2023.09.08
妊娠
妊婦さんの中には、体調不良で薬を飲みたいと考えている方もいるのではないでしょうか?妊娠中に薬を飲んで、おなかの赤ちゃんの健康に問題が起きないか気になりますよね。
この記事では、妊娠中に薬を飲むことによる赤ちゃんへの影響について解説しています。妊娠中の服薬について気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
妊婦さんが薬を飲むと、おなかの赤ちゃんに影響を与える可能性があります。薬は必要なところで効果を発揮するだけでなく、他のところでも影響を与えるためです。
特に、妊娠中は体内での複雑な変化により、薬の副作用が現れやすくなりますし、服用した薬の成分によっては、胎盤を通じておなかの赤ちゃんにも届けられます。
通常、薬の成分は肝臓や腎臓で分解や排泄がされますが、おなかの赤ちゃんは内臓の機能が十分でありません。また、薬の成分が尿の中に排泄されても、羊水となるため、再び赤ちゃんに取り込まれます。
妊娠中の薬の影響は、薬の種類や量だけでなく、妊娠の時期によっても異なります。おなかの赤ちゃんへの影響で最も心配されるのが、形態異常や発達障害です。
もともと赤ちゃんの形態異常は一定の頻度で起こるもので、生まれてくる赤ちゃんの1~2%は奇形がみられます。薬の副作用で赤ちゃんが奇形になるリスクは、さらに2~3%に上がるといわれています。
現在販売されている薬のほとんどは、赤ちゃんに奇形を引き起こす危険性はないとされていますが、一部の薬の中には、催奇形のリスクがあります。
ですが、該当の薬を飲んだからといって、必ず赤ちゃんに奇形を起こすわけではありません。妊娠と気づかずに薬を飲んでしまった場合は、まずはかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
妊婦さんが飲んだ薬の影響は、妊娠中の時期によっても異なります。妊娠の時期による薬の影響は以下です。
妊娠3週目までは、おなかの赤ちゃんの元となる受精卵が子宮内膜に到着する時期です。この時期の受精卵(または胎芽)は器官が作られているわけではないので、薬の影響はほとんどありません。
受精卵そのものも抵抗力があるため、外からの影響を受けにくくなります。妊娠と気づかずに薬を飲んでしまった妊婦さんも多くみられる時期ですが、大きな心配は必要ありません。
妊婦さんの薬の服用で特に注意しなければいけないのが、妊娠4週から7週です。この時期は、心臓や脳など赤ちゃんの重要な器官が作られる時期です。それぞれの器官が作られる時期によって、薬による影響が異なります。
この時期も妊娠に気づかずに薬を飲んでしまっていることがあります。服薬について心当たりのある人は、念のため産婦人科医に相談しましょう。
妊娠8~15週も、赤ちゃんが薬の影響を受ける可能性があります。この時期は重要な器官の形成が終わり、そのほかの器官が作られている時期です。
妊娠4~7週に比べると薬の影響は小さいです。ですが、薬の影響で手足が短めになったり、目や鼻が小さめになったり、赤ちゃんが小さめになったりするリスクもあります。
なお妊娠14週頃には、薬の服用による奇形のリスクはさらに少なくなります。しかしながら、赤ちゃんによっては時期がずれ込んでいることがあるので、引き続き注意しましょう。
妊娠16週以降は妊婦さんが薬を飲んでも、奇形の心配はほとんどありません。ただし、薬によっては血管が収縮されるなどして、おなかの赤ちゃんの成長や発達に影響を及ぼす可能性があります。
妊娠16週以降も、薬の成分は胎盤を通じて赤ちゃんに届きます。薬を過剰に服用すると、赤ちゃんの成長に影響を与える恐れがあるので注意しましょう。
出産後の話になりますが、授乳中の薬の服用について気になっている人もいるかもしれません。授乳期間中にママが薬を飲んでも、母乳に含まれる薬の成分はごくわずかです。
そのため、薬の服用後に赤ちゃんが母乳を飲んでも、健康に影響が出る心配はほとんどありません。
妊婦さんが薬を服用するときは、時期や薬の種類によって注意する必要があります。とはいえ、妊娠していてもどうしても薬が必要な場合もあるかもしれません。
妊娠中に薬の服用がどうしても必要なときは、以下のポイントに注意しましょう。
妊婦さんが薬を飲みたいときは、市販薬を使うのではなく、病院で処方された薬を飲むようにしましょう。妊婦さんへの処方するときは、医師がおなかの赤ちゃんへの影響が少ない安全な薬を選んでもらえます。
妊娠前から薬を飲んでいる人は、自己判断で中断しないようにしましょう。薬を飲むのをやめると、病気が悪化したり、症状がコントロールしにくくなったりする恐れがあります。
持病のある人は、かかりつけ医に妊娠している事実を伝えることも大切です。
軟膏や湿布は、飲み薬と比べると全身への影響が少ない特徴があります。飲み薬が消化管で吸収されて血液を介して全身に巡るのに対して、塗り薬や貼り薬は局所に作用します。
しかしながら、妊娠中は体が鋭敏になっていることもあるので、副作用が現れやすくなります。軟膏や湿布剤を使いたいときも、医師に相談するのがおすすめです。
妊娠中に風邪や頭痛などが起きたときに、市販薬で対処したいと考える妊婦さんもいるでしょう。市販薬の中にも、妊娠中に注意すべき薬があります。妊婦さんが使用を控えた方がよい薬は以下です。
抗生物質の中には、妊娠中も使用できるものもありますが、おなかの赤ちゃんに対して毒性のある薬も存在します。妊娠中に使用しない方がいい抗生物質は以下です。
各家庭に常備されていることの多い痛み止めですが、妊娠中は以下のものは使用しないようにしましょう。
妊娠中の頭痛や腰痛に対して痛み止めを使いたい場合は、以下の薬が使用できます。
繰り返しになりますが、妊娠中は医師に処方された薬を飲むことが大切です。妊婦さんで薬が必要な場合は、自分で購入するのではなく産婦人科医に相談しましょう。
妊娠中は薬の種類や量、時期によってはおなかの赤ちゃんに奇形や発達障害を引き起こす恐れがあります。特に、妊娠4~7週は赤ちゃんの重要な器官が作られる時期なので、薬の影響を受けやすい時期です。
妊娠中に薬を飲むときは、市販薬ではなく医師に処方された薬を飲むようにしましょう。持病で薬を飲んでいる場合は、自己判断で中止すると病気が悪化する恐れがあります。かかりつけ医に妊娠中であることを伝えた上で、薬について相談することが大切です。
参考:
Q2.妊娠していますが、薬を服用してもよいでしょうか?
妊娠中の薬について
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