赤ちゃんの成長において、卒乳は重要な節目の一つです。しかし、多くのママやパパが「いつ頃がベストな時期なのか」「卒乳と断乳の違いは?」といった疑問を持っているのではないでしょうか。
この記事では、そんな疑問を解消するために、理想的な卒乳のタイミング、卒乳と断乳の基本的な違いから、メリットやリスク、具体的な進め方までを詳しく紹介していきます。
さらに、卒乳を進める中で遭遇するかもしれない困難への対処法や、卒乳する際の注意点も解説。赤ちゃんの成長と親子の絆を深めるための卒乳のプロセスを、一緒に見ていきましょう。
なお、現在妊娠していて、お腹の中にいる赤ちゃんに先天的な疾患がないか不安に感じている人は、出生前診断を受けてみるのも選択肢の一つです。
出生前診断については、「出生前診断にはどんな種類があるの?」でチェックできます。
卒乳とは?
卒乳とは、赤ちゃんが母乳やミルクだけでなく、さまざまな固形食を食べられるようになり、徐々に母乳やミルクの必要性がなくなることを指します。
「母乳やミルクから卒業するから『卒乳』」と考えると、覚えやすいでしょう。
卒乳には、以下の2つの種類があります。
- 自然卒乳:母乳をやめる時期を決めずに自然に卒乳させる。
- 部分卒乳:仕事中や夜間だけなど時間を決めて授乳回数を減らす。
- 計画卒乳:母乳をやめる時期を決めて、計画的に卒乳させる。
完全に母乳やミルクを必要としなくなることで、赤ちゃんの食生活が次の段階に進みます。
卒乳と断乳の主な違い
卒乳と断乳は似ているようで、実は大きな違いがあります。断乳はママやパパが主導するものであり、母乳やミルクを突然あるいは徐々に止めて、授乳を終了させることを指します。
対して、卒乳は赤ちゃんが自然に母乳やミルクの必要性を感じなくなることで、自然な移行が特徴です。断乳はある程度計画的に進められるのに対し、卒乳は赤ちゃんのペースに合わせて進むため、それぞれのタイミングは大きく異なります。
近年は、無理な断乳はせずに、赤ちゃんの気持ちを尊重して卒乳を選択する家庭が増えているとされています。
職場への復帰や病気の治療の関係で、先ほどお伝えした計画卒乳(母乳をやめる時期を決めて、計画的に卒乳させる)を実施するママもいます。
卒乳の時期
卒乳の時期は、赤ちゃんの成長や発達のペースによって大きく異なります。
一般的に言われるのは、生後1年6ヵ月を過ぎた頃から自然に卒乳が始まり、2歳頃には多くの赤ちゃんが卒乳を終えるとされています。なお、WHOでは2歳までは母乳を与え続けることを推奨しています。
しかし、これはあくまで目安であり、個々の発達の差を尊重し、赤ちゃんが準備ができたときが卒乳の理想的な時期といえるでしょう。中には「卒乳したのは4歳」というケースもあるようです。
赤ちゃんによって時期が違うため、焦らないようにしましょう。
卒乳のメリット
卒乳にはさまざまなメリットがあります。赤ちゃんは母乳やミルクだけでなく、多様な食品を摂取することで栄養バランスがとれ、味覚や噛む力である「咀嚼(そしゃく)能力」の発達を促します。
また、夜の授乳が減ることで、ママの睡眠の質が改善されることもあり、母親の体への負担も軽減されます。さらに、親子の新しいコミュニケーションの形が生まれ、精神的な成長にもつながるでしょう。
特に、卒乳が終わると育児の負担が軽くなるため、少し気持ちに余裕が出てくるかもしれません。
また、授乳がなくなることで、ママの仕事復帰もしやすくなります。
卒乳のリスク
卒乳が早すぎたり、遅すぎたりすると、以下のリスクがあります。
- 早すぎる卒乳のリスク
- 遅すぎる卒乳のリスク
順番に解説していきます。
早すぎる卒乳のリスク
早すぎる卒乳にはいくつかのリスクがあります。最も大きな問題は栄養不足です。特に、鉄分やビタミンなどの必要な栄養素が十分に摂取できない場合があります。
これにより、成長の遅れや免疫力の低下が生じる恐れがあります。また、精神的な安定感が得られず、ママとの絆の形成にも影響する場合があります。
また、赤ちゃんが自力で水が飲めない場合、水分不足になる恐れもあります。
卒乳は赤ちゃんが自然に進めるものであるため、無理に進めるのではなく、赤ちゃんの発達や準備を十分に考慮することが重要です。
遅すぎる卒乳のリスク
遅すぎる卒乳にもいくつかのリスクがあります。長期間母乳やミルクに依存することで、固形食の摂取が遅れ、味覚や咀嚼能力の発達が遅れる恐れがあります。
また、長時間の授乳は母親に負担をかけることがあり、睡眠不足や精神的負担につながる場合があります。
赤ちゃんの自立を促すためにも、適切なタイミングで卒乳を検討してもいいでしょう。
卒乳の進め方
卒乳の具体的な進め方を紹介します。
- 赤ちゃんに卒乳のことを伝える
- 日中の授乳回数を減らす
- 適切な食事の準備と摂取
- 夜間の授乳を控える
それぞれ解説していきます。
なお、卒乳を進める前には赤ちゃんが「1日3食、離乳食を食べられる」「自分で水を飲める」状態になっていることが大切です。
赤ちゃんに卒乳のことを伝える
いきなり授乳回数を減らされると、赤ちゃんは不安になるかもしれません。
そのため、「そろそろおっぱいにバイバイできるようになろうね」と卒乳について伝えておくといいでしょう。
特に赤ちゃんが1歳、2歳と年齢を重ねているほど、言葉の理解が進むので、卒乳に対してのストレスを減らせるでしょう。
日中の授乳回数を減らす
卒乳を進めるステップとして、日中の授乳回数を徐々に減らしていくことが効果的です。
まずは授乳の代わりにおやつを提供したり、水分補給のためにお水やお茶を与えたりして、食事以外の方法で満足感を得られるようにします。
また、赤ちゃんが授乳を求めたときには、抱っこや歌を歌うなど、別の方法で安心感を提供することで、徐々に授乳への依存から離れる手助けをします。
夜間の授乳を控える
夜間の授乳を減らすことも卒乳を進める重要なステップです。
赤ちゃんが夜間に目を覚ましたときに、すぐに授乳するのではなく、抱っこやなでるなど別の方法で安心させ、再び眠りにつくことを促します。
この過程は時間がかかることもありますが、徐々に夜間の授乳が不要になるよう導くのが重要です。また、夜間の授乳を止めることで、赤ちゃんの睡眠の質が向上し、ママの睡眠時間も確保できるようになります。
適切な食事の準備と摂取
卒乳を進めるためには、赤ちゃんが固形食に興味を持つよう、適切な食事の準備と摂取が重要になります。赤ちゃんが食べやすい形状やサイズにしたり、色とりどりの食材を使用したりすると食べる楽しさを教えられます。
また、家族と一緒に食事をすると、食べることの社会的側面を学び、食べ物への関心や好奇心を高められるでしょう。
食事の時間を楽しい時間にすることで、赤ちゃんは自然と固形食に興味を持ち、卒乳に向けての大きな一歩を踏み出しやすくなります。
また、赤ちゃんが自分で飲み物を飲めるように、ストローマグを使えるように練習しておくのもポイントです。
ストローマグについては、以下の記事で解説しています。
卒乳が難しいときの対処法
卒乳は母子にとって大きな節目ですが、時には予想外の困難に直面することもあります。卒乳が難しいと感じたときは、まずは赤ちゃんの準備が整っているか確かめましょう。
赤ちゃんが離乳食に慣れているか、精神的や体調的にも卒乳のタイミングが合っているかを見極めることが大切です。
また、母親自身も肉体的、精神的に負担が大きすぎないよう、無理をせず段階を踏んで進めることが重要です。
卒乳は一夜にして完了するものではなく、徐々に進めることを念頭に置き、赤ちゃんと一緒に卒乳に向かっていくことが成功の鍵です。
急に授乳を止めるとストレスや不安を感じる赤ちゃんもいますので、まずは日中の授乳を減らすなど、徐々に卒乳をしていくことが大切です。
卒乳の注意点
卒乳を進める際には、いくつかの注意点があります。
- 赤ちゃんや専門家とコミュニケーションをとる
- 他の子と比べない
- 卒乳を避けたほうがいいタイミングを覚えておく
- 卒乳の際は塩分が多い飲み物は避ける
順番に解説していきます。
赤ちゃんや専門家とコミュニケーションをとる
卒乳は赤ちゃんとのコミュニケーションを大切にすることです。語りかけることやスキンシップを通じて、赤ちゃんが不安を感じないようサポートを続けてください。
赤ちゃんが十分に栄養を摂れるよう、卒乳後の食事にも注意を払いましょう。
うまくいかないときは、保健師や小児科医などの専門家に相談しながら進めていきましょう。
他の子と比べない
赤ちゃんの成長は個人差が大きいものです。特に卒乳は、その子の体質や性格、家庭環境によって、大きく異なります。
そのため、卒乳の過程は、赤ちゃんの成長に合わせて柔軟に対応する必要があります。
友人の赤ちゃんがどのように卒乳したかという話を聞くことは参考になるかもしれませんが、それを自分の赤ちゃんにそのまま適用するのは避けるべきです。
重要なのは、赤ちゃん一人ひとりに応じて、適切なサポートをすることです。
自分の赤ちゃんの成長を信じ、焦らず赤ちゃんのペースに合わせて卒乳を進めていきましょう。
卒乳を避けたほうがいいタイミングを覚えておく
卒乳を計画する際は、赤ちゃんとママ双方の体調を考慮することが重要です。いずれかが風邪などで体調不良のときは、卒乳は一時的に延期することをおすすめします。
体調不良時に無理に卒乳を進めるとストレスが増加し、予想外の健康問題が生じることがあります。安定した体調で卒乳に臨むことで、スムーズに卒乳を進められるでしょう。
また、引っ越しや入園など、赤ちゃんの生活環境に大きな変化があるタイミングでの卒乳も避けたほうがよいといわれています。
大きなライフイベントは赤ちゃんにとってストレスになりがちで、そうした時期に卒乳を進めると、赤ちゃんが必要とする安心感や慰めを奪うことになる恐れがあるからです。
なお、卒乳をするなら、水分不足になりやすい夏、風邪やインフルエンザが流行りやすい冬は避けたほうがいいでしょう。
安心できる環境と状況の中で段階的に卒乳を促していくと、赤ちゃんにとっても親にとってもストレスが少ないでしょう。
卒乳の際は塩分が多い飲み物は避ける
「母乳の代わりに栄養がありそうな飲み物を与えよう」と思って、清涼飲料水を与えたくなるかもしれません。しかし、卒乳期において、赤ちゃんに塩分が多い飲み物を与えるのは控えましょう。塩分が多いと赤ちゃんの体に負担がかかる恐れがあるからです。
十分な水分補給は大切ですが、清涼飲料水ではなく、常温の水や白湯など塩分を含まない飲み物を選ぶよう心がけましょう。
卒乳はママの体のケアも大切
卒乳は、赤ちゃんだけでなくママにとっても大きな変化のタイミングです。母乳を与えることで女性ホルモンが影響を受けていたママの体も、卒乳を機に徐々に元の状態に戻ります。
この過程で、乳房のケアはもちろん、体調の管理にも注意が必要です。十分な栄養と適度な運動を心がけ、体の変化に優しく対応していきましょう。胸が腫れるようなら、濡らしたタオルや市販のアイスパックで冷やすといいでしょう。
また、「体調不良」「胸に違和感がある」などの症状が出たら、産婦人科に相談してみましょう。乳腺炎などの病気かもしれません。
赤ちゃんに気を遣うばかりになりやすいですが、ママの自分の体の変化にも気を遣ってあげましょう。
時期がきたら卒乳を始めてみましょう
卒乳は赤ちゃんの成長にとって大切な一歩であり、断乳と異なり赤ちゃんのペースを重視したやり方です。卒乳の時期は個人差がありますが、多くの場合は生後1年6ヵ月から2年ほどとされています。
卒乳には母子の精神的な独立を促すメリットがありますが、早すぎたり遅すぎたりするとそれぞれにリスクが伴うため注意が必要です。卒乳を進めるには、日中の授乳回数を徐々に減らし、夜間の授乳を控え、赤ちゃんが受け入れられる食事への移行をサポートすることが大切です。
卒乳が難航することもありますが、焦らずゆっくりと赤ちゃんと向き合う姿勢が重要です。卒乳の時期は赤ちゃんによって大きく異なるため、比較せず、個々のペースを尊重しながら進めることが大切です。
赤ちゃんの卒乳をサポートしてあげましょう。
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