2021.09.22

出生前診断

ダウン症のある子どもの教育や大人になってからの仕事や生活について


ダウン症のある子どもの教育や大人になってからの仕事や生活について

妊娠中や出産後など、自分の子どもがダウン症であることが分かった時に、大きなショックを受ける人は少なくありません。ダウン症は他の先天異常よりも知られている傾向がありますが、どのような生活を送るのか気になる人もいるでしょう。

この記事ではダウン症の特徴やその生活について解説します。ダウン症の子どもを育てている方も、参考にしてみてください。

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そもそもダウン症とはどんな病気か

ダウン症は、染色体数の異常によって起こる先天異常です。染色体は対の2本であるのが通常ですが、ダウン症は21番目の常染色体が3本になっているため、21トリソミーとも呼ばれています。

ダウン症の子どもは、つりあがった目や平坦な顔などの見た目の特徴があり、筋肉が柔らかく、歩行や発語などの発達がゆっくりな特徴があります。

生まれてきた赤ちゃんがダウン症であることが分かると、多くの親御さんが大きなショックを受けるものです。ダウン症の症状を具体的に分かっても、それが生活にどのような影響を及ぼすか具体的にイメージできずに不安を抱える人もいるでしょう。

ダウン症児を抱えているママやパパは、赤ちゃんが持つ障がいについて、家族や親戚、友人に伝えづらいこともあるかもしれません。相談できる相手が極端に少ないと、パートナーが不在時に子どもの面倒をみているときに、引きこもりがちになってしまうことがあります。

子どもが成長していけば、周りの人にも障がいに対する理解を得ることが必要になります。

気持ちが落ち着いたら、医師や保健師に相談したり、地域のダウン症児の会などのグループと交流を持ったり、療育を開始するなどしてみましょう。ダウン症の子どもがどのような様子なのか分かるので、不安を和らげる手助けになるかもしれません。

ダウン症の子どもの生活について

ダウン症の子どもの生活

ダウン症の子どもの多くは、一般の保育園や幼稚園、障がいの子どものための療育施設へ通います。

ダウン症児は、人なつっこい子どもが多いといわれる一方で、落ち着きのない子や内気な子もいます。ダウン症児が一般の園へ通う場合、障がいのないお友達の助けを得ながら、一緒に過ごしていくこともあるでしょう。

保育園や幼稚園のダウン症時の受け入れ態勢は、園によってまちまちです。施設によっては、クラスに配置する先生の数を増やすなどの配慮をしているところもあります。

療育施設では、ダウン症のような障がいを持つ子どもの発達を促すサポートがされています。着替えからトイレなどの日常生活動作や言葉の理解を進める働きかけが行われます。

ダウン症児の学童期の過ごし方

ダウン症児も学童期

学童期のダウン症児の半数は特別支援学級に通います。特別支援学級では、さまざまな障がいを持つ子どもが集まり、それぞれの能力に応じた支援を行っています。

学習以外にも、トイレや着替えなどの日常生活動作を学ぶことができます。特別支援学級は生徒の数が少ないので、先生がじっくり関わることも可能です。

ダウン症児の中には、一般学級に通う子もいます。一般学級では、同じ学年の子どもと一緒に学校生活を送ります。ダウン症の子どもは他の子どもと同じように活動することが難しい場合もあり、クラスメイトの手助けが必要になることもあるでしょう。

中には、学校の個別支援学級に所属することもあり、ダウン症児の能力に応じながら、両方の学級で過ごすこともできます。

中学や高校になると、これまで一般学級だけで過ごしていた子どもも、特別支援学校へいく子が増えてきます。特別支援学校では、学習以外にも、将来の仕事にフォーカスした授業が多くなります。

成人のダウン症の健康状態

ダウン症児が学童期を過ぎて迎えるのが成人期です。50年前まではダウン症の平均寿命は10年前後でしたが、医療ケアの向上により、近年では50歳から60歳まで寿命が伸びています。

その一方で、成人のダウン症は、子どものダウン症の症状にはみられない症状や病気がみられるようになります(生活習慣病やアルツハイマー病など)。

また、成人のダウン症の人の中には、急に動きがゆっくりになったり、発語が少なくなったりすることがあります。生活が昼夜逆転になると、引きこもりがちになることもあるので、家庭や職場での環境を整えたり、心のケアをしたりすることが大切です。

ダウン症の子どもが大人になったときの仕事

ダウン症の子どもが大人になったときの仕事

ダウン症のある人でも、何らかのサポートや配慮があれば、地域で自立した生活を送ることが可能です。多くのダウン症のある人は、家庭での生活をベースとしながら、作業所などで働くケースが多くなります。

また、本人や家庭の状況によっては、ダウン症の人がグループホームで集団生活を送るケースもあり、生活の場も広がるでしょう。近年では、賃貸で暮らしている人もいるように、ダウン症の人でも家族から離れて暮らすケースが増えています。

大人のダウン症の人の中には、音楽や芸術分野で才能を発揮する人もいます。中には、大学や専門学校を通う人もおり、高校卒業後に学び続けることも可能です。

また、会社の中には障がい者枠の雇用を設けているところもあり、ダウン症の人への雇用機会も広がりつつあります。その一方で、ダウン症の方の中には、環境の変化により強いストレスを感じて、うつや適応障害などの心の病気を抱えてしまうこともあるでしょう。

気になる経済面ですが、一般に作業所の賃金は低い傾向があります。ダウン症の人は、就労による賃金以外にも、障害基礎年金が利用できることがあります。

新型出生前検査(NIPT)でダウン症の可能性の有無が分かる

新型出生前検査(NIPT)でダウン症の可能性の有無が分かる

ダウン症は高齢妊娠と関連があることが分かっており、妊娠年齢が高くなるほど、赤ちゃんがダウン症を持って生まれるリスクが高くなります。近年は、女性の社会進出により晩婚化が進んでおり、30代後半から40代前半にかけて妊娠・出産を経験する女性も少なくありません。

おなかの赤ちゃんのダウン症の可能性を調べる検査に、新型出生前診断(NIPT)があります。新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんに採血をして、血液中に含まれる胎児のDNAのかけらを分析する検査です。

DNA先端株式会社では、提携の医療機関を通じて新型出生前検査(NIPT)を行っています。高齢妊娠になどにより、おなかの赤ちゃんの健康状態が気になる方は、受検を検討してみるのもよいかもしれません。

新型出生前検査(NIPT)詳しくはコチラ

まとめ

ダウン症は染色体数の異常によって起こる先天異常です。ダウン症による身体的な特徴や発達の遅れがみられますが、周りの手助けを得ながら、学校や仕事をはじめ、地域と関わりながら生活を送ることが可能です。ダウン症の子どもを持つ親御さんは、子どもの能力やペースに合わせた将来を考えていくのもよいでしょう。

参考
地域生活でダウン症児とその母親が抱える問題と援助に関して
ダウン症のあるくらし

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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