2022.11.29
その他
毎月1回は女性にやってくる生理ですが、生理がこなくて不安になる、どうして遅れているか気になる、という思いは誰しも経験したことがあるのではないでしょうか?
今回は生理がこない、遅れる理由や対処法、病院受診の目安や時期について紹介します。
女性の月経は25~38日程度のサイクルで、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンの働きにより、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期を毎月繰り返しています。
月経期終了から排卵までの期間を指します。排卵に向け子宮内膜を厚くし、妊娠しやすい身体を作ります。13〜14日続くと言われています。
成熟した卵子と精子が出会うと妊娠できる時期です。16~32時間程度続くと言われています。
妊娠が継続できるよう、子宮内膜が厚くなる時期です。黄体とはプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌する役割があり、妊娠の継続を助けます。妊娠が成立していない場合は、黄体は退行し白体となります。12~14日続くと言われています。
妊娠が成立していない場合、ふかふかの子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに体外へ排出されます(月経)。妊娠が成立していた場合はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加し、妊娠の継続を助けます。
現代はスマートフォンアプリなどの発達などにより、毎月の生理周期を管理している方も多いかと思います。生理がこない理由として考えられる原因を紹介します。
生理がこない、遅れている場合に第一に思い浮かぶのは妊娠ではないでしょうか?妊娠の可能性がある性行為を行った場合はもちろん、コンドームの使用やピルを服用していても、100%妊娠していないとは言い切れません。
また、いわゆる「安全日」と言われる、妊娠の可能性が低い日に性交渉を行ったとしても、妊娠の可能性は十分にあります。
ストレスがたまると、脳から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、生理と深く関わりのあるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が抑制されます。
あまりにも過度なストレスは月経周期の乱れや生理がこない、生理の遅れにつながります。
不規則な生活や極端な睡眠不足、偏った食生活など、生活習慣の乱れにより月経周期が乱れる、生理がこない、遅れることがあります。
特に睡眠不足が続くと、自律神経の乱れによりホルモンバランスが崩れます。
過度のダイエットにより栄養不足となると、脳は妊娠よりも生命を維持させるための働きを優先させようとします。結果的に卵巣などの栄養が後回しとなり、生理の遅れにつながります。ホルモンバランスが崩れ、月経不順や無月経につながります。
またアスリートや激しいスポーツをする方にも多く、エネルギー不足とストレスなども合わさり、脳からホルモンが出なくなることによる無月経や、骨粗鬆症などにもつながります(※①)。
生理がこない病気の原因として考えられるのは、甲状腺の病気や卵巣や子宮の病気などが挙げられます。甲状腺ホルモンの分泌量は多くても少なくても生理がこない原因となり、バセドウ病や橋本病などがあります。
卵巣や子宮で考えられる病気には、子宮頸がんや子宮体がん、子宮筋腫などがありますが、初期は自覚症状がほとんどなく、発見が遅れることもあります。
低用量ピルとは低用量経口避妊薬のことで、避妊効果目的や月経困難症などの目的として使用されています。低用量ピルを服用している場合は、排卵を意図的に抑制しているため、月経量は少なく、出血期間も短くなります。低用量ピルの服用を中止すると、生理は再開します。
15歳以上18歳未満で初経の起こらないことは「初経遅延」、15歳以降に初経の発来があった場合には遅発初経、18歳を超えても初経が起こらないことを「原発性無月経」と呼びます(※②)。
3ヵ月以上生理がこないことは「続発無月経」無月経と呼ばれます。無月経の原因は体重減少に伴うものが最も多く、その他の理由としては高度肥満やスポーツトレーニングなどがあります(※③)。
40歳未満で卵巣機能が低下して無月経(月経が3ヶ月以上無い状態)となった状態を早発閉経(早発卵巣不全)といいます(※④)。100人に約1人の割合でいると言われており、
永久に月経が停止するタイプ(早発閉経)と低い頻度で排卵が起こるタイプがあります。原因は免疫のバランスの崩れや卵巣の手術、抗がん剤治療、放射線治療とも言われていますが、多くは原因不明です。
ストレスや生活習慣の乱れなどが月経周期に影響を及ぼしている場合、行動を変えることで改善する場合があります。生理がこない場合に、自分でできる対処法を紹介します。
ストレスがたまると自律神経やホルモンバランスの乱れにつながります。自分の好きなことをする、嫌なことを減らす、断る、意識してリラックスできる時間をとるなど、ご自身に無理のない範囲でストレスを解消してみましょう。
偏った食生活や極端に食事量が少なすぎることは、生理がこない原因となります。特に若い女性に多いのが、過度なダイエットで生理が遅れていることです。
日本産婦人科医会は、体重が標準体重(kg)=身長(m)2×22の85%以下になっている場合は栄養不足を疑って産婦人科の受診を推奨しています(※①)。
食事の摂取量が極端に少ない方は、1日の必要摂取カロリーを目安に食事量を考える、タンパク質や野菜、きのこ、海藻などを取り入れた、バランスの良い食事の摂取がおすすめです。
個人差はありますが、理想の睡眠時間は7時間程度、昼間に眠たさを感じない程度と言われています。また平日は短時間の睡眠で、休日にたくさん寝るという方法も、実はあまり身体に良くないと言われています。
毎日一定の時間に必要な睡眠時間を確保するよう、一度ご自身の生活全体を見直すのも良いかもしれません。
適度な運動は健康のためにも推奨されていますが、あまりにも過度な運動はエネルギー不足とストレスなども合わさり、生理がこないことにつながります。
スポーツ選手やアスリートでなくても、激しい運動や部活などで生理がこない場合もあります。
生理がこない場合、遅れている場合、自分でできる対処法と合わせて、病院を受診し医師の指示を仰ぎましょう。
妊娠検査薬で陽性の場合、妊娠の可能性が非常に高いです。生理予定日から2週間程度経過すると、赤ちゃんの胎嚢(赤ちゃんの袋)が確認できる時期となります。あまりに時期が早すぎると、赤ちゃんが確認できず、再度来院が必要ですので、生理予定日から2週間程度を目安に病院を受診しましょう。
また、逆に受診が遅すぎると、子宮外妊娠などの異所性妊娠を確認できず、最悪は命の危険性があります。陽性を確認した時点で、早めに病院受診をしましょう。
現在妊娠検査薬の精度は99%程度と言われており、正しく使用すると正確な結果が判定されます。
フライングで検査してしまった(指示された時期よりも早く検査薬を使用してしまった)などの場合は、1週間程度あけて再度検査薬を使用してみましょう。
妊娠検査薬で陰性が続き生理がこない場合は、2〜3ヶ月程度を目安に産婦人科を受診しましょう。
生理がこないことは、女性によってはラッキー、楽で嬉しいと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし生理がこない状態を放置し続けると、将来妊娠を希望したときの弊害になる場合や実は病気があったなどのリスクがあります。病院で必要な検査を受け、医師の指示に従うことをおすすめします。
【参考文献】
①公益社団法人日本産婦人科医会 運動部に入っています。健康管理で注意する点はありますか
②公益社団法人日本産婦人科医会 (1)原発性無月経の定義
③公益社団法人日本産婦人科医会 3. 思春期女子の月経異常-続発無月経
④一般社団法人日本内分泌学会 早発卵巣不全
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