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妊娠

妊娠中の移動について

妊娠中お腹の中に赤ちゃんがいて、自分だけの身体じゃないとなると自分の行動の何が正しくて何が悪いのかが分からなくなることが多いと思います。妊婦さんの中には、里帰りで実家へ帰るために遠距離の移動をしたり、子どもが生まれたらしばらくは遠出ができないため旅行へ行きたいと考えたりする方もいるでしょう。今回は、そんな妊娠中の移動について詳しく説明していきます。

妊娠中の長距離移動について

妊娠中、特に安定期に入ってからは適度な運動をすることは体調管理や体力付けの観点から推奨されています。安定期に入ると、妊娠生活をより楽しみたいと積極的に活動したり夫婦2人だけの間に旅行に行きたいと思う妊婦さんもいます。

妊娠時期毎に運動や移動についての考え方は違ってきます。妊娠初期(妊娠発覚~妊娠4か月)は、流産しやすい時期のためなるべく安静に穏やかに過ごすことが推奨されます。妊娠中期(妊娠5~7か月)は安定期に入るため、医師の診察で問題がなければ適度な運動やマタニティビクスなどを取り入れて、出産へ向けての体力作りや健康管理をしていくのがよいとされています。妊娠後期(妊娠8~10か月)は、徐々にお腹が大きくなり動きに制限が出てくる時期で、バランスを崩しやすいので転倒のリスクも高まります。散歩などの軽い運動は行った方がよいとされていますが、一人ではなく誰かと一緒に行う方がより安全と言えます。この時期に里帰りで長距離移動をする方が多いと思われますが、移動方法やその時の母体の状況によっては移動制限される場合があるので、長距離移動をする際には医師へ相談するようにしましょう。

基本的には、妊娠中期以降は安定期ですので適度な運動をするよう病院でも言われますが、安定期と言っても絶対に安全というわけではありません。特に妊娠後期は早産のリスクが高まります。それまでの妊娠経過に何の問題もないからと言って出産までの間に何もトラブルがないとは限りません。妊娠中はいつ何が起こってもおかしくないということは必ず頭にいれておかなければなりません。妊娠中に長距離の移動をする場合には、必ず医師へ相談し赤ちゃんと母体に問題がないことや移動をしても大丈夫かどうかを相談し、移動先で万が一のことがあった場合の連絡先や対処法についてあらかじめ準備をしておく必要があります。妊娠中に長距離の移動をするということは、何かがあった場合にはいつも通っている産婦人科と違う病院を受診しなければなりません。移動先の近くに産婦人科がない場合には適切な処置を受けられないという可能性もあります。長距離の移動をするということは、常にリスクが伴うということは理解しておかなければなりません。

里帰り出産をする方は、事前にいつ頃移動するのか、どの交通手段で移動するのかを医師やご家族としっかりと話し合い万全の体制で移動するようにしましょう。また、移動の際には荷物などもありますので、一人ではなく必ず誰かに付き添ってもらうようにしましょう。

飛行機は乗ってもいいのか

トラブルがあっても処置を受けることができない

里帰りや旅行で飛行機を利用するという方もいると思います。妊娠5~7か月ごろの妊娠中期で、体調や赤ちゃんの様子に問題がなければ飛行機に乗ることは問題ないとされています。しかし、相応のリスクがあることはしっておかなければなりません。いくらそれまでの妊娠経過に問題がなかったとしても、今後何があるかは分からないのが妊娠です。飛行機は、そのフライト中何が起こっても途中で降りることはできませんので着陸するまで何の処置も受けることはできないということは理解しておかなければなりません。特に、海外への移動をする場合にはフライト時間は10時間を超えることもあるでしょうから、その間に何かがあった場合着陸するまで何も処置ができないというのは非常に怖いことです。

エコノミークラス症候群のリスクが高まる

また、飛行機では基本的に長時間同じ姿勢で座っていなければなりません。妊娠中はただでさえむくみやすく血栓ができやすいとされている上に、大きいお腹で長時間座り続けると下肢の血液循環が悪くなってしまいます。血栓症やエコノミー症候群のリスクが高まってしまいますので、飛行機に乗る際には時々身体を動かして血液を循環させることが必要です。また、飛行機の中は乾燥しやすく体の水分が失われやすくなっています。これにより血液がどろどろになりやすく、より血栓症のリスクが高いと言えます。予防するために飛行機の中ではこまめに水分摂取をするようにしましょう。

転倒のリスクが高まる

さらに、妊娠中はトイレが近くなりますので、座席もなるべく移動しやすい席を選ぶ必要があります。また、飛行中は揺れますし通路は狭いため転倒のリスクも高まります。飛行機の中を移動する際には十分に安全に注意をする必要があります。

妊娠週数によって医師の診断書が必要

条件は航空会社によって異なりますが、妊娠35~妊娠36週以降になると搭乗に制限がかけられるようになります。国内線では妊娠36週以降、国際線では35週以降は医師の診断書が必要とされる場合が多いです。多胎妊娠(双子以上の妊娠)では妊娠32週以降で医師の診断書が必要となることが多くなります。飛行機を利用する時期と航空会社の規約を事前に把握し、医師へ相談しておく必要があります。

気圧の変化や被曝に関して

飛行機が上空を飛行している間、飛行機内の気圧は地上よりも低くなり0.8気圧ほどで富士山の5合目あたりの気圧と言われています。この気圧の変化により胃や腸が膨張して子宮が圧迫されたり、吐き気や腹痛を起こすことがあります。気圧の変化だけが理由とは言えませんが、中には陣痛が誘発された事例もあります。低気圧が赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼす心配はないと考えられていますが、お母さんへの負担は少なからずあると言えます。

上空は地上よりも放射線量が多いといわれています。ただし、流産を引き起こしたり胎児の先天異常を引き起こしたりするほどの放射線量ではないため、1度の飛行機の利用で被爆の影響を大きく受けるということはありません。しかし、私たちは普通の生活をしていても自然界から放射線をごく少量ですが浴びており(環境被曝と言います)、環境被曝のことを踏まえるとなるべく放射線を浴びる量を増やさないほうが良いと考えられます。長時間のフライトや複数回のフライトは被曝の観点からもお勧めされていません。

国内旅行に行きたい場合

安定期に入って体調が落ち着いていたら、今のうちに遠出をしたいと考える人もいるでしょう。どうしても旅行を考えている方は、できれば車で移動できる旅行先とし、旅行先の産婦人科を調べておくようにしましょう。車でしたら、重い荷物を持つ必要もなく、ゆっくりと休憩をしながら自分のペースで移動することができます。妊婦さんが運転するのは避け、同じ体勢で長時間座り続けるのではなくこまめに休憩をして体を動かすようにしましょう。電車や新幹線での移動は、座席の確保が難しかったり転倒のリスクがありますし、不特定多数の方と密閉空間にいることとなり感染症の心配もありますので、なるべく避けたほうがよいでしょう。また、旅行先でもタイトなスケジュールではなく、ゆったりとリラックスして過ごせるようなスケジュールにして体に負担がかかりすぎないようにしましょう。

海外旅行に行きたい場合

妊娠中の海外旅行はあまりお勧めできません。海外へ行くには必ず飛行機を利用しなければなりませんし、移動時間は長時間になってしまいます。また、海外で何かトラブルがあったときには、現地の医療機関を受診しなければならず医療費が高額になることもあります。国によっては衛生環境がよくなく、きちんとした処置をしてもらえない場合があったり、さまざまな感染症にかかるリスクもあります。どうしてもの旅行であれば多くのリスクを理解したうえで医師と相談し自己責任で行くようにしましょう。

まとめ

妊娠中の長距離の移動はどうしてもリスクが伴います。そのことを理解したうえで、必ず医師へ相談するようにしましょう。思い出作りのための移動が一生後悔してしまうことになる可能性はゼロではありません。お腹の中の赤ちゃんを最優先して、少しでもリスクを減らす方法をとって妊娠生活を楽しむようにしましょう。

ABOUT ME
大河友美
国立大学医学部保健学看護科卒業後、大学病院で6年看護師として勤務。 その後、国立大学医学部保健学大学院へ進学し修士号取得。 現在は、子育てをしながら医療ライター・監修者として活動中。 学歴 平成21年 国立大学医学部保健学看護科 卒業 平成28年 国立大学医学部保健学大学院 卒業 取得資格 看護師国家資格 保健師国家資格