2022.10.03

妊娠

双子の妊娠はいつわかるの?判明時期や妊娠確率を解説

双子の妊娠は喜びも大きいですが、リスクも伴います。またそもそも双子を妊娠する確率は低いため、周囲の経験者も少なく、情報交換が難しいのではないでしょうか?

今回の記事では双子の妊娠の判明時期や妊娠確率、双子の妊娠リスクなどを紹介します。少しでも双子に関する不安が解消されて、疑問を解決できると幸いです。

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双子とは?一卵性双胎と二卵性双胎の違い

双子の妊娠は「双胎妊娠」と呼び、一卵性双胎と二卵性双胎に分けられます。

一卵性双胎

一卵性双胎は1つの受精卵から生まれた双胎児のことで、遺伝情報が同じことから、性別や血液型が同じで、容貌もそっくりなことが多いです。街で見かけるそっくりな双子は一卵性双胎の可能性が高いです。

一卵性双胎は1つの受精卵が2つに分裂して発生します。なぜ受精卵が分裂するか、原因ははっきりと分かっていませんが、不妊治療による卵巣刺激や胚培養環境などが原因ではないかと考えられています(※①)。

二卵性双胎

二卵性双胎は2つの受精卵から生まれた双胎児のことで、遺伝情報は異なります。性別や血液型も異なる場合があり、個人差はあるものの容貌も一卵性双生児ほどそっくりではないことが多いです。

一卵性双胎の妊娠確率は、人種によって差は見られませんが、二卵性双胎は人種によって差があると言われています。これは不妊治療のような生殖補助医療の影響と見られ、北欧は1,000分の15から20に対して日本は1,000分の6から10(※③)というデータがあります。

また双子の確率は遺伝、環境も影響があると言われています。

双子の妊娠確率

妊娠で最も多いのは、1人の子どもを妊娠する「単胎妊娠」で、2人以上の妊娠を「多胎妊娠」と呼びます。

多胎妊娠の分娩件数は近年横ばい~微減傾向にあり、2017年には約9,900件(※②)でした。多胎妊娠の確率は、1%を前後していますが、その確率は年齢によって差が見られます。

日本における双子、三つ子などの多胎児の割合は、母親の年齢が30歳以上になると2.0%を超え、40~44歳では2.71%、45歳以上では5.95%(※②)というデータがあります。

日本産科婦人科学会周産期委員会報告によると、多胎妊娠の中で双胎妊娠(双子)の自然妊娠率は67.6%、3胎(3つ子)の自然妊娠率は19.6%というデータがあり、多胎妊娠の中で最も多いのは双子です。

双子の妊娠はいつ分かる?双子の妊娠の判明時期

双子の妊娠は妊婦健診の超音波(エコー)検査で確認できますが、一卵性双胎か二卵性双胎によって判明時期が異なります。

二卵性双胎の判明時期

二卵性双胎の場合、2個の受精卵から発生しているため、2個の胎盤、2つの部屋を持つ2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎)となります。胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が2つあるため超音波(エコー)検査で確認できます。個人差はあるものの、妊娠5~6週あたりには2つの胎嚢、7〜8週頃には2人の胎児が確認できます。

一卵性双胎の判明時期

一卵性双胎の場合、膜性を3種類に分けることができます。

  • 2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎):2個の胎盤、2つの部屋を持ちます。二卵性双胎の場合は全てDD双胎ですが、一卵性双胎の場合もDD双胎となることがあります。
  • 1絨毛膜2羊膜双胎(MD双胎):1つの胎盤、2つの部屋を持ちます。
  • 1絨毛膜1羊膜双胎(MM双胎):1つの胎盤、1つの部屋を持ちます(赤ちゃんが同じ膜に包まれ、胎盤も1つ)。

難しい言葉ですが、絨毛の数=胎盤の数、羊膜の数=胎児が成長する部屋の数、と覚えておきましょう。

一卵性双胎は分裂の時期によりタイプが異なり、二絨毛膜二羊膜が25%、一絨毛膜二羊膜が75%、一絨毛膜一羊膜が1%(※④)と、一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)が最も多いと言われています。

2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎)の場合、二卵性双胎の判明時期と同様、胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が2つあるため超音波(エコー)検査で確認できます。個人差はあるものの、妊娠5~6週あたりには2つの胎嚢、7〜8週頃には2人の胎児が確認できます。

1絨毛膜2羊膜双胎(MD双胎)や1絨毛膜1羊膜双胎(MM双胎)の場合、胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が1つのため、目視で双子かどうかを確認できない場合があります。心拍が聞こえる6〜7週目以降から、心拍が1人分か2人分かで双子が判断できます。

双子の妊娠のリスク

双子の妊娠は喜びも大きいですが、2人の赤ちゃんがお腹の中にいることから、お母さんの負担も大きくなります。また赤ちゃんにとってのリスクも存在します。

お母さんのリスク

双子などの多胎妊娠の場合、母体にも大きな負担があります。主なリスクとしては妊娠高血圧症候群や弛緩出血、悪阻や貧血、妊娠糖尿病や血栓症などが挙げられます。これらのリスクは単胎妊娠と比べて高いです。

早産のリスク

2017年人口動態統計によると、37週未満の早産は単胎が4.7%であるのに対し、多胎の場合は50.8%となっています。また死産率、周産期死亡率、乳児死亡率も高い(※②)ことから、双子をはじめとした多胎妊娠では、早産予防が重要です。

妊娠中の定期検診は早産の早期発見においても非常に大切で、単胎妊娠よりも妊婦健診の頻度は高くなります。頻回な妊婦健診の経済的負担を減らすため、双子をはじめとした多胎妊娠の費用補助を行っている自治体もあります。お住まいの自治体の支援を確認してみましょう。

1絨毛膜双胎のリスク

1絨毛膜双胎は1つの胎盤を2人で使用しているため、2つの胎盤をそれぞれ使用している2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎)と比べて、さらにリスクがあります。

双胎間輸血症候群(TTTS)

一児は羊水過多(羊水が多い)、もう一児は羊水過少(羊水が少ない)となっている状態のことを指します。一方の児から、もう一方の児に、血液が移動していることが原因です。流産や早産の原因でもあり、症状が進むと胎児死亡や後遺症のリスクがあります(※④)。

一児の胎児発育不全(Selective IUGR)

片方の胎児が標準より小さい状態で、2人の胎盤の分け合い方が不均衡であることが原因と考えられます。

双子の妊娠についてのまとめ

今回の記事では、双子の妊娠について一卵性双胎と二卵性双胎の違いや双子の妊娠確率、妊娠の判明時期や双子の妊娠における母体や胎児、出産のリスクについて紹介しました。

双子(双胎妊娠)は、1つの受精卵から生まれる一卵性双胎と2つの受精卵から生まれる二卵性双胎に分けられます。双子を含めた多胎妊娠の確率は全体の1%程度で、その確率は年齢が上がるにつれて上昇します。

胎嚢が2つある2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎)や二卵性双胎の場合、妊娠5~6週あたりには2つの胎嚢が確認できます。

1絨毛膜2羊膜双胎(MD双胎)や1絨毛膜1羊膜双胎(MM双胎)の場合、胎嚢が1つのため、双子かどうかは6〜7週目以降から心拍で確認します。

双子の妊娠は母体、胎児ともにリスクがあります。リスクの早期発見、早期治療のため妊婦健診の頻度は高くなります。自治体によっては妊婦健診の補助を行っている場合もあります。

【参考文献】
産婦人科・内科 加藤クリニック – 一卵性双胎児(一卵性双生児)
多胎児支援のポイント
大阪大学ツインリサーチ – ふたごの確率
大阪府立母子保健総合医療センター – 多胎妊娠の方へ

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平野香菜子
内科、精神科にて看護業務に従事経験を持つ看護師・保健師のライター。2020年には、食事や運動をはじめとした生活習慣改善のための保健指導などを行う企業保健師としても活動中。 略歴:2016年 美容系専門学校講師、2017年 大学教員(助手)、2018年 看護師、2020年 企業保健師。取得資格:看護師、保健師。

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