2022.10.03
妊娠
妊娠を希望する女性にとって、排卵日を知ることは重要な妊活の1つです。またタイミング法の指導を受けた際に、排卵日について説明があった方もいるのではないでしょうか?
そもそも、排卵とはいったいどのような仕組みなのか、また妊娠や月経とどのように関連があるかご存じでしょうか?今回は排卵の仕組みと妊娠の関係について解説します。
排卵日とは、排卵が起こる日のことです。
排卵とは、成熟した卵子が卵胞(細胞と卵子のセットで、卵子を育てる袋)から飛び出す現象のことを指します。
排卵日は妊娠しやすいと言われており、排卵日を知ることで妊活がスムーズに進みやすくなります。
「排卵日は妊娠しやすい」というのは本当でしょうか。
正確には、「排卵のおよそ72時間前から排卵後の24時間は妊娠しやすい」とされています。
卵子の寿命はおよそ24時間です。それに対し精子の寿命は、およそ72時間と言われています(※②)。
卵子の寿命はとても短く、排卵日から24時間を正確に把握することは難しいです。そのため排卵日だけを狙うより、その前後で「卵子を待つ」形にするのが一番妊娠しやすいと言えるでしょう。
精子と出会えなかった卵子は、月経となって外に出ていきます。次章で、排卵日と月経の仕組みについて解説します。
健康な女性の体は25〜38日程度の周期でリズムがあり、毎月4つの卵胞期、排卵期、黄体期、月経期のサイクルを繰り返しています。
女性の1ヶ月の体の変化は次のように分けられます。
月経が規則的な女性の場合、排卵は月経の約2週間前に起こります。それぞれの体の変化から、月経の仕組みと排卵日について解説します。
月経期終了から排卵が終わるまでの期間を、卵胞期と呼びます。
卵胞期は排卵日にむけて子宮内膜がふかふかになり(子宮内膜が厚くなる)、卵巣にある原始卵胞が発育、成熟していきます。
卵巣期は13〜14日が平均と言われており、この時期に妊娠する準備をしています。
排卵期になると、体の黄体形成ホルモン(LH)が急上昇し、卵巣から成熟した卵子が飛び出します。
この時期が妊娠できる時期で、飛び出した卵子は卵管を通ったあと、卵管膨大部で精子を待ちます。精子と出会うと受精卵となります。
排卵日(排卵期)の個人差はあるものの、16〜32時間程度で終了すると言われています。
排卵日(排卵期)から月経前までの期間を黄体期と呼びます。
黄体期は排卵日に排卵された卵子が着床できるよう、子宮内膜を厚くして妊娠しやすい環境が整えられる時期です。
受精卵は、5日ほどかけて子宮へと移動します。子宮の中(子宮腔)に到達した受精卵は、7日目になると子宮内膜にもぐり込み、根をはります。これを着床と呼びます(※②)。
黄体とは排卵のあとに卵胞が変化したものを指し、プロゲステロンという妊娠を継続するために必要なホルモンを分泌する役割があります。黄体は妊娠初期まで継続します。
黄体期は12〜14日が平均と言われており、妊娠が成立しなかった場合、黄体は徐々に退行し白体となります。
妊娠が成立しなかった(受精卵が子宮内膜に着床しなかった)場合、子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに体外に排出されます。
これがいわゆる「月経」とよばれるもので、次の月経周期がはじまります。女性の身体は、この一連のサイクルを繰り返しています。
妊娠を希望する女性にとって、排卵日は必ず把握しておきたい要素です。
月経周期が28日の場合、排卵日は月経開始から約2週間後と言われています。
ただし、月経周期そのものに個人差があることに加え、その月の体調やストレスなどにより周期が前後することもあり、排卵日の予測は難しいでしょう。
排卵日をより正確に把握する方法は次の4つです。
順に解説します。
基礎体温を測ることで、費用も安く、自分で手軽に排卵日を知ることができます。
毎朝起床してすぐ、ベッドや布団から動かずに婦人体温計で基礎体温を測ります。
基礎体温は女性ホルモンの影響で変わります。月経が規則的ならば、毎朝基礎体温を測ることで排卵日が予測しやすくなります。
一般的に、女性は低温期と高温期の二相のサイクルを繰り返しています。
月経期、卵胞期は低温期で、低温期から高温期に移行するときに一旦基礎体温が下がります。このとき排卵が起きることが多いです。その後、高温期である黄体期に入ります。
基礎体温をチェックすると、排卵日以外にも、自分の体調やリズムを知ることができます。妊娠を希望している女性だけでなく、自分の健康管理という意味でも、基礎体温は継続的に測定しましょう。
基礎体温については、次の記事で詳しく解説しています。
市販の排卵検査薬でも、排卵日がわかります。
排卵日付近になると、黄体形成ホルモン(LH)の分泌量が急激に増えます。市販の排卵検査薬は尿中の黄体形成ホルモン(LH)を確認することで、排卵日が分かる仕組みです。
排卵検査薬は、薬局やドラッグストアで購入できます。より確実に排卵日を特定したい方は、基礎体温の測定と合わせて排卵検査薬を使用してみましょう。
排卵日付近に病院を受診し、エコー検査(超音波検査)で卵胞の大きさを確認することで排卵日が推測できます。
そのほかに尿中のホルモンを測定することもあり、(※①)タイミング法でも広く活用されています。
排卵日付近には、以下のような兆候がみられることが多いです。
ただしこれらの兆候には個人差があり、また排卵日の兆候以外の可能性も考えられます。紹介した他の方法とも組み合わせながら、あくまで排卵日の兆候は目安程度に考えましょう。
おおよその排卵日の予測がついたら、妊娠できたかどうか早く知りたいものです。
妊娠できたか確かめる一般的な方法は、妊娠検査薬を使うことです。ただ、正確な結果が出るのは「月経予定日から一週間後」のため、それまで待てない方も多いでしょう。
妊娠0週〜4週、すでに体には変化が起きています。妊娠の初期に起こりやすい兆候は、次のようなものです。
普段とのちょっとした違いに気づくことで、妊娠に期待が持てるかもしれません。「体の様子が普段と違う」と思ったら、産婦人科を受診してみましょう。
妊娠を望んでいる方にとって、排卵日の把握は重要です。
排卵日は本当に妊娠しやすいのかというと、正確には「排卵のおよそ72時間前から排卵後の24時間は妊娠しやすい」と言えます。
【排卵日と月経の仕組み】
女性の体は1ヶ月の間に次のようなサイクルを繰り返しています。
排卵期が最も妊娠しやすい時期です。
【排卵日を知る方法】
【妊娠の初期兆候】
排卵とは、卵子が卵胞から飛び出す現象のことです。排卵期に卵子が精子と出会うことで、受精、着床、妊娠の継続へとつながります。
排卵日は、基礎体温の測定や市販の排卵検査薬、エコー検査(超音波検査)などで確認できます。
排卵日をより正確に予測して、幸せな妊娠へつなげましょう。
【参考文献】
①公益社団法人日本産科婦人科学会 – 不妊症
②一般社団法人日本生殖医学会 – 一般のみなさまへ 妊娠の成立
ロート製薬 – 排卵日の基本を解説
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