染色体異常の種類一覧|症状・頻度・NIPTでの検出可否を解説 | DNA先端医療

染色体異常の種類一覧|症状・頻度・NIPTでの検出可否を解説

更新日:2020.10.02

出生前診断

新型出生前診断でわかる染色体疾患について

「染色体異常と言われたけど、種類が多くてよくわからない」と感じることはないでしょうか。

染色体異常は、数的異常・性染色体異常・構造異常など種類によって症状や予後が大きく異なります。正しく理解することで、診断や治療の選択肢を広げられます。

この記事では、染色体異常の種類一覧を、各疾患の特徴・発生頻度・NIPTでの検出可否とあわせて解説します。流産との関係や確定診断の方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

常染色体異常の種類一覧

21トリソミー(ダウン症候群)

常染色体異常とは、1番から22番までの常染色体に異常が生じた状態です。なかでも常染色体の数的異常は、出生時に最も多く見られる染色体異常です。

代表的なものは下記の3つです。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)

それぞれ詳しく説明していきます。

21トリソミー(ダウン症候群)

21トリソミー(ダウン症候群)は、常染色体異常のなかで最も多く見られる疾患です。21番染色体が通常の2本ではなく、3本になることで発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約600〜800人に1人
主な症状知的障害、筋緊張低下、特徴的な顔立ち
合併症先天性心疾患(約50%)、白血病リスクの上昇
予後平均寿命は約60歳。医療の発達により延伸傾向

21トリソミーは染色体の構造によって、標準型・転座型・モザイク型の3種類に分けられます。全体の90〜95%を占める標準型は、両親の染色体が正常であっても発症します。転座型は約4〜5%で、どちらかの親が転座型の染色体を持っている場合があります。モザイク型は正常な細胞と異常のある細胞が混在した状態で、症状が軽くなる傾向があります。

発症リスクは主に母親の年齢と関係しており、20代前半では約1/1,000、40歳以上では約1/100まで上昇します。なお、父親の年齢も影響するとの指摘があります。

18トリソミー(エドワーズ症候群)

18トリソミー(エドワーズ症候群)は、18番染色体が3本になることで発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約3,500〜8,500人に1人(女児に多い)
主な症状知的障害、低出生体重、手指の重なり
合併症先天性心疾患(約90%)、呼吸器・消化器合併症
予後従来は生後1年の生存率が10%未満とされてきたが、近年の医療介入により向上傾向

妊娠中に50〜90%が胎児死亡となるため、出生までいたるケースは多くありません。合併症の程度や治療の内容によって予後は個人差が大きく、10歳・20歳を超えて生存する例も報告されています。

13トリソミー(パトウ症候群)

13トリソミー(パトウ症候群)は、13番染色体が3本になることで発症します。3つの常染色体トリソミーのなかで、最も発生頻度が低い疾患です。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約5,000〜12,000人に1人
主な症状口唇口蓋裂、多指症、小頭症、重度の知的障害
合併症先天性心疾患(80%以上)、中枢神経系異常
予後生後1ヵ月の生存率は約50%、1年生存率は5〜10%程度。ただし個人差が大きい

生命予後は厳しいとされていますが、近年は医療技術の進歩により、予後が改善するケースも増えています。

その他の常染色体トリソミー

21・18・13番以外の常染色体トリソミーは、出生までいたるケースがほとんどありません。これら以外の染色体は遺伝情報量が多く、トリソミーになると致死的になりやすいためです。

なお、正常な細胞と異常のある細胞が混在した状態を「モザイク型」といいます。モザイク型では症状が軽くなる傾向があり、ごくまれに出生にいたるケースがあります。

番号別の状況は下記のとおりです。

染色体番号出生の可能性
1〜6、11、15、19番完全型での出産報告はほとんどなく、出生は極めてまれ 
7、10、12、14、16、20番モザイク型・部分トリソミーでごくまれに出産例あり 
8、9、22番ごくまれに出産例あり

性染色体異常の種類一覧

性染色体異常

性染色体異常とは、性別を決める性染色体(X染色体・Y染色体)の数や構造に異常が生じた状態です。常染色体異常と異なり、生命に関わる重篤な症状が少なく、日常生活を送れるケースが多い点が特徴です。

それぞれ詳しく説明していきます。

ターナー症候群(45,X)

ターナー症候群は、女性に見られる性染色体異常です。通常2本あるX染色体が1本しかない(45,X)ことで発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度出生女児の約2,500〜3,500人に1人
主な症状低身長、卵巣機能不全、月経異常
合併症大動脈縮窄などの心疾患、馬蹄腎などの内臓奇形、不妊(99%以上)
予後生命予後は良好。ホルモン療法により症状管理が可能

45,Xの受精卵の99%以上は妊娠中に流産となるため、出生までいたるケースはごく一部です。症状の程度は個人差が大きく、モザイク型では症状が軽くなる傾向があります。治療は低身長に対する成長ホルモン療法や、月経異常に対するホルモン療法が中心です。小児慢性特定疾病の対象疾患です。

クラインフェルター症候群(47,XXY)

クラインフェルター症候群は、男性に見られる性染色体異常で、性染色体異常のなかで最も発生頻度が高い疾患です。通常XYである性染色体にX染色体が1本多い(47,XXY)ことで発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度出生男児の約500〜1,000人に1人
主な症状高身長、小さな精巣、女性化乳房
合併症多くの場合に無精子症による不妊がみられる。軽度の学習障害・言語発達の遅れ
予後生命予後は良好。思春期からのホルモン療法で症状管理が可能

幼少期には症状がほとんど現れないため、成人後に不妊治療をきっかけに診断されるケースも少なくありません。モザイク型では症状が軽くなる傾向があり、顕微授精によって子どもを授かる例も報告されています。診断されないまま生涯を送る人も多く、実際の発生数はさらに多いと考えられています。

トリプルX症候群(47,XXX)

トリプルX症候群は、女性に見られる性染色体異常です。X染色体が通常の2本ではなく3本(47,XXX)存在することで発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度出生女児の約1,000人に1人
主な症状高身長、軽度の学習障害・言語発達の遅れ
合併症一部で月経不順や不妊症がみられる場合がある。妊娠・出産が可能な場合もある
予後生命予後は良好

外見上の特徴がほとんどなく、症状も軽微なため、大半は診断されないまま生活しています。母親の年齢が高いほど発症リスクが上がる傾向があります。

XYY症候群

XYY症候群は、男性に見られる性染色体異常です。Y染色体が通常の1本より1本多い(47,XYY)ことで発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度出生男児の約1,000人に1人
主な症状高身長、言語発達の遅れ
合併症学習障害、注意欠如・多動症(ADHD)がみられる場合がある
予後生命予後は良好

症状には個人差が大きく、ほとんど症状が現れないケースも多いです。そのため、診断されないまま生涯を送る人も少なくありません。なお、過去にXYY症候群と犯罪傾向の関連が指摘されたことがありましたが、現在ではこの説は否定されています。

染色体の構造異常とは

18トリソミー(エドワーズ症候群)

染色体の構造異常とは、染色体の数は正常でも、形や構造に変化が生じた状態です。欠失した遺伝子の量や場所によって、症状の種類や程度が大きく異なります。

構造異常の主な種類は下記のとおりです。

種類意味
欠失染色体の一部が失われた状態
重複染色体の一部が余分に複製された状態
逆位染色体の一部が切断され、逆向きに戻った状態
転座染色体の一部が切断され、別の染色体にくっついた状態
環状染色体染色体の末端が切れ、輪状につながった状態

欠失・重複のように遺伝情報の量が変わる場合は、症状が現れやすくなります。一方、逆位・均衡型転座のように遺伝情報の量自体は変わらない場合、保因者本人には通常症状が現れません。

ただし、子どもに染色体異常が伝わるリスクが高まることがあります。

構造異常の種類一覧

13トリソミー(パト―症候群)

構造異常による染色体異常は、欠失が生じる染色体の番号や領域によって、疾患名や症状が異なります。

代表的な疾患は下記のとおりです。

疾患名原因染色体
22q11.2欠失症候群(ディ・ジョージ症候群)22番染色体長腕の欠失
ウィリアムズ症候群7番染色体長腕の欠失
1p36欠失症候群1番染色体短腕末端の欠失
5p欠失症候群(猫鳴き症候群)5番染色体短腕の欠失
4p欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)4番染色体短腕末端の欠失

それぞれ詳しく説明していきます。

22q11.2欠失症候群(ディ・ジョージ症候群)

22q11.2欠失症候群は、22番染色体の長腕(q11.2領域)に微細な欠失が生じることで発症します。染色体微小欠失症候群のなかで最も発生頻度が高い疾患です。かつてディ・ジョージ症候群と呼ばれていた疾患の多くが、この欠失によるものと判明し、現在は「22q11.2欠失症候群」と統一して呼ばれています。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約4,000〜6,000人に1人
主な症状特徴的な顔立ち、口蓋裂、学習障害、免疫低下
合併症先天性心疾患(約80%)、低カルシウム血症
予後心疾患の重症度が生命予後を大きく左右する。発達遅延や精神疾患が長期にわたる生活に影響することがある

約90%は突然変異による孤発例ですが、約10%は親から遺伝します。患者本人が子どもを持つ場合は50%の確率で遺伝します。指定難病の対象疾患です。

ウィリアムズ症候群

ウィリアムズ症候群は、7番染色体の長腕(7q11.23領域)に微細な欠失が生じることで発症します。「妖精様顔貌」と呼ばれる特徴的な顔立ちと、高い社交性が知られています。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約1万〜2万人に1人
主な症状特徴的な顔立ち、知的障害、視空間認知障害、高い社交性
合併症先天性心疾患(大動脈弁上狭窄など)、高カルシウム血症、高血圧
予後根本的な治療法はなく、生涯にわたる医療・社会的支援が必要

約80〜90%は突然変異による孤発例です。ただし、患者本人が子どもを持つ場合は50%の確率で遺伝します。指定難病の対象疾患です。

1p36欠失症候群

1p36欠失症候群は、1番染色体の短腕末端(1p36領域)に欠失が生じることで発症します。末端の微細欠失症候群のなかでは比較的発生頻度が高い疾患です。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約5,000〜10,000人に1人と推定(診断されていないケースも多く実際はさらに多い可能性がある)
主な症状重度の精神発達遅滞、成長障害、特徴的な顔立ち
合併症難治性てんかん、先天性心疾患、難聴
予後精神発達遅滞は生涯続く。てんかんは治療により改善する場合もある

女児に2倍多く見られます。根本的な治療法はなく、療育訓練や対症療法が中心です。指定難病の対象疾患です。

5p欠失症候群(猫鳴き症候群)

5p欠失症候群は、5番染色体の短腕(5p)の一部が欠失することで発症します。新生児期に猫の鳴き声に似た甲高い泣き声が特徴的なことから、かつて「猫鳴き症候群」と呼ばれていました。

ただし、人を動物にたとえることは人道上の観点から問題があるとされ、現在は正式名称の「5p欠失症候群」が使われています。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約15,000〜50,000人に1人
主な症状小頭症、知的障害(中〜重度)、特徴的な顔立ち
合併症筋緊張低下、言語発達の遅れ
予後欠失の範囲によって症状の幅が大きく異なる

なお、新生児期の甲高い泣き声は成長とともに目立たなくなる傾向があります。小児慢性特定疾病の対象疾患です。

4p欠失症候群

4p欠失症候群は、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群とも呼ばれ、4番染色体の短腕末端(4p16.3領域)の欠失によって発症します。

主な特徴は下記のとおりです。

項目内容
発生頻度約50,000人に1人(女児に多い)
主な症状特徴的な顔立ち、成長障害、中〜重度の知的障害
合併症難治性てんかん(90%以上)、先天性心疾患、筋緊張低下
予後欠失の範囲が大きいほど症状が重くなる傾向がある

過半数は突然変異による発症ですが、両親のいずれかが均衡型転座の保因者である場合もあります。根本的な治療法はなく、症状に応じた対症療法と療育支援が中心です。指定難病の対象疾患です。

NIPTでわかる染色体異常の種類一覧

染色体微小欠失症候群(染色体の構造的異常)

NIPT(新型出生前診断)とは、母親の血液中に含まれる胎児由来のDNAを解析することで、染色体異常のリスクを調べる検査です。母親への採血のみで行えるため、流産などのリスクがほとんどありません。

ただし、NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性の場合は羊水検査などの確定診断が必要です。

NIPTで検出できる染色体異常

DNA先端医療のNIPTでは、下記の染色体異常を検査できます。

【常染色体の数的異常】

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)
  • その他の常染色体トリソミー・モノソミー(全染色体検査)

【性染色体異常】

  • ターナー症候群(45,X)
  • クラインフェルター症候群(47,XXY)
  • トリプルX症候群(47,XXX)
  • XYY症候群

【微小欠失・重複】

  • 22q11.2欠失症候群(ディ・ジョージ症候群)
  • ウィリアムズ症候群
  • 1p36欠失症候群
  • 5p欠失症候群
  • 4p欠失症候群

NIPTで検出できない染色体異常

一方、下記のものはNIPTでの検出が難しく、注意が必要です。

  • 逆位・均衡型転座など、遺伝情報の量が変わらない構造異常
  • 欠失・重複のサイズが小さすぎる微小欠失・重複
  • 染色体異常を伴わない先天奇形

NIPTで「陰性」と判定されても、すべての染色体異常がないことを保証するものではありません。結果に不安がある場合や詳しく調べたい場合は、遺伝カウンセリングや確定診断を検討することが大切です。

確定診断の方法(羊水検査・絨毛検査)

全染色体検査で分かる疾患

NIPTで陽性と判定された場合、確定診断として羊水検査または絨毛検査を受ける必要があります。

2つの検査の主な違いは下記のとおりです。

項目羊水検査絨毛検査
実施時期妊娠15〜18週妊娠11〜14週
採取するもの羊水絨毛(胎盤の組織)
流産リスク約0.1〜0.5%※1約0.3〜1%※2

※1 従来は約0.3〜0.5%とされてきたが、近年は0.1%程度との報告もある。施設・術者の経験により異なる。
※2 施設・術者の経験により異なる。

絨毛検査は、約1%で胎盤の染色体と胎児の染色体が一致しない「胎盤モザイク」が生じる場合があり、その際は改めて羊水検査が必要になることがある。

どちらの検査も母体と胎児にリスクを伴うため、医師や遺伝カウンセラーに相談したうえで受けることが大切です。なお、DNA先端医療ではNIPTで陽性と判定された場合、羊水検査の費用を全額負担するサポート体制を整えています。

染色体異常と流産の関係

流産の50〜70%は、胎児の染色体異常によるものとされています。特に妊娠12週未満の早期流産では、染色体異常が関与する割合は約80%にのぼります。染色体異常を持つ受精卵の多くは正常な発育が難しく、妊娠初期に自然流産となるケースが大半です。特に数的異常を伴う場合は、75%が妊娠8週までに流産となるとされています。

なお、均衡型転座など構造異常の保因者では、本人に症状が現れなくても反復流産につながることがあります。流産を繰り返す場合は、遺伝カウンセリングの受診を検討することが大切です。

出典:日本産婦人科医会|2.染色体異常
出典:日本産科婦人科学会|流産・切迫流産

まとめ|染色体異常が気になったら最初にすべきこと

染色体異常には、常染色体の数的異常・性染色体異常・構造異常などさまざまな種類があります。疾患によって症状や予後、治療方針は大きく異なるため、まずは正確な情報を得ることが大切です。

妊娠中に染色体異常が気になる場合は、NIPTによるスクリーニングが選択肢のひとつです。NIPTは母親への採血のみで行えるため、流産などのリスクがほとんどありません。陽性と判定された場合は、羊水検査などの確定診断に進むことができます。

また、流産を繰り返す場合や家族に染色体異常のある方がいる場合は、遺伝カウンセリングの受診を検討することをおすすめします。遺伝カウンセリングでは、染色体異常に関する正確な情報の提供や、今後の選択肢について専門家に相談できます。

DNA先端医療では、NIPTの検査から陽性時の羊水検査費用の全額負担まで、一貫したサポート体制を整えています。染色体異常について不安のある方は、お気軽にご相談ください。

ABOUT ME

大河友美
国立大学医学部保健学看護科卒業後、大学病院で6年、看護師として勤務。その後、国立大学医学部保健学大学院へ進学し修士号取得。現在は、子育てをしながら医療ライター・監修者として活動中。学歴:平成21年 国立大学医学部保健学看護科 卒業、平成28年 国立大学医学部保健学大学院 修了。取得資格:看護師、保健師、修士(保健学)。

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