2025.04.10

妊娠

妊娠初期ののどの痛みは起こる?症状や対処法について

妊娠を心待ちにしている人のなかには、「のどが痛い…」と感じている人もいるのではないでしょうか。妊娠の兆候としてのどに違和感や痛みが現れるのか気になりますよね。

この記事では、妊娠初期ののどの痛みについて解説します。風邪症状としてののどの痛みとの見分け方や対処法についても解説しているので、参考にしてみてください。

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妊娠初期にのどの痛みや違和感が出る原因は?

妊娠をすると、のどの痛みを感じる女性もいるようです。妊娠初期にのどが痛む原因には、さまざまなものがあります。具体的な原因についてみていきましょう。

ホルモンバランスの変化

妊娠をすると、プロゲステロンやエストロゲンの分泌量が増えていきます。女性ホルモンのバランスが変化することで、体の水分と塩分のバランスが崩れ、むくみを引き起こしやすくなります。人によっては、のどの粘膜にもむくみが生じ、のどの痛みや違和感を現れることがあります。

血液量の増加

妊娠中はおなかの赤ちゃんや胎盤ができるため、体を巡る血液量が増えていきます。循環血液量の増加は妊娠中期でぐんと増えますが、妊娠初期からも血液量は増え、血管が広がりやすくなります。

その結果、のどの粘膜が充血しやすくなることで、のどの違和感やイガイガした痛みを感じることがあります。

つわりによるのどの粘膜の荒れ

つわりにより胃酸が逆流したり、嘔吐が続くと、のどや食道の粘膜が荒れやすくなり、のどの痛みとして感じられることがあります。つわりがみられる時期や症状の強さは個人差があるものの、早い人では妊娠5~6週頃からみられるようになります。

妊娠初期ののどの痛みと病気の見分け方

妊娠する過程では、受精卵を異物として攻撃しないようにするために、一時的に免疫力が低下します。そのため、妊娠初期に感染症にかかることで、のどの痛みを感じることがあります。

風邪

妊娠初期の妊婦さんでかかる人も多いのが風邪です。風邪を引くと、発熱、咳や鼻水、頭痛、倦怠感などの症状がみられます。風邪の原因となるウイルスは200種類ほどありますが、健康な人であれば1週間ほどで自然に治るものです。

妊娠中に風邪を引いても、薬を飲んだり、病院へ行ったりする必要はありません。栄養バランスの整った食事を摂って、安静に過ごすようにしましょう。

インフルエンザ

妊娠中も一般の人と同じようにインフルエンザにかかるリスクがあります。インフルエンザの症状は、風邪と少し似ていますが、38度以上の発熱がみられたり、関節痛が見られたりする点で異なります。

妊婦さんがインフルエンザにかかっても、おなかの赤ちゃんに大きな影響はありません。しかし、妊婦さん自身が肺炎にかかるなど重症化リスクがあります。

妊娠中にインフルエンザの疑いがあるときは、早めに医療機関を受診しましょう。症状がみられてから48時間以内に抗インフルエンザ薬と重症化を予防できます。妊婦さんは、ワクチンを受けるなど予防対策をすることも大切です。

A群溶連菌

A群溶連菌は、咽頭炎やとびひなどを引き起こす細菌です。傷ついた皮膚や粘膜から細菌が侵入すると、血液を介して全身に広がり、皮膚や筋肉など組織の壊死を引き起こすことから、「人食いバクテリア」とも呼ばれています。

A型溶連菌に感染すると、38度以上の発熱と強いのどの痛みがみられます。まれですが、妊婦さんの場合、急激に病態が進行し、母子の命に危険が及ぶこともあります。

発熱や強いのどの痛み、手足や舌に赤い発疹がみられる場合は、A型溶連菌の可能性があります。すぐに医療機関を受診しましょう。

妊娠初期ののどの痛みを緩和する方法

妊娠でのどの痛みがある場合、ケアをすることで症状を軽くすることができます。

こまめな水分補給

妊娠中は頻回に水分補給をおこなうようにしましょう。妊娠初期は高体温期による発汗の増加、つわりによる水分の喪失などにより、体の水分が不足しやすくなります。

体の水分が足りなくなると、のどの粘膜が渇き、痛みを感じやすくなります。必要な水分をしっかり取って、のどの痛みを和らげましょう。のど飴をなめるのも、のどを潤すのも効果的です。

部屋の湿度を保つ

妊娠初期ののどの痛みをケアするのなら、部屋の湿度を調整することも大切です。部屋のなかが乾燥しすぎると、のどが乾燥し、イガイガしたり咳ができやすくなったりします。

のどを労わるのに最適な湿度は40~60%(未満)です。とくに冬は乾燥しやすいので、加湿器で湿度を調整するのもよいでしょう。加湿器がない人は、部屋に濡れたタオルを干すと、空気の乾燥を抑えることができます。

自己判断で薬を飲まないようにする

妊娠初期にのどの痛みに対して、「症状を和らげたい」と考える人もいるかもしれません。普段から日常的な症状に対して、市販薬を使っている人も、妊娠中に自己判断で薬を飲まないようにすることが重要です。

とくに妊娠4~15週は、赤ちゃんの臓器や体が作られる大切な時期です。薬の成分によっては、赤ちゃんの器官形成に影響を与える恐れがあります。のどの痛みに対して薬を希望する人は、医師から処方されたものを服用しましょう。

妊娠初期ののどの痛みで薬を飲んでしまった場合

のどの痛みを感じる妊婦さんのなかには、「妊娠と気づかずにうっかり薬を飲んでしまった」という人もいるでしょう。妊娠4週間前までに薬を飲んでしまっても、赤ちゃんに大きな影響はありません。風邪薬や痛み止めなど市販薬の多くは、服用期間が短期間のものが多く、薬を飲んでも1日ほどで成分は消えるものです。

妊娠4週間以降に薬を飲んだ人は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。現在の妊娠経過に問題なければ、赤ちゃんに大きな影響がなかったと考えられます。

妊娠初期ののどの痛みについてよくある質問

妊娠初期ののどの痛みに関する疑問や質問についてお答えします。

カロナールを飲んでもいい?

妊娠中ののどの痛みに比較的安全に服用できるのがカロナールです。カロナールはアセトアミノフェンが主成分で、妊婦さんも使用できる解熱鎮痛薬です。市販薬としても販売されていますが、誤って飲みすぎてしまうケースもあります。医師から処方されたものを飲んだ方がよいでしょう。

漢方薬は飲める?

漢方薬には、のどを潤したり、痛みを和らげたりするものがあります。ただ、妊婦さんが飲めない漢方薬もあるため、妊娠中は専門家から処方された薬を飲むのがおすすめです。

とくに漢方薬は、体質に合わせた薬を処方するものです。漢方に詳しい医師からの処方であれば、妊婦さんに適したものを処方してもらえます。

まとめ

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化や循環血液量の増加、つわりの影響など、さまざまな原因からのどの痛みや違和感を抱くことがあります。水分補給をしてのどを潤したり、部屋の湿度を調節したりするなどして、のどのイガイガ感を和らげるとよいでしょう。

一方で、妊娠中は免疫力も低くなるため、感染症によりのどの痛みがみられることがあります。のどの痛みがみられる感染症のなかには、妊婦さんが注意すべきものもあり、医療機関へ受診が必要です。記事で紹介した内容を参考に、適切な対処をしてみてください。

参考:
妊娠中の人や授乳中の人へ
A群溶連菌が流行しています
妊娠・授乳とくすり

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ABOUT ME

原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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