更新日:2026.08.20
出生前診断

妊娠がわかったあと、出生前診断を受けるべきか迷っていませんか。周りに相談しにくく、何を基準に考えればよいかがわかりにくいテーマです。
出生前診断に共通の正解はありません。受けた場合と受けなかった場合の違いを知り、自分の判断軸を持つことで、納得して決められます。
この記事では、判断の4つのチェックポイント、公表されている受検状況、検査6種類の違い、迷ったときの相談先を解説します。

出生前診断を受けるべきかどうかに、すべての妊婦さんに当てはまる正解はありません。
こども家庭庁の委託事業として運営されている情報サイトでも、検査を受ける・受けないという選択や、検査結果が出たあとの意思決定に決まった答えはないと説明されています。正解がない理由は、大きく2つあります。
それぞれ見ていきます。
出生前診断に関心を持つきっかけや理由は、ご夫婦やご家族によって異なります。
あらかじめ知って出産までの準備を進めたいと考える方もいれば、知らないまま出産を迎えたいと考える方もいます。赤ちゃんについて詳しく知ることで感じられる意義は、一人ひとり違います。
どちらの考え方も否定されるものではありません。同じ検査であっても、ある家庭にとっては準備のための材料になり、別の家庭にとっては新たな迷いの原因になります。
出生前診断を受けるべきかは、ご自身とパートナーが何を大切にしたいかによって変わります。
出生前診断で調べられるのは、生まれつきの病気のうち一部です。
生まれつきの病気がある赤ちゃんの割合は約3〜5%で、染色体の病気はそのうち25%程度といわれています。つまり、生まれつきの病気の多くは染色体以外に原因があります。
調べられる範囲は検査の種類によっても変わります。胎児超音波検査では、脳や臓器の病気をすべて発見できるわけではありません。視覚や聴覚といった感覚器、神経発達に関する特徴なども、出生前検査ではわからないものが多く残ります。
検査で特徴が見つからなかった場合でも、赤ちゃんの健康がすべて保証されるわけではありません。受ければ不安がなくなるという前提が成り立たないため、受けるべきと一律に言うことはできません。

出生前診断を受けるべきか考えるときは、受けた場合と受けなかった場合で何が変わるのかを並べて比べると整理しやすくなります。違いは次の4つに分けられます。
| 得られること | 負うこと | |
|---|---|---|
| 受けた場合 | ・出産までに治療や支援の情報を集められる ・出産直後の治療に対応できる医療機関を選べる ・夫婦や家族で今後を考える機会を持てる | ・検査費用が自己負担になる ・結果が判定保留になることがある ・確定的検査には流産のリスクがある ・妊娠の継続を含む意思決定に向き合う |
| 受けなかった場合 | ・検査費用がかからない ・検査結果をめぐる意思決定に向き合わずに済む ・妊婦健診での経過確認は変わらず受けられる | ・妊婦健診では得られない情報を、妊娠中に得られないことがある ・出産直後の治療体制を事前に整えにくい |
それぞれ見ていきます。
出生前診断で赤ちゃんの状態を知る利点は、出産までに準備を進められることです。
こども家庭庁の委託事業として運営されている情報サイトでは、赤ちゃんの病気を早期に知ることのメリットとして、適切な医学的管理につなげること、そして心理的な準備や社会的な準備ができることが挙げられています。
出産直後に専門的な治療やケアが必要だとわかれば、それが可能な医療機関で出産できます。妊娠中から病気についての理解を深め、必要な治療や支援の情報を集めておくこともできます。
赤ちゃんの状態を知ることは、パートナーやご家族がこれからどのように過ごしていくかを考える機会にもつながります。
出生前診断を受けると、費用の負担と、結果を受けたあとの判断が生じます。
出生前検査はいずれも自費診療で、費用は医療機関によって異なります。また、NIPT(新型出生前診断)や母体血清マーカー検査などは、確定的検査を受けるかどうかを判断するための検査です。陽性という結果が出ても、必ずしも染色体の病気があるとは限りません。
結果が確定せず、判定保留になることもあります。2024年度に認証施設で行われた初回検査では、354件が判定保留でした。この場合は、再検査や確定的検査を検討することになります。
確定的検査に進む場合は、お腹に針を刺すため流産のリスクがあります。
結果が出るまでの期間や、妊娠を継続するかどうかを含む判断は、心理的な負担になることがあります。
出生前診断を受けない選択にも、得られるものがあります。
出生前診断は自費診療のため、受けなければ検査費用の負担は生じません。検査結果をめぐる意思決定に向き合うことなく、出産までの時間を過ごすこともできます。
出生前診断を受けない場合でも、妊婦健診は変わらず受けられます。妊婦健診では妊婦さんと赤ちゃんの健康状態が定期的に確認されるため、経過を見守る手段がなくなるわけではありません。
検査を受けないという判断は、赤ちゃんのことを考えていないという意味にはなりません。
出生前診断を受けない場合、妊娠中に得られる赤ちゃんの情報は妊婦健診の範囲にとどまります。
出生前診断では、妊婦健診では見つからない病気がわかることもあります。受けない場合、この範囲の情報は妊娠中には得られません。
そのため、出産直後から専門的な治療が必要な状態だったとしても、対応できる医療機関をあらかじめ選んだり、治療や支援の情報を集めたりする準備は進めにくくなります。
この負担をどの程度重く感じるかは、何を優先したいかによって変わります。

出生前診断を受ける人がどれくらいいるかは、公表されている統計からその一部を知ることができます。
ただし、日本全体の受検率は算出できません。NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)の実施状況を集計しているのは認証施設のみで、認証を受けていない施設の件数は含まれないためです。
公表されているデータを2つに分けて整理します。
それぞれ見ていきます。
認証施設でNIPTを受けた妊婦さんは、2024年度に63,408人でした。集計の対象期間は2024年4月1日から2025年3月31日まで、対象施設は認証基幹施設178か所と認証連携施設384か所です。
同じ年度に検査分析機関が報告した検査総数は64,049件です。この数には、判定保留による再検査が含まれます。
参考として、2024年の出生数は686,173人でした。認証施設での受検数はその1割弱にあたりますが、これは受検率ではありません。認証外の施設で受けた人や、NIPT以外の検査を受けた人が含まれていないためです。
NIPTを受けた人の年代は、30代が中心です。
2024年度に認証施設で実施された検査64,049件の年齢分布は、次のとおりです。
| 年齢 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 〜19歳 | 10件 | 0.0% |
| 20〜24歳 | 531件 | 0.8% |
| 25〜29歳 | 8,358件 | 13.1% |
| 30〜34歳 | 21,139件 | 33.0% |
| 35〜39歳 | 24,222件 | 37.8% |
| 40歳以上 | 9,789件 | 15.3% |
30〜34歳と35〜39歳を合わせると、検査件数全体の70.8%を占めます。
この割合は、検査を受けた人の内訳を示すものです。たとえば35〜39歳の37.8%は、検査を受けた人を100人集めると、そのうち約38人が35〜39歳だったという意味です。35〜39歳の妊婦さんのうち37.8%が検査を受けた、という意味ではありません。
出生前診断を受けるべきかは、周りの人が受けているかどうかで決まるものではありません。年代ごとの傾向は、判断材料のひとつとして見ておく程度で十分です。
出典:
出生前検査認証制度等運営委員会|令和6年度(2024年度)実施状況報告
厚生労働省|令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況

出生前診断を受けるべきか迷ったときは、判断を4つに分けて確認すると整理しやすくなります。
| 確認すること | YES/NO | NOのときの次の一歩 |
|---|---|---|
| 検査結果を知って何をしたいかを言葉にできる | 不安の中身を書き出して整理する | |
| パートナーと検査の内容について話し合った | 検査の種類と内容を二人で確認するところから始める | |
| 陽性だった場合にどうするかを話している | 検査日より前に、二人で話す時間をつくる | |
| 受けたい検査の時期と費用を確認した | 今の妊娠週数で受けられる検査を調べる |
それぞれ見ていきます。
最初に確認したいのは、検査結果を知って何をしたいのかです。
こども家庭庁の委託事業として運営されている情報サイトでは、遺伝カウンセリングを受ける前の準備として、次の3つを見つめ直して整理することがすすめられています。
これらは、出生前診断を受けるべきかを自分で考えるときにもそのまま使えます。
不安の中身が「出産までに準備を整えたい」なのか「今感じている心配を軽くしたい」なのかによって、必要になる行動は変わります。言葉にしてみることで、自分にとって検査が必要かどうかを判断しやすくなります。
出生前診断を受けるかどうかは、最終的に妊婦さん本人の意思が尊重されます。そのうえでパートナーや家族と話し合っておくと、結果が出たあとの受け止め方が変わります。
信頼できる情報源から正確な情報を手に入れたうえで、情報だけでなく自分の気持ちも伝えて話し合うことが大切です。
話し合いの順番を決めておくと進めやすくなります。まず検査の種類と内容を確認します。次にお互いがどう感じているかを伝え合います。そのうえで、受けるかどうかを考えます。
意見がそろわないこともあります。無理に結論を一致させる必要はなく、お互いの考えを知っておくことに意味があります。
検査を受ける前に陽性だった場合について一度考えておくと、結果を受け取ったときに落ち着いて判断しやすくなります。検査の前に結論を出しておく必要はありません。
妊娠・出産にあたっては、出生前診断を受ける・受けないだけでなく、妊娠の継続や出産方法についても意思決定が必要になることがあります。「なにがよい決定なのか」「だれにとってよい決定なのか」と迷ったり、難しく感じたりすることも少なくありません。
検査結果の説明は、検査を受けた医療機関の遺伝カウンセリングのなかで行われます。陽性だった場合も、自分たちだけで判断を進めるわけではありません。
あらかじめ話しておきたいのは、陽性なら確定的検査に進むかどうか、そして誰に相談するかの2点です。結論を出す必要はありませんが、考えを共有しておくと結果が出てからの動きが変わります。
現実に選べる検査は、妊娠週数と予算によって絞られます。
同サイトでは、出生前検査の検討は、どのような検査があり何を調べられるのか、妊娠何週のときに受けられるのかを知ることから始まると説明されています。
検査ごとに受けられる時期は決まっています。検討を始めるのが遅くなるほど、選べる検査は少なくなります。
費用も検査の種類や医療機関によって変わります。希望する検査の時期と費用を早めに確認しておくと、時期を逃さずに判断できます。

出生前診断を受けると決めたら、次は検査の種類を選びます。染色体の病気を調べる検査は、診断が確定する確定的検査と、確定的検査を受けるかどうかを判断するための非確定的検査に分かれます。これとは別に、赤ちゃんの体のつくりを観察する胎児超音波検査があります。
主な検査は次の6つです。
それぞれ見ていきます。
NIPTは、妊婦さんの血液に含まれる赤ちゃんのDNAの断片を分析する検査です。新型出生前診断とも呼ばれます。
妊娠9〜10週以降に、10〜20mlの血液を採取します。結果を受け取るまでの日数は1〜2週間です。認証施設での検査対象は、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つです。
認証を受けていない施設では、これ以外の項目を扱っている場合があります。こども家庭庁の受検者調査(2023年実施、有効回答1,227人)では、非認証施設で受けた人のうち、性染色体の病気を調べた人が50%、すべての染色体領域を調べた人が19%でした。
採血で行うため、検査そのものによる流産のリスクはありません。
関連記事:NIPTでわかる3つの染色体異常|疾患の特徴を解説
胎児超音波検査は、赤ちゃんの体のつくりに特徴がないかを調べる検査です。
妊婦健診で行う超音波検査とは、目的も実施する人も異なります。胎児超音波検査は、専門的な訓練を受けた医師や検査技師が、時間をかけて赤ちゃんの全身を観察します。
調べる範囲は、心臓病、脳の病気、口唇口蓋裂、横隔膜ヘルニア、消化管の閉鎖、腎臓や膀胱の病気、手足の形や指の本数など多岐にわたります。実施時期は施設によって異なり、産科診療ガイドラインでは妊娠10〜13週・18〜20週・28〜31週とする報告が多いとされています。
見つかった所見について、病気があるとはっきり言える場合と、そうは言えない場合があります。病気によっては確定的検査にもなり得ます。
超音波マーカー検査は、妊娠11〜13週に超音波検査を行い、病気がある可能性の高さを調べる検査です。
調べる対象は、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つです。コンバインド検査は、この超音波マーカー検査に妊娠初期の母体血清マーカー検査を組み合わせたものです。
結果を受け取るまでの日数は、即日から2週間程度です。
可能性の高さを調べる検査のため、この結果だけで病気があるかどうかは決まりません。
母体血清マーカー検査は、妊娠15〜20週に採血し、血液中の物質のバランスから病気の可能性の高さを調べる検査です。
α-フェトプロテイン、hCG、エストリオール、インヒビンAなどの物質を測定します。調べる対象は、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形の3つです。
結果を受け取るまでの日数は、10日から2週間程度です。
スクリーニング陽性という結果は、病気があると確定したものではありません。陽性となった人の中には、実際には病気がない人が多く含まれます。
関連記事:クアトロテストとNIPTの違いを正しく理解して検査を選ぼう
絨毛検査は、妊娠11〜14週にお腹へ注射針を刺し、胎盤の一部である絨毛を採取する検査です。
ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーのほか、性染色体の病気など、さまざまな染色体の病気があるかないかがはっきりわかる確定診断となります。結果を受け取るまでの日数は、おおむね2〜3週間です。
針を刺すため、流産のリスクがあります。その確率は0.1%ほどとされています。推計値は算出方法によって幅があり、資料によって異なる数値が示されています。
関連記事:絨毛検査とは?検査方法・時期・リスクを羊水検査と比較して解説
羊水検査は、妊娠15〜16週以降にお腹へ注射針を刺し、羊水を採取する検査です。
絨毛検査と同じく、さまざまな染色体の病気があるかないかがはっきりわかる確定診断となります。ただし、同じ染色体の病気でも、症状の重さの程度まではわかりません。結果を受け取るまでの日数は、おおむね2〜3週間です。
針を刺すため、感染や出血が起きることがあります。流産のリスクは0.1〜0.3%程度とされています。

出生前診断を受けるべきか自分たちだけで決められないときは、専門家に相談できます。相談先は主に3つです。
それぞれ見ていきます。
最初の相談先は、妊婦健診でかかっている産婦人科です。
こども家庭庁の委託事業として運営されている情報サイトでは、出生前検査に関する相談をしたいときは、まずかかりつけの医療機関に相談することがすすめられています。
出生前診断を希望する場合は、その医療機関で検査を実施しているかをあわせて確認します。実施していない場合でも、受けられる施設について情報を得られることがあります。
判断が難しいときは、担当医に相談するほか、出生前検査を実施している施設に直接相談する方法もあります。
遺伝カウンセリングは、赤ちゃんの検査や生まれつきの病気に関する妊娠・出産への不安について相談できるものです。
「遺伝」とついていますが、ダウン症(21トリソミー)のように多くは遺伝しない病気についても相談できます。検査を受けると決めていない人や、認証施設で出産しない人でも受けられます。
担当するのは、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、遺伝看護専門看護師などの専門家です。費用は医療機関によって異なります。
実施している医療機関は、「全国遺伝子医療部門連絡会議」のウェブサイトで検索できます。
関連記事:出生前診断の遺伝カウンセリングとは?費用と内容を解説
医療機関以外にも相談できる窓口があります。
都道府県・指定都市・中核市には、出生前検査を受けた方への相談支援を行っている地域があります。全国の「性と健康の相談センター窓口」から探せます。
同じ立場にある人が情報提供や相談に応じるピアサポートもあります。当事者団体や親の会が窓口を設けており、電話やオンラインで相談できる団体もあります。
出産後の暮らしや心配ごとについて具体的に知りたいときの相談先になります。
出典:妊娠中の検査に関する情報サイト(こども家庭庁委託事業)|出生前検査とは?
出生前診断を受けるべきかに、すべての妊婦さんに当てはまる正解はありません。何を大切にしたいかによって、結論は人それぞれ変わります。
判断に迷ったときは、次の4つを確認してみてください。
検査には受けられる時期があるため、迷っている段階でも情報だけは早めに集めておくと選択肢が狭まりません。かかりつけの産婦人科や遺伝カウンセリング、自治体の相談窓口は、受けると決めていなくても利用できます。
パートナーや家族と話し合いながら、最後はご自身が納得できる形で決めていきましょう。
検査でわかること、受けられる時期、費用を確認したいときは、DNA先端医療株式会社にご相談ください。認定遺伝カウンセラーによる無料電話相談を受け付けており、受けると決めていない段階からのご相談も承っています。
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