赤ちゃんが突然、ママやパパの後を追い始めたら、それは「後追い」のサインかもしれません。生後7~9ヵ月頃に見られるこの行動は、赤ちゃんの発達過程で大切な一歩。でも、親にとっては日常生活が一変し、時には大変な思いをすることもある出来事です。
なぜ後追いは起こるのか、原因やどのように対処すればよいのか、生活の中でどんな対策が有効なのか。
この記事では、後追いの始まりから終わりまでの期間、赤ちゃんと親がどのように向き合い、成長していくかを解説します。
ぜひ参考にしてください。
なお、現在妊娠していて、お腹の中にいる赤ちゃんに先天的な疾患がないか不安に感じている人は、出生前診断を受けてみるのも選択肢の一つです。
出生前診断については、「出生前診断にはどんな種類があるの?」でチェックできます。
後追いとは?
後追いとは、赤ちゃんが安全であると感じる人物、通常はママやパパが離れることに不安を感じ、その人物が離れると追いかける行動を言います。
中には、ママやパパの姿が見えなくなると泣き出してしまう赤ちゃんもいます。
発達心理学では、この行動は赤ちゃんの発達上、非常に重要な段階と考えられています。
後追いが始まる時期と終わる時期
後追いはだいたい生後6ヵ月頃から始まり、生後8ヵ月頃にピークを迎えて1歳から2歳頃までには自我が芽生え、自立心が養われ3歳頃までには終わるとされています。
しかし、個人差があるため、この時期はあくまで一般的な目安と捉えてください。
後追い行動の兆候
後追いを始めたときのサインには、親や保護者が視界から消えると泣き出す、部屋を出るときに不安そうな表情を見せるなどがあります。
赤ちゃんが後追いを始めたら、親や保護者として理解と適切な対応が求められます。次の章からは後追いの対策について紹介していきます。
後追いの原因
後追いの主要な原因は、赤ちゃんが安全基地として感じるママやパパから離れるときに感じる不安(分離不安)です。
ママやパパに愛着を持つことから後追いが起きるのです。
ママやパパは人を見分けられる記憶力がついてきた証拠でもあります。後追いは健康な赤ちゃんでも起こることなので、安心してください。
赤ちゃんの発達における後追いの重要性
後追いは、赤ちゃんが世界を探索する上での安心感を確立するための重要なステップです。
赤ちゃんが自己と他者を区別し始め、ママやパパと愛着関係を深めていく大切な時期です。将来的には自立を促進する役割も担っています。
また、後追いをすることで、ハイハイや一人歩きなどの運動をしやすくなるため、赤ちゃんの筋肉の発達にもメリットがあるでしょう。
後追いしない赤ちゃんもいる
赤ちゃんの発達において、後追いは一つの大きなマイルストーンとされています。しかし、すべての赤ちゃんが後追いをするわけではありません。
これにはさまざまな理由があり、発達の個人差や運動能力に関する問題、あるいは赤ちゃんが周囲の環境に完全に安心していると感じることが原因の場合もあります。とくに、ママやパパだけでなく、祖父祖母や兄弟姉妹がそばにいる家庭の場合は、後追いをしない場合もあります。
重要なのは、赤ちゃんが後追いしないこと自体が必ずしも問題を示すわけではないということです。それぞれの赤ちゃんは個々のペースで成長し、発達していくでしょう。
ただし、中には病気や発達障害が原因になっている場合もあります。心配な場合は医師に相談すると安心しやすいでしょう。
日常生活での後追い対策
赤ちゃんの後追いが始まるとお手洗いや入浴の際に、赤ちゃんがあとをついてきたり、泣きわめいたりしてママやパパは困るかもしれません。
日常生活での後追い対策を紹介します。
- 声をかける
- 抱っこ紐やおんぶ紐を使う
- ベビーゲートやベビーサークルを使う
- たくさん遊んであげる
- 一人でいることに慣れさせる
それぞれ解説していきます。
声をかける
後追いに対する対策としては、まず赤ちゃんに十分な安心感を与えることが基本です。一時的に視界から消える場合でも、「ちょっと行ってくるね」「すぐに戻ってくるね」と声を掛け続けることで、赤ちゃんが不安を感じずに済むようにしましょう。
抱っこ紐やおんぶ紐を使う
抱っこやおんぶをすれば、後追いをしている赤ちゃんがいても、家事などをしやすくなります。
ただし、長時間の抱っこやおんぶは腰や肩に負担がかかる恐れがあるため、休みもとりましょう。
ベビーゲートやベビーサークルを使う
赤ちゃんの安全を確保するためにベビーゲートやベビーサークルを利用すると、後追い期間中の赤ちゃんがいても作業しやすいです。
おすすめのベビーゲートやベビーサークルは以下の記事で紹介しています。
たくさん遊んであげる
赤ちゃんとたくさん遊んであげることで、赤ちゃんが絆を感じて後追いがおとなしくなるケースがあります。
時間と気持ちに余裕があるときは、赤ちゃんと遊んであげましょう。
一人でいることに慣れさせる
また、短い時間ですが一人で遊ぶ楽しさを知ってもらい、徐々にその時間を延ばしていくことも有効な方法です。保護者の方も、赤ちゃんが安心して遊べる環境を整えることが大切です。
家事をする際に赤ちゃんを近くにおいて、話しかけながら作業をするといった方法があります。
また、赤ちゃんが一人遊びをしているときには、適度な距離を保ちつつ、声掛けをすることで、赤ちゃんが一人でも安心して遊べるように環境を整えることが大切です。このようにして、赤ちゃんが保護者がいない状況に徐々に慣れさせていくことが重要です。
後追いが特にひどい場合の対処法
「赤ちゃんがすぐについてくる」「自分がそばにいないと赤ちゃんが泣く」という場合もあるでしょう。
先ほどお伝えしたように、赤ちゃんを一人にする時間を徐々に増やしていくとともに、その間に赤ちゃんが楽しめる活動を提供することが重要です。
もしもひどい場合は、医師や保健師など専門家の意見を求めることも、有効な方法となり得ます。後追いが特にひどい場合、一人で抱え込まずに相談してみましょう。
後追いをする赤ちゃんを預けるときのポイント
後追いが始まった赤ちゃんを預けるのは、親にとっても赤ちゃんにとっても大きな挑戦です。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、この期間をスムーズに乗り切ることができます。
大切なのは、赤ちゃんが安心して過ごせる環境を整えることです。以下に、そのための具体的な方法を紹介します。
- 赤ちゃんがなついている人に預ける
- お昼寝や授乳をして機嫌をよくしてから預ける
- 別れる際の流れを同じにする
それぞれ解説していきます。
赤ちゃんがなついている人に預ける
後追いをする時期の赤ちゃんは、特定の人によくなついていることが多いです。
そのため、預ける際には、赤ちゃんがよく知っている、信頼している人を選ぶことが大切です。例えば、よく遊ぶ祖父母や、以前から頻繁に会ってている身近な友人などが適任です。
赤ちゃんがなじみのある人のもとであれば、親がいない間も安心して過ごせるでしょう。反対に、見知らぬ人やあまりなじみのない人に預けると、赤ちゃんが不安を感じ、泣きやまなくなることもあります。
そのため、赤ちゃんが誰と過ごすか、ということは非常に重要なポイントとなります。
お昼寝や授乳をして機嫌をよくしてから預ける
後追いをする赤ちゃんを預ける前に、お昼寝や授乳で機嫌をよくしておくことは、預け先での赤ちゃんの快適さを保つために重要です。
お腹が空いている状態や、疲れている状態で預けられた赤ちゃんは、ストレスを感じやすくなります。しかし、十分な睡眠を取り、お腹も満たされていれば、赤ちゃんはよりリラックスした状態で留守番ができます。
また、これは親が赤ちゃんを預ける際の不安を軽減することにもつながります。つまり、赤ちゃんが穏やかな状態で預けられることは、親子双方にとって有益なのです。
別れる際の流れを同じにする
後追い期にある赤ちゃんを安心させるためには、別れの際の流れを毎回同じにすることが重要です。これにより、赤ちゃんは「今から親がいなくなる」ということを理解しやすくなります。
例えば、毎回同じ時間に、同じ場所で、同じ言葉をかけて別れるといったことが挙げられます。この習慣化により、赤ちゃんは親が離れるという状況を予測しやすくなり、徐々にその状況に慣れていくことができます。
また、親が戻ったときには必ず喜んで迎えることで、安心感を与えることも大切です。このように、別れと再会の際の一貫性を保つことで、赤ちゃんは親が離れる時間を安心して過ごせるようになるでしょう。
後追い期間を乗り越えるための注意点
後追い期間を乗り越えるためには、親としての心構えが重要です。この時期は、赤ちゃんが親から離れることに強い不安を感じるため、急に激しい後追いが始まることもあります。親は、赤ちゃんの感情を受け止め、根気強く寄り添う姿勢が求められます。
また、以下の点も重要です。
- 夫婦で協力する
- 家の中の安全性に気をつける
それぞれ解説していきます。
夫婦で協力する
後追い期間中は、夫婦で協力し合うことが非常に重要です。一方の親だけに負担がかかりすぎると、親自身のストレスが増えてしまい、家庭内の不和の原因にもなりかねません。
夫婦で育児の負担を分かち合い、赤ちゃんのケアだけでなく、お互いの心のケアにも注意を払うことが大切です。
例えば、交代で夜の世話をする、家事を分担するなど、具体的な協力体制をつくることが効果的です。夫婦で支え合うことで、後追い期間をよりスムーズに乗り越えられるでしょう。
家の中の安全性に気をつける
赤ちゃんが後追いを始める時期は、さまざまなものへの好奇心が芽生え、家中をよじ登ったりハイハイで探検したりしながら、新しい世界を発見する重要な時期です。
この段階は、赤ちゃんの成長にとって楽しい時期ではありますが、同時に家の中の安全対策を見直す絶好の機会でもあります。まず、家具の安定性を確認し、転倒防止対策を施すことが重要です。
また、コンセントカバーや扉ストッパーを設置して、赤ちゃんが指を挟んだり、感電したりする危険を防ぎます。小さな物や刃物は、赤ちゃんの手の届かない場所に置き、誤飲の危険を回避することも忘れてはなりません。
加えて、階段にはベビーゲートを設置して、赤ちゃんが自分で登ったり降りたりすることのないようにします。このように準備を整えることで、後追いを楽しむ赤ちゃんを安全に見守れるでしょう。
後追いを経て成長する赤ちゃん
後追いは赤ちゃんの成長の大切な過程の一つであり、この期間を経ることで赤ちゃんはさまざまな発達を遂げます。
以下について説明します。
- 後追いの終了と赤ちゃんの発達
- 後追いが終わった後の親子の関係
ぜひ参考にしてください。
後追いの終了と赤ちゃんの発達
後追い期間が終わると、赤ちゃんは自我の芽生えと共に、大きな発達を遂げます。自分と他者を区別する能力が高まり、一人で遊ぶことも増えてきます。
また、言語能力や社会性が発達し、自分の意見を持ち始めるなど、個性が芽生えます。この時期に重要なのは、赤ちゃんが自己主張をしていることを受け止めましょう。
赤ちゃんの「やりたい」という意志を尊重しつつ、安全でポジティブな環境を提供することが、さらなる成長を促す鍵となります。
後追いが終わった後の親子の関係
後追いが終わると、親子の関係は新たな段階に入ります。後追い期間を通じて築かれた信頼感は、赤ちゃんが自分から探求する力の基盤となります。赤ちゃんが親から離れて自分で行動できるようになります。
また、赤ちゃんが新しいことに挑戦する際には、背中を押してあげることも重要です。後追い期間を経て、親子はより強固な信頼関係を築き、共に成長していけるでしょう。
後追いは赤ちゃんも親も成長するための一歩
赤ちゃんの後追いは、彼らの成長過程における重要なフェーズのひとつです。この時期は、赤ちゃんが保護者への愛情と信頼を深める大切な時期であり、保護者との絆を強化します。
後追いが始まると、赤ちゃんは保護者が常に自分の側にいてくれることを求めるようになり、離れることに不安を感じるようになります。この行動は、自己認識の発達と密接に関連しています。対処法については、適切な対応と愛情を持ったコミュニケーションが重要で、親子の信頼関係を築くための貴重な機会とも言えます。
後追いの期間中、親は忍耐強く、愛情を持って接することが求められます。後追いは赤ちゃんの自立への一歩であり、親も子もともに成長するための貴重な時期であることを忘れずに、乗り越えていきましょう。
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