2020.10.01
出生前診断

新型出生前診断(NIPT)を検討している人の中には、いつから受けられるか気になっている人もいるのではないでしょうか?この記事では、妊娠から出産までの流れや、新型出生前診断が受けられる時期について説明します。
妊娠中の経過やいつ検査を受けようか考えている人はぜひ参考にしてみてください。

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出生前診断を行うと万が一何らかの異常があった場合、妊娠中から治療を行うことができる場合があったり、出産後の環境を整えることができたりするなどのメリットがあります。また、産後にどのような経過をたどるのか情報を得たり、夫婦で心の準備をしたり、という期間も持つことができます。
出生前診断には、非確定検査と確定検査があります。非確定検査は、お母さんにもお腹の中の赤ちゃんにもリスクがほとんどなく受けることができます。しかし、非確定検査は検査精度が低いものもあり、診断を確定できるわけではないので陽性だった場合には、改めて確定検査を受ける必要があります。そのため、非確定検査は比較的早い時期に受けることが推奨されています。
検査の精度(感度)とは、実際にその病気にかかっている人を正しく陽性として検出できる確率のことで、感度が高ければ高いほど偽陰性(その病気にかかっているのにかかっていないと診断されてしまうこと)の可能性が少ないと言えます。

妊娠をした女性の体は、月日とともに急激な変化が現れます。妊娠が分かったときに、これからどのような体の変化があるのか気になる人も多いでしょう。ここでは、妊娠から出産までの流れについて説明します。
| 妊娠初期 (4~15週) | 外見の見た目はそれほど変化しませんが、以下のような症状が現れる傾向があります。 ・つわり ・お腹のハリ ・腰が重くなる ・便秘気味になる ・トイレが近くなる 妊娠が分かったら、お酒やタバコはやめるようにしましょう。特に妊娠8~11週は流産しやすい時期なので、生活に気を付けることが大切です。 ≪必要な手続き≫ 役所に妊娠届を提出して、母子手帳を受け取りましょう。 |
| 妊娠中期 (16~27週) | この時期から、妊娠の安定期に入ります。おなかの膨らみが少しずつ現れ、妊婦さんの体の負担を感じるようになる時期です。妊娠中期では、以下の症状が現れやすくなります。 ・貧血 ・手足や顏のむくみ この時期から出産や入院、育児に必要な物品を揃えるようにしましょう。 |
| 妊娠後期 (28~41週) | お腹の膨らみが大きくなり妊婦さんらしい体型になります。それにと もない体の負担もピークになる時期です。以下のような症状が現れやすくなります。 ・背中や腰の痛み ・胸やけ ・動悸や息切れ ・トイレが近くなる 里帰りや産前休暇に入る時期です。十分な栄養と睡眠を取って、お産に備えましょう。特に、臨月になったら安易に遠出しないことも大切です。 |
大まかな妊娠の流れが分かったところで、おなかの赤ちゃんの成長や発達について気になる人もいるでしょう。妊娠から出産までの胎児の様子について、細かく見ていきます。
| 妊娠4~7週 | 胎児の体ができ始める時期。心臓の動きが分かります。 ・身長2~3㎝ ・体重4g |
| 妊娠8~11週 | 胎児の内臓ができ始める時期です。超音波検査では動いているのが分かります。 ・身長8~9㎝ ・体重約30g |
| 妊娠12~15週 | 子宮内で胎盤が完成します。胎児の手指はできて、産毛が生える ・身長約15㎝ ・体重約120g |
| 妊娠16~19週 | 聴診器で心音が聞けるようになる。胎児の指には爪が生える。 ・身長約25㎝ ・体重約300g |
| 妊娠20~23週 | 子宮内でよく動くようになる。胎児のまぶたが開くようになり、顏に眉やまつ毛が生える。 ・身長約30㎝ ・体重約600g |
| 妊娠24~27週 | 胎児の脳が発達する。 ・身長約35㎝ ・体重約1,000g |
| 妊娠28~31週 | 胎児の聴覚が完成する。 ・身長約40㎝ ・体重約1,700g |
| 妊娠32~35週 | 胎児の性器が下降する。 ・身長約45㎝ ・体重約2,400g |
| 妊娠36~40週 | 胎児の内臓の神経が充実する。髪の毛が伸びてくる。 ・身長約50㎝ ・体重3,100g |
妊娠40週近くになったら、いよいよお産が間近です。お産の兆候には以下のものがあります。
お産が近づくと、羊水の入っている膜(卵膜)が子宮壁からはがれるため出血します。出血は粘液とともに排出されるのがおしるしです。形状は血が混じったようなおりものです。
卵膜が破れることによって起こります。人によっては、尿と区別がつかないケースもありますが、尿意があったかどうか、においがないかどうかで判断できます。
出産が近づくにつれて、子宮の収縮が始まります。最初は不規則な間隔で起こり、痛みも軽い傾向があります。本格的な陣痛が始まると、間隔が規則的になり痛みも強くなります。10分間おきに定期的に陣痛が続くと、いよいよ出産となります。
上記の症状が現れたら、病院へ連絡しましょう。実際に、出産が始まるのは子宮の入り口が10㎝まで広がってからになります。分娩時間の平均は、初産婦の方で1~2時間、経産婦の方で30分~1時間ほどです。また、人によっては数分で出産を終える方もいます。

非確定検査には、超音波検査と、母体血清マーカー検査、コンバインド検査、新型出生前診断があります。
超音波検査は、妊娠11~13週ごろに行う初期のお腹の赤ちゃんの状態をエコーを使って調べる検査です。通常の妊婦検査とは別に行うスクーリング検査で、赤ちゃんの成長や羊水の量などに加えて、心臓や脳、消化管などの主要臓器の異常の有無や四肢の異常の有無についてを検査します。また、NT検査という首の後ろのむくみを計測することで、染色体異常や心奇形の可能性についても診察します。
母体血清マーカー検査は、妊娠15週以降に行うお母さんの血液からお腹の中の赤ちゃんの染色体異常の有無の確率を算出する検査です。採血の結果だけでなく、お母さんの年齢や体重、妊娠週数、家族歴などが確率に影響をあたえることと、カットオフ値を基準として基準値よりも高い場合には陽性、低い場合には陰性と報告されるため検査精度としては80%程度と言われています。母体血清マーカー検査では、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、神経管閉鎖不全症(二分脊椎や無脳症など)の有無の確率を算出することができます。検査を行ってから結果が分かるまで2週間程度時間がかかります。
コンバインド検査は、妊娠11~13週に行う超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせて、21トリソミー、18トリソミーの確率を算出する検査です。超音波検査のみよりも精度が高いと言われていますが、検査の感度は83%程度と言われています。また、検査を行ってから結果が分かるまでに2週間程度の時間がかかります。
新型出生前診断(NIPT)は、妊娠10週以降にお母さんの血液からお腹の中の赤ちゃんのDNAのかけらを分析して染色体異常の有無を診断する検査です。検査できる疾患としては、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーです。感度が非常に高く99%の確率で診断結果が出ますが、確定検査ではないため陽性の診断があった場合には、羊水検査や絨毛検査などの確定診断を受ける必要があります。通常、検査を受けてから結果が分かるまでに2週間程度の時間がかかります。
当施設のNIPTでは検査の感度が99.9%と非常に高く、検査対象は21、18、13トリソミーに加えて、1~22番のすべての染色体、性染色体の数的異常と、染色体の構造異常の有無について調べることができます。通常のNIPT(13番、18番、21番のみ)よりも、より多くの染色体異常について調べることができ、しかも検査結果が分かるまでに最短で6日と早く検査結果を知ることができます。
その他にも万が一陽性であった場合には、確定検査である羊水検査の費用は全額負担であったり、無料の遺伝カウンセリングなどのアフターケアが充実しているという特長があります。

非確定検査を受けて陽性判定が出た場合には確定検査を行って診断をつける必要があります。確定検査には、絨毛検査と羊水検査の2種類があります。
絨毛検査は妊娠11~14週に受けることができる確定検査で、お腹に直接針を刺して胎盤の中にある絨毛細胞の組織をとってきて赤ちゃんの染色体異常の有無を調べます。絨毛検査は、子宮の中の胎盤の中に針を刺す必要があるため、胎盤の位置が関係していたり、胎児を受傷させてしまう可能性があったりして、赤ちゃんへのリスクが高い検査であると言えます。検査を行うことによって流産してしまう可能性は約1%(1/100)と言われています。また、検査時期が妊娠11週~妊娠14週と比較的早い時期であり、非確定検査の結果を受けてからだと検査を受けられる時期を過ぎてしまったり、しっかりと考える時間が持てなかったりするというデメリットがあります。
羊水検査は妊娠15~16週以降に受けることができる確定検査で、お腹に直接針を刺して羊水を採取し、赤ちゃんの染色体異常の有無を調べます。羊水検査も赤ちゃんへのリスクがありますが、絨毛検査と比較すると比較的手技も簡単で流産のリスクも約0.3%(1/300)とやや低いです。検査時期も妊娠15~16週以降であるため、非確定検査の結果を受けてから余裕をもって検査を受けることができ、確定検査として羊水検査を選択する方が多いと言われています。検査を行ってから結果が出るまでに2~3週間の時間がかかります。

新型出生前診断(NIPT)が行われるのは、妊娠10~22週という比較的早い段階で、受験できるというメリットがあります。検査結果が出るまで2週間ほどかかり、「陽性」または「陰性」で表されます。
新型出生前診断の目的は、あくまで出産前に赤ちゃんの健康状態を知ることにより、安全な妊娠管理や適切な養育環境を得ることです。一方で、新型出生前診断で赤ちゃんの先天異常の可能性が判明したときに、人工妊娠中絶を選ぶ人も少なくありません。
日本産科婦人科学会では、新型出生前診断によって安易な『命の選別』が行われることを避けるために、受検条件を設けています。新型出生前診断の受検条件は、学会から認可を受けている医療機関に適用されるもので、それ以外の医療機関には適用されるものではありません。
新型出生前診断そのものは妊婦さんの採血のみで終わる検査ですが、万が一陽性になったときに、どのような対応を取るか考えた上で、受検することが大切です。
新型出生前診断(NIPT)は妊娠10週目から受けることが可能ですが、検査結果が出るまでに2週間ほどかかります。最近では、認定外の医療機関でも気軽に受けられる検査です。記事内で紹介した妊娠や出産までの流れや、検査後の対応についてよく検討したうえで、受検するかどうか決めるようにしましょう。
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