2022.01.18
妊娠
これまで快便だったのに妊娠してから便秘がちになった……こんな悩みを抱えていませんか?妊娠によるホルモンバランスや体の変化は、便秘を引き起こすことがあります。すでに便秘で悩んでいる妊婦さんの中には、便秘薬を使ってもよいのか気になる人もいるかもしれません。
この記事では、妊婦さんが便秘になりやすい理由や対策方法について紹介するので、参考にしてみてください。
妊娠による身体の変化は、便秘を引き起こしやすくするため、便秘知らずの人でも症状が現れることがあります。便秘知らずというと、毎日快便がみられるイメージがあります。しかしながら、実際の排便頻度は個人差があり、排便が週3回以上で、腹痛のハリがない方は、便秘とはいえません。
以上を踏まえた上で、どのような理由で妊娠中に便秘になるのかみていきます。
妊娠中でなくても、生理前に便秘がちになる女性もいるでしょう。これは生理前に分泌が増加する黄体ホルモンという女性ホルモンの作用による影響があります。
黄体ホルモンは胎盤の形成や胎児の成長を促すなど妊娠を維持する働きがあり、妊娠中に分泌が増えます。そのほかにも、筋肉などのむくみを引き起こしたり、腸のぜん動運動を抑えたりする作用もあるため、妊娠中は便秘が起こりやすくなります。
妊娠でつわりが起こると、人によっては吐き気が起こり、食事量が少なくなることがあります。便は老廃物や食物のカスから構成されているため、食事量が少なくなると、排便回数が少なくなることがあります。
また、食事に含まれる水分や食物繊維の摂取が少なくなることで、便秘を引き起こすことがあります。
妊娠によるつわりや体調の変化があると、外出が億劫になることもあるでしょう。全身運動により腸の動きが促進されるため、活動量が減ることで便秘がちになることがあります。また、妊娠後期になりお腹が大きくなると、積極的に運動するのが難しくなることがあります。
妊娠したばかりの頃はあまり目立たなかったお腹も、月日の経過とともに少しずつお腹の膨らみが目立つようになります。妊娠後期になると、赤ちゃんの成長とともにお腹が大きくなるものです。
大きくなった子宮が胃や腸などの周りの臓器を圧迫することで、食事の消化や排泄がスムーズに行かなくなり、排便が滞ることがあります。
「妊婦さんの中には便秘症状をすぐに改善したい」と考えている人もいるかもしれません。近年はドラッグストアや薬局で手軽に薬を購入できる時代ですが、普段何気なく使用している薬の中には、赤ちゃんの発達に悪い影響を与えるものもあります。
特に、妊娠8~15週はお腹の赤ちゃんの重要な器官が形成される時期であるため、薬によっては奇形を引き起こすことがあります。妊娠16週以降は器官の形成を終えますが、薬の成分が胎盤を通じて赤ちゃんに届くため、やはり留意が必要です。
便秘薬に限らず、妊娠中に自己判断で薬を使用するのはおすすめできません。便秘で薬を使用したい人は、かかりつけ医に処方してもらいましょう。
便秘を抱えている人の中には、便秘薬が手放せない人も少なくありません。便秘薬が作用するメカニズムにはいくつか種類があります。特に、腸を刺激して排便を促すタイプの薬は、子宮を収縮させる可能性があるとして、妊婦さんの使用が禁忌になっているものもあります。
妊娠中ではなくても、大腸刺激タイプの便秘薬を使用し続けると、腸が刺激に慣れてしまい、どんどん薬を追加するという状況に陥ることがあるので注意が必要です。
妊娠中の便秘薬としてよく処方されるのが、「酸化マグネシウム」です。この薬は便への水分の取り込みを促す作用があり、硬い便を柔らかくします。
妊婦さんに限らず、便秘薬の使用はあくまで緊急措置とすべきで、むやみに使用しないようにしましょう。妊娠中の便秘を予防したい人は、日常生活で工夫しながら対策をするのがおすすめです。どうしても薬が必要な人は、かかりつけ医から処方された便秘薬を使用するようにしましょう。
便秘になりやすい妊娠中は、毎日の生活の中で予防することが大切です。妊娠中に意識して行いたい便秘対策には以下のものがあります。
食事量が少なくなると、便秘の原因になります。つわりで食事が取りにくいときも、食べやすい食品を口にするようにしましょう。最近では、ダイエットを気にしてやせ気味の妊婦さんもいますが、元気な赤ちゃんを産むためには、適正な範囲で体重増加することが大切です。
食物繊維は水分を含んで便のカサを増したり、腸内の善玉菌のエサになったりします。食物繊維を多く含む食品には、野菜類、果物、イモ類、海藻類などがあります。毎日の食事の中でこれらの食品を積極的に取るようにしましょう。
納豆やヨーグルトなどの発酵食品には、腸内環境を整える効果が期待できます。食事の栄養バランスを整えながら、発酵食品を取り入れるようにしましょう。
便秘というと食事や運動を意識しがちですが、忘れてはならないのが十分な水分補給です。体の水分が不足すると、便が固くなり腸内をスムーズに移動しづらくなることがあります。妊娠中はつわりによる嘔吐や発汗などで水分を失いやすいので、意識して水分を取るようにしましょう。
妊娠中に限らず、便秘を予防するには便意を我慢しないことが大切です。働いている妊婦さんの中には、通勤中や仕事中に便意が起こり、トイレへ行けないこともあるかもしれません。
便秘は便を出すための脳からのシグナルです。便意を無視し続けると、便意のシグナルに鈍くなり、便秘を引き起こす原因になります。便意の度にトイレへ行けるとは限りませんが、自分なりの排便習慣を整えていきましょう。
朝目覚めたときに、冷たい水を飲むと、胃結腸反射が起こります。これは食べ物が胃に入ると反射的に腸が収縮することで、便を直腸に送り出す作用があります。便秘がちの人は、朝起きたてに水分補給をし、腸の動きを促しましょう。
ウォーキングなどの全身運動は、腸のぜん動運動を促進したり、いきみに必要な腹筋を鍛えたりするのにも役立ちます。妊娠中の激しい運動は体に負担がかかりますが、ウォーキングなどを行うとよいでしょう。近年ではマタニティ向けの運動教室もあるので、医師と相談しながら取り入れることができます。
妊娠中はホルモンバランスや体の変化により、便秘になりやすい特徴があります。便秘で苦しい思いをしないためにも、毎日の生活の中で便秘対策を取り入れてみましょう。現在、便秘に悩んでいる人や生活を工夫しても症状が改善しない人は、かかりつけ医に相談してみてください。
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