更新日:2026.07.14
出生前診断

NIPTで可能性を調べられる染色体異常について、具体的にどんな疾患でどんな症状があるのか、わかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
NIPTで検査対象となる3疾患(21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー)の特徴を理解しておくことで、結果に向き合う際の判断材料が得られます。
この記事ではNIPTで検査対象となる3疾患について、染色体の仕組みから症状・予後・出生後の支援まで解説します。受検を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

NIPTは非確定的検査であり、陽性結果が出ても染色体異常が確定したわけではありません。
日本医学会の認証施設におけるNIPTでは、基本的に下記この3疾患が検査対象となります。非認証施設では、基本3疾患に加えて施設ごとに対象範囲が異なります。
| 疾患名 | 別名 |
|---|---|
| 21トリソミー | ダウン症候群 |
| 18トリソミー | エドワーズ症候群 |
| 13トリソミー | パトウ症候群 |
これら3疾患は出生する染色体異常の中で頻度が比較的高く、認証施設・非認証施設を問わず基本検査の項目に含まれているのが一般的です。
NIPTの検査範囲全体や精度・受検条件の詳細については、![]()
施設や検査プランによっては、3疾患以外にも次の項目を調べられる場合があります。
これらは認証施設の標準的なNIPTでは対象外であり、検査の精度や陽性的中率も項目によって異なります。実施可否や費用は施設ごとに異なるため、検査を申し込む前に各医療機関へ確認することをおすすめします。
なおDNA先端医療では、基本のA検査の段階で性染色体異常と性別判定にも対応しており、上位プラン(B〜D検査)では全染色体検査・微小欠失症候群(最大23疾患)まで調べられます。

NIPTは、主に21・18・13トリソミーの可能性を調べるための検査です。3疾患の解説に入る前に、染色体・DNA・遺伝子の関係や、トリソミーがなぜ起こるのかを整理しておきます。
染色体は、細胞の核の中にDNAが折りたたまれて集まったものです。人の体細胞には通常46本の染色体があり、同じ形と長さの染色体が2本ずつペアになって23対を構成しています。
そのうち1〜22番までを「常染色体」、23番目を「性染色体」と呼びます。性染色体の組み合わせがXXであれば女性、XYであれば男性として発達します。
卵子と精子はそれぞれ23本の染色体を持ち、受精によって両親から1本ずつを受け継いで46本そろう仕組みです。
DNA(デオキシリボ核酸)は、生物の体を作るための情報が書き込まれた物質で、二重らせんの構造を持っています。そのらせんの中にはアデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4種類の塩基が並んでおり、この並び方が体の特徴や働きを決める「情報」となります。
遺伝子は、DNAの中でも特に意味のある情報を持っている領域のことです。本にたとえると、染色体は「1冊の本」、DNAは「本に書かれている文字」、遺伝子は「意味のある文や段落」と理解するとイメージしやすくなります。
トリソミーとは、通常2本である染色体が3本ある状態を指す言葉です。21番染色体が3本あればダウン症候群(21トリソミー)、18番なら18トリソミー、13番なら13トリソミーと呼ばれます。
主な原因は、卵子や精子が作られる「減数分裂」の過程で染色体がうまく分かれない「不分離」と呼ばれる現象です。不分離は誰の細胞でも起こり得るものですが、母体の年齢が上がるにつれて発生頻度が高くなる傾向があるとされています。
なお、トリソミーには大きく3つのタイプがあります。
3つのタイプは症状の表れ方や遺伝のしやすさが異なります。

21トリソミーは、ダウン症候群として広く知られている染色体異常です。NIPTで検出される3疾患の中で最も発生頻度が高く、医療と療育の体制も整ってきています。
21トリソミーは、21番染色体が通常より1本多い状態で起こる先天性疾患です。前項で紹介した3つのタイプの内訳は次のとおりです。
転座型のうち、両親のいずれかが転座保因者である場合は、次の妊娠でも発生確率が高くなることがあるとされています。
身体的な特徴としては、つり上がった目尻、低い鼻、平らな顔つきなどがよく知られています。新生児期には筋緊張の低下がみられることが多く、首のすわりや寝返りなどの運動発達もゆっくり進む傾向があります。
知的発達には個人差がありますが、軽度から中等度の遅れがあることが一般的です。適切な療育や支援を受けることで、社会生活を送る方も多くいます。
21トリソミーの出生頻度は、およそ600〜800人に1人とされています。常染色体トリソミーの中で最も頻度が高い疾患です。
母体年齢の上昇に伴って発生率が高くなる傾向があることが知られていますが、若い母親から生まれるケースも多くあります。
21トリソミーには、いくつかの合併症が伴うことがあります。代表的なものは下記のとおりです。
根本的な治療法はなく、合併症ごとの対症療法が中心となります。心疾患は手術、甲状腺機能低下症はホルモン補充療法など、それぞれの症状に応じたケアが行われます。
医療の進歩により、21トリソミー(ダウン症候群)の方の平均寿命は約60歳ともいわれています。心疾患の早期治療や合併症への適切な対応が、長期予後の改善につながっているとされています。

18トリソミーは、エドワーズ症候群とも呼ばれる染色体異常です。21トリソミーに次いで頻度の高い常染色体トリソミーで、重篤な合併症を伴うことが多く、近年は積極的な治療介入も検討されるようになっています。
18トリソミーのタイプ別の内訳は次のとおりです。
18トリソミーは男児よりも女児に多い傾向があり、男女比はおよそ1:3とされています。
身体的な特徴としては、低出生体重で生まれることが多く、後頭部の突出・小さいあご・耳の位置が低いなどの顔貌が代表的です。手指の所見として、第2指(人差し指)が第3指(中指)に重なる、握りこむような形がよく知られています。
運動面・精神面の発達には強い遅れがみられ、自力での哺乳や呼吸が難しいケースも多く、医療的なサポートを必要とする場合が一般的です。
18トリソミーの出生頻度は、およそ3,500〜8,500人に1人とされています。常染色体トリソミーの中では21トリソミーに次いで2番目に多い疾患です。
18トリソミーには、複数の臓器にわたる重篤な合併症が伴うことが知られています。代表的なものは下記のとおりです。
心疾患・呼吸器疾患などへの集中的な医療ケアが中心となります。
18トリソミーは予後が厳しい疾患です。米国の研究では、1年生存率は5.6〜13.4%、生存期間の中央値は8〜14.5日と報告されています。
近年は新生児集中治療や心臓手術などの積極的な治療介入により、生存率や生存期間が改善したとする報告もみられます。これらは集団データであり、個々の経過は合併症や治療方針によって大きく異なります。
出典:日本小児循環器学会|18トリソミーおよび13トリソミー児の心臓血管手術

13トリソミーは、パトウ症候群とも呼ばれる染色体異常です。NIPTで検出される3疾患のうち最も発生頻度が低い一方で、重篤な合併症を伴うことが多く、予後が厳しい疾患として知られています。
13トリソミーのタイプ別の内訳は次のとおりです。
転座型のうち、両親のいずれかが均衡型転座の保因者である場合は、次の妊娠でも発生確率が高くなることがあるとされています。
13トリソミーは18トリソミーと同様に女児にやや多い傾向があり、男女比はおよそ1:2とされています。
身体的な特徴としては、胎児期からの成長障害、小頭症、頭皮や頭蓋骨の欠損、小眼球症、口唇口蓋裂、耳の位置が低い、多指症などがよくみられます。中枢神経系では、左右の大脳半球が分離しない「全前脳胞症」を伴うことがあり、これに伴うけいれん発作も報告されています。
運動・精神発達には重度の遅れがみられ、自力での哺乳や呼吸が難しいケースも多く、医療的なサポートを必要とすることが一般的です。
13トリソミーの出生頻度は、およそ5,000〜12,000人に1人とされています。常染色体トリソミーの中では、21トリソミー・18トリソミーに次いで3番目の頻度です。
13トリソミーには、複数の臓器にわたる重篤な合併症が伴うことが知られています。代表的なものは下記のとおりです。
心臓血管手術などの積極的な治療を行うか、保存的なケアにとどめるかは、医療機関や家族の意向を踏まえて個別に判断されています。
13トリソミーは予後が極めて厳しい疾患とされ、米国の研究では、1年生存率は5.6〜19.8%、生存期間の中央値は5〜12.5日と報告されています。
近年は新生児集中治療や心臓手術などの積極的な治療介入により、生存率や生存期間が改善したとする報告もみられます。これらは集団データであり、個々の経過は合併症や治療方針によって大きく異なります。積極的な治療を行うかどうかは、子どもの最善の利益と家族の意思をもとに慎重に検討されます。
出典:日本小児循環器学会|18トリソミーおよび13トリソミー児の心臓血管手術
染色体・発症頻度・身体的特徴・主な合併症・予後を一覧で整理します。
| 項目 | 21トリソミー(ダウン症候群) | 18トリソミー(エドワーズ症候群) | 13トリソミー(パトウ症候群) |
|---|---|---|---|
| 関連する染色体 | 21番が3本 | 18番が3本 | 13番が3本 |
| 発症頻度 | 約600〜800人に1人 | 3,500〜8,500人に1人 | 5,000〜12,000人に1人 |
| 主な身体的特徴 | 眼瞼裂斜上、鼻根部平坦、筋緊張低下、舌の突出 | 後頭部突出、小顎、手指の重なり、短い胸骨 | 小頭、頭皮部分欠損、口唇口蓋裂、軸後性多指趾 |
| 平均寿命・予後 | 約60歳ともいわれる | 生存期間の中央値は8〜14.5日 | 生存期間の中央値は5〜12.5日 |
| 主な合併症 | 先天性心疾患(心内膜床欠損症・心室中隔欠損症など)、消化器疾患(十二指腸閉鎖・鎖肛など)、白血病など | 先天性心疾患(約90%)、呼吸器・消化器・中枢神経などの異常 | 先天性心疾患(約80%)、中枢神経の異常(全前脳胞症)、呼吸器の異常 |
数値はあくまで一般的な目安であり、個人差が大きい点に注意が必要です。同じトリソミーでも、モザイク型や部分トリソミーなどタイプによって症状の出方や予後は異なります。
近年は18トリソミー・13トリソミーでも、新生児集中治療や心臓手術などの介入により予後が改善した報告が増えており、診療方針も少しずつ変化しています。

染色体異常をもって生まれた子どもとその家族が利用できる、公的な支援制度や福祉サービスを紹介します。
医療費の自己負担分の一部を国・自治体が助成する制度です。
染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群を含む16疾患群・801疾病が対象疾病とされており、21・18・13トリソミーもこの対象に含まれます。原則18歳未満(一定の条件下で20歳未満まで延長)の児童で、申請要件を満たす場合に利用できます。
申請窓口は自治体(保健所など)で、医師の意見書をもとに認定が行われます。
知的障害がある場合は療育手帳、身体障害がある場合は身体障害者手帳の取得が可能です。
療育手帳は児童相談所などでの判定をもとに発行され、等級は重度(A)とそれ以外(B)に分けられます。身体障害者手帳は障害の種類や程度に応じて1〜6級が交付されます。
等級によって受けられる支援内容が異なります。
精神又は身体に障害がある児童やその家族に対し、国から2種類の手当が支給される場合があります。
特別児童扶養手当は20歳未満の障害児を養育している父母等に支給される手当で、障害児福祉手当は日常生活で常時の介護を必要とする在宅の20歳未満の児童本人に支給されます。
いずれも所得制限があり、扶養親族の数に応じた限度額を超える場合は支給対象外となります。
障害のある子どもへの発達支援は、年齢段階に応じて提供されています。
児童発達支援は未就学児を対象に、日常生活動作の指導や集団生活への適応訓練を行うサービスです。放課後等デイサービスは就学児(小学校〜高校)を対象に、放課後や学校休業日の生活能力向上の訓練や交流機会を提供します。

NIPTで陽性結果が出た場合、大きな衝撃を受けることがあります。次のステップを落ち着いて進めるために、知っておきたい心構えを整理します。
NIPTは非確定的検査と位置づけられており、陽性結果が出ても染色体異常が確定したわけではありません。母体血中の胎児由来DNA断片を解析する仕組み上、胎盤限局性モザイクなどにより偽陽性が起こる恐れもあるためです。
確定診断のためには、羊水検査や絨毛検査などの確定検査が別途必要となります。陽性結果を受け取った時点では、まず担当医や遺伝カウンセラーから結果の意味について説明を受け、次のステップを慎重に検討することが大切です。
出典:出生前検査認証制度等運営委員会|NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)
染色体異常の可能性が示された場合、専門家による遺伝カウンセリングを活用できます。臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが中立的な立場で、検査結果の意味や今後の選択肢について情報を提供します。
遺伝カウンセリングの内容や費用、受けられる場所については、新型出生前診断の遺伝カウンセリングとは?で詳しく解説しています。
陽性結果を受け止めるには、パートナーや家族との対話が欠かせません。妊娠継続や出生後の養育、必要な医療的ケアなどについて、それぞれの価値観や希望を率直に話し合うことが、納得のいく意思決定につながります。
検査を受ける前から「結果が陽性だった場合にどう対応するか」をある程度話し合っておくことも、結果を受けてからの動揺を和らげる助けになります。
染色体異常は、卵子や精子が作られる際の染色体不分離など、偶発的に起こる現象によるものです。母体や父親の生活習慣によって発症するものではありません。
母体年齢の上昇に伴って発生頻度が高くなる傾向はありますが、これも生殖細胞の分裂過程で起こる現象であり、本人の責任ではありません。
NIPTを受けるか迷っているとき、あるいは陽性結果が出てしまったとき、いずれの場面でも一人で抱え込む必要はありません。
DNA先端医療では、認定遺伝カウンセラーへの相談を何度でも無料で提供しており、陽性結果が出た場合の羊水検査費用も全額当社が負担しています。検査前の疑問から結果後のフォローまで、相談できる体制を整えています。
NIPTの仕組みや精度、受検条件についてさらに詳しく知りたい方は、NIPTでわかること・わからないことを徹底解説もあわせてご覧ください。
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