2020.10.02
出生前診断
お腹の中に赤ちゃんを授かると、安定期まではなるべく安静に過ごさないといけないと考える方や、周囲の方へのお知らせは安定期を過ぎてからと考える方もいらっしゃると思います。安定期とは、具体的にどのような時期でどのように過ごすべきなのか、新型出生前診断(NIPT)はいつ受ければよいのかについて詳しく説明していきます。
妊娠はその期間によって3つに分類され、妊娠発覚から妊娠13週6日までを妊娠初期、妊娠14週0日~27週6日までを妊娠中期、妊娠28週0日からを妊娠後期とされています。安定期とは、医学用語ではないのですが、一般的には妊娠中期の途中である妊娠16週目以降から妊娠27週頃までのことを指します。
妊娠初期と比較してつわりが徐々に落ち着いてきたり、初期流産のリスクが減ってくる時期とされており、比較的身体を動かしやすい時期です。妊娠初期や妊娠後期と比較すると体調が安定していることから安定期と言われますが、何をしても安心というような誤解を受けやすいため注意が必要です。
安定期に体調が安定するのは、妊娠16週頃にお腹の中の胎盤が完成し、妊娠を継続するためのホルモンが胎盤からのみ産生されるようになり、つわりなどが落ち着いてくるためです。また、赤ちゃんへ酸素や栄養が胎盤を通して送られ安定的に供給されるため、流産のリスクも軽減します。
安定期という名称や、少し体が元気になってくることで、安定期に入るとつい活動的に動いてしまいがちですが、安定期とは言え妊娠中は常に流産や切迫早産の可能性があり得ます。特に、妊娠初期に流産の兆候があった方は安定期に入ったからといって活動しすぎると、お腹が張ってしまったり出血してしまったりする可能性があります。安定期だからと言って安心するのではなく、常にお腹の中の赤ちゃんのことを最優先に考えて様々な行動をするようにしましょう。
それでも、適度な有酸素運動は必要です。妊娠出産は非常に体力を使いますし、その後の育児も体力勝負です。妊娠初期にはなかなか体を動かすことができないことも多いですが、安定期に入ったらウォーキングやマタニティヨガなど無理のない程度に体を動かしましょう。
また、気を付けなくてはいけないのは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病です。つわりであまり食事が食べられなかった方が、つわりの症状が軽減してたくさんご飯や間食を食べるようになって急激に体重が増加してしまったりすることでおこります。食事を十分に摂取できるようになったことはよいことですが、お腹の中に赤ちゃんがいるからと言って2人分の食事を摂取する必要はなく、バランスがよく栄養価の高い食事を3食決まった時間に摂取するようにしましょう。
安定期に入ると、少しずつお腹のふくらみが目立ってきます。足元が見えづらくなったり、体のバランスがとりにくくなります。特に階段などの段差には注意が必要です。スニーカーなどの安定した靴を着用するようにしたり、階段の昇降時には手すりを利用したりするなど転倒には気を付けるようにしましょう。転倒は、ダイレクトにお腹の赤ちゃんに衝撃を与えますので赤ちゃんを命の危険にさらすことになってしまいます。
安定期に入る頃になると、お腹の赤ちゃんの性別が分かってきます。お腹が大きくなってからですと、買い物へ出かけるのも大変になってくるので、体調が安定していて比較的動きやすい安定期の間に産前産後に必要なベビーグッズを買いそろえましょう。
また、自治体や産院で開催している母親学級に参加することで、出産や育児に対するイメージがつけやすく、同じ時期に出産するお母さんと知り合うことで情報交換もすることができます。近年は特に核家族が増え、育児は夫婦だけでしていくという形が増えていますので、日中赤ちゃんと2人きりとなり育児ノイローゼになってしまう方も少なくありません。妊娠中から悩みを共有できる友人を増やしておくことも、孤独な育児を防ぐための1つの手と言えます。
親族や近しい友人などの身近な人へは妊娠してすぐに報告する方もいるかもしれませんが、職場などへはどのタイミングで報告すべきか悩む方もいると思います。つわりなどで体調が安定せずに仕事を休んでしまうことがある場合には、妊娠していることをはやめに報告する必要がありますが、体調が安定しているのであれば安定期に入ってから周囲へ報告するとよいでしょう。産休や育休についての事や、お腹が大きくなるにつれて徐々に動くことに制限が生じてくるので、職場の人へは安定期に入ったらすぐに報告し相談しましょう。そして、1番大切であるのは自分の身体とお腹の子どもであることを前提として、どこまでできてどこからが難しい業務であるのかをしっかりと伝えておきましょう。
妊娠中はホルモンの影響やつわりの影響などで虫歯や歯周病になりやすいと言われています。治療は妊娠週数が進むと麻酔が使いづらくなったり効きにくくなったりすることもありますので、安定期に入ったら歯科健診を受けるようにしましょう。出産後は赤ちゃんのお世話でなかなか自分のための歯科の時間をとることが難しくなるため、妊娠中に治療が必要な歯に関しては治療を済ませておきましょう。
妊娠して1番に気になるのは、お腹の赤ちゃんが健やかに育っているかだと思います。特に、出産の高年齢化により先天性の遺伝子疾患を持った胎児が増加傾向にあります。これまで先天性遺伝子疾患については、羊水検査や絨毛検査という妊婦にも胎児にも痛みや流産のリスクが伴う検査でしか確定的な診断をすることができませんでした。しかし、近年新型出生前診断(NIPT)によって、採血をとるだけでお母さんの血液の中に混在した胎児のDNAを検査することで確定検査に近い精度で遺伝子疾患の有無を調べることができるようになりました。NIPTは高精度な検査ではありますが、もし陽性であった場合羊水検査での確定検査が必要となります。羊水検査は通常安定期に入った妊娠16週~妊娠17週に行われますので、NIPTはそれ以前に受けておく必要があります。一般的なNIPTは検査を受けてから3~4週間程度で結果が分かりますので、妊娠12週前後でNIPTを受ける必要があります。弊社でNIPTを受けた場合には、検査後平均10日前後で結果を知ることができますので、妊娠15週頃までに受けていただければその後の確定検査も問題なく実施していただけます。
妊娠初期には、つわりなどの体調不良や流産のリスクもありますが、妊娠16週頃からは胎盤が完成することでつわりも落ち着き、流産のリスクも減ってきます。体調が安定するためできることが増えますが、何をしても大丈夫という期間ではないので、お腹の中の赤ちゃんを第一優先に行動することを心がけましょう。日常生活でも注意すべきことや、やっておくべきことは様々あります。そのような安定した妊娠生活を送るために、安定期に入る前にNIPTを受けてお腹の赤ちゃんの先天性遺伝子疾患の有無について調べておくとより安心した生活を送ることができます。不安が残ったまま日々を送るよりも、採血だけで精度の高い結果を得ることができますし、万が一陽性の判定であった場合には遺伝カウンセリングを利用していただきこれからの妊娠出産について相談していただくことができます。安定期では安心して妊娠生活を送り、これから生まれてくる赤ちゃんを迎える準備を進めていきましょう。
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