2023.02.09
その他
「ブライダルチェック」という言葉を聞いたことがありますか?結婚を考えている方や、結婚後に身体のために受けようと思う方もいらっしゃるかもしれません。
今回はブライダルチェックについて、一般的な検査内容や検査費用、受ける時期などについて紹介します。
ブライダルチェックとは、妊娠や出産に影響する病気や感染症がないかを中心に、身体のことを調べる検査を指します。
これまでは結婚前の女性がブライダルチェックを受けることが多かった傾向にありますが、現在は結婚前に限らず、将来的に妊娠や出産を希望する場合は、受ける方が多い検査になっています。
また女性だけでなく、男性もブライダルチェックを受ける方が年々増加しています。不妊の原因別頻度では、男性不妊が32.7%(※①)というデータもあり、妊娠や出産は女性だけでなく、パートナーと2人ですすめるものという考えが普及してきたことが要因の一つとして考えられます。
またブライダルチェックは妊娠・出産に影響がある項目を中心に検査していきますが、病気の早期発見にもつながるというメリットもあります。病気の早期発見・早期治療という観点からも、男女ともにブライダルチェックを受ける方は増加傾向にあります。
ブライダルチェックの検査内容は病院によって異なります。また自分の身体の状態や希望に応じて検査項目を選択できる病院もあります。
ここでは、一般的に共通しているブライダルチェックの検査内容を紹介します。
膣内や子宮口、子宮や卵巣を調べる検査です。超音波検査では、膣内に超音波検査器具を挿入し、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍や頚管ポリープといった異常などがないかを確認します。
子宮頸がんの早期発見・早期治療を目的とした検査です。子宮頸がんは子宮の入り口付近に発生することが多く、早期発見すれば比較的治療しやすいがんであると言われています(※②)。
検査方法は細胞診で、子宮頸部(子宮の入り口部分)をこすりとり、細胞を採取します。痛みはほとんど感じなかった、少し痛かったが我慢できないほどではなかったと感じる方がほとんどのようです。子宮頸がんの検査結果によってはハイリスクHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を行うこともあります。
風疹(ふうしん)の抗体があるかを調べる検査で、血液検査により抗体を調べることができます。
妊娠中に風疹にかかると胎児への感染リスクがあります。胎児が感染すると様々な疾患(身体や精神の発達の遅れ、心疾患、白内障・緑内障、聴覚障害など)の可能性が高まります。また世代(昭和54年〜昭和62年生まれの女性)によっては風疹の予防接種が普及していない場合もあるため、抗体の検査が大変重要です。
抗体がない場合は風疹ワクチンを打つことで免疫を獲得することができます(※ワクチン接種後は2ヶ月程度の避妊が必要です。)
麻疹(ましん)は一般的にはしかと呼ばれ、風疹と同様、血液検査により抗体があるかを調べることができます。
妊娠中に麻疹にかかると重症化しやすく、流産や早産のリスクもあります。風疹と同様、ワクチンによって免疫を獲得することができます(※ワクチン接種後は2ヶ月程度の避妊が必要です)。
感染症(梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎など)を調べる検査で、血液検査により調べることができます。これらの感染症は妊娠中に胎児に感染する可能性があるため、ブライダルチェックで検査することが多い項目となっています。
クラミジアや淋菌、トリコモナスなどの検査をするため、おりものを採取します。これらは自覚症状がないことも多く、特にクラミジアは不妊症の原因になる可能性があるため、妊娠・出産のためにも早期発見・早期治療が重要です。
甲状腺に異常がないか、血液検査で調べます。甲状腺の異常は妊娠・出産を考える年齢にも多く見られます。甲状腺機能亢進症の代表的な病気の1つであるバセドウ病や、甲状腺機能低下症の代表的な病気の1つである橋本病などがあります。甲状腺の異常は妊娠に影響があり、また流産の原因になる可能性があります。
婦人科系のホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)やテストステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)などの値を調べます。
・プロゲステロン(黄体ホルモン):妊娠しやすい身体を作るためのホルモンです。受精卵が着床できるよう、子宮内膜をふかふかにする働きがあり、一般的に排卵日を過ぎると分泌量が増加します。
・テストステロン:一般的には男性ホルモンとして知られていますが、女性にも必要なホルモンですが、テストステロンが過剰に分泌されることが原因の1つである多嚢胞性卵巣症候群などもあるため、注意が必要です。
・卵胞刺激ホルモン(FSH):卵胞を育てるホルモンで、ホルモンの分泌が少なくなると無月経や不妊の原因となります。
・黄体形成ホルモン(LH):排卵を促すホルモンです。分泌が少なくなると黄体機能不全となり、着床がしづらくなります。
一般的に、ブライダルチェックは保険適用外となります(症状がある項目は保険適用の対象となる場合もあります)。
検査費用は病院や受診した検査項目によって異なりますが、費用相場の目安は15,000~30,000円程度となります。
費用は検査項目によっても異なりますので、チェックしたい項目や自分の健康状態、自分の予算を病院と相談しながら、自分にあった項目の検査を受けることをおすすめします。
また自治体によっては、検査費用に対して助成金の制度を設けていることもあります。適用条件や助成金の金額は自治体によって異なりますので、お住まいの地域で確認してみましょう。
以前は結婚前に受けることが多かったブライダルチェックですが、現在では以下のようなタイミングで受ける方も増えています。
ブライダルチェックは病気の早期発見や早期治療にもつながります。またブライダルチェックは妊娠する・しないの検査だけではなく、妊娠後の母子感染に関する疾患や流産などのリスクについても検査することができます。
ブライダルチェックは一度受けて終わりではなく、異常があれば治療を、またブライダルチェック項目に異常がなくても、身体の悩みや月経の悩みを相談する、かかりつけ医としても活用することができます。
結婚や妊娠を希望している場合など、人生の節目をきっかけに受けることはもちろん、自分の身体の状態を知るためや、自分の身体のチェックやメンテナンスとして、健康診断のような感覚で受けることもおすすめです。
今回の記事では、ブライダルチェックについて、一般的な検査内容や検査費用、受けるタイミングについてお伝えしました。
妊娠や出産に影響する病気や感染症がないかを中心に、身体のことを調べる検査をブライダルチェックといいます。
以前は結婚を希望する女性が受けることの多かった検査ですが、近年は男性も受ける方が増加しており、病院や身体の状態、希望によって検査項目は異なります。
ブライダルチェックは一般的に保険適用外ですが、自治体によっては助成金制度がある場合もあります。ブライダルチェックは結婚前に受ける以外にも、将来的に妊娠・出産を望んでいる方や、自分の身体のチェックがしたいときに受けることもおすすめです。ブライダルチェックを受け自分の身体に向き合い、状態を知ることは病気の早期発見・治療にもつながります。
※引用・参考文献
①日本受精着床学会 倫理員会:非配偶者間の生殖補助医療に関する不妊患者の意識調査. 日本授精着床学会誌. 2004; 21: 6-14
②がん情報サービス 子宮頸がんについて
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