2025.01.21

妊娠

お産前に子宮口が開かない原因は?妊婦さんができる対策を解説

予定日前後になっているのに、十分に子宮口が開かずあせっていませんか?お産の進行には、適切な陣痛にともない子宮口が開いていく必要があります。この記事では、お産前に子宮口が十分に開かない原因や妊婦さんが取り組める対策について解説します。

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子宮口の開き具合からみたお産の流れ

子宮口が開くときは、お産が始まるサインです。詳しい流れについてみていきましょう。

お産の前兆がみられる妊娠後期

妊娠後期で出産が近づくと、おしるしや前駆陣痛といったお産の兆候がみられるようになります。おしるしは、お産前に卵膜が破れることで生じる少量の出血で、前駆陣痛は陣痛前に起こる不規則で弱いお腹の張りです。

お産が近づくとホルモンの影響で子宮口が柔らかく、短くなり少しずつ開いていきます。これにともない、おなかの赤ちゃんも骨盤内に降りてきます。

子宮口が開大する「分娩第1期」

分娩第1期では、陣痛開始から子宮口が全開するまでの時期です。陣痛が1時間に6回以上または10分おきに規則的に起こると、陣痛開始となります。子宮口は赤ちゃんが降りてくるともに、少しずつ開いていきます。

分娩第一期の所要時間は、初産婦さんが10~12時間、経産婦さんは4~6時間ほどです。経産婦さんのなかには、一気に子宮口が開く人もいます。

赤ちゃんが生まれる「分娩第2期」

お産の山場となるのが、赤ちゃんが生まれる分娩第2期です。この時期では、子宮口が全開する前後で破水が起こります。初産婦さんでは、1.5~2時間、経産婦さんでは0.5~1時間ほどかかります。

胎盤が出る「分娩第3期」

分娩第3期は胎盤の娩出が行われます。初産婦さんは15~30分、経産婦さんは10~20分ほどかかります。胎盤が娩出されると、お産は終了となります。その後、子宮が元の大きさに戻ろうと収縮が起こり、痛みをともなう後陣痛が数日続きます。

出産前に子宮口が開かない原因

赤ちゃんが生まれてくるには、子宮口が十分に開いている必要があります。子宮口が開くには、規則的で一定の強さの陣痛がある、赤ちゃんの向きが正しい、産道が柔らかいといった条件が必要です。

一方、子宮口がなかなか開かないと、お産がスムーズに進みません。子宮口が開きにくい原因には次のものがあります。

微弱陣痛

微弱陣痛とは、陣痛が弱いまたは短い、または間隔が長いものをいいます。子宮収縮がうまくいかない原因には、羊水過多、赤ちゃんの向きが悪い、赤ちゃんが大きい、妊婦さんの疲労などがあります。

軟産道強靭

軟産道は子宮から会陰まで続く、赤ちゃんの通り道です。お産が近づくと、軟産道が柔らかくなり伸展するようになります。お産時に軟産道の熟化が進まず、赤ちゃんの娩出が難しくなることがあります。

軟産道強靭の原因には、子宮頚管の熟化不全、子宮筋腫、高齢出産や肥満が挙げられます。

初産婦である

初産婦や経産婦よりも、分娩第一期も時間がかかるように、子宮口が開大するまで時間がかかります。子宮口が開いていくともに陣痛も強くなっていきますが、子宮口が全開するまではいきまないようにしましょう。

子宮口が開かないときにできる対策

子宮口が開いていく分娩第1期は、過ごし方のポイントがあります。お産の進行に配慮した妊婦さんの過ごし方は次のとおりです。

食事でエネルギーを補給する

妊婦さんがエネルギー不足であると、子宮口が開きにくくなることがあります。お産のなかでも分娩第1期は時間がかかる時期です。陣痛の合間におにぎりやプリンなどを食べて、エネルギーを補給しましょう。

休息や睡眠を取りリラックスする

分娩第一期は、妊婦さんがリラックスしていることも大切です。子宮口が開大するまでは時間がかかりますが、休息や睡眠をとり疲労回復に努めましょう。心身をリラックスさせるために、好きな音楽をかけたり、好みの香りを嗅いだりするのもおすすめです。

適度に体を動かす

子宮口がなかなか開かないときは、適度に体を動かすようにしましょう。近くを散歩したり、手すり棒で体を支えながら軽くスクワットしたりするのも効果的です。

足浴をする

足浴を行うと全身の血液の巡りが良くなるため、良い陣痛を引き出すことが期待できます。子宮口がなかなか開かない人は、医療スタッフに足浴を頼んでみるのもよいでしょう。破水が起こる前であれば、シャワーを浴びることもできます。

お産に備えるために妊娠中から始めたいケア

お産をスムーズに進めるのなら、出産前だけでなく妊娠中から対策することも大切です。お産時に子宮口の開大に役立つ方法は以下です。

妊娠中の体重管理

妊娠中に体重を増やしすぎると、微弱陣痛や軟産道強靭などの要因になり、子宮口が開きにくくなることあります。妊娠中の肥満は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症など妊婦さんの健康に加え、赤ちゃんにも影響を及ぼします。妊娠中は早い段階から適切な体重管理を行うようにしましょう。

適度な運動

妊娠中は強度の強い運動は行えませんが、適度な運動は妊婦さんの体力の維持やストレス発散に役立ちます。ウォーキングなどの全身運動やマタニティビクスなど妊婦さん向けの運動を取り組んでみると良いでしょう。

子宮口が開かないときに行われる医療処置

子宮口が開かず、お産が進行しないときは次の医療処置が行われることがあります。

内診による卵膜剥離

卵膜剥離は、内診で医師が指を入れて卵膜に刺激を与える方法です。内診時に子宮開大を助けるための器具(ラミナリアやミニメトロ)を挿入することもあります。いずれの処置も妊婦さんが強い痛みを感じることはありません。

陣痛促進剤の投与

微弱陣痛により子宮口が開きにくいときは、陣痛剤を投与します。お産が長引くと、赤ちゃんへのストレスもかかり、妊婦さんも疲弊してしまうためです。陣痛促進剤の投与は、内服または点滴を行います。

帝王切開の実施

陣痛促進剤を投与してもお産が進まない場合は、帝王切開が選択されることがあります。帝王切開とは、手術で妊婦さんのお腹を切開して、子宮から直接赤ちゃんを取り出す方法です。

無痛分娩の場合は待つことも

無痛分娩は、妊婦さんの背中から麻酔を投与して、陣痛を軽減させてから行う分娩方法です。無痛分娩で麻酔薬を投与するのは、子宮口が3~5cmに開いたときです。子宮口が十分に開いていない場合は、開大まで待つことになります。

まとめ

お産は、本格的な陣痛が始まり、子宮口が全開することで赤ちゃんが生まれてきます。出産の滞りを避けるためには、適切なタイミングで子宮口が全開する必要があります。しかし、いくつかの原因により、お産時に子宮口が開きにくいことがあります。

子宮口がなかなか開かないときは、お産を進めるサポートとして、妊婦さんも食事や休息を取りながら、適度な運動を取り入れるとよいでしょう。それでも子宮口が開かないときは、適切な時期に医療処置が行われるため、心配しすぎないことも大切です。

参考:
軟産道強靭の臨床
分娩の経過

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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