性染色体異常が心配な方へ|種類・検査・相談先まとめ | DNA先端医療

性染色体異常が心配な方へ|種類・検査・相談先まとめ

更新日:2020.10.02

出生前診断

新型出生前診断で分からない障害―性染色体疾患について

性染色体異常と診断された、あるいは検査を前に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

性染色体異常は、染色体の数や構造の異常によって起こり、ターナー症候群やクラインフェルター症候群などの種類があります。適切な治療や支援を受けることで、生活の質を高めることが可能です。

この記事では、性染色体異常の種類・原因・検査・治療について解説します。出生前検査や遺伝カウンセリングを検討している方の参考にしてください。

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性染色体異常とは

新型出生前診断とは?メカニズムについて

性染色体異常とは、性別を決める染色体の数や構造に異常が起きた状態です。

人間の細胞には46本の染色体があります。そのうちの2本が、性別を決める「性染色体」です。女性は「XX」、男性は「XY」の組み合わせが正常です。この染色体の数が増えたり、欠けたりすることで、さまざまな症状が現れます。

常染色体異常との違い

染色体疾患を持つ出生時の疾患の種類
出典:昭和大学医学部産婦人科学講座/出生前診断 より
http://jsog.umin.ac.jp/70/jsog70/2-1_Dr.Sekizawa.pdf

46本の染色体は、「常染色体」44本と「性染色体」2本に分かれます。

常染色体異常の代表例はダウン症です。生命維持に関わる遺伝情報に影響するため、重篤な症状を伴うケースが多くあります。

一方、性染色体異常は症状が比較的軽い傾向があります。思春期以降に、不妊や発育の問題をきっかけに発覚するケースも少なくありません。

項目常染色体異常性染色体異常
代表的な疾患ダウン症・18トリソミーなどターナー症候群・クラインフェルター症候群など
症状の重さ重篤なケースが多い比較的軽いケースが多い
気づくタイミング出生時・出生前に判明することが多い思春期以降に判明することも多い
寿命への影響疾患によって大きく異なる平均寿命は一般の人と変わらない

モザイク型とは何か

モザイク型とは、正常な染色体を持つ細胞と、異常な染色体を持つ細胞が体内に混在している状態です。

受精卵が細胞分裂を繰り返す過程で、一部の細胞に染色体の異常が生じることで起こります。正常な細胞の割合が多いほど症状は軽くなる傾向がありますが、個人差があります。

NIPTは、母体の血液から胎盤由来のDNAを調べる検査です。胎盤と胎児本体の染色体の状態が異なる場合、検査結果が胎児の実際の状態と一致しないことがあります。これを「胎盤性モザイク」といいます。モザイク型は、NIPTだけでは正確に判断できないケースがある点を知っておきましょう。

性染色体異常が起こる原因

性染色体の異常による病気―新型出生前診断で分からない障害

性染色体異常が起こる原因は、主に下記の3つです。

  • 染色体分裂のエラー(不分離)
  • 母体年齢の影響
  • 親の染色体構造異常の遺伝

以下では、それぞれ詳しく説明します。

染色体分裂のエラー(不分離)

卵子や精子をつくるとき、細胞の中の染色体は2つに分かれます。この分裂がうまくいかないことを「不分離」といいます。

不分離が起きると、染色体が1本多い、または1本少ない卵子・精子ができます。その卵子や精子が受精することで、染色体の数に異常が生じます。これが性染色体異常の主な原因です。

母体年齢との関係

母体年齢が上がるほど、卵子の分裂エラーが起きやすくなります。そのため、高齢出産では性染色体異常のリスクが高まる傾向があります。

ただし、疾患によって母体年齢の影響は異なります。例えばターナー症候群は、母体年齢との関連がないとされています。一方、クラインフェルター症候群やトリプルX症候群は、高齢出産でリスクが高まることが知られています。 

なお、クラインフェルター症候群については、父親の年齢も発症リスクに関係する可能性が一部の研究で指摘されています。

遺伝との関係

性染色体異常の多くは、遺伝によって起こるものではありません。染色体分裂時の偶発的なエラーが原因のため、両親の染色体が正常でも発生します。

ただし、親が染色体の構造異常(均衡型転座)を持っている場合は、子どもに染色体異常が現れる確率が高まることがあります。過去に染色体異常のある子どもが生まれたことがある場合は、遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。

性染色体異常の種類一覧

代表的な性染色体異常には、下記の4種類があります。

  • ターナー症候群(45,X)
  • クラインフェルター症候群(47,XXY)
  • トリプルX症候群(47,XXX)
  • XYY症候群(47,XYY)

それぞれの特徴・症状・治療について説明します。

ターナー症候群(45,X)

ターナー症候群は、女性に起こる性染色体異常です。通常2本あるX染色体の1本が、全体または一部欠けた状態です。出生女児の約1,000〜2,500人に1人の割合で発生します。

主な症状は下記のとおりです。

  • 低身長(無治療の場合、平均身長は約138cm前後)
  • 二次性徴が現れない、または不完全
  • 翼状頸(首から肩にかけて皮膚がたるんだ状態)
  • 手・足の甲のむくみ
  • 心臓・腎臓の異常
  • 知的発達は一般的に正常だが、算数や体育など特定の分野に苦手が生じやすい

合併症として、中耳炎・難聴・糖尿病・骨粗鬆症・甲状腺機能低下症などが起こりやすいとされています。また、99%以上の方に不妊がみられます。

根本的な治療法はありませんが、低身長に対する成長ホルモン療法や、二次性徴を促す女性ホルモン療法が行われます。

出典:日本内分泌学会|ターナー症候群
出典:小児慢性特定疾病情報センター|ターナー(Turner)症候群 概要

クラインフェルター症候群(47,XXY)

クラインフェルター症候群は、男性に起こる性染色体異常です。通常「XY」の性染色体が「XXY」となり、X染色体が1本多い状態です。

出生男児500〜1,000人に1人の割合で発生するとされており、性染色体異常のなかで最も頻度が高い疾患です。症状が現れにくいことから、診断されないまま過ごすケースも少なくありません。

乳幼児期には目立った症状が現れないことが多く、思春期以降に下記のような症状が現れます。

  • 高身長・手足が長い
  • 精巣の発育不全
  • 女性化乳房
  • 無精子症・不妊

合併症として、メタボリックシンドローム・糖尿病・骨粗鬆症・乳がんなどのリスクが高まることが知られています。多くは知的発達は正常範囲ですが、言語発達の遅れや学習面の困難がみられる場合があります。

根本的な治療法はありませんが、男性ホルモン(テストステロン)の補充療法が行われます。無精子症の場合でも、治療によって子どもを授かる可能性があります。

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版|クラインフェルター症候群(47,XXY) 

トリプルX症候群(47,XXX)

トリプルX症候群は、女性に起こる性染色体異常です。通常「XX」の性染色体が「XXX」となり、X染色体が1本多い状態です。出生女児の約1,000人に1人の割合で発生します。

身体的な異常はほとんどなく、外見上では気づかれにくいことが特徴です。症状には個人差がありますが、下記のものがみられることがあります。

  • 言語発達の遅れ
  • 学習障害
  • 月経不順・不妊
  • 早発性卵巣不全

根本的な治療法はありません。言語発達の遅れには言語療法、学習面では教育的サポートを受けることが推奨されます。

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版|性染色体異常の概要 

XYY症候群(47,XYY)

XYY症候群は、男性に起こる性染色体異常です。通常「XY」の性染色体が「XYY」となり、Y染色体が1本多い状態です。出生男児の約1,000人に1人の割合で発生します。

症状は比較的軽く、多くの場合は診断されないまま生涯を過ごします。主な特徴は下記のとおりです。

  • 高身長
  • 言語発達の遅れ
  • 学習障害・ADHDがみられるケースがある

生殖能力については個人差があります。子どもを持てる方も多い一方で、一部では不妊がみられることがあります。不妊の検査をきっかけに診断されるケースもあります。

かつて「攻撃的な行動との関連」が指摘されましたが、現在ではその説は否定されています。

根本的な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。言語や学習面の問題には、言語療法や教育的サポートが有効です。

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版|47,XYY症候群 

性染色体異常が生活・発達に与える影響

遺伝子についてー新型出生前診断をより理解する

性染色体異常は、常染色体異常と比べて症状が軽い傾向があります。しかし、成長・発達・生殖機能などに影響が現れることがあります。

ここでは、性染色体異常に共通してみられる影響を説明します。

成長・健康・寿命への影響

性染色体異常があっても、寿命は一般の人とほぼ変わりません。命に関わる重い合併症が起きにくいことが、常染色体異常との大きな違いです。

ただし、疾患の種類によって下記のような影響が現れることがあります。

  • 低身長(ターナー症候群)
  • 高身長(クラインフェルター症候群・XYY症候群)
  • 心臓・腎臓などの臓器の異常(ターナー症候群)
  • 糖尿病・骨がもろくなる(骨粗鬆症)・甲状腺の病気などが起きやすくなる

定期的な検診で早期に発見できれば、多くの合併症は予防や管理が可能です。適切な治療を受けることで、一般の人と変わらない生活を送ることができます。

知的発達・学習面への影響

性染色体異常があっても、知的発達は多くの場合、正常の範囲内です。多くの場合は知的発達は正常範囲ですが、一部では知的発達の遅れや軽度知的障害がみられることがあります。

ただし、下記のような学習面での特性がみられることがあります。

  • 言葉の発達の遅れ
  • 読み書きの困難
  • 学習障害
  • 注意欠如・多動症(ADHD)

症状の程度には個人差が大きく、まったく影響が現れない人も少なくありません。言語療法や学校でのサポートを早めに受けることで、困難を軽くできる可能性があります。

思春期・生殖機能への影響

性染色体異常は、思春期の体の変化や生殖機能に影響を与えやすいことが特徴です。生まれたときには症状が現れにくいため、思春期以降に体の変化の遅れや不妊をきっかけに診断されるケースが多くあります。

主な影響は下記のとおりです。

  • 思春期の体の変化(二次性徴)が遅れる、または不完全(ターナー症候群・クラインフェルター症候群)
  • 性ホルモンの分泌が少なくなる
  • 不妊・妊娠しにくくなる

ホルモン補充療法などの治療によって、思春期の体の変化を促したり、生活の質を高めたりすることが可能です。不妊についても、医療的なサポートによって子どもを授かれる可能性がある疾患もあります。

性染色体異常の治療と支援

性染色体異常そのものを根本から治す方法は、現時点ではありません。しかし、症状に応じた治療や支援を受けることで、生活の質を高めることができます。

以下では、主な治療と支援の内容を説明します。

ホルモン療法

性染色体異常では、性ホルモンの分泌が少なくなることがあります。その場合、不足しているホルモンを補う「ホルモン補充療法」が行われます。

疾患ごとの主な治療内容は下記のとおりです。

  • ターナー症候群:低身長に対する成長ホルモンの注射と、二次性徴を促すための女性ホルモン療法
  • クラインフェルター症候群:男性ホルモン(テストステロン)の補充療法。思春期から開始し、骨を強くしたり男性らしい体つきを促したりする効果がある

ホルモン補充療法は症状を和らげるだけでなく、糖尿病や骨粗鬆症などの合併症の予防にもつながります。治療は長期にわたるため、定期的な検査を続けながら進めることが大切です。

不妊治療

性染色体異常では、妊娠しにくい状態になることがあります。ただし、医療的なサポートによって子どもを授かる可能性があります。

クラインフェルター症候群では、ホルモン補充療法では不妊は改善しません。精巣から精子を取り出す「顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)」という手術で精子を回収し、顕微授精と組み合わせることで、妊娠できる可能性があります。

ターナー症候群では、卵子提供による妊娠が選択肢のひとつとして検討されることがあります。ただし日本では実施施設が限られるため、事前に専門医へ相談することが重要です。

治療の選択肢や可能性は個人によって異なります。担当医や専門家に相談しながら、自分に合った方法を検討することが大切です。

学習・発達支援

性染色体異常では、言葉の発達の遅れや学習障害がみられることがあります。早めに適切なサポートを受けることで、困難を軽くできる可能性があります。

主な支援内容は下記のとおりです。

  • 言語療法:言葉の理解や発音を練習する
  • 学習支援:読み書きや計算など、苦手な分野を個別にサポートする
  • 療育:生活のなかで必要なスキルを身につけるための支援

症状の程度には個人差があります。どのような支援が合っているかは、専門家に相談して判断することが大切です。

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングとは、遺伝に関する疑問や不安を、臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーと一緒に整理するための相談です。主に下記のような内容を扱います。

  • 疾患の内容・症状・治療法の説明
  • 子どもへの遺伝リスクや再発の可能性の情報提供
  • 結婚・妊娠・出産に関する悩みへのサポート
  • 検査結果の受け止め方についての心理的支援

本人だけでなく、家族も一緒に相談を受けることができます。大学病院や小児専門病院の「遺伝子診療部」「臨床遺伝科」で受けられる他、DNA先端医療株式会社では認定遺伝カウンセラーによる電話相談も提供しています。体調が優れない妊婦さんや、他院でNIPTを受けた方も利用できます。

出典:DNA先端医療株式会社|アフターサポートサービス

性染色体異常の検査

性染色体異常を調べる方法には、出生前と出生後の検査があります。ここでは、妊娠中に受けられる代表的な検査について説明します。

NIPTで検出できる性染色体異常・できないケース

NIPTとは、妊婦さんの採血だけで胎児の染色体異常を調べる検査です。母体や胎児への負担が少なく、妊娠10週から受けることができます。

NIPTで検出できる性染色体異常・できないケースは下記のとおりです。

内容
検出できる※1ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群など
検出が難しい※2モザイク型の性染色体異常
検出できない微細な構造異常(一部の欠失・重複など)

※1 日本の認証施設では性染色体異常は対象外またはオプション扱いとなる場合があります。希望する場合は事前に施設へ確認してください。

※2 胎盤と胎児の染色体状態が異なる場合、正確に検出できないことがあります。

またNIPTはあくまでスクリーニング検査です。陽性判定が出ても実際には異常がない「偽陽性」のケースや、陰性でも異常が見つかる「偽陰性」のケースがある点も知っておく必要があります。

高リスク判定後の確定検査

NIPTで高リスク(陽性)と判定された場合、確定診断のために下記の検査が必要です。

実施時期精度流産リスク
羊水検査妊娠15週以降非常に高い精度 約0.3%
絨毛検査※1妊娠10〜12週非常に高い精度※2 施設・手法により異なる

※1 絨毛検査では、胎盤と胎児の染色体が異なる「胎盤性モザイク」が約1〜2%で起こることがあります。その場合は改めて羊水検査が必要になります。
※2 絨毛検査はごくまれ稀に胎盤の染色体が胎児の染色体と一致しないケースがあります。

どちらもお腹に針を刺して検体を採取する検査です。羊水検査は確定検査の主流ですが、絨毛検査は早い時期に受けられるメリットがあります。

確定検査を受けるかどうかは、遺伝カウンセリングを受けながら、納得のいく判断をすることが大切です。

まとめ|性染色体異常について正しく理解し、適切な検査・支援につなげよう

性染色体異常は、ターナー症候群やクラインフェルター症候群など複数の種類があります。常染色体異常と比べて症状が軽い傾向にあり、適切な治療や支援を受けることで、生活の質を高めることができます。

妊娠中に性染色体異常を調べたい場合、日本の認定施設のNIPTでは検査対象外となります。認証外施設では検査できる場合がありますが、施設によって検査項目や精度が異なります。NIPTで高リスク判定が出た場合は、羊水検査や絨毛検査による確定診断が必要です。検査を受ける前後には遺伝カウンセリングを活用しながら、正しい情報をもとに判断することが大切です。

性染色体異常に関する疑問や不安がある方は、専門家への相談を検討してください。DNA先端医療株式会社では、認定遺伝カウンセラーによる電話相談を提供しています。一人で抱え込まず、まずは気軽に相談してみてください。

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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