更新日:2026.08.20
出生前診断

「安定期に入りましたね」と言われても、いつからいつまでを指すのか、何をしていいのか迷う方は多いはずです。
安定期は体調が落ち着き、出産前の準備を進めやすい時期です。ただし流産や早産のリスクがなくなるわけではありません。
この記事では、安定期の週数の目安と、やっておきたいこと7つ、注意したいこと、産院に連絡する症状の目安を解説します。安定期の過ごし方に迷ったときの参考にしてください。

安定期は、妊娠16週ごろから27週ごろまでを指します。ただし「安定期」は医学用語ではなく、公的に定められた期間はありません。
それぞれ見ていきます。
妊娠16週ごろから27週ごろまでが目安で、妊娠月数では5ヵ月・6ヵ月・7ヵ月にあたります。
妊娠期間には医学的な区分があります。妊娠初期が13週6日まで、妊娠中期が14週0日から27週6日まで、妊娠後期が28週0日以降です。安定期の終わりはこの妊娠中期の終わりと重なりますが、始まりの16週0日は区分の境目ではありません。
妊娠週数は最終月経の開始日を0週0日として数えます。ただし超音波検査で出産予定日が修正されることがあるため、産院から示された予定日を基準にしてください。最終月経の開始日か出産予定日がわかれば、当社の妊娠週数計算ツールで今の週数を確認できます。
出典:
日本産婦人科医会|(1)妊娠時期の特徴と正常妊娠・異常妊娠
厚生労働省|日本人の食事摂取基準(妊娠期の区分)
安定期に医学的な定義がないためです。
「妊娠12週から」とする説明も見られますが、目安として広く使われているのは妊娠16週ごろからです。終わりについても「妊娠27週まで」とするものと「臨月まで」とするものがあります。
体調が落ち着く時期には個人差があります。週数だけで判断せず、妊婦健診での経過をもとに考えてください。
妊娠初期のつわりが、安定期に入るころには落ち着いている人が多いためです。つわりのピークは妊娠8〜12週ごろのことが多いとされていますが、症状の重さや続く期間には個人差があります。
つわりの症状が強く、栄養障害などを起こす場合は妊娠悪阻といい、治療が必要です。症状が強いときは我慢せず産院へ相談してください。
おなかもまだ大きくなりすぎず、動きやすい時期にあたります。体調が落ち着くことと、流産や早産のリスクがなくなることは別です。
出典:厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト|妊娠週数別情報

安定期に入ると、おなかのふくらみや胎動といった変化が現れます。変化の内容は妊娠週数によって異なり、感じ方にも個人差があります。
| 変化 | 内容 |
|---|---|
| おなかのふくらみ | 子宮の拡大による外見の変化 |
| 胎動 | 赤ちゃんの動きの自覚(時期の個人差が大きい) |
| 体重の増加 | 食欲の回復 |
| 腰や背中の負担 | 姿勢の変化による腰への負担 |
| 赤ちゃんの発育 | 赤ちゃんの体重の増加と手足の動きの活発化 |
胎動が感じられないことが気になるときは、妊婦健診で相談してください。
体の変化に合わせて、妊婦健診の間隔も変わります。標準的な例では、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回です。健診では子宮底長や腹囲を測り、赤ちゃんの育ち方を確認します。
月ごとの体の変化は、妊娠中期(5ヵ月・6ヵ月・7ヵ月)の過ごし方と知っておくべきことで解説しています。

安定期は体調が落ち着きやすく、動きやすい時期です。体調が安定しているうちに進めておくと、おなかが大きくなってからの負担が軽くなります。
それぞれ見ていきます。
主食・主菜・副菜をそろえた食事を基本にします。
厚生労働省の食生活指針では、主食でエネルギーを確保し、副菜でビタミンとミネラルを、主菜でたんぱく質を十分にとることが示されています。乳製品や緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムをとることもすすめられています。
妊娠中の体重増加は、増やさないことを目的にするものではありません。妊娠前の体格に応じた範囲を目指します。
【単胎妊娠における妊娠期間全体の体重増加量の目安】
| 妊娠前の体格(BMI) | 体重増加量の目安 |
|---|---|
| 低体重(18.5未満) | 12〜15kg |
| 普通体重(18.5以上25.0未満) | 10〜13kg |
| 肥満1度(25.0以上30.0未満) | 7〜10kg |
| 肥満2度以上(30.0以上) | 個別対応(上限5kgが目安) |
実際の管理は、かかりつけの医師の指示に従ってください。
週数別の管理方法は、妊娠中の体重管理、増えすぎもNG?週数別の目安と今日からできる食事・運動のコツで解説しています。
出典:
厚生労働省|妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
国立健康・栄養研究所|適正な体重増加量について
ウォーキングやマタニティヨガなど、負担の少ない運動から始めます。
体力の維持や気分転換になります。ただし妊娠の経過に問題がある場合は控えるよう指示されることがあるため、始める前にかかりつけの医師へ相談してください。
おなかの張りや痛みを感じたら中止します。
体調不良や負担の大きい業務があるなら、安定期を待たずに上司や人事へ伝えます。
妊娠中に請求すれば、通勤緩和や休憩に関する措置、軽易な業務への転換を受けられます。時間外労働、休日労働、深夜業の免除も請求できます。医師から指導を受けた場合は、その内容を事業主に伝える「母性健康管理指導事項連絡カード」を使えます。
産前休業は出産予定日の6週間前から請求できます。多胎妊娠の場合は14週間前からです。
家族や友人への報告時期に決まりはありません。手助けを頼みたい相手には早めに伝え、広く知らせる時期はパートナーと相談して決めてください。誰にいつ伝えるかは、妊娠報告はいつするべき?で解説しています。
出典:
厚生労働省|労働基準法のあらまし(妊産婦等)
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト|事業主が講ずべき措置
治療が必要な歯があれば、体調が落ち着いている時期に予定を組みます。
痛みや腫れがあるときは、安定期を待たず受診してください。受診時は妊娠中であることを歯科医に伝え、治療の内容や時期を相談します。
市区町村によっては、妊婦を対象とした歯科健診を実施しています。
出産や育児の準備を学べる講座です。
市区町村や産院が実施しており、助産師や保健師から沐浴の方法やお産の流れを教わります。パートナーと一緒に参加できる回もあります。
開催時期や申込み方法は主催者によって異なるため、母子健康手帳の交付時に受け取る案内、自治体の窓口、通っている産院で確認してください。
分娩の予約は、安定期を待つ必要はありません。出産予定日が決まった段階で、希望する産院の予約状況を確認してください。
里帰り出産をする場合は、受け入れ先の産院にも早めに連絡します。帰省する時期と移動手段は、かかりつけの医師に相談しながら安定期のうちに決めておきます。
おなかが大きくなる前に、買い物を進めます。
肌着やおむつ、ベビーカー、チャイルドシートなど、必要なものは多岐にわたります。妊娠後期は長時間の外出がつらくなることがあるため、店頭で実物を確認したいものは安定期のうちに見ておきます。

安定期だからといって、旅行が安全とは限りません。妊娠の経過や体調によっては、医師から控えるよう指示されることがあります。出発前にかかりつけの医師へ相談してください。
計画するときは、近距離で余裕のある日程にします。滞在先の近くに産婦人科があるかを確認し、体調が変わったときに変更できる予約を選びます。移動は休憩を取りやすい手段にし、長時間同じ姿勢が続かないようにします。車ではシートベルトを正しく着用します。
日本航空の国内線では、搭乗日が出産予定日を含めて28日以内なら医師の診断書が必要です。7日以内ならさらに医師の同行も必要です。診断書は搭乗日を含めて7日以内に発行され、航空旅行に支障がない旨を明記したものに限られます。条件は航空会社や国内線・国際線によって異なるため、利用する会社の公式情報を確認してください。
母子健康手帳は必ず持って出かけます。医療機関ではマイナ保険証、保有していない場合は資格確認書の提示が必要です。従来の健康保険証は使えません。2025年12月1日に有効期限が終了し、期限切れの保険証を持参した場合の経過対応も2026年7月31日で終了しています。
宿泊施設の受け入れ条件も異なるため、予約前に確認してください。体調が悪いときは中止します。
移動手段ごとの注意点は、妊娠中の移動についてで解説しています。
出典:
JAL|国内線|妊娠中ですが、飛行機に乗れますか。
厚生労働省|マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について

安定期は動きやすくなる分、体調の管理がゆるみやすい時期です。
それぞれ見ていきます。
おなかが大きくなると足元が見えにくくなり、体のバランスも取りにくくなります。
階段や段差、濡れた床では特に注意します。靴はヒールが低く滑りにくいものを選びます。荷物はリュックなどにまとめ、両手がふさがらないようにします。
同じ姿勢が続く作業や、おなかに力が入る動作は負担になることがあります。
高いところの物を取る、重い物を持ち上げる、長時間立ち続けるといった動作は控えます。張りを感じたら座って休みます。医師から制限を指示された場合は、その指示に従ってください。
家事は一度にまとめず、休憩をはさみながら分けて進めます。
妊娠中の喫煙、受動喫煙、飲酒は、胎児の発育に影響を与えます。
市販薬やサプリメントも、自己判断で始めないでください。妊娠中に使えるかどうかは成分によって異なります。使いたいものがあるときは、かかりつけの医師か薬剤師に相談してください。
出典:厚生労働省|妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針

安定期に入っても、妊娠中の病気が起こる恐れはあります。次の症状に気づいたら、自己判断せず産院へ連絡してください。
産院から受けている指示がある場合は、その指示を優先します。
次の病気は、安定期を含む妊娠中期以降に起こることがあります。時期は、病気ごとに定義または診断される妊娠期間です。
| 病気 | 時期 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 切迫流産 | 妊娠22週未満 | 出血や腹痛 |
| 切迫早産 | 妊娠22〜36週 | 規則的なおなかの張りや痛み、子宮頸管の開き |
| 子宮頸管無力症 | 妊娠中期 | 張りや出血のないままの子宮頸管の開大 |
| 妊娠高血圧症候群 | 妊娠20週以降 | 高血圧(たんぱく尿を伴う場合もある) |
| 妊娠糖尿病 | 妊娠中(初期と24〜28週に検査) | 糖の代謝異常 |
| 前置胎盤 | 妊娠中期以降に診断(23〜24週にスクリーニング) | 自覚症状がないことが多い(妊娠中の出血の原因になることがある) |
健診を予定どおり受けることが、早期の発見につながります。
切迫早産の原因や治療は、切迫早産とは?早産との違い、原因や症状、治療と日常生活の注意点についてで解説しています。
出典:
日本産科婦人科学会|流産・切迫流産
日本産科婦人科学会|早産・切迫早産
日本産科婦人科学会|妊娠糖尿病
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト|妊娠高血圧症候群/日本産婦人科医会|26. 前置胎盤

出生前診断は、安定期に入る前から検討できる検査です。NIPTで陽性だった場合は確定検査を受けることになりますが、確定検査にも受けられる時期があります。NIPTを受ける時期は、そこから逆算して考えます。
| 検査 | 種類 | 受けられる時期 | 流産のリスク |
|---|---|---|---|
| NIPT | 非確定的検査 | 妊娠9〜10週以降 | なし(採血のみ) |
| 絨毛検査 | 確定的検査 | 妊娠11〜14週 | 約1% |
| 羊水検査 | 確定的検査 | 妊娠15〜16週以降 | 約0.3% |
それぞれ見ていきます。
出典:
出生前検査認証制度等運営委員会|NIPT
出生前検査認証制度等運営委員会|絨毛検査とは
出生前検査認証制度等運営委員会|羊水検査とは
一般的なNIPTは、妊娠9〜10週以降に受けられます。
出生前検査認証制度等運営委員会の認証施設では、検査の対象をダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つに限定しています。全染色体検査や微小欠失検査を行う施設もありますが、認証施設では実施されていません。
当社では妊娠6週0日以降の方であれば、年齢の制限なく検査を受けていただけます。陽性だった場合の羊水検査に時期の制限があることから、妊娠15週6日までの受検を推奨しています。妊娠32週目までの方には検査を実施しています。この期限は公的に定められたものではなく、当社の推奨です。
認証施設のNIPTでは、採血から結果を受け取るまで1〜2週間とされています。
当社の場合、最短4日で結果をご案内いたします。ただし採血の時間帯や地域、検査機関の状況によって通知日が前後する場合があります。
検査でわかることや精度は、新型出生前診断(NIPT)とは?で解説しています。
安定期の過ごし方でよく寄せられるのは、体を動かしてよいか、つらさがいつまで続くのか、予定を入れてよいのかという質問です。
いずれも妊娠の経過によって答えが変わるため、迷ったときは妊婦健診で相談してください。
体調に問題がなければ、歩くことはすすめられます。妊娠の経過に問題がある場合は控えるよう指示されることがあるため、始める前にかかりつけの医師へ相談してください。
人によって異なります。つわりが落ち着いても、妊娠後期に腰痛や息切れ、睡眠のとりにくさが強くなる人もいます。
妊婦健診を予定どおり受け、飲酒と喫煙を避けます。市販薬やサプリメントは自己判断で使わず、無理な勤務が続くときは勤務先へ早めに相談してください。出血や強い腹痛があるときは産院へ連絡します。
妊娠の経過や体調によっては、控えるよう指示されることがあります。出発前にかかりつけの医師へ相談し、母子健康手帳とマイナ保険証(保有していない場合は資格確認書)を持って出かけてください。
安定期にやっておきたいことには期限があります。歯科治療や職場との調整、里帰りの準備は、おなかが大きくなるほど進めにくくなります。体調が落ち着いているうちに取りかかってください。
体調が落ち着いても、流産や早産のリスクがなくなるわけではありません。出血や、休んでも治まらない張りに気づいたときは、自己判断せず産院へ連絡してください。
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