ハイハイの前段階として、赤ちゃんがするずりばい。赤ちゃんがお腹を床にくっつけながら、床を這うように移動する動きです。
体を引きずるように這うことから「ずりばい」と呼ばれるようになったとされています。
「赤ちゃんがずりばいをするには、練習する必要がある?」
「ずりばいはいつから始めるの?」
と気になっている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、ずりばいを始める時期やずりばいの練習の必要性についてお伝えしていきます。
この記事を最後まで読めば、ずりばいについて正しい知識を得られるでしょう。
赤ちゃんのずりばいについて知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
なお、現在妊娠していて、お腹の中にいる赤ちゃんに先天的な疾患がないか不安に感じている人は、出生前診断を受けてみるのも選択肢の一つです。
出生前診断については、「出生前診断にはどんな種類があるの?」でチェックできます。
ずりばいはいつから始める?何ヶ月が目安?
ずりばいは赤ちゃんが生後6~9ヶ月の頃に始めることが多いです。とはいえ、成長スピードには個人差があるため焦る必要はありません。
母子健康手帳には、ずりばいの時期は明記されていません。しかし、寝返りは6~7ヶ月頃、ハイハイは9~10ヶ月頃が目安とされています。ずりばいは寝返りとハイハイの間で起こることが多いため、生後6~9ヶ月で起こることが多いようです。
ただし、始める時期には個人差があります。
ずりばいの前兆や兆候は?
ずりばいの前兆や兆候には、以下のものがあります。
- 首が据わる
- うつ伏せ
- うつ伏せのまま手足を動かす
- おへそを中心に回る
- 寝返り
- お座り
首据わりとは、支えがなくても赤ちゃんが自分で頭を動かせる状態です。
首の据わりについては以下の記事でより詳しく解説しています。
上記の行動が見られたら、「そろそろずりばいが始まるかもしれない」と思っておきましょう。
なお、ずりばいを始めたばかりのときは後ろに進んだり、同じ場所をぐるぐる回ったりします。
また、お座りよりも先にずりばいを始める赤ちゃんもいます。
ずりばいとハイハイの違いは?
ずりばいとハイハイの違いは、お腹の使い方です。
ずりばいはお腹を床につけたまま移動するため、「ほふく前進」のような姿勢になります。一方でハイハイでは、膝を立てて四つん這いなるため、お腹は床から浮いた状態で移動します。
ハイハイをするよりもずりばいをする方が簡単なため、ずりばいはハイハイの前兆とされています。そのため、ずりばいをするとハイハイをする日は近いでしょう。
ただし、筋肉が十分に発達している赤ちゃんの中には、ずりばいをせずにいきなりハイハイを始める子もいます。また、ずりばいをせずに立ち上がる子もいるため、成長には個人差があると覚えておきましょう。
ずりばいの効果
ずりばいには、次のような効果があると言われています。
- 脳の発達
- 身体機能の発達
- 生活リズムが整いやすくなる
順番に解説していきます。
脳の発達
ずりばいをすることで、聴覚、触覚、視覚的にも感覚的にもさまざまな刺激を受けるため、脳の発達に役に立つとされています。
ずりばいをすることで、今まで触れてこなかった環境を知れるため、脳に新しい刺激が与えられるでしょう。
また、自分の意思でパパやママ、興味があるおもちゃのところに移動できるようになるため、情緒の安定にも役に立つでしょう。
身体機能の発達
ずりばいをすることで、腕や体幹など身体の筋肉が鍛えられるため、身体機能の発達を促進できます。手を使うので、手先の発達にもいい影響を与えるとされています。また、バランス感覚も養えるでしょう。
ずりばいは有酸素運動であるため、血のめぐりがよくなり心肺機能も高められます。
ずりばいをたくさんすることで、ハイハイをしやすくなります。
生活リズムが整いやすくなる
ずりばいをすることで、運動量が増えるため、食事や睡眠など生活リズムが整いやすくなると言われています。
日中の起きている間はずりばいで運動をして、体力を使うため、夜には睡眠をとるという生活リズムが整いやすくなる効果が期待できます。
ずりばいが早いのは問題?
赤ちゃんの成長スピードには個人差があるため、ずりばいは早くても問題がないとされています。
予定日どおりに生まれてきた子、大きく成長して生まれてきた子は、ずりばいを早く始めやすいです。
ただし、「周りの子ができているから、早めにずりばいを始めさせよう」とすると赤ちゃんに負担をかけるため、パパやママがずりばいを急がせるのは禁物です。
ずりばいが遅い原因
ずりばいが遅い原因として、下記が考えられます。
- 予定日より早く生まれてきた
- ずりばいに興味が薄い
- 必要な筋肉が育っていない
- ずりばいをするスペースがない
- 股関節に問題がある
- 病気の可能性
順番に解説していきます。
予定日より早く生まれてきた
予定日より早く生まれてきた子、未熟児で生まれてきた子はずりばいを始める時期が遅くなることがあります。
ずりばいを始める時期が遅くても、病気でなければ、ずりばいを早く始めた子と同じように成長していきます。
ずりばいに興味が薄い
周りに関心がなく、ずりばいに興味がない薄い場合、なかなか始めようとしないかもしれません。
赤ちゃんが興味を持つようにおもちゃで気を引くのがよいでしょう。
中には、ずりばいやハイハイをせずに座ったまま移動する「シャフリングベイビー」という赤ちゃんもいます。シャフリングベイビーになる理由は、明らかになっていません。
なお、シャフリングベイビーでも、病気がなければ歩くようになってからは他の赤ちゃんと同じように成長するとされています。
必要な筋肉が育っていない
ずりばいをするための筋肉が育っていないと、ずりばいはできません。
ずりばいをするための筋肉を鍛える必要があります。
寝返りを打つようにして気長に待つか、後の章で紹介する練習方法を試してみましょう。
ずりばいをするスペースがない
赤ちゃんがずりばいをしようとしても、動き回れるスペースがなかったり、ベビーベッドの上に寝かしたままだったりするとずりばいを始めにくいです。
そのため、ずりばいができるようなスペースを確保することが大切です。
股関節に問題がある
赤ちゃんが股関節を脱臼していて、うまく動けない場合があります。
股関節の脱臼は専門家でも診断に時間がかかるため、自己判断せずに、小児科に相談しましょう。
病気の可能性
ひょっとすると、何かの病気が原因かもしれません。
6ヶ月を過ぎてもずりばいをしない場合は、小児科に相談したほうがいいでしょう。
とはいえ、ずりばいができないからといって、必ずしも病気だとは限らないため、深刻に考えすぎないようにしましょう。
ずりばいの練習は必要?
「ずりばいの練習は必要なの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。
結論からお伝えすると、練習しなくても自然とずりばいはできるようになります。生活する中で、自然に筋肉が発達するからです。中には、ずりばいをせずにハイハイを始める赤ちゃんもいます。
ただし、練習をしておいたほうが筋肉が発達しやすくなり、スムーズにずりばいができるようになります。練習は必須ではないため、赤ちゃんを遊ばせる感覚で取り組むのがおすすめです。
ずりばいの練習を始める前に赤ちゃんの首が据わっているかを確認しましょう。首据わりとは、支えがなくても赤ちゃんが自分で頭を動かせる状態です。
首が据わっていない赤ちゃんは、首に負担がかかるため、ずりばいの練習は避けましょう。
ずりばいの練習方法
ずりばいの練習方法は、次のとおりです。
- うつ伏せに慣れさせる
- おもちゃで気を引く
- 少し離れた場所から呼びかける
- ずりばいの様子を見せる
- 足の裏を押す
いずれも赤ちゃんが嫌がったら無理に練習させないことが大切です。一度にすべてやる必要はないため、できるものから試してみてください。
うつ伏せに慣れさせる
ずりばいができるようになるために、まずはうつ伏せに慣れさせましょう。
うつ伏せに慣れていない赤ちゃんは、首や背中の筋肉が発達しきっておらず、頭の重さを感じやすいです。そのため、短時間からうつ伏せに慣れさせましょう。赤ちゃんが泣いたり、つらそうな顔をしたりしたら、すぐにうつ伏せをやめるのがポイントです。
また、うつ伏せは赤ちゃんが急に亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群」を引き起こす危険があるため、目を離さないようにしましょう。
おもちゃで気を引く
ずりばいをしたがるように、おもちゃで気を引きましょう。
赤ちゃんが好きなおもちゃで気を引けば、ずりばいにも興味を持ってくれやすいです。
少し離れた場所から呼びかける
赤ちゃんから離れた場所で、パパやママが赤ちゃんの名前を呼びましょう。
赤ちゃんが反応して、近づいてくるときにずりばいを始める可能性があります。少しでもパパやママのほうに近づいてこられたら、褒めてあげましょう。
ずりばいの様子を見せる
パパやママがずりばいをして、赤ちゃんに見せてあげましょう。
赤ちゃんが真似をしてずりばいをする可能性があります。最初は真似をしてくれないかもしれませんが、根気よくずりばいをしてみましょう。
足の裏を押す
赤ちゃんの足の裏を押すことで、赤ちゃんが反応して、ずりばいをすることがあります。
足の裏を押すことで、赤ちゃんが前に進む感覚をつかみやすくなるとされています。
腕の筋肉が脚の筋肉よりも少ない場合、赤ちゃんが後ろに進む場合もあると覚えておきましょう。
ずりばいの練習をするときの注意点
ずりばいの練習をするときの注意点は、以下のとおりです。
- うつ伏せのときは目を離さない
- 安全を確保する
- 動きやすい服装を着せる
- 個人差があるので焦らない
順番に解説していきます。
うつ伏せのときは目を離さない
うつ伏せは赤ちゃんが急に亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群」を引き起こすリスクがあるため、目を離さないようにしましょう。
また、柔らかいぬいぐるみや布団があると、赤ちゃんがうずくまって窒息するリスクがあるため、口や鼻を塞ぎそうなものに近づかないか確認しましょう。
赤ちゃんによっては、うつ伏せのまま頭を持ち上げられない場合もあるため、すぐに助けてあげられるように見守ってあげましょう。
安全を確保する
ずりばいの練習をするときには、周りの安全を確保しましょう。
赤ちゃんが頭をぶつけないように、イスや机の足・角には保護テープを貼っておくことをおすすめします。また、ベビーゲートで赤ちゃんの移動範囲を制限しておくとより安全です。
また、大きな家具は倒れて赤ちゃんがケガをする恐れがあるため、大きな家具がない場所で練習しましょう。赤ちゃんが誤飲しないよう、小さいものを片づけておくことも大切です。
なお、コンセントに触れて赤ちゃんが感電しないように、コンセントカバーをつけておきましょう。
赤ちゃんがずりばいを始めると、ホコリやチリが舞い上がって吸いやすくなるため、掃除は小まめにおこなうようにしましょう。
動きやすい服装を着せる
ずりばいをしやすいように動きやすい服を着せましょう。
なお、ずりばいをする際には、赤ちゃんのお腹が床やカーペットに触れるため、汚れてもよい服装を選ぶのがポイントです。
個人差があるので焦らない
赤ちゃんの成長スピードには個人差があります。
そのため、ずりばいがすぐにできなくても焦らないようにしましょう。ずりばいの練習は楽しみながら遊び感覚でおこなうことも大切です。
なお、ずりばいができなくて心配な場合は、小児科に相談するのも選択肢の一つです。
まとめ:赤ちゃんのずりばいを見守りましょう
ずりばいは赤ちゃんの成長段階ですが、成長スピードには個人差があるため、焦りすぎないことが重要です。無理に練習をさせると、赤ちゃんにストレスを感じさせる恐れがあります。
ずりばいが始まると、次はハイハイです。
ただし、ずりばいの時点でも赤ちゃんの行動範囲は広くなっているため、行動範囲の環境を安全に整えて、目を離さないようにしましょう。
また、ずりばいをしなくてもハイハイやひとり立ちをする赤ちゃんもいるため、「ずりばいをしないから」と過度に心配しすぎなくてもいいでしょう。
ぜひ温かい気持ちで赤ちゃんの成長を見守ってあげてください。もしも不安な場合は、小児科に相談してみましょう。
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