2022.02.21

妊娠

妊娠時の食事のポイント!食べた方がいい食材と制限したい食材とは?

妊娠中に取る食事は、ママだけでなく、おなかの赤ちゃんの成長や発達にかかわる大切なものです。妊娠前に何気なく取っていた食材の中には、妊娠中は制限した方がよいものもあります。

この記事では、妊娠中の食事のポイントや、積極的に取りたい食材と制限したい食材ついて紹介します。妊娠時の食事について正しい情報を知って、バランスのよい食生活に役立てましょう。

なお、出産前には出生前診断を検討することもおすすめします。以下の記事では、出生前診断について詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

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妊娠中に食事を取るときのポイント

妊娠中に食事を取るときのポイント

妊娠期に食事から取る栄養素は、ママにとってもおなかの赤ちゃんにとっても欠かせません。妊娠中の食事のポイントは、以下になります。

  • 主食はしっかり取る
  • 主菜はバランスよく取る
  • 副菜でビタミン・ミネラルを補給する
  • 適正体重を維持するためにバランスよく食べる

それぞれ解説していきます。

主食はしっかり取る

主食はごはん・パン・麺類などの糖質です。近年は糖質抜きダイエットが人気ですが、主食となる糖質は体の大切なエネルギー源です。

適度に糖質を摂ることで満腹感が得られるので、食べすぎの防止にもなります。妊娠期ごとに必要なエネルギー量や活動量に合わせて、主食をしっかり食べましょう。

主菜はバランスよく取る

メインのおかずとなる主菜は、重要なたんぱく源。肉に偏り過ぎずに、魚・卵・大豆などいろいろな食材からバランス良く取るようにしましょう。

赤身の肉や魚を上手に取ると、妊娠中にみられやすい貧血の予防につながります。

副菜でビタミン・ミネラルを補給する

食事というとついつい主食とおかずに目が向きがちですが、「一汁三菜」といわれるように、メインのおかず以外にも副菜をつけるようにしましょう。

野菜・キノコ類・海藻類を使った副菜を用意することで、不足しがちなビタミンやミネラルを摂取することができます。

適正体重を維持するためにバランスよく食べる

お腹の赤ちゃんのすこやかな成長のためには、妊婦さんが適正体重を維持することが大切です。

最近ではやせ気味の妊婦さんも増えています。しかし、太り過ぎだけでなくやせすぎの場合も、おなかの赤ちゃんの健康に影響を与えるので注意しましょう。

妊娠中に積極的に食べたい食材

妊娠中に積極的に取りたい食品

妊娠中はいつもより意識して取りたいさまざまな食品があります。ここでは妊娠中に食べたい食材についてみていきます。

  • 葉酸を多く含む食品
  • 鉄分を多く含む食品
  • カルシウムを豊富に含む食品

それぞれ解説します。

葉酸を多く含む食品

妊娠初期に意識したいのが、水溶性ビタミンである葉酸の摂取です。葉酸は細胞の生産や成長に役立つとされています。

葉酸の摂取量が十分でないと、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクが高まります。

妊娠初期は、自分が妊娠していることにすぐに気づかない場合もあるので、妊娠を計画している人は、日頃から葉酸を意識した副菜を摂取するようにしましょう。

≪葉酸の豊富な食品例≫

  • ほうれん草
  • ブロッコリー
  • モロヘイヤ
  • アスパラガス
  • 枝豆
  • 納豆
  • イチゴ
  • バナナなど

※葉酸は水に溶けやすいので、生のまま食べたり、蒸したりする調理法が適しています。

葉酸はサプリメントでも摂取可能です。少なくとも妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までは1日に400μの葉酸の摂取が推奨されているので、サプリメントが欠かせません。

鉄分を多く含む食品

妊娠中は赤ちゃんの体や血液を作る必要があるため、いつもより貧血が起こりやすくなります。貧血予防に役立つのが鉄分の摂取です。以下に挙げる食品を積極的に取って、妊娠中の貧血を予防しましょう。

≪鉄分の豊富な食品例≫

  • レバー
  • 赤身肉
  • イワシ
  • サンマ
  • マグロの赤身
  • アサリ
  • 納豆
  • 豆腐
  • 小松菜
  • ほうれん草
  • 切り干し大根  など

※鉄分はビタミンCと一緒に取ると、吸収率を高めることできます。上記の食材と一緒に野菜や果物など、ビタミンCの豊富な食品を組み合わせて取ることをおすすめします。

カルシウムを豊富に含む食品

カルシウムは丈夫な歯や骨を作るのに欠かせない栄養素です。以前までは、妊娠中はいつもよりも多くのカルシウムを摂取する必要があると言われていました。しかし近年では、妊娠中は腸内でのカルシウムの吸収量が増えるため、一日の必要量は変わらないとされています。

しかしながら、日本人の1日のカルシウム摂取量は基準よりも少ない傾向があるので、意識して摂取するようにしましょう。カルシウムは乳製品を中心に多く含まれています。

≪カルシウムを多く含む食品≫

  • 牛乳
  • チーズ
  • ヨーグルト
  • 子魚
  • ほうれん草  など

妊娠中に制限した方がいい食材

妊娠中に控えた方がよい食品

妊娠中に取った食事の成分は、胎盤の血液を通って赤ちゃんにも届けられます。以下の食品の摂取は妊娠期に注意が必要です。

  • 塩分
  • 魚に含まれる水銀
  • リステリア菌を含む食品
  • アルコール
  • ヨウ素
  • ヒ素
  • カフェイン
  • ビタミンA

順番に解説していきます。

塩分

体液は一定の塩分濃度に保つよう調節されているため、塩分を摂り過ぎると体が水分をため込みがちになります。

妊娠中は体の血液量も増えるため、高血圧を引き起こしやすい時期です。特に、日本人は食事の塩分摂取量が多い傾向があるので、妊娠高血圧症候群を予防するためにも、減塩を心がけましょう。

減塩のコツとしては、以下のようなポイントがあります。

  • 食材のもともとの味を生かして、薄味にする。
  • しょうゆなどの調味料はかけるのではなくつける。
  • 鰹節などの出汁や、香味野菜、スパイス、酢、レモンを使う。
  • 汁物は具沢山にし、麺類のスープは飲み干さない。
  • 加工商品やインスタント食品を取り過ぎないようにする。

なお、水分やカリウムを摂取すると塩分の排出がされやすくなります。

魚に含まれる水銀

魚は良質なたんぱく質を含む食品で、DHAやカルシウムを豊富に含んでいます。メインのおかずとしてよく用いられている食材ですが、水銀が含まれているので妊娠中の摂取量には注意が必要です。

水銀は胎児の健康に悪影響を与えると言われています。特に大型の魚は多くの水銀を含んでいるため、注意が必要です。摂取の目安を魚ごとに解説していきます。

≪水銀が多く含まれている魚(週1回までの摂取が目安)≫

  • キンメダイ
  • メカジキ
  • クロマグロ
  • メバチマグロ
  • マッコウクジラ  など

≪水銀が中程度含まれている魚(週2回までの摂取が目安)≫

  • マカジキ
  • クロムツ
  • ミナミマグロ  など

≪妊娠中でも安心して摂取できる魚≫

  • サケ
  • サバ
  • イワシ
  • アジ
  • サンマ
  • カツオ
  • タイ
  • ブリ
  • ツナ缶

リステリア菌を含む食品

リステリア菌は食中毒の原因となる菌です。妊娠中に感染することで、おなかの赤ちゃんにも影響が出ることがあります。リステリア菌は塩分や冷蔵に強いため、冷蔵庫内でも増殖する特徴があります。冷蔵庫を過信しすぎずに、消費期限を守りましょう。

≪リステリア菌を含む食品≫

  • 加熱殺菌していないナチュラルチーズ
  • 生ハム
  • スモークサーモン
  • 肉や魚のパテ

アルコール

妊娠中のアルコール摂取は、赤ちゃんが低体重で生まれてきたり、脳の障害や顔の形態異常を引き起こしたりする恐れがあります。

アルコールによるおなかの赤ちゃんの健康リスクは、飲酒量に比例します。その一方で、妊娠の時期にかかわらず、少量のお酒でも赤ちゃんの健康に影響がある恐れがあるのも事実です。

妊娠中はしっかり禁酒をして、アルコールを摂取しないようにしましょう。特に、妊娠初期はアルコールによる赤ちゃんの健康リスクが高くなるので、妊娠を計画している人は、早い段階からお酒を控えるようにするとよいでしょう。

どうしても飲みたい場合は、アルコール0%のワインやビールで雰囲気だけ味わいましょう。

ヨウ素

ヨウ素は体内の新陳代謝に役立つ栄養素です。妊娠中に不足すると死産や流産を招く恐れがあります。

ただし、過剰に摂取すると甲状腺機能に悪影響を及ぼす恐れがあります。昆布やワカメなど海藻類に多く含まれているため、海藻類の食べ過ぎには注意しましょう。

カフェイン

カフェインを摂りすぎると高血圧のリスクが高まると言われています。

そのため、コーヒーや紅茶はカフェインレスのものを選ぶようにしましょう。チョコレート、コーラや緑茶にもカフェインは含まれているので、摂取量を制限するように意識しましょう。

また、栄養ドリンクには大量のカフェインが入っていることがあるので、妊娠中の摂取は避けた方が望ましいです。

ヒ素

ヒ素は体に悪影響を与えると考えられています。ひじきに多く含まれていますが、茹でることで濃度は低くなると言われています。

ビタミンA

ビタミンAは粘膜や皮膚を健康に保つ栄養素です。しかし、妊娠初期はビタミンAを過剰に摂り過ぎると、おなかの赤ちゃんの形態異常を引き起こすことがあります。

妊娠3カ月以内の人は、レバーやウナギ、アンキモなどビタミンAを多く含む食品や、サプリメントの過剰な摂取は避けた方がよいでしょう。

ニンジンやカボチャに含まれるβ-カロテンは、必要な分だけビタミンAに変化し、過剰摂取を避けられるのでおすすめです。

妊娠時期別の食事のポイント

妊娠時期別の食事のポイントを解説します。

  • 妊娠初期(0週~15週)
  • 妊娠中期(16週~27週)
  • 妊娠後期(28週~39週)

ぜひ参考にしてください。

なお、食事ではないですが、タバコはどの期間でも母子ともに悪影響を与えるので、禁煙は必須です。また、パートナーがタバコを吸う場合は、分煙をして受動喫煙を避けましょう。

妊娠初期(0週~15週)

人によってはつわりの影響で食べられるものが限られるかもしれません。制限した方がいい食材をさけて、食べられるものを食べるようにしましょう。

まだ胎盤が完成していないので、妊婦さんが食べた食事がすべておなかの赤ちゃんには行かない時期です。赤ちゃんは卵黄のうという器官から栄養を摂ります。

野菜や果物などを小さく切って、食べやすくする工夫をしましょう。また、水分補給をすることが大切です。おかゆやうどんなど消化しやすいものもおすすめです。

また、赤ちゃんの成長のために葉酸をしっかり摂るようにしましょう。

妊娠中期(16週~27週)

つわりが落ち着いてくる時期です。胎盤が完成するので、ママが摂った栄養素は赤ちゃんに直接行くと言われています。そのため、食べるものにはより気をつけた方がいい時期です。

食欲が戻ったからといって、食べ過ぎには注意しましょう。ただし、食事量が少ないと低体重児で生まれる恐れがあります。

この記事でお伝えした食べた方がいい食材をバランスよく食べるようにしましょう。

なお、妊娠中の適正体重は、BMIから求められます。

BMI=体重÷身長÷身長

例、身長160cmで体重50kgなら、50÷1.6÷1.6=19.5

BMIを元にした体重増加は、以下のようになります。

妊娠前の体格体重増加量指導の目安
低体重(やせ): BMI18.5未満 12~15kg
ふつう:BMI18.5以上25.0未満 10~13kg
肥満(1度) : BMI25.0以上30.0未満 7~10kg
肥満(2度以上) : BMI30.0以上 個別対応(上限5kgまでが目安)
参考:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針  厚生労働省

妊娠後期(28週~39週)

おなかの赤ちゃんがすくすくと育つ時期なので、たんぱく質を積極的に摂りましょう。ただし、魚の場合は水銀の問題があるため、摂取量を制限しましょう。

妊娠高血圧や妊娠糖尿病のリスクが高まるため、塩分や糖分の摂り過ぎには注意が必要な時期です。

まとめ:妊娠中の食事に気をつけましょう

まとめ

妊娠中に摂取する食事は、おなかの赤ちゃんの成長や発達に影響を与えるものです。

元気な赤ちゃんが育つように、妊娠中からバランスのよい食事を取るように心がけましょう。

また、普段何気なく摂取していた食材の中には、赤ちゃんの健康に悪い影響を与えるものもあります。

デリケートな時期ですが、記事内で紹介した内容を参考にして、妊娠中の食事の取り方を工夫してみてくださいね。

参考:
妊産婦のための食事バランスガイド
胎児性アルコール・スペクトラム障害
妊娠中の食事

なお、妊娠期間中の安定期については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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