2022.05.25
妊娠
妊婦健診で医師に「運動しなさい」と言われたものの、なぜ運動が必要なのか、どんな運動をどれくらいすればいいのか分からなくて戸惑ったことはありませんか。
妊娠中の運動はメリットがたくさんありますが、お腹の赤ちゃんと妊婦さん自身の安全のために、気をつけたいポイントもいくつかあります。
今回の記事では、妊娠中の運動の効果やメリット、おすすめの時期や具体的な運動内容、気をつけたい注意点を紹介します。
妊娠中の運動に迷っている方、何をすればいいか分からない方の参考になりましたら幸いです。
「妊娠すると体が重くて、運動なんてできない」と思うかもしれません。
とはいえ、なんとなく健康のために運動したほうがよさそうというイメージを持つ方も多いでしょう。妊娠中の運動のメリットは、次の3つです。
順に解説します。
妊娠中の運動の目的の一つは、運動不足の解消と出産や育児に必要な体力をつけることです。
妊娠週数が進むにつれてお腹が大きくなり、一日の大半を横になって過ごす妊婦さんも多く、運動不足になりがちです。
分娩にかかる時間は、初産婦で10〜12時間、経産婦で4〜6時間程度と言われています。分娩直前には赤ちゃんを生むための「いきみ」が必要です。
しかし、分娩そのものが長い場合、いきむ体力が残っていない妊婦さんも多くいます。
妊娠中に運動をすることで、運動不足を解消して体力を向上させ、分娩をはじめとした出産や育児の体力をつけられます。
妊娠中の運動は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの病気を予防できます。
妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に発症する高血圧のことです。肝不全や腎不全などの病気を引き起こすことがあり、お腹の赤ちゃんの発育にも影響があります。
妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が高くなる状態のことです。赤ちゃんが巨大児(出生体重4,000g以上)になり、出産が大変になるだけでなくさまざまな合併症を起こしやすくなります。
また、妊娠中は代謝が悪くなり、便秘にもなりやすいです。
運動をすることで、これらの病気や不調になりにくい体になります。医師からの安静指示がない限りは、適度な運動を行いましょう。
妊娠高血圧症候群については、次の記事で詳しく解説しています。
妊娠中は、体調が変化したり思うように動けなかったりと、ストレスを感じることが多くあるでしょう。
妊娠中の過度なストレスは、赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼすことがあります。無理のない範囲で運動をすることで、気分転換やリラックス効果が得られ、 精神面の安定にもつながります。
妊婦さんが運動不足になると、次のような悪影響が出ることがあります。
前述したとおり、妊娠中の運動不足は、体重の増加で妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こしやすくなります。
動かないので血行が悪くなり、肩こりや腰痛、便秘などにもなりやすいです。
また、筋力や体力が低下して分娩時や出産後の育児に影響が出たり、ストレスが解消できずにメンタルが悪化して「マタニティブルー」と言われる状態になる人もいます。
今まであまり運動する習慣がなかった方は、妊娠してからいきなり運動を始めるのは大変かもしれません。
その場合、最初は1日5分程度から始めて徐々に増やしていきましょう。長時間運動するより、少しずつ継続することが大切です。
妊娠初期の頃は、運動してあまり体に負担をかけてはいけないのではと思う方も多いでしょう。
では、いつ運動を始めればいいのでしょうか。
それぞれの時期の運動の仕方について、週数ごとに順に解説します。
妊娠初期は、つわりや立ちくらみなどの症状が出やすく、流産しやすい時期でもあります。
できれば無理せずのんびり過ごすことをおすすめしますが、もし運動する場合は、短時間の散歩や軽いストレッチ程度にして、負担をかけ過ぎないようにしましょう。
安定期と言われる妊娠中期は、つわりが治まっていることも多く初期流産のリスクも減るので、運動におすすめの時期です。
妊娠初期につわりがひどくて運動ができなかった、食べづわりで体重が増加したなどの妊婦さんには、特に適度な運動をおすすめします。
前述の通り、 妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の対策の一つとしても、運動は有効です。無理のない範囲で運動を行いましょう。
妊娠後期は、かなりお腹が大きくなり、運動はおろか動くことも大変で、ずっと横になりたいと思う妊婦さんも多いでしょう。
しかし、出産は体力が必要ですし出産後の子育てにも体力は必要不可欠です。体力が低下しないよう、ご自身の無理のない範囲で体調に合わせた運動を行いましょう。
「妊娠中の運動って何をすればいいのか分からない」という妊婦さんも多いでしょう。
妊娠前に行っていたような激しいスポーツは、赤ちゃんにも妊婦さんの体にも負担をかけます。
妊娠中におすすめの運動は、次の3つです。
順に紹介します。
ウォーキングは、特別な道具や準備も必要なく時間や場所を選ばないため、妊娠中の運動として最もおすすめです。
時間の目安は30分程度。できれば週5回程度が理想ですが、時間や頻度よりも継続できるようにしましょう。
運動が苦手な方やウォーキングを行う習慣がない方は、楽しいと思う範囲や時間でウォーキングする習慣をつけることをおすすめします。
浮力を活用するスイミングは、赤ちゃんの重さの負担を感じることなく運動できます。
効率的に筋トレをしたい方も、水中は陸上より負荷がかかりやすいのでおすすめです。
泳げない人も、水中を歩くだけでも効果があります。お近くにマタニティスイミング教室がある方は、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。
マタニティヨガは、運動不足が解消できるほか、分娩時に必要な筋力もつけられます。
スムーズな分娩の呼吸法を身につけることもできる運動です。
現在はオンラインヨガのようなサービスもあり、外出がなかなかできなくても、自宅にいながらレッスンが受けられます。
真夏や真冬など、外出しにくい時期は、無理せず自宅や室内でできる運動をしましょう。妊婦さん向けのストレッチや、ゆったりとしたスクワットもおすすめです。
「妊娠中も運動しよう」とはいっても、妊娠前と同じような運動ができるわけではありません。
お腹の赤ちゃんや妊婦さん自身の安全のための、妊娠中の運動の注意点は次の4点です。
1つずつ解説します。
運動を始める際は、必ず医師の指示を確認してから行いましょう。
週数や状態によっては、そもそも絶対安静が必要で運動ができない場合もあります。
赤ちゃんと妊婦さんの命を守ること、妊娠の継続を第一前提とし、医師の指示の範囲内で安全な運動を行いましょう。
赤ちゃんや妊婦さんの体に負担のかかる、妊娠中に避けたほうがよい運動は主に次のとおりです。
妊娠の後半になると、お腹が大きくなり自身の足元が見えづらくなります。 妊娠前には当たり前にできていた動作も難しくなることがあります。
登山といった足元が不安定な運動はもちろん、日常生活のちょっとした階段や段差など、 転倒に十分注意しながら運動を行いましょう。
運動の前後は、必ず水分補給を意識しましょう。
妊娠中は特に水分不足になりがちで、脱水症状を起こす可能性も高いです。こまめに水分を補給して、猛暑日は外での運動を避け、 室内でできる運動を行いましょう。
つわりがひどい、お腹の張りが気になるなど体調面に不安があるときは、無理せず運動をお休みすることも大切です。
妊娠中は、体調や体型、メンタルなどが妊娠前と比べ大きく違います。これまで運動習慣のなかった方は、運動そのものがストレスに感じることもあるでしょう。
また、妊娠中の運動は妊婦さんのリラックスやメンタルを安定させる目的もあるので、運動そのものが強いストレスになるまで頑張るのもおすすめできません。
ご自身にストレスや無理のない範囲で運動しましょう。
妊娠中の運動のメリットは多くあります。長時間頑張るよりも、短時間でも無理せず継続できる運動をするように心がけましょう。
【妊娠中に運動するメリット】
運動するのに一番おすすめの時期は、安定期と言われる「妊娠中期」です。
【妊娠中におすすめの運動】
【妊娠中の運動で注意すべき点】
危険な運動や激しいスポーツなどは避け、必ず医師の指示の範囲内での運動を心がけましょう。ご自身の体調に合わせて、無理のない範囲で今回紹介した運動を行ってみてくださいね。
参考:
①妊娠中のスポーツはあり?なし?【妊娠中のスポーツ】 MOONY
②妊娠高血圧症候群 日本産科婦人科学会
③妊娠糖尿病 日本産科婦人科学会
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