2024.12.10

妊娠

【生牡蠣は避けて】妊婦が安全に牡蠣を食べるためのポイント

「妊娠中に牡蠣を食べても大丈夫?」 
「牡蠣の栄養は赤ちゃんにどんな効果があるの?」 
「安全に食べるにはどうすればいいの?」

このような不安や疑問をお持ちではありませんか?

実は牡蠣には、胎児の発達に欠かせない葉酸や、貧血予防に効果的な鉄分など、妊婦さんに嬉しい栄養がたくさん含まれています。ただし、安全に摂取するためには正しい知識と注意点を押さえる必要があります。

そこでこの記事では、妊婦さんのための牡蠣の栄養効果や、安全な食べ方、調理方法、注意点について詳しく解説します。妊娠中の牡蠣摂取の参考として、ぜひ最後までお読みください。

妊婦は牡蠣を食べても大丈夫?安全性と注意点

妊婦さんにとって、加熱調理の上、牡蠣を食べることは問題ありません。

しかし、生牡蠣は食中毒のリスクが高いため避けましょう。 

妊婦さんが牡蠣を食べる際の安全性については、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

  • 調理方法による安全性の違い
  • 食べる量の制限
  • 食中毒リスクへの対策

それぞれ詳しく説明していきます。

以下の表で、牡蠣を食べる際の安全性の概要をまとめています。

調理方法安全性理由
生牡蠣×(危険)食中毒のリスクが高い
加熱調理○(安全)85度以上で1分以上加熱で安全
冷凍牡蠣△(要注意)解凍後は速やかに加熱が必要

牡蠣には、胎児の発育に重要な栄養素が豊富に含まれています。 しかし、加熱が不十分な場合、食中毒のリスクが伴います。 特に妊婦さんは免疫力が低下しているため、生牡蠣は絶対に避ける必要があります。

牡蠣を安全に食べるためには、以下の3つの基準を守ることが大切です。

  •  中心部まで十分に加熱する(85度以上で1分以上)
  • 1日の摂取量は1〜2個程度まで
  • 信頼できる販売店から購入する

これらの基準を守れば、妊婦さんも安心して牡蠣を食べることができます。 ただし、体調に不安がある場合は、必ず担当医に相談してから食べるようにしましょう。

妊婦に嬉しい牡蠣の栄養効果とは

牡蠣には妊婦さんや胎児の健康に役立つ栄養素が豊富に含まれています。 特に重要な栄養素は、葉酸、鉄分、亜鉛の3つです。 これらの栄養素が妊婦さんの体にどのような効果をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。

以下の表で、牡蠣に含まれる主要な栄養素の1個あたりの含有量と推奨摂取量をまとめています。

栄養素含有量(1個20gあたり)妊婦の1日推奨摂取量
妊娠初期妊娠中期妊娠後期
葉酸7.8μg100μg240μg240μg
鉄分0.42mg0.32mg2.68mg3.64mg
亜鉛2.8mg2mg2mg2mg
栄養素含有量の出典:日本食品標準成分表(八訂)
妊婦の1日推奨摂取量の出典:厚生労働省 食事摂取基準(2020年版)|

胎児の発達に重要な「葉酸」

葉酸は胎児の正常な発育に欠かせない栄養素です。 特に妊娠初期の神経管の形成に重要な役割を果たします。 牡蠣に含まれる葉酸は、胎児の脳や脊髄の発達をサポートします。 ただし、牡蠣だけでは必要な葉酸量を満たせないため、葉酸サプリメントとの併用が推奨されます。

貧血予防に効果的な「鉄分」

妊婦さんは貧血になりやすく、鉄分の摂取が特に重要です。 牡蠣には吸収されやすいヘム鉄が豊富に含まれています。 1個の牡蠣で、妊婦さんの1日の鉄分必要量の約10%を補うことができます。 鉄分は胎児への酸素供給や母体の血液量増加に必要不可欠な栄養素です。

免疫力を高める「亜鉛」

妊娠中は免疫力が低下しやすい時期です。 牡蠣は亜鉛の含有量が特に多い食材として知られています。 亜鉛は免疫力の向上だけでなく、胎児の細胞分裂や成長にも重要な役割を果たすといわれています。 1個の牡蠣で、妊婦さんの1日の亜鉛必要量をほぼ満たすことができます。

過剰摂取での異常は、十分な報告がないため、耐容上限量の設定はされていませんでした。

とはいえ、1日に2~3個の摂取にとどめておきましょう。

その他の妊婦に効果的な栄養素

牡蠣には上記以外にも、妊婦さんに有益な栄養素が含まれています。 例えば、タウリンは胎児の脳の発達を促進します。 また、ビタミンB12は赤血球の形成を助け、貧血予防に役立ちます。 オメガ3脂肪酸も含まれており、胎児の脳や目の発達をサポートする効果が期待できます。

妊婦が牡蠣を食べる際の重要な注意点

妊婦さんが牡蠣を食べる際には、特に注意が必要です。

 以下の4つのポイントを必ず守り、安全に牡蠣を食べるようにしましょう。

  •  生牡蠣は絶対に避ける
  •  適切な加熱調理を行う
  •  安全な牡蠣を選ぶ
  •  適量を守る

生牡蠣は絶対NG!その理由

牡蠣には以下のような危険な細菌やウイルスが含まれている可能性があります。

病原体危険性妊婦・胎児への影響
ノロウイルス非常に高い重度の脱水、早産リスク
腸炎ビブリオ高い発熱、流産のリスク
リステリア菌極めて高い流産、死産のリスク

これらの病原体は妊婦さんの免疫力が低下している時期には特に危険です。 

そのため、生牡蠣は絶対に食べないようにしましょう。

加熱調理の必要性と温度管理

安全に牡蠣を食べるためには、適切な加熱が必要不可欠です。 中心部の温度が85〜90度以上で1分半(90秒)以上加熱することで、有害な細菌やウイルスを殺菌できます。 

具体的にはそれぞれの細菌やウイルスの失活化温度は以下の通りです。

  • ノロウイルス:85〜90度以上で1分半(90秒)以上加熱
  • 腸炎ビブリオ:61度で10分以上加熱
  • リステリア菌:加熱により死滅

出典:厚生労働省|ノロウイルスに関するQ&A
出典:食品安全確保総合調査|陽炎ビブリオ
出典:厚生労働省|リステリアによる食中毒

細菌やウイルスの失活化温度を参考にした、加熱の目安は以下の通りです。

調理方法加熱温度加熱時間火の通り具合の確認方法
蒸し85~90度以上10分程度殻が開き、身が縮む
フライ170度2~3分衣がきつね色になる
煮込み沸騰3分以上身が膨らむ

安全な牡蠣の選び方と購入時のポイント

安全な牡蠣を選ぶためには、以下の3つのポイントを確認しましょう。

  • 生産地や販売元が明確な商品を選ぶ 
  • 消費期限や保存方法が明記されている
  • 鮮度の良い(身がぷっくりしてつやがある)ものを選ぶ

購入時の注意点は以下の通りです。

  • 信頼できる店舗で購入する 
  • できるだけ購入当日に調理する
  • 保冷バッグか発泡スチロール箱を使用して持ち帰る

適切な1日の摂取量の目安

妊婦さんの牡蠣の適切な摂取量は、以下の通りです。

期間推奨量注意点
1日の目安1〜2個体調に応じて調整
1週間の目安3〜4個まで連日の摂取は避ける
1ヶ月の目安8〜10個まで偏りのない食事を心がける

食べ過ぎは以下のリスクがあるため、控えめにしましょう。

  • 亜鉛の過剰摂取 
  • 消化器系への負担
  • 食あたりのリスク増加

安全な摂取のために、以下の3つのルールを守ることをおすすめします。

  • 1日の摂取は1〜2個までにする
  • 週に2回までの摂取にとどめる
  • 体調の良い日を選んで食べる

体調不良や食べ過ぎが心配な場合は、必ず担当医に相談してください。

 また、つわりの症状がある時期は、摂取を控えましょう。

妊婦におすすめの牡蠣料理と調理方法

妊婦さんが安全に牡蠣を食べるためには、適切な調理方法を選ぶことが重要です。 

ここでは、安全性と栄養価を考慮した4つの調理方法をご紹介します。 

それぞれの方法で、中心部まで確実に火を通すことができます。

調理法所要時間難易度栄養の保持率
カキフライ15分やや難しい低い
蒸し牡蠣10分簡単非常に高い
電子レンジ5分とても簡単普通
その他の方法10~20分普通高い

カキフライの安全な調理ポイント

カキフライは人気の調理法ですが、安全に作るためには以下の手順を守りましょう。

【衣付けの手順】

  1. 牡蠣の水気をしっかりとふき取る
  2. 薄力粉、溶き卵、パン粉の順につける
  3. パン粉はしっかりと押さえてつける

【揚げ方のポイント】

  • 油温は170度を維持する
  • 1個あたり2~3分じっくり揚げる
  • 衣がきつね色になるまで揚げる
  • 中心部の温度が85度以上になっているか確認する

簡単で栄養満点の蒸し牡蠣

蒸し牡蠣は栄養価を最も損なわずに調理できる方法です。 

以下の手順で安全に調理できます。

【蒸し方の基本手順】

  1. 殻をたわしなどで十分に洗浄
  2. 蒸し器の下段に水を2センチほど入れる
  3. 蒸し器の上段に牡蠣を並べる→殻の平側が上になるように
  4. 火にかけて水を沸騰させ、中火で10分蒸す
  5. 殻が開いて身が縮んだら完成

【確認ポイント】

  • 殻が完全に開いているか
  • 身が適度に縮んでいるか
  • 中心部まで火が通っているか→身の中心を割って確認

これらのポイントは、牡蠣が安全に食べられる状態になったことを示す重要な指標です。 一つでも不安な点があれば、さらに加熱を続けてください。

電子レンジでできる時短レシピ

電子レンジ調理は、忙しい妊婦さんにおすすめの時短調理法です。

【基本の手順】

  1. 耐熱容器に牡蠣を並べる
  2. ラップをふんわりとかける。1か所だけ空気穴を開ける
  3. 600Wで4分加熱
  4. 一度取り出して身の状態を確認
  5. 必要に応じて30秒ずつ追加加熱

【注意点】

  • 一度に調理する量は2~3個まで
  • 加熱ムラができやすいので、途中で位置を変える
  • 加熱後は必ず中心部まで火が通っているか確認する

その他のおすすめ調理法

上記以外にも、以下の調理法がおすすめです。

調理法特徴調理時間ポイント
グラタンオーブンでじっくり加熱20分ホワイトソースで牡蠣を包み、200度で20分以上加熱
鍋料理他の具材と一緒に調理10分沸騰後に入れ、必ず浮き上がってから3分以上加熱
炒め物手軽に調理可能5分フライパンで中火で炒め、身が完全に白くなるまで加熱

【安全に調理するための重要なポイント】

  • どの調理法でも中心温度85度以上を必ず確保する
  • 牡蠣の大きさによって加熱時間を調整する
  • 一度に調理する量は適量(2〜3個)にする

【確実な火の通りを確認するポイント】

  • 半透明だった身が完全に白く不透明になっている
  • 身が適度に縮んでいる
  • 中心部まで均一に白く変化している

【衛生面での注意点】

  • 使用する調理器具は清潔に保つ
  • 作り置きは避け、調理後はなるべく早く食べる
  • 残った場合は、当日中に食べきる
  • 再加熱は避ける

これらの点に気を付けることで、安全においしく牡蠣料理を楽しむことができます。 調理の際は、必ず火の通り具合を慎重に確認してください。

妊婦が牡蠣を食べる際の注意が必要な場面

妊婦が牡蠣を食べる機会は多様です。 

それぞれの場面で特有のリスクがあるため、適切な対応が必要です。 

ここでは、特に注意が必要な4つの場面について説明します。

牡蠣小屋での食べ放題について

牡蠣小屋は妊婦さんにとって以下のリスクがあるため、安全性の観点から利用は避けてください。

リスク要因理由対策
加熱不足混雑時は火の通りを十分確認できない空いている時間を選ぶ
食べ過ぎ食べ放題で量の管理が難しい事前に制限を決めておく
衛生管理調理器具の共有による二次感染の可能性個人用の箸やトングを持参

どうしても行かなければならない状況の場合は、以下の点に注意しましょう。

【牡蠣小屋に行く場合の基本ルール】

  1. 予約時の確認事項
    • 加熱方法と温度管理の実施状況
    • 妊婦向けの個別対応の可否
    • 空いている時間帯の案内
  1. 訪問時の持ち物
    • 個人用の箸やトング
    • 温度計(必要に応じて)
    • 携帯用の消毒液
  1. 食事中の注意点
    • 一度に焼く量は2~3個まで
    • 加熱後は必ず中心部まで確認
    • 他の客と調理器具を共有しない

外食時の注意点

外食時は以下の3点を必ず確認しましょう。

  1. 【メニューの選び方】
    • 加熱調理されたメニューを選ぶ
    • 調理方法が明記されているものを選ぶ 
    • 生牡蠣は絶対に避ける
  2. 【店舗の選び】
    • 衛生管理が徹底された信頼できる店を選ぶ
    • 食材の仕入れ先が明確な店を選ぶ
    • 清潔感のある店を選ぶ
  3. 【注文時の確認事項】
    • 加熱の程度を伝える
    • アレルギーの有無を伝える
    • 妊娠中であることを伝える

誤って生牡蠣を食べてしまった場合の対処法

生牡蠣を食べてしまった場合は、以下の手順で対応しましょう。

【すぐにすべきこと】

  1. いつ、どこで、どれくらいの量を食べたか記録する
  2. かかりつけの産婦人科に連絡する
  3. 医師の指示に従う

【水分補給の準備】

脱水症状に備えて、以下のものを用意しましょう。

  • 経口補水液(OS-1やイオンウォーターなど)
  • スポーツドリンク(薄めて使用)
  • 麦茶(常温のもの)

【経過観察のポイント】

  • 24時間は体調の変化に注意する
  • こまめな水分補給を心がける
  • 体温を定期的に測定する
  • 無理な活動は控える

【水分補給の注意点】

  • 冷たすぎる飲み物は避ける
  • 一度に大量に飲まず、少しずつ摂取する
  • 症状が重い場合は点滴が必要な可能性があるため、必ず医師に相談する

食あたりの症状と対応方法

食あたりの初期症状は以下の通りです。

症状目安となる発症時間対応方法
吐き気・嘔吐2〜6時間すぐに受診
下痢4〜24時間すぐに受診
発熱6〜24時間すぐに受診
腹痛2〜12時間すぐに受診

※また、ノロウイルスの潜伏期間は24時間から48時間とするため、3日以上は経過観察を行いましょう。

出典:東京都感染症情報センター|感染症胃腸炎

【これらの症状が出た場合の対応】

  • 症状の有無に関わらず、必ず医師に相談する
  • 自己判断で市販薬を服用しない
  • 安静にして水分補給を心がける
  • 救急外来の連絡先を確認しておく

食中毒は妊婦さんにとって特に危険です。

 少しでも体調の変化を感じたら、すぐに医療機関を受診してください。

まとめ:妊婦の牡蠣摂取の基本ルール

妊婦さんの牡蠣摂取について、重要なポイントを以下にまとめます。

【安全な摂取のための3つの基本ルール】 

  • 必ず加熱調理したものを食べる(生食は絶対NG)
  • 信頼できる店や販売所で購入する
  • 1日1〜2個までの適量を守る

ポイント1 生牡蠣は避けて加熱調理を選ぶ

妊娠中は生牡蠣の摂取を避け、必ず加熱調理したものを選びましょう。生牡蠣には細菌やウイルスが含まれる可能性があり、食中毒のリスクが高まります。加熱調理によってこれらのリスクを軽減することができます。中心温度が85℃以上になるまでしっかりと加熱することが重要です。

ポイント2 信頼できる販売店で新鮮な牡蠣を購入する

妊娠中に食べる牡蠣は、鮮度が高く安全なものを選ぶ必要があります。信頼できる販売店で、冷蔵保存されている新鮮な牡蠣を購入しましょう。購入する際には、異臭がないか、貝殻に割れがないかを確認することも大切です。

ポイント3 適切な摂取量を守る

妊娠中の栄養バランスを考え、牡蠣の摂取量を適度にコントロールしましょう。1日あたり2〜3個を目安とし、食べ過ぎに注意することで、栄養を過剰摂取せずに安全に摂取できます。牡蠣は栄養価が高い一方で、ミネラルの過剰摂取を避けるためにも適量を守ることが大切です。

ポイント4 不安がある場合は専門家に相談する

もし妊娠中に牡蠣を食べることについて不安がある場合は、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。専門家からのアドバイスを得ることで、より安心して牡蠣を食べることができるでしょう。健康状態や妊娠の進行に応じたアドバイスを受けることが重要です。

以上の基本ルールを守り、妊娠中でも安全に牡蠣を楽しむよう心がけましょう。

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2018年より遺伝子・ゲノム解析関連への広い視野と国際的情報収集及び先進的情報解析能力を駆使したサービスを提供。中でも新型出生前診断(NIPT)に注力。

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