赤ちゃんは舌や唇など、発語をするための器官が未発達の状態で生まれてくるので、生まれてすぐの状態ではうまく発語ができません。
しかし、成長とともに「クーイング」と呼ばれる行動をするようになります。
この記事ではクーイングの概要や時期、喃語(なんご)との違いについて解説していきます。
最後まで読めば、クーイングに関する正しい知識を得られるでしょう。
クーイングについて興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
なお、現在妊娠していて、お腹の中にいる赤ちゃんに先天的な疾患がないか不安に感じている人は、出生前診断を受けてみるのも選択肢の一つです。
出生前診断については、「出生前診断にはどんな種類があるの?」でチェックできます。
赤ちゃんのクーイングとは?
赤ちゃんのクーイングとは、発声のことです。舌や唇を使わない次のような単純な発声をおこないます。
- 「あー」
- 「うー」
- 「えー」
- 「くー」
クーイングでは主に母音の発音をおこないます。
舌や唇を使わない独自の発声です。クーイングが起こるのは、口や喉などの声を出す器官が発達してきた証拠といえます。
赤ちゃんは口や喉が未発達の状態で生まれてくるので、最初は発語ができません。赤ちゃんは、空腹のときやおむつを替えてほしいときに意思表示として泣きます。
クーイングは意思表示があっておこなっているわけではなく、赤ちゃんがリラックスしているとき、機嫌がいいときに出るとされる発声です。最初のクーイングは赤ちゃんが意図的に出しているのではなく、息を吐くときに自然に声が出るのだともされています。
なお、クーイングは英語では「Cooing」と表記します。鳩の鳴き声を意味する「Coo(クー)」に音が似ていることが由来です。
クーイングは赤ちゃんがかわいい声で発音するのが特徴です。
赤ちゃんのクーイングと喃語の違い
クーイングと似たものに喃語(なんご)があります。
喃語はクーイングよりも少し複雑な発声です。喃語はクーイングとは違い、舌や唇を使って発声します。喃語は舌や唇が発達してきた証拠で、子音も発音できるのが特徴です。また、連続した発音も可能です。
喃語の例は、次のとおりです。
- 「あぶー」
- 「ぶぶぶー」
- 「だーだー」
- 「ばぶばぶ」
- 「まーまー」
- 「まんま」
特に、「ま」「ば」を発音するには唇を一度閉じる必要があるので、クーイングでは発声できません。
クーイングは喃語の前段階とされています。クーイングも喃語も意味のない言葉を発する点では同じです。
喃語がはじまるのは、生後4か月〜7か月です。
なお、喃語は英語では「babbling(バブリング)」と呼ばれますが、これは、「だー」や「ぶー」などbを使った発音が多いからです。
成長すると、喃語で発する言葉の種類も増えていきます。離乳食がはじまると口周りの筋肉が鍛えられるので、より多くの言葉を話せるようになるでしょう。
クーイングと喃語の違いを知っておくと、赤ちゃんの成長が進んでいると把握しやすくなります。
生後7か月以降は舌や唇がさらに発達するので、より複雑な発声ができます。
厚生労働省がおこなった「平成22年 年乳幼児身体発育調査」によると、1歳6か月〜7か月頃では9割の赤ちゃんが単語を話せるようになるという結果になりました。
クーイングや喃語の役割は?
「クーイングや喃語にはどんな役割があるの?」と疑問に思うかもしれません。
クーイングや喃語は口の形を変えたり、喉や舌や唇を使うための動きを学ぶためにおこなわれるとされています。そのため、クーイングや喃語は、「喉や舌や唇をうまく使うための練習」ともいえます。
赤ちゃんはクーイングや喃語で発声をおこない、ママやパパとのやりとりの中で、コミュニケーションを学んでいきます。赤ちゃんはママやパパの会話を観察しているのです。
赤ちゃんがクーイングをはじめたら「コミュニケーションを学んでいるんだ」と覚えておきましょう。
また、クーイングは赤ちゃんがリラックスしているときや機嫌がいいときに起きることから、赤ちゃんの気分を知るサインとしても役に立つでしょう。クーイングは別名「プレジャーサイト(ご機嫌のサイン)」とも呼ばれています。
なお、人間は3歳までは実際に使われるよりも多くの神経組織(ニューロン)が存在しており、言語を学びやすいとされています。
英語や中国語などの言語も、赤ちゃんのうちなら効率的に学習しやすいです。「日本語以外の言語も将来話せるようになってほしい」と思っているなら、クーイングや喃語の時期から日本語以外の言語を聴かせるのも選択肢の一つです。
喃語を発しているときの赤ちゃんは世界中の言語の音を聴き取れるとされているので、言語学習をしやすい時期といえます。
赤ちゃんのクーイングの時期は?いつからいつまで?
赤ちゃんのクーイングがはじまるのは、生後2か月〜3か月といわれています。ただし、時期は個人差があります。
中には、生後0か月〜1か月からクーイングをはじめる赤ちゃんもいるほどです。なお、未熟児で生まれた赤ちゃん、予定日よりも早く生まれた赤ちゃんは、クーイングの時期が遅くなりやすいでしょう。
逆に、お腹の中で大きく成長して生まれてきた赤ちゃんやほぼ予定日通りに生まれてきた赤ちゃんは早くクーイングをはじめるかもしれません。
クーイングがはじまると泣き声や叫び声以外の反応をするようになります。
生後4か月〜7か月で喃語がはじまると、クーイングは徐々にみられなくなり、1歳にはほとんどの赤ちゃんがクーイングしなくなるといわれています。クーイングは数か月間だけの短い期間だけの発声と覚えておきましょう。
赤ちゃんのクーイングの返し方
赤ちゃんがクーイングしていたら、パパやママも「あー」「うー」「くー」など声を出して返してあげるのがおすすめです。赤ちゃんは、自分が発した声と同じ反応が返ってくれるとご機嫌になりやすいです。
声を出して返してあげると、赤ちゃんが「もっとしゃべりたい」と思うようになるかもしれません。逆に、クーイングに対して反応をしないでいると、赤ちゃんがクーイングをやめてしまう恐れがあります。
また、身振りや手振りや視線で反応してあげると、赤ちゃんがコミュニケーションをより多く学ぶことが可能です。
「今日もいい天気だね」「絵本を読もうか?」「おもちゃで遊ぼうね」と話しかけることで、赤ちゃんはどんどん刺激を受け取れます。
たくさん話しかけておくと、あとで言葉を話しやすくなります。これは、赤ちゃんはママやパパから話しかけられた言葉を使って話そうとするからです。
赤ちゃんの健全な成長のためにも、積極的にコミュニケーションを取っていくことが重要です。ママやパパが楽しそうに返してくれたら、赤ちゃんもきっと喜ぶでしょう。親子の絆も深まりやすくなります。
クーイングをしなくても大丈夫?
「生後3か月経ってもクーイングをしないので、心配……」という人もいるでしょう。
赤ちゃんの中には、生後3か月経ってもクーイングをしない子がいます。
赤ちゃんによっては、「クーイングはするのだけど、本当にたまにしかしない」という場合もあります。
赤ちゃんの成長速度には個人差があるので、焦りは禁物です。
他の赤ちゃんと比較してしまい、不安になる気持ちもわかります。しかし、クーイングが遅くても、体に異常がなければ将来ちゃんと話せるようになるでしょう。中には、クーイングをせずにいきなり喃語をはじめる赤ちゃんもいます。
ただし、赤ちゃんが何かの病気を抱えている場合、クーイングが遅くなることもあります。気になる方は、小児科に相談してみましょう。
クーイングをしなくて不安なときの対処法
「個人差があるとわかっているけど、クーイングをしなくて不安……」という人もいるでしょう。
そのときに試したい対処法を3つ紹介します。
- 積極的に話しかけてみる
- 反応を観察する
- 新しい経験をさせる
ぜひ参考にしてください。
積極的に話しかけてみる
ママやパパが積極的に話しかけてコミュニケーションを取れば、クーイングがはじまることもあります。
クーイングをしていなくても、根気よく、やさしく話しかけてみましょう。
赤ちゃんは大人の行動を観察しているので、話しかけることが刺激になりクーイングをしやすくなります。話すことは、パパやママには当たり前のことでも、赤ちゃんにとっては新しい刺激になります。
「話しかけることが思いつかなくなってくる」という人は、絵本を読み聞かせてあげてもよいでしょう。
また、ママやパパ以外にもおじいちゃん・おばあちゃん、や兄弟姉妹などのご家族がいる場合、協力してもらってみんなで話しかけると赤ちゃんにより刺激を与えられるでしょう。
反応を観察する
赤ちゃんは聴覚が発達しているので、話しかければ音がする方向に体を向けたり、目を向けたりします。
ただし、話しかけても反応が薄い場合、耳にトラブルを抱えている恐れがあります。
一度、乳幼児健診の際や小児科の先生に相談をしてもよいでしょう。
なお、病院によっては出生時に「聴覚スクリーニング検査(赤ちゃんに音を聴かせて、聴力があるか確認する検査)」を受けていることもあります。検査を受けた場合は、母子手帳の「新生児聴覚検査」の欄に記録が残っているので、確認してみましょう。
検査で問題がなければ、先天性難聴の可能性は低いです。しかし、生まれた後に起こった中耳炎や進行性難聴は、聴覚スクリーニング検査では見つけられないので、気をつけましょう。
また、赤ちゃんによっては、聴力に異常がなくても耳の中に羊水が残っていたり、耳垢が詰まっていたりして、音が聴こえにくくなっている場合もあります。中には、耳が聴こえていても、内向的な性格などが影響して、リアクションが薄い赤ちゃんもいます。
話しかけたときの赤ちゃんの反応をよく観察するようにしましょう。もしかしたら、すでにクーイングをしているかもしれません。
新しい経験をさせる
いつもと違う場所に行ったり、違うおもちゃで遊んだりと新しい経験を赤ちゃんにさせるようにしましょう。
新しい経験をすると赤ちゃんは楽しい気持ちになり、感情を表現しようとクーイングをはじめる可能性が高まります。
しかし、赤ちゃんの体調やご機嫌に気を配って、大きなストレスを感じさせないようにしましょう。
クーイングに関する注意点
クーイングには以下の2つの注意点があるので、覚えておきましょう。
- クーイングを強引に要求しない
- ママやパパの日頃の言葉遣いを注意する
それぞれ解説していきます。
クーイングを強引に要求しない
クーイングがはじまると嬉しさのあまり、「もっと聴きたい」と思うかもしれません。しかし、クーイングはリラックスしているときや機嫌がいいときに出るものなので、待っていても必ず出てくるとは限りません。
赤ちゃんにプレッシャーを与えないためにも、クーイングを強引に要求しないようにしましょう。
ママやパパの日頃の言葉遣いを注意する
クーイングをはじめた赤ちゃんは、言語を日々学んでいます。そのため、ママやパパが乱暴な言葉遣いをしていると赤ちゃんがその言葉を学んでしまいます。
「赤ちゃんが聞いている」という意識を向けて、乱暴な言葉を使わないように心がけましょう。
ママやパパだけでなく、他にも家族がいる場合には、「赤ちゃんがいるので、乱暴な言葉は控えよう」と家族で決めておくと、より安心です。
赤ちゃんのクーイングを理解しておきましょう
クーイングは言葉を話すようになる前の段階だけの特別な発声です。
時期は個人差がありますが、生後2か月頃〜3か月頃です。終わる時期は生後1歳程度です。
クーイングの後に喃語(なんご)を発するようになり、その後だんだんと話すようになっていきます。
赤ちゃんがクーイングをしてきたら、あいづちをうったり、言葉を返したりして反応すると赤ちゃんがコミュニケーションを学びやすくなるでしょう。
クーイングについて理解して、赤ちゃんの成長を見守りってみましょう。
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