2021.09.22
妊娠
子どもを望んでいるのに、なかなか妊娠できない……そんな悩みを抱えていませんか?避妊をしていないのに、一定期間のあいだ妊娠がみられない場合、不妊症の可能性があり、治療が必要になることがあります。
この記事では、不妊症の定義や不妊治療の内容について詳しくみていきます。
不妊症とは、妊娠を望んでいる男女が、避妊をしていないのに一定期間のうちに女性が妊娠しないことをいいます。「一定期間」の考え方にはいくつかありますが、通常、結婚して性生活がある場合、1年以内に妊娠するカップルが8割、2年以内に妊娠するカップルが9割以上になります。
海外では不妊症の定義を、妊娠しない期間の目安を1年としていることから、産婦人科学会では不妊の目安となる一定期間を「1年間」と定義しています。また、不妊症の場合、早めに治療を受けた方が妊娠する確率を高められるメリットもあります。
近年、日本では晩婚化が進んでおり、女性が妊娠する年齢も高くなっています。妊娠を望んでいるカップルで、1年経っても妊娠がみられない場合は、自然に妊娠するのを待つのではなく、医療機関で不妊の原因を調べましょう。
カップルの年齢が高めであったり、女性が子宮内膜症など不妊のリスクが分かっていったりする場合は、1年の期間を待たずに不妊治療を開始することを検討してみてください。
不妊症の原因には大きく分けて、女性の原因によるもの、男性の原因によるもの、どちらにも当てはまらないものがあります。ここではそれぞれの原因についてみていきます。
妊娠は、卵管で卵子と精子が出合って受精卵となって子宮にたどり着き、子宮内膜に潜り込んで、はじめて成立されます。上記の原因により、いずれかの過程が阻まれると、妊娠の成立が難しくなります。
不妊というと女性側の原因のイメージがありますが、男性側の原因により不妊がみられることがあります。男性側の具体的な原因には以下のものがあります。
男性側の原因では、主に射精や精子の質に関するものになります。射精が行われても、精子が含まれていなかったり、精子の質が低かったりすることで、卵子と出合うのが難しくなります。
不妊がみられるカップルの中には、女性の排卵がみられていて、卵管の通りや精子の質にも問題がないのに、不妊がみられることがあります。
原因不明の不妊の中には、卵子の殻が固く、精子が中へ入りにくい可能性があることが指摘されています。
検査により不妊を引き起こす原因が判明した場合は、原因に沿った治療を行います。原因不明の不妊症や、不妊症の原因に対する治療のみで妊娠が難しい場合は、不妊治療により、排卵や受精の補助を行います。
ここでは、具体的な不妊治療の種類と費用の目安についてみていきます。
妊娠がしやすい排卵日の2日前に、性行為を行うように指導する方法です。女性の排卵日は、生理周期によって一人ひとり異なりますが、尿に含まれるホルモンを測定したり、卵胞の大きさを調べたりすることで、排卵日を正確に予測します。
タイミング法の費用は、通院回数や薬の処方の有無によっても異なりますが、保険適用の範囲内なら2000~3000円程度になります。
主に女性に排卵がみられていない場合に行う治療法で、飲み薬やホルモン注射により排卵を促します。そのほかにも、人工授精などの不妊治療の成果を上げるために排卵誘発法を行うことがあります。
排卵誘発法の費用は、薬や注射の種類にもよりますが、1回あたり1,000円~13,000円程度になります。
マスターベーションで採取した精子のうち、元気な精子を取り出して、妊娠しやすい期間に子宮内に注入する方法です。体外受精の1回の費用は3万円ほどになります。
人工授精を数回試みても、妊娠がみられないときは、体外受精がすすめられます。
いずれの治療も卵巣から採取した卵子を、シャーレの中で培養して成熟させます。体外受精は、精液から精子を採取して、卵子の培養液に入れて、受精を待つ方法です。体外受精の費用の目安は1回あたり30~50万円ほどになります。
体外受精をして受精がみられない場合は、顕微授精を検討します。顕微授精は、細い針を用いて卵子の中に精子を注入する方法です。顕微授精の費用の目安は、1回あたり30~60万円になります。
いずれの方法も、卵子と精子が受精して受精卵になった後、受精卵を培養してから子宮内に移植する胚移植を行います。
不妊治療は1回の治療で妊娠ができずに、数回同じ治療を試すケースが多くみられます。何度か同じ治療を受けても妊娠できない場合は、次のステップの治療を検討する人もいるでしょう。結果的に、不妊治療により数百万円の治療費がかかる人も少なくありません。
日本では少子化対策の一環として、2021年より不妊治療を行っているカップルへの助成金の給付を行っています。不妊治療の給付金は1回30万円、一子ごとに女性が40歳未満なら6回まで、40~43歳の方は3回まで受けられます。
(体外受精や顕微授精、胚移植を中止した場合は、10万円の給付)
不妊治療を受けたいと考えている人や、2021年から不妊治療を受けた人は、助成金を申請してみるとよいでしょう。
不妊の原因にはさまざまありますが、近年日本で増加している晩婚化も影響していることが分かっています。妊娠するカップルの年齢が高くなればなるほど、体の老化により卵子や精子の質も低下するためです。
妊娠を考える年齢が高くなることで気を付けたいのが、不妊症だけでなく、妊娠したときに、胎児の先天異常の可能性が高まる点です。赤ちゃんの先天異常疾患にはいくつかの種類がありますが、中には高齢妊娠が影響しているものもあります。
新型出生前診断(NIPT)は、妊娠中の検査によって、おなかの赤ちゃんの先天異常の可能性があるかどうかを調べられます。検査では、妊婦さんに採血をすることで、母親の血液中に含まれる胎児のDNAのかけらを調べます。
DNA先端医療株式会社では、新型出生前診断(NIPT)を行っています。不妊治療により妊娠ができたときのために、おなかの赤ちゃんの先天異常のリスクを調べる検査があることを把握しておくとよいかもしれません。
不妊症は、妊娠を望むカップルが、一定期間を経ても妊娠がみられないことを差します。不妊症を引き起こす原因にはいくつかの種類があり、原因に合わせた不妊治療を受けることができます。
妊娠を希望している方で、不妊の状態が続いている場合は早めに医療機関の受診を検討しましょう。
参考:
日本産婦人科学会/不妊症/
厚生労働省/不妊に悩む夫婦への支援について
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