2024.06.19
妊娠
妊活を始めると、妊娠確率を知りたいと思うことも多いかと思います。また年齢が上がるにつれて、妊娠への不安を抱える方も多くいらっしゃいます。今回は、妊娠確率について、年代別の紹介や妊娠確率を上げる方法について紹介します。
妊娠する確率のことを妊娠確率と呼びます。
健康上問題のない男女が避妊をせずに性交渉をした場合、1周期で妊娠する確率は20~30%が平均と言われています。
計算上は月経周期4~5回程度(約半年程度)で1回妊娠するということになりますが、妊娠確率は年齢や健康状態、また性交渉のタイミングのずれなどにより大きく異なります。
「若いほうが妊娠しやすいって本当?」「年を重ねるとなかなか妊娠しにくいと聞く」と言われている通り、妊娠確率は年代によって差があります。
1周期で妊娠する確率は20~30%が平均とお伝えしましたが、年代別の妊娠確率を紹介します。
年代 | 妊娠確率※ |
20代 | 約25~30% |
30~34歳 | 約25~30% |
35~39歳 | 約18% |
40~44歳 | 約5% |
45歳以上 | 約1% |
※妊娠確率は健康上問題のない男女が避妊をせずに性交渉をした場合としています。
※参考:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition
年代 | 妊娠確率※ |
20~24歳 | 86% |
25~29歳 | 78% |
30~34歳 | 63% |
35~39歳 | 52% |
40~44歳 | 36% |
45~49歳 | 5% |
50歳以上 | 0% |
※妊娠確率は健康上問題のない男女が避妊をせずに性交渉をした場合としています。
※参考:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition
年代別の妊娠確率の表から、年齢が上がるにつれて妊娠確率が低くなっていることがわかります。
年齢が上がるにつれて妊娠確率が低くなる理由の1つが「卵子の劣化」です。卵を入れるための「原始卵胞」の減少は生まれたときから実は始まっています。
生まれたときに約200万個あった卵は、月経がはじまる思春期の頃から生殖適齢期までには30-50万個まで減っています。年を重ねるごとに卵子は減り続け、37歳あたりで2万個、閉経時期の51歳までには1000個程度にまで減少すると言われています(※①)
年を重ねるごとに、卵子の数と合わせて、卵細胞にも老化現象が現れます。卵細胞の老化現象の1つとして、妊娠する力が下がることがあります。
妊娠に適した時期は25〜35歳前後と言われています。この時期は個人差はあるものの、ホルモンバランスがよく、子宮や卵巣の問題が少なく、心身、卵巣機能、卵細胞が元気な期間と言われており、35歳前後から妊娠する力が下がり始めると言われています(※②)。
また妊娠する力はもちろん、年齢を重ねるごとに流産率も高くなります。
男性も女性と同様、年齢が上がるにつれて妊娠確率が低くなると言われています。年を重ねるにつれて、精巣機能低下に伴い精液量、精子正常形態率、精子運動率が減少します。
妊娠はもちろん、精子DNAの損傷の割合も上昇することから、流産、早産率も上昇すると言われています(※③)。
「早く子どもを授かりたい」「妊娠するためにできることはある?」という疑問をお持ちの方へ、妊娠確率を上げる方法を紹介します。
排卵日(排卵期)に卵子と精子が出会うと、受精卵となります。個人差はあるものの、排卵日は16~32時間程度続くと言われており、妊娠しやすい時期は、排卵4日前より排卵前日で、排卵の1〜2日前が最も妊娠率が高いと言われています(※④)。
排卵日を知る方法は、基礎体温を測定する方法、排卵検査薬を使用する方法、卵胞の大きさをエコー検査(超音波検査)で確認する方法があります。
排卵日について詳しく知りたい方や、排卵の仕組みと妊娠の関係を疑問に思っている方は、こちらの記事を参考にしてください。
生活習慣の改善につとめ、心身の健康を整えることも重要です。
例えば、極端に痩せている(BMI19以下)や肥満(BMI35以上)は妊娠までの期間が長くなる(※④)と言われています。
無理のない範囲で、バランスの良い量、質の食事を、規則正しいリズムで摂取することを心がけましょう。
また、1L以上のアルコール摂取や過度なカフェイン摂取(コーヒー2.5杯以上程度)も妊娠に影響があると言われています。お酒やカフェインはほどほどにしましょう。
また適度な運動は体重のコントロールはもちろん、心身の健康にも良好です。ご自身に負担のない範囲で、ウォーキングやストレッチなど、できることから日常生活に取り入れてみましょう。
また生活リズムの乱れや極端に睡眠時間が短い、などは自律神経の乱れにもつながります。一度ご自身の生活リズムを見直してみるのも良いでしょう。
加えて妊活にストレスは大敵です。過度なストレスをためすぎない、ストレスをうまく解消できるよう、ご自身の好きなことを思い切りするなど、ご自身にあったストレス対処法を実践してみましょう。
体の冷えは妊娠、妊活にとって良いことはありません。温活とは文字通り体を温め、体調を整えることを目指します。体を温めることは、免疫力の向上や血流の改善、基礎代謝が上がるなどメリットもたくさんあります。
温活の方法は様々ありますが、体を冷やしすぎないよう、肌の露出をしすぎない、ひざ掛けや靴下を着用する、体を温める食べ物や飲み物を飲む、適度な運動を心がけるなどがあります。これらの方法は継続することで徐々に効果が現れます。ご自身に無理のない範囲で、生活に取り入れやすい行動からチャレンジしてみましょう。
日本産科婦人科学会では、妊娠を希望するにもかかわらず妊娠の成立がない場合を不妊としており、ASRM(アメリカ不妊学会)は1年、FIGO(国際産婦人科連合)は2年としています(※⑤)。
自分が気づいていないだけで、思いがけず子宮や卵巣系の疾患が見つかる可能性もあります。自分の健康状態や妊娠できる状態を知るという意味でも、産婦人科や不妊治療専門の病院を受診し、検査を受け、必要に応じて治療をすすめましょう。
なお男性不妊の原因も考えられるため、パートナーと一緒に受診することをおすすめします。
今回は妊娠確率について、年代別のデータや年齢が上がるにつれて妊娠確率が低くなる理由、妊娠確率を上げる方法について紹介しました。
健康上問題のない男女が避妊をせずに性交渉をした場合、1周期で妊娠する確率は20~30%が平均ですが、年齢が上がるにつれて妊娠確率は低くなります。
また男性も女性と同様、年齢が上がるにつれて精巣機能が低下し、精液量、精子正常形態率、精子運動率などが減少することで妊娠確率が減少すると言われています。
妊娠確率を上げる方法としては、タイミングをとらえることや生活習慣の改善、医療機関の受診、検査や治療があります。
【参考文献】
①Faddy MJ1, Gosden RG, Gougeon A, Richardson SJ, Nelson JF. Accelerated dis-ap pearance of ovarian follicles in mid-life: implications for forecast-ing menopause. Hum Reprod. 1992;7:1342-1346.
②HUMAN+改訂第二版 – 5 加齢と妊娠のリスク
③公益社団法人日本産科婦人科学会 – 1.妊娠適齢年令
④公益社団法人日本産科婦人科学会 – 9.タイミング
⑤公益社団法人日本産科婦人科学会 – 2.不妊症の定義・分類・治療法
ABOUT ME