に増えていきます。エストロゲンやプロゲステロンの分泌量も増えていきます。
自律神経は血圧や体温を調整する働きを担っています。その働きが不安定になると、ふわふわとした感覚があらわれることがあります。妊娠初期は睡眠不足や疲労、妊娠に対する不安も重なりやすい時期です。
これらのホルモンは赤ちゃんを守り、成長を支えるために必要なものです。分泌量が変化すること自体は、異常ではありません。
つわりで食事や水分を十分にとれないと、脱水や栄養不足からめまいが起こりやすくなります。
吐き気で水分が飲めなかったり、嘔吐によって水分が失われたりすると、体が脱水の状態に傾きます。脱水になると体を巡る血液の量が減り、めまいや頭痛につながります。
食事をとれない時間が長引くと、体を動かすためのエネルギーも不足しやすくなります。空腹の状態が続いたときにふらつきを感じるのは、この影響も重なっているためです。
妊娠中はもともと必要な血液の量が増えるため、意識して水分をとらないと不足しやすい状態にあります。つわりの症状がある時期は、とくに脱水に傾きやすくなります。
妊娠すると血圧が下がりやすくなり、ふわふわとした感覚や立ちくらみが起こりやすくなります。
血圧は妊娠が成立したあとからゆるやかに下がり始め、妊娠20週ごろに最も低くなります。ホルモンの影響で血管が広がることも、血圧が下がりやすくなる理由のひとつです。
血圧が低い状態が続くと、動いていないときでもふわふわとした感覚が1日を通して続くことがあります。一方、寝ている姿勢や座っている姿勢から立ち上がった瞬間に血圧が下がり、目の前が暗くなるのが起立性低血圧です。
同じ血圧の低下でも、続くふわふわ感としてあらわれる場合と、瞬間的な立ちくらみとしてあらわれる場合があります。
妊娠中は貧血になりやすく、貧血が進むとめまいやふらつきがあらわれます。
妊娠すると血液の水分にあたる血漿の量が、赤血球の増加を上回って増えます。そのためヘモグロビンの濃度が相対的に下がり、これを生理的血液希釈と呼びます。この変化そのものは自然なもので、鉄が足りないことによる貧血とは別のものです。
一方で、赤ちゃんと胎盤の発育や母体の血液量の増加により、妊娠期間全体で約1,000mgの鉄が余分に必要になります。鉄が追いつかないと鉄欠乏性貧血になります。妊娠初期はヘモグロビンが11g/dL未満で貧血と判断され、どちらが関係しているかは健診の血液検査で確認します。
貧血になると体のすみずみに酸素が届きにくくなり、めまいのほかに動悸や息切れ、疲れやすさもあらわれます。妊婦健診で貧血を指摘されたときは、自己判断で対応せずかかりつけ医に相談しましょう。
関連記事:妊婦は貧血になりやすい?理由と対策を解説

めまい自体に、決まった開始時期や終わる時期はありません。原因によって続く時期が変わります。
| 原因 | 続きやすい時期 |
|---|---|
| つわりによる脱水 | 妊娠5週ごろから16週〜18週ごろまで。9週ごろが最も強い |
| ホルモンの変化 | 妊娠初期 |
| 血圧の低下 | 妊娠初期から中期。20週ごろに最も低くなる |
| 鉄欠乏性貧血 | 妊娠中期以降 |
つわりによる脱水が原因のめまいは、つわりが落ち着くとやわらぎます。つわりが落ち着いたあともふわふわ感が残る場合は、血圧の低下が関わっていることがあります。妊娠中期以降は、貧血が主な原因になりやすくなります。
いずれも目安です。妊娠期間を通して続く方もいますし、ほとんど感じない方もいます。長く続くときや症状が強くなるときは、妊婦健診でかかりつけ医に伝えましょう。

妊娠中のめまいでいちばん避けたいのは転倒です。めまいが起きたときの動き方と、起こりにくくする習慣の両方を知っておきましょう。
それぞれ見ていきます。
めまいを感じたら、まず座るか横になりましょう。
横になれる場所があれば横になるのがいちばん安全です。難しい場合は座り、座れる場所もないときは手すりや壁につかまって低い姿勢をとります。
無理に動くと転倒の危険があり、おなかの赤ちゃんにも負担がかかります。おさまるまで動かず、落ち着いてからゆっくり移動しましょう。
つわりで思うように食事がとれないときは、食事の時間や栄養バランスを考える必要はありません。
食べられるときに、食べられるものを口にしましょう。空腹の時間が長引くとふらつきやすくなるため、少量ずつ回数を分けてとるのもひとつの方法です。
無理に鉄分の多い食材を食べようとすると、かえって吐き気を誘発したり、ストレスになったりします。この時期は食べられるものを優先してかまいません。
水分は一気に飲まず、少しずつこまめにとりましょう。
一度にたくさん飲むと嘔吐を誘発しやすくなります。少量を何度もとるほうが、体に入る量は結果的に増えます。
妊娠中は必要な血液の量が増えるため、つわりが落ち着いたあとも脱水になりやすい状態が続きます。水分をとる習慣は妊娠期間を通して続けましょう。口から水分がとれないときは、主治医に相談すれば点滴という方法もあります。
姿勢を変えるときは、ゆっくりした動作を心がけましょう。
寝ている姿勢から立ち上がるときは、一度座って体を慣らしてから立ち上がります。座った姿勢から立つときも同じで、ひと呼吸おいてから動くと立ちくらみを防ぎやすくなります。
妊娠前には当たり前にできていた動作でも、妊娠後は同じようにするとめまいが起きることがあります。急がなくてよい場面では、意識してゆっくり動きましょう。
妊婦健診で貧血を指摘されたときは、病院で鉄剤を処方してもらいましょう。
鉄分が多いと紹介されるレバーや野菜をたくさん食べても、体に吸収される鉄分はごくわずかです。食事だけで貧血を改善するのは難しく、必要な量を確実に補うには鉄剤が向いています。
市販のサプリメントは過剰摂取になる恐れがあるため、自己判断で使わないようにしてください。貧血を指摘されたら早めに補うことが、めまいをやわらげるうえでも大切です。
めまいが続くときは、睡眠と休息の時間を確保しましょう。
睡眠不足や疲労が重なると、めまいを感じやすくなります。夜の睡眠時間を優先し、日中も短い時間でも横になれる時間をつくれるとよいです。
楽に感じる姿勢で休んでかまいません。家事や仕事を一人で抱え込まず、周囲に頼れる場面では頼りましょう。妊娠前と同じペースで動けないことは、無理をしてよい理由にはなりません。

めまいという症状そのものが、おなかの赤ちゃんに影響するわけではありません。注意したいのは、転倒したときと、めまいの背景に脱水や貧血、出血がある場合です。
次の場合は、かかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
それぞれ見ていきます。
強い下腹部の痛みや出血をともなうめまいは、すぐに連絡してください。
冷や汗、吐き気、意識が遠のきそうになる感覚が重なる場合はとくに急を要します。まれですが、体の中で出血が起きていることがあります。
出血の量が少ないときも、まずは連絡して指示を受けてください。激しい痛みや大量の出血があるとき、意識が遠のくようなときは、救急車を呼ぶことも選択肢になります。
めまいに強い頭痛や話しにくさが重なるときは、妊娠の時期に関係なく、直ちに連絡が必要です。
日本産科婦人科学会は、これまで経験したことがない頭痛、ろれつが回りにくい、手足が動きにくい、ふだんと違う胃の痛みや吐き気を自覚した場合、直ちに産婦人科に連絡するよう示しています。血圧が高くなる妊娠高血圧症候群でも、頭痛やめまい、目が見えにくいといった症状があらわれます。
血圧は妊婦健診で毎回測ります。健診を欠かさず受けることが、早く気づく手がかりになります。
強い動悸や息切れ、胸の痛みがめまいと重なるときは、早めに受診しましょう。
貧血でも動悸や息切れは起こります。妊婦健診で貧血を指摘されている方は、そのことも伝えてください。
胸の痛みがある場合は、心臓の状態が関わっていることもあります。
めまいに耳鳴りや聞こえにくさが重なるときは、耳の状態が関係していることがあります。
とくに、ぐるぐると回るめまいで耳の症状をともなう場合は、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。めまいと耳の症状が同時に始まったかどうかを伝えると、状態を判断する手がかりになります。
水分が口からとれないときや、体重が減っているときは早めに受診してください。
尿の量が減る、汗が出にくい、のどの渇きが強い、口の中が乾く、脈が速くなるといった変化は、脱水のサインです。立てないほどのふらつきがあるときも、我慢せず連絡しましょう。
嘔吐が激しく続く場合は、入院して栄養を含む輸液を行うことがあります。脱水がひどくなると、手足のしびれや筋力の低下、意識障害につながる恐れもあります。つわりは我慢していればよくなるものではありません。
めまいで転んでおなかを打ったときは、かかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
そのときは体を打った場所と、転んだ時間を伝えてください。そのあとにおなかの張りや痛み、出血が出てきた場合は、時間をおかずに連絡してください。
自分では問題なさそうに思えても、判断に迷うときは連絡してかまいません。
妊娠初期のめまいについて、検索されることの多い疑問をまとめました。
吐き気や眠気、だるさ、胸の張り、頻尿などがあらわれます。症状の出方には個人差が大きく、ほとんど感じない方もいます。
めまいだけでは区別できません。生理前もホルモンの変動でめまいを感じることがあるため、妊娠しているかどうかは妊娠検査薬と受診で確認しましょう。
感じる方はいますが、着床が直接の原因かどうかはわかっていません。
ホルモンの変化は妊娠が成立した直後から始まるため、生理予定日より前に体調の変化を感じることもあります。
主治医の指示があれば、勤務時間の短縮や休業などの措置を受けられます。
母性健康管理指導事項連絡カードには「めまい」「立ちくらみ」も症状として示されており、提出を受けた事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があります。
妊娠初期のめまいは、ホルモンの変化や血圧の低下、つわりによる脱水などが重なって起こります。続く時期は原因によって変わり、つわりによる脱水が原因なら、つわりが落ち着くとともにやわらいでいきます。
いちばん大切なのは転倒を防ぐことです。めまいを感じたらまず座るか横になり、姿勢を変えるときはゆっくり動きましょう。水分をこまめにとり、休める時間をつくることも予防につながります。
強い下腹部痛や出血、これまでにない頭痛、強い動悸をともなうときは、かかりつけの産婦人科に連絡してください。水分がとれず体重が減っているときも同じです。
妊娠前と同じように動けないのは、体が変化しているためです。無理をせず、頼れる場面では周囲に頼りながら過ごしましょう。
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