2025.06.11
妊娠
おなかの赤ちゃんのために、カフェイン入りの飲み物を避けようと考えている妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊娠中にほうじ茶を飲んでもいいのか気になりますよね。
この記事では、ほうじ茶に含まれるカフェイン量や飲むときの注意点について解説します。ほうじ茶は何杯まで飲めるか、ラテならOKなのかという質問にも答えていますので、参考になさってください。
妊娠中でも適度な量であれば、ほうじ茶を飲むことができます。妊婦さんは、カフェインの摂取量に注意する必要があるため、コーヒーや紅茶の代わりにほうじ茶を飲もうと考えている人もいるでしょう。カフェインレス飲料のイメージがあるほうじ茶ですが、カフェインが含まれています。
カフェインとは、コーヒーや紅茶、エネルギー飲料に含まれている物質です。
妊婦さんがカフェインを摂取すると、胎盤を通じておなかの赤ちゃんに影響があるといわれています。ただ、カフェインの代謝速度には個人差があるため、影響を受けないケースも報告されています。
北海道大学の研究報告によれば、おなかの赤ちゃんが影響を受けやすいのは、カフェイン代謝の早い妊婦さんで、出生時の赤ちゃんの頭の大きさや体重の減少がみられました(※1)。
これは、カフェインそのものではなく、その代謝産物が、赤ちゃんの成長や発育に影響を与えていることが推測されます。その他の研究でも、カフェインの代謝産物により、流産や赤ちゃんの成長が遅れるリスクを高めることが示されています。
ほうじ茶に含まれるカフェイン量は100mlあたり20mgです。コーヒーや紅茶ほどではありませんが、ほうじ茶にもカフェインが含まれています。もともとほうじ茶は、煎茶を強火で炙ったお茶で、煎茶の焙煎過程でカフェインが減少します。
妊婦さんのカフェイン摂取量の目安は200~300mgです。ただ、健康に影響を与えるカフェインの摂取上限量は個人差があるため、日本では設定されていません。
妊娠中のカフェイン摂取を控えたい人は、ノンカフェインのほうじ茶もおすすめです。ノンカフェインほうじ茶は、茶葉ではなく、カフェインの含有量が少ない茎を原料としたものや、カフェインを含まない茶葉を焙煎したものがあります。
妊婦さんがほうじ茶を飲むことには、さまざまなメリットがあります。
ほうじ茶はカロリーを含まないため、妊娠中の体重管理にも役立ちます。妊娠中はホルモンバランスの変化やエネルギーの必要量も増えるため、つわりが落ち着くと食欲が増進しやすくなります。
おなかの中で赤ちゃんが成長・発達するためには、妊娠中に適度に体重を増やす必要があります。
しかし過剰な体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、難産のリスクを高めます。カロリーを含まないほうじ茶は、妊娠中でも安心して飲むことができるでしょう。
ほうじ茶にはリラックス効果があるため、気分を落ち着かせることができます。具体的な成分が「テアニン」と「ピラジン」です。
テアニンは茶葉に含まれるアミノ酸成分で、脳をリラックスさせたり、集中力を高めたりする効果があります。また、ピラジンは焙煎時によって生じる香り成分で、血管を広げリラックスをさせる効果が確認されています。
妊娠中はホルモンバランスや体の変化により、気分が不安定になってしまうことがあります。気分を落ち着けるために、ほうじ茶を飲んでみるのもよいでしょう。
ほうじ茶は、つわりなどで吐き気が強いときでも飲みやすいお茶です。妊婦さんのなかには、つわりで嘔吐が続いている人もいるでしょう。ほうじ茶は苦味が強くなく、さっぱりした味わいであるため、口をすっきりさせることができます。
妊娠をきっかけに特定の飲み物に対して飲みにくさを感じる人は、ほうじ茶を試してみるのもよいかもしれません。
ほうじ茶は妊娠中も比較的安心して摂取できる飲み物です。いくつかの注意点とポイントついてみていきましょう。
煎茶ほどではありませんが、ほうじ茶には葉酸が含まれています(ほうじ茶100gあたり13μg)。葉酸はおなかの赤ちゃんの神経管の発達と重要な関わりのある成分であり、妊娠初期には1日あたり400μgの葉酸摂取が推奨されています。
ただ、ほうじ茶を飲む場合、乾燥した茶葉をお湯に浸出させるため、1杯あたりに含まれる葉酸量はごくわずかです。妊娠中は、葉物野菜やレバーやサプリメントなどから葉酸をしっかり摂取するようにしましょう。
ほうじ茶は鉄吸収を阻害するタンニンが含まれています。タンニンは鉄と反応することで鉄分の吸収を妨げます。ほうじ茶にもタンニンが含まれているものの、コーヒーや紅茶、緑茶と比べると少なくなります。
通常であれば食後にほうじ茶を飲んでも鉄吸収に大きな影響を与えません。ただ妊娠中は鉄分の必要量が多いので、食直後は避けるとよいでしょう。また、鉄分の吸収を助けるには、ビタミンを一緒に取るのもおすすめです。
妊婦さんのなかには、ほうじ茶についてさらに詳しく知りたい人もいるでしょう。ここでは、妊娠中のほうじ茶でよくみられる質問に回答します。
妊娠中もほうじ茶ラテを飲むことができます。一般にほうじ茶ラテは、ほうじ茶を多めに使い、濃いめに抽出します。普通に飲むほうじ茶よりもカフェイン量が2~3倍になることがあるので、1日1~2杯程度におさめるとよいでしょう。
ほうじ茶ラテには牛乳が含まれているため、妊娠中に必要なたんぱく質やカルシウムを補給するのにも役立ちます。市販のほうじ茶ラテは砂糖の含有量が多いので、自宅で甘さ控えめに作ってみるのもおすすめです。
妊婦さんが飲み物をほうじ茶に置き換える場合、一日5~6杯飲むことができます。ほうじ茶(100ml)のカフェイン量は20mgであれば、1杯200mlあたり40mgのカフェインが含まれます。その他のカフェイン飲料も組み合わせる場合は、ほうじ茶の飲める量が少なくなります。
ほうじ茶は煎茶を焙煎した茶葉で、お湯に浸出させて飲みます。茶葉の焙煎過程でカフェイン減少するため、コーヒーや紅茶と比べるとカフェインの含有量が少ないのが特徴です。
妊娠中の過剰なカフェイン摂取は、流産や赤ちゃんの成長に影響を与えることがあります。記事内で紹介した内容を参考に、一日の摂取量を目安にしてほうじ茶を楽しんでください。
参考:
※1:カフェインって?妊娠中のカフェインはダメなの?
※2:栄養部ニュース5月号
※3:50.茶やコーヒー等の嗜好飲料中のタンニン、カフェイン量
ABOUT ME