2024.02.26
妊娠
妊婦さんの中には、体重について気になっている人もいるのではないでしょうか?おなかの赤ちゃんの健康のためには、体重増加をどの程度に収めればよいのか気になりますよね。
そこで、妊娠中の理想的な体重の増え方について解説します。妊娠中の体重増加のポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中は赤ちゃんがすこやかに成長・発達するために、適切に体重を増やすことが大切です。日本ではやせ型の体型を望む女性が多く、妊娠で体重が増えることに対して不安を感じる人もいるでしょう。
妊婦さんはやせすぎでも太りすぎでも良くありません。最近ではやせ気味の妊婦さんも多いですが、適切に体重を増やさないと、妊娠中の貧血や赤ちゃんの成長不良、早産のリスクが高まります。
また、太りすぎの妊婦さんでは妊娠高血圧症候群や帝王切開のリスクが高まるので注意が必要です。
妊娠中に体重が増えるのは自然のことです。妊娠前の体型にもよりますが、妊娠により10㎏程度の体重増加がみられます。生まれてくる赤ちゃんが3㎏程度なので、そのほかの体重増加分について気になっている人もいるでしょう。
妊娠中は体型の変化にともない、赤ちゃん以外の分も体重が増えます。具体的な妊娠中の体重増加の内訳は以下の通りです。
≪妊娠中の体重増加の内訳≫
子宮の内容物 5.5㎏ | ・おなかの赤ちゃん:3㎏ ・胎盤:0.7㎏ ・羊水:0.8㎏ ・子宮の増大分:1㎏ |
その他 4.5㎏ | ・乳房の増大分:1㎏ ・循環血液量の増加分:1.5㎏ ・脂肪の蓄積:2㎏ |
妊娠中の適切な体重増加は一律ではなく、妊娠前のママの体型によっても異なります。妊娠前の体型を把握するのに役立つのがBMIです。BMIとは「Body Mass Index」の略で、身長と体重から算出される肥満体格指数です。
具体的なBMIの計算方法は次の通りです。
BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
妊娠前のBMIごとの妊娠中の体重増加の目安は次の通りです。
妊娠前の体格 | 妊娠前のBMI | 妊娠中の体重増加の目安 |
やせ | 18.5未満 | 12~15㎏ |
普通体重 | 18.5~25.0未満 | 10~13㎏ |
肥満Ⅰ度 | 25.0~30.0未満 | 7~10㎏ |
肥満Ⅱ度以上 | 30.0以上 | 個別対応(目安は5㎏まで) |
妊婦さんの中には、実際にどのようなペースで体重が増えていくのか気になっている人もいるでしょう。妊娠中は妊娠成立から均等に体重が増加していくわけではありません。
妊娠5週から12週頃までは、体重増減がないことが多く、妊娠12週を過ぎると、少しずつ体重が増加していきます。個人差がありますが、妊娠週数ごとの体重増加のペースは以下です。
妊娠週数 | 妊娠前からのトータルの体重増加量 |
妊娠12週まで | +0~2㎏ |
妊娠16週 | +1~3㎏ |
妊娠21週 | +3~5㎏ |
妊娠26週 | +5~7.5㎏ |
妊娠35週 | +8~11㎏ |
妊娠40週 | +10~13㎏ |
上記を見ると、妊娠初期の体重増加は0~2㎏、妊娠中期は3~5㎏、妊娠後期は3~4㎏であることが分かります。妊娠中期以降は1週間あたりの体重増加を0.3~0.5㎏にするとよいでしょう。
言い方を変えれば、妊娠中期以降に体重が0.5㎏以上増えるのは、体重が増えすぎているといえます。妊娠によりむくみが起こると、すぐに体重が1kg増えることもあるかもしれません。
妊娠中は1週間に1回は体重計に乗るなどして、体重を管理しましょう。定期的に体重をチェックすることで、食事や運動などの生活習慣を見直すきっかけにもなります。
妊娠中に食欲が増進して、必要以上に体重が増えてしまった人もいるでしょう。妊娠中の体重増加の目安10㎏ほどですが、体重増加が15㎏になると、次のようなリスクが高くなります。
高血圧 | 血圧が高くなり、母子ともに危険が及ぶ |
腎機能の低下 | タンパク尿・むくみ・高血圧がみられ、母子に危険が及ぶ |
お産時の異常出血 | 産道に傷ができやすくなったり、産後の出血が止まりにくくなったりする |
過期産 | 出産予定日を2週間過ぎても生まれない |
胎児仮死 | 赤ちゃんが低酸素状態になり仮死となる |
新生児異常 | 低出生体重児・巨大児・低血糖など |
帝王切開のリスク増 | 肥満により難産になりやすくなる、胎児仮死や重症の妊娠高血圧症候群になりやすくなる |
妊婦さんの体重が増えすぎると、妊娠からお産までにさまざまなリスクが生じるため、適切な体重管理に努めることが大切です。
妊娠中に食欲増進により、体重が増えすぎて困っている人もいるでしょう。ここでは、妊娠中の体重管理を目指した食事や運動のポイントについて説明します。
妊娠中は、主食・おかず・副菜の揃った食事を取るようにしましょう。1日3食しっかり食べるようにして、間食や夜食を取らないようにすることが大切です。主なメニューから取れる栄養素と食材は以下です。
メニュー | 主な栄養素 | 食材例 |
主食 | 炭水化物 | ご飯・パン・麺類 |
おかず | たんぱく質 | 肉・魚・卵・大豆製品 |
副菜 | ビタミン・ミネラル | 野菜・きのこ・海藻 |
食事から取った余分なカロリーは脂肪として蓄積されます。特に、ファストフードやスナック菓子は手軽に食べられますが、カロリーも脂肪分も多いので食べ過ぎないようにしましょう。
また、妊娠中は塩分を取りすぎにも注意しなければなりません。過剰な塩分摂取は、体液量が増えるために、高血圧やむくみの原因になります。
妊娠中は適切な体重管理のために、適度な運動を取り入れましょう。ウォーキング・マタニティビクス・妊娠水泳などは、お腹に負担がかからず、気分転換にもなります
妊娠中に切迫早産などで治療を受けている人は、医師の指示に従いましょう。
妊婦さんの中には、つわりで食事が取れないという方もいるかもしれません。つわりは妊娠5週頃から始まり、11~13週頃にピークを迎えます。
妊娠中は周囲の人から「赤ちゃんの分まで食べなさい」といわれることもありますが、実際に必要なエネルギーは妊娠週数によって異なります。
妊娠初期 (妊娠13週まで) | 妊娠中期 (妊娠14~27週) | 妊娠後期 (妊娠28週以降) |
+50kcal | +250kcal | +450kcal |
妊娠初期は赤ちゃんの大きさも非常に小さく、それほど多くのカロリーを必要としません。つわりのために食べ物を口にしても戻してしまう場合は、無理して食べないようにしましょう。
食事を取るのが難しい人は、冷たい物や口当たりの良い物を少しずつ食べるのがおすすめです。一方で、つわりで水分が十分に取れなかったり、体重の5%以上が減少したりする場合には、医療機関で治療が必要です。
妊娠中は、妊娠前の体型に合わせた適切に体重を増やすことが大切です。妊婦さんが痩せすぎても、太りすぎても、母子の健康に悪影響があります。記事内で紹介した内容を参考に、妊娠中の体重管理をしてみてください。
参考:
妊娠中の適切な体重増加について
妊産婦のための食事バランスガイド
妊娠中の体重管理
10万人の妊婦健診情報から「妊娠中の体重増加曲線」を作成 妊娠中の体重管理の参考になることを期待
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