2024.10.02
妊娠
出産を希望している、または妊娠中の女性の中には、「キレイでいたいけど、妊娠線ができたらどうしよう」と不安な人もいるのではないでしょうか?
先輩ママの妊娠線の跡を見て、心配している人もいるかもしれません。
この記事では、妊娠線ができやすい人や箇所、できる原因、予防方法と妊娠線を消すための治療について解説します。これから妊娠線を予防したい人、すでにある妊娠線を消したい人は参考にしてみてください。
妊娠線とは妊娠中に腹部を中心に出現する傷のことです。
妊娠線は肉割れ線のことで、「ストレッチマーク」とも言われています。紫色のスイカのも縞模様のような傷ができるので、気になる人は多いでしょう。
妊娠線による傷は月日の経過とともに色が変化しています。傷のでき始めは赤紫色やピンク色です。出産後に月日が経つと傷の色は白色へと変化し、その後傷跡が萎縮していきます。妊娠線は時間の経過とともに少しずつ目立たなくなりますが、一度できた妊娠線が自然に消えることはありません。
妊娠中に妊娠線ができても命に関わるものではないですが、一生の傷として残るため、女性のQOLに影響を与えるとされています。
妊娠線は皮膚が急激に引っ張られることで、皮膚の奥で断裂することによって起こります。
皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」から成り立っており、妊娠中はお腹が大きくなり、皮膚の表面の「表皮」については、お腹の変化に合わせて伸びていきます。
しかしながら、「真皮」は伸びにくいため、表皮の伸びに追いつけず、裂けてしまい妊娠線ができます。
真皮は一度裂けると完全に戻ることがないため、妊娠後も妊娠線が残ってしまいます。
また、コラーゲンの生成が減少することでターンオーバーが抑えられてしまい、皮膚の再生が遅くなることも原因です。
妊娠線は皮膚の伸展による生理的な現象であり、痛みを感じることはありません。
妊娠線ができる原因には、皮膚の急激な伸展以外にも、体質やホルモンの影響もあります。母親や祖母に妊娠線がある場合、妊婦さんは体質的に妊娠線ができやすい可能性があります。
また妊娠中はステロイドホルモンの分泌量が増加します。ステロイドホルモンには皮膚の弾力性を失わせる作用があり、妊娠線ができやすくなります。
妊娠線はお腹にできるイメージが強いですが、実は、人によっては胸や腕、太もも、お尻にも現れることがあります。
お腹以外で、妊娠線ができやすい場所は下記が挙げられます。
お腹以外の場所も妊娠線ができる可能性があるので、注意しましょう。
妊娠線は妊娠6か月目頃からみられます。妊娠線の80%は妊娠中期にみられ、日本では初産婦の42.8%、経産婦の57.8に妊娠線がみられるというデータがあります。
ただ、妊娠が進むと赤ちゃんの成長とともにおなかのサイズも大きくなります。そのため妊娠後期に進むと、妊娠線の悪化がみられやすくなります。
お腹の線を見ると、妊娠線と思うかもしれませんが、「正中線」の可能性もあります。正中線とは、妊娠中にお腹にできるまっすぐ縦の線のことです。
場所はお腹のおへそ中心にでき、色は黒や茶褐色の線が多くなります。妊娠中の約7割の方に正中線がみられます。
正中線は一時的なメラニン増加や皮膚が薄くなることでできる線ですので、出産が終われば、どんどん薄くなっていきます。
しかし、皮膚の乾燥を放置すると皮膚へのダメージが大きくなります。色素沈着の悪化を招いてしまう恐れもありますので、注意しましょう。
お腹の妊娠線はよくみられる症状です。はじめて出産する女性の7割以上、出産経験のある女性の8割以上にみられることが分かっています。とくに妊娠線がみられやすいのが以下に当てはまる人です。
妊娠線ができるメカニズムには以下の要因が関連しています。
意外かもしれませんが、初めて妊娠している人よりも、妊娠経験がある人の方が、妊娠線ができやすくなります。経産婦は過去に妊娠により子宮の筋肉が伸展しやすく、お腹が大きくなるスピードが早いためです。
高齢で妊娠した人は、若い人よりも妊娠線ができやすい特徴があります。年を重ねるとともに、皮膚が伸びたり縮んだりする性質は低下したり、コラーゲンの生成が少なくなるためです。
加齢により皮膚の弾性が弱い状態あると、皮膚が伸びにくくなり、妊娠線ができるリスクが高くなります。
肥満ぎみの方は皮下脂肪が多い特徴があります。皮下脂肪は弾力性がないことから、伸びにくいことから妊娠線ができやすくなります。
双子以上の多胎妊娠の人は、妊娠線ができやすい特徴があります。多胎の赤ちゃんは単胎の赤ちゃんよりも小さく生まれることが多いですが、子宮に2人以上の赤ちゃんがいると、その分お腹が大きくなります。
例えば、双子を妊娠していると、1人の赤ちゃんを妊娠しているときよりも、お腹のが1.5倍ほど大きくなります。赤ちゃんの数が多い分、皮膚が伸びる必要があるため妊娠線がよくみられます。
やせ型の人は普通の体格の人と比較して、妊娠中の体重増加指導が多く設定されています。妊娠前と比較してみると、体型の変化が大きいため、妊娠線ができやすくなる可能性があります。
肌の水分量が少なくなると、皮膚の柔軟性が低下しやすくなります。妊娠にともなってお腹が大きくなっても、皮膚の伸びが追い付かずに妊娠線ができやすくなります。
月日の経過とともに妊娠線は目立たなくなりますが、完全に消えるわけではありません。そのため、妊娠線ができるのを予防することが大切です。
妊娠線をできにくくするためのスキンケアは以下です。
それぞれのポイントについてみていきます。
妊娠線を予防するためには、お腹や太ももなど妊娠線ができやすい部位のスキンケアを行いましょう。妊娠線ができやすい部位の肌が乾燥していると、皮膚の柔軟性が低下し、伸展しにくくなります。
妊娠線は急激に皮膚が引っ張られて断裂を起こすことでできます。妊娠線ができる前から、お腹や太ももをこまめに保湿することは、妊娠線を予防するために効果的です。
妊娠線対策のために肌の保湿をするには、クリームやオイルがおすすめです。
保湿というと化粧水を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、肌に塗った水分は蒸発してしまうので、油分の多いクリームやオイルの方が適しているでしょう。
近年では、妊娠線予防のための専用クリームも販売されていますが、自宅にあるものでもかまいません。クリームによる保湿だけで妊娠線が完全に予防できるわけではありませんが、皮膚の水分量が保たれることで、皮膚の柔軟性が維持されやすくなります。
ただ妊娠中はホルモンバランスの変化により、いつもより肌が敏感な状態になる人もいます。クリームやオイルによっては、肌に合わずに赤みやかぶれを起こることもあります。妊娠線予防のために保湿剤を使うときは、少量から塗ってみて、肌に異常が出ていないかを確認しましょう。
妊娠線の予防のために肌のお手入れするのであれば、妊娠線ができる前から行いましょう。妊娠線の予防目的でクリームやオイルを使うのなら、妊娠5か月目くらいのお腹がふっくらし始めた頃にスタートするのがおすすめです。
実際に肌を保湿するときは、入浴がよいでしょう。お風呂に浸かると肌の天然の保湿成分が流れやすくなるため、肌が乾燥しやすくなります。お風呂上がりにお腹や太ももにクリームを塗り、妊娠線を予防していきましょう。
妊娠線を予防するためには、お腹をマッサージする方法もあります。もともと皮膚は伸びたり縮んだりする器官です。ゴム風船が空気の量によって、伸びたり縮んだりするように、皮膚もまた体の大きさに合わせることができます。
妊娠中にマッサージをすることは、妊娠中のお腹の膨らみによって皮膚が急激に引っ張られるのを和らげることにつながります。ただし、マッサージで皮膚を強くこすりすぎると、色素沈着によるシミが現れる原因になります。
妊娠線予防のためにマッサージをするときは、保湿クリームを塗った後がよいでしょう。マッサージのしすぎは、シミだけでなくたるみの原因にもなるので強い力を加えるのは禁物です。
皮膚のケア以外にも、妊娠中に適切な体重管理をすることは、妊娠線の予防に役立ちます。妊娠線ができるのを防ぐために、妊娠中は以下のポイントを心がけてみましょう。
それぞれ解説していきます。
妊娠線は急激に皮膚が引っ張られることで現れやすくなります。妊娠中は体重増加が起こるものですが、体重が増えすぎると、その分お腹や太もも、バストのサイズが大きくなり、妊娠線ができやすくなります。
妊娠していると食欲が増す人も多く、過剰に体重が増えてしまう人も少なくありません。妊娠中は元々の体重に合わせて、適正な範囲で体重の増加を調節することは、安全な出産を目指すだけでなく、妊娠線の予防にとっても大切です。
妊娠前の体系別の体重増加の目安は次のとおりです。
妊娠前の体型(BMI値) | 妊娠中の体重増加の目安 |
やせ(18.5未満) | 12~15㎏ |
普通(18.5~25.0) | 10~13㎏ |
肥満(25.0以上30未満) | 7~10㎏ |
妊娠中に適度に体を動かすことは、妊娠線の予防だけでなく、妊婦さんの心身の健康を維持するのに役立ちます。特に、妊娠中は体重が増えやすいので、運動により皮下脂肪をつきにくくすることができます。
妊娠中はつわりや体重増加により、体に大きな負担がかかりますが、体調をみながらウォーキングやピラティスなど適度な運動を取り入れるようにしましょう。
ジムの運動プログラムの中には、マタニティビクスやマタニティ水泳など、妊婦さんの体に配慮したものもあります。ただし、妊婦さんは体調が変化しやすいため、ケガや事故には十分に気をつけましょう。
妊娠線をできにくくするためには、健康な肌を保つことが大切です。肌の栄養は毎日の食事から摂取するので、日々の食事内容にも気を付けましょう。
肌の健康のためには、良質なたんぱく質とビタミンを豊富に含む食材を摂取します。各栄養素の効果と多く含まれる食材は次のとおりです。
栄養素の種類 | 肌への効果 | 栄養素が含まれる食材 |
たんぱく質 | 皮膚の材料となる | 肉・魚・卵・乳製品・大豆製品 |
ビタミンA | 健康な肌を維持する | レバー・卵黄・うなぎ・人参・ほうれん草 |
ビタミンB | 肌のバリア機能を強くする | 赤み肉・ささみ・バナナ・パプリカ・さつまいも |
ビタミンC | 肌の水分保持力を高める、コラーゲンの生成を促す | ピーマン・キウイ・ブロッコリー・菜の花 |
ビタミンE | 抗酸化作用による炎症を和らげる | 卵・アーモンド・オリーブオイル・アボカド・かぼちゃ |
妊娠中にバランスの良い食事を取ることは、体重の増えすぎを予防する効果もあります。
妊娠中の腹帯は必ずしも必要なものではありませんが、急激な皮膚の伸びを抑えられます。腹帯を使用することで、お腹が支えられて、腰の負担を小さくするメリットもあります。
妊娠線の予防をしたい人は、キツ過ぎない腹帯やマタニティガードルの使用を検討してみるとよいでしょう。
妊娠線をしっかり対策したいなら、お腹が目立ち始める前から対策をしましょう。
妊娠線ができる時期は個人によって異なりますが、最も悪化しやすい時期は妊娠8か月頃です。
妊娠線の予防をしたい場合は、妊娠線ができる前の妊娠初期からスキンケアなどの対策を始めましょう。
体調の様子をみながらになりますが、お腹が大きくなる前の5〜6か月頃からスタートしてみるのがおすすめです。
自然には消えることのない妊娠線ですが、美容医療で妊娠線を改善することができます。具体的には、レーザーや微細な針などで、皮膚に微細な穴を開けて、肌の生まれ変わりを促す治療があります。
妊娠線に対する美容医療は保険適用がされませんが、すでに妊娠線がある方で、気になっている人は、妊娠線の治療を検討してみるのもよいでしょう。妊娠線を消す目的で受けられる美容医療は以下です。
フラクショナルレーザーは、レーザー照射により肌に微細な穴を開ける施術です。肌の入れ替えを促すことで、新しい肌に生まれ変わり、妊娠線による傷を目立たなくさせることができます。
ダーマペンは、先端に極細針の付いた器具を当てていく施術です。表皮から真皮にかけて微細な穴を開け、細胞の再生や修復を促すことができます。美容クリニックの中には、ダーマペンを肌に当てる前に、薬剤を肌に塗布するメニューもあります。
ダーマペンで針を刺すことにより、薬剤が真皮層まで届くことで、より高い効果を得ることができます。クリニックによって使用できる薬剤が異なるので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
炭酸ガス治療は、CO2を媒体にして増幅したレーザーを照射するものです。炭酸ガスレーザーは水に吸収されやすい性質があり、レーザー照射をすると、肌の水分に反応して組織を蒸散することができます。
妊娠線の治療では、炭酸ガスレーザーをドット状に当てることで、肌の生まれ変わりを促します。
上記で紹介した治療は、いずれも肌に微細な穴を開けて、肌の生まれ変わりを促すものです。1回の施術で妊娠線が消えるわけではなく、ある程度の効果を得るには複数回施術を受ける必要があります。
妊娠線は、妊娠や妊娠中の体重増加により、皮膚が急激に伸ばされることで、皮膚組織が断裂することで起こるものです。妊娠線ができるメカニズムには、さまざまな要因があり、遺伝的な体質や妊娠中のホルモンバランスも影響しています。
特に、以下の人は妊娠線ができやすい特徴があります。
一度妊娠線ができても、月日の経過とともに目立たなくなりますが、完全に消えることはありません。
妊娠線ができるのを防ぐために、妊娠中は以下のポイントに注意しましょう。
事前に妊娠線の対策をしてみてください。
参考:
23792645 研究成果報告書-KAKEN
腹部妊娠線の予防行動とQOLの関連
産前産後の美容とおしゃれ
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