2022.11.29
妊娠
「今日はおりものが多いような気がする」「おりものから嫌なにおいがするけど大丈夫?」など、おりものの悩みや疑問を抱えている人は少なくありません。
そもそも、おりものにどのような働きがあるのか、実はよくわかっていないという人も意外と多いのではないでしょうか?
今回は、おりものの役割や生理周期ごとの特徴、妊娠や年齢による変化など、詳しく解説します。
また、異常なおりものの特徴についても紹介するので、おりものに関する悩みを抱えている人は、ぜひ参考にしてください。
なお、「お腹の中の赤ちゃんに先天的な病気があるのでは」と不安になっている人は、出生前診断を受けるのもひとつの選択肢です。
以下の記事では、出生前診断について詳しく解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。
おりものとは、成熟した女性の子宮内膜や子宮頚管、膣壁、皮脂腺、汗腺などからの分泌物が混ざりあった粘液のことを指します。
思春期になると自覚する人が多く、色や量、におい、性状には個人差があります。(※①)
おりものには、主に4つの役割があります。
それぞれ順番に見ていきましょう。
おりものによって膣内を酸性に保ち、適度に潤いのある状態にしておくことで、細菌が体内に侵入するのを防いでいます。
おりものを分泌することで、膣内の汚れや老廃物の排出を促しています。
おりものには、膣内の潤いを適度に保って、粘膜を保護する役割もあります。
排卵期のおりものは、糸を引くようなとろみのある状態に変わり、精子が卵子にスムーズにたどり着けるようサポートする役割があります。
正常なおりものの特徴は、以下のとおりです。
色 | 半透明から乳白色 |
におい | ヨーグルトのようにやや甘酸っぱいにおい |
状態 | 水っぽいものから少し粘り気があるものまでさまざま |
通常、おりものは半透明から白っぽい色をしていますが、下着に付着して酸化すると、やや黄色っぽく見えることもあります。
ヨーグルトのような甘酸っぱいにおいがするのが正常なので、無臭でないからといって心配する必要はありません。
また、おりものの量や状態には個人差があり、生理周期や妊娠、年齢などによっても変化します。
体の不調や異常にいち早く気づくためには、自分のおりものの状態を、普段からチェックしておくことが大切です。
女性の心身の状態は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響を受けて、約1ヶ月の生理周期で変動しています。
おりものの量や状態も、エストロゲンやプロゲステロンの分泌量によって大きく変化するため、生理周期によるおりものの変化を知っておくと、「排卵日が近い」「そろそろ生理が来そう」など、体の状態を知る目安にもなります。
ここからは、生理周期のサイクルに合わせたおりものの変化について、詳しく見ていきましょう。
卵胞期は生理終了から排卵するまでの、卵胞ホルモンの分泌量が多い期間(約13~14日間)を指し、身体は妊娠する準備をしています。
卵胞期のおりものはさらっとした状態で、生理直後は、子宮内に残った経血と混ざって茶色っぽくなるのが特徴です。
おりものの量は生理周期の中で最も少なく、排卵期に近づくにつれて徐々に増えていきます。
排卵期は成熟した卵子が飛び出す時期で、16~32時間程度続くと言われています。
おりものの量が最も多い時期で、色は透明。触ると糸を引くようによく伸びるのが特徴です。
この時期のおりものには、排卵期に飛び出した卵子が精子と出会い、受精卵になるのを助ける役割があります。
黄体期は排卵期から月経前までの12~14日の期間を指し、妊娠が成立するよう、子宮内膜が厚くなっている状態です。
排卵期と比べるとおりものの量が減り、ドロッとした粘性のある、白濁した状態に変化します。
おりものが下着にベタっとつきやすい時期で、においがする場合もあります。
生理前は、排卵日に排卵された卵子が着床できるよう、子宮内膜を厚くし、妊娠が成立するよう環境が整えられる時期です。
妊娠が成立していない場合、生理の数日前からおりものに少量の血液が混ざることもあります。
ドロッとした粘性のある白濁した状態で、量やにおいも増えていきます。
妊娠が成立した場合、生理は始まらず、個人差はあるものの、普段よりおりものの量は多くなります。これは妊娠を継続させるため、そして胎児を細菌から守るためです。
おりものはサラサラとした性状で、酸っぱいにおいを感じる人もいます。
着床出血がある場合、おりものにうっすらと血が混ざるケースもありますが、生理のようにドバッと出ることはありません。
年齢による卵胞ホルモン(エストロゲン)の変化によって、おりものの量や状態も変化していきます。
ここからは、「初潮〜10代」「20代〜閉経」「閉経後」の3つの世代に分けて、それぞれのおりものの特徴を見ていきましょう。
初潮がはじまってから10代にかけて、おりものの量が徐々に増え始めます。
女性ホルモンの分泌が安定していない時期のため、量の増減が見られることもあります。
20代~30代は女性ホルモンの分泌がピークになるため、おりものの量が最も多くなります。
40代から閉経に向けて女性ホルモンの分泌が減るとともに、おりものの量も少なくなります。
閉経にともない、おりものの量は一気に減り、閉経から2〜3年程度でおりものの分泌はほとんどなくなります。
おりものは女性の健康のバロメーターです。以下のような異常なおりものは、身体の異変を知らせるサインの場合があります。
おりものの状態によって、どんな病気が隠れている可能性があるのか、順番に見ていきましょう。
酒かす状や粥状、ヨーグルト状、 カッテージチーズ状のポロポロしたおりものが出る場合は、カンジダ膣炎の可能性が考えられます。
75%の女性が生涯で少なくとも1回はかかると言われている、女性の性感染症のなかではよくみられる主要な疾患です(※②)。
おりものの異常の症状の他には、かゆみ、痛みなどの症状があります。
細かく泡立った、黄色や黄緑色の生臭いおりものが出る場合は、トリコモナス膣炎の可能性が考えられます。
おりものの異常の他にはかゆみ、膣の発赤などがありますが、約10~20%は症状がないと言われています(※②)。
性交渉以外の感染経路もあり、性交渉の経験がない人でも感染する可能性があります。
灰色や白色をしていて、生臭いような悪臭がするおりものが出る場合は、細菌性膣症の可能性が考えられます。
17~70歳まで発症するという報告もあるため、幅広い年齢層に注意が必要な病気です(※③)。
おりものは比較的さらさらしており、量が多く、おりものの異常の他には、不正出血や下腹部痛などがあります。
水っぽいおりものが大量に出たり、膿のような黄緑色のおりものが出たりするときは、クラミジア子宮頸管炎の可能性が考えられます。
クラミジア陽性者の約 10%が淋菌感染症を合併すると言われています(※②)。
おりものの異常の症状の他には、性交時出血、下腹部痛、右上腹部痛などの症状があります。
膿のように黄色っぽく、悪臭が強いおりものが出るときは、淋菌感染症の可能性が考えられます。
妊婦が感染すると、新生児結膜炎を引き起こす原因にもなるため、妊娠中は特に注意が必要です。
おりものの異常の他には、性交時の出血や下腹部痛、右上腹部痛などの症状がありますが、約50%は症状がないと言われています(※②)。
これらの症状や疑いのある病気はあくまで一例です。おりものに異常を感じるときは、病院を受診し、医師の指示に従いましょう。
ここからは、おりものに関するよくある質問に答えていきます。
それぞれの回答を順番に見ていきましょう。
おりものの量や頻度は個人差があるため、毎日のように出ていても、においや見た目に異常がなければ、あまり気にする必要はありません。
ただ、妊娠するとお腹の赤ちゃんを細菌などから守るために、おりものの量や頻度が増える傾向があります。
そのため、おりものの量や頻度が増え、生理予定日になっても生理が始まらない場合には、妊娠している可能性も考えられます。
排卵期には、精子が子宮内にたどり着きやすいよう、いつもより粘り気のあるおりものに変化します。
特に、排卵日の2〜3日前はおりものの粘り気のピークで、指先につけて引っ張ると、びよーんと10cmほど伸びることがあります。
エストロゲンの分泌量が増える排卵期には、いつもよりおりものの量が増える傾向があります。
ただし、生理周期に関係なく、尿漏れのように水っぽいおりものが大量に出る場合は、体の異変を知らせるサインだと考えられます。
「おりものシートでは間に合わない」「服にまで染みてしまう」というほど量が多い場合は、一度病院に相談しましょう。
排卵期にはドロっとした鼻水のような塊のおりものが出てくることがありますが、病気ではないため心配いりません。
下着や肌にくっついて気になる場合は、おりものシート(パンティーライナー)を使用し、こまめに取り替えるようにしましょう。
また、生理周期に関係なく、頻繁に鼻水のような塊のおりものが出る場合は、病院で医師に相談してみことをおすすめします。
今回の記事では、おりものの役割から、生理周期や年齢によるおりものの変化、正常なおりもの、異常なおりものの特徴まで、詳しく解説しました。
おりものは膣から外に出る分泌物で、大きく分けると女性の体を守る役割と、妊娠を助ける役割の2つがあります。
おりものの色や量、においや状態には個人差がありますが、一般的に健康な女性のおりものは、やや水様で白色を帯び、ヨーグルトのような匂いがすると言われています。
いつもと違う色や量、においのおりものは、病気のサインの可能性もあるので、気になる場合は病院を受診し、医師の指示に従いましょう。
なお、DNA先端医療株式会社では、全国40医院以上の提携医療機関とともに、お腹の中にいる赤ちゃんの新型出生前診断(NIPT)を行っています。
新型出生前診断(NIPT)では、採血した妊婦さんの血液から、赤ちゃんの染色体の病気を調べることが可能です。将来妊娠した際にはぜひ利用してください。
【参考文献】
①公益社団法人日本産婦人科医会 おりものについて教えてもらえますか?
②産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2020
③島野敏司,他:臨床婦人科産科 1994; 48: 803―806 医中誌:1995162940(III)
ABOUT ME