「育休(育児休業制度)ってどうやったら取得できるの?」
「育休法が改正されたと聞いたことはあるけど、どのような改正がされたの?」
「育児休業給付金はいつからもらえるの?」
そんな疑問や不安はありませんか?
この記事では、育休(育児休業制度)の内容、改正内容、給付金などについて解説します。
最後まで一読すると、育休制度の理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。
育休(育児休業制度)とは?
育児休業とは、一定の条件を満たしている労働者が、子どもが1歳に達するまでに申し出をすることで取得できる休暇制度です。
育児休業は、育児・介護休業法で取得が認められています。
育休(育児休業制度)の取得条件は?
原則、子どもが1歳になるまで、子どもを育てる男女の労働者が取得対象で、子ども1人につき2回まで分割して取得ができます。
ただし、下記の場合は、1歳を超えて育児休業を取得することもできます。
- 子どもが1歳以降、保育所などに入れないなど一定の要件を満たす場合は、1歳6ヶ月になるまで
- 子どもが1歳6ヶ月以降、保育所などに入れないなど一定の要件を満たす場合は、2歳になるまで
育休(育児休業制度)の対象者は?
一定の条件を満たした労働者が対象で、日雇い労働者は含まれていません。
有期雇用契約の労働者でも、申し出時点で下記条件が当てはまれば、対象になります。
- 子どもが1歳6ヶ月になる日まで
- 労働契約(契約更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了、更新しないこと
- 1年以上継続して雇用されている
なお、労使協定が締結されている場合には、次の条件に当てはまる場合は除外されます。
- 雇用された期間が1年に満たない
- 育児休業の申出の日から1年以内(1歳から1歳6ヶ月まで及び1歳6ヶ月から2歳までの育児休業をする場合には6ヶ月以内)に雇用関係が終了することが明らかになっている
- 1週間の所定労働日数が2日以下
また、ママが専業主婦や育休中でも、パパは育児休業を取得できるようになっています。
参考:育児・介護休業法のあらまし
参考:働くママの育児について|働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
育休(育児休業制度)はいつから?期間は?
原則として、子どもが1歳になるまでの間で労働者が申し出た期間になります。
ただし、保育所に入所ができなかったり、子どもの養育などができなくなったりした場合など、一定の要件に当てはまる場合は、1年6ヶ月や2年間の延長ができることもあります。
配偶者が育児休業中の場合は、子どもが1歳2ヶ月になるまでの出産日、産後休業期間、育児休業期間、産後パパ育休期間を合計して1年間以内の休業ができます。(パパママ育休プラス)
参考:厚生労働省ホームページ 育児休業制度制度とは|育児休業制度を取る|育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト
参考:厚生労働省ホームページ 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
参考:厚生労働省ホームページ 育児休業制度、介護休業など育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の 一
参考:厚生労働省ホームページ 男性の育児休業取得促進 研修資料
育休(育児休業)と育児休暇の違いは?
よく「育児休業」と「育児休暇」について認識が誤っていることがありますが、ポイントは、法律に基づく制度かどうかの違いです。
育休(育児休業)と育児休暇の違いを表にまとめましたので比較してみましょう。
制度名 | 育児休業 | 育児休暇 |
---|---|---|
法律に基づく制度か | 労働者の権利 | 会社の努力義務 |
会社の規定 | 会社の規定に定めなくても、法律に基づき取得可能(一部対象外あり) | 会社の規定に定めがあれば利用可能 |
支給 | 一定の要件を満たせば給付金支給 | 有給・無給は会社の定めによる |
有期契約労働者の扱い | 一定の有期契約労働者は対象外 | 有期契約労働者も対象 |
育児休暇について会社の努力義務のため利用できないこともあるので、注意してください。
参考:厚生労働省ホームページ 育児休業と育児目的休暇の違いについて
育休(育児休業制度)の改正された内容は?
令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から段階的に施行されています。
改正された概要については下記が挙げられます。
- 産後パパ育休の創設
- 育児休業制度を取得しやすい環境整備
- 労働者に対して個別の制度周知、取得意向の確認の義務
- 育児休業制度の分割取得
- 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
- 育児休業制度給付の規定整備
順番に見ていきましょう。
産後パパ育休の創設
子どもが産まれた後8週間以内に、4週間まで取得ができます。分割して2回取得も可能です。
申出期限も改正前の育児休業(1ヶ月前)よりも短縮され、原則、休業の2週間前までの申し出が期限となりました。
また、労使協定を締結している場合は、労働者が合意した範囲で休業中に就業ができます。
育児休業制度を取得しやすい環境整備
具体的な内容としては、研修、相談窓口設置などの複数の選択肢から事業主は選択します。
環境整備については、1ヶ月以上の長期休業の取得を希望する労働者が希望する期間を取得できるよう、事業主が配慮することを指針において示す予定です。
労働者に対して個別の制度周知、取得意向の確認の義務
新制度及び現行の育児休業制度などを周知するとともに、取得意向を確認する措置が義務づけられました。
周知の方法は、面談、書面などの情報提供など複数の選択肢からいずれかを選択する予定となっています。
育児休業制度の分割取得
育児休業(産後パパ育休を除く)について、分割して2回取得ができるようになりました。
また、保育所に入所できないなどの理由により1歳以降に延長する場合は、開始日が柔軟化され、各期間途中でも夫婦交代が可能です。(途中から取得可能)
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
継続して雇用された期間が1年以上の要件がありましたが、無期雇用労働者と同様の取り扱いになりました。
※1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかではない要件は、引き続き残っています。
育児休業制度給付の規定整備
育休休業給付についても改正に合わせた内容で整備されます。
出典:厚生労働省ホームページ 育児休業制度、介護休業など育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の 一
育児休業給付の支給について
育児休業中も収入を得ることができるのが、育児休業給付金です。
手取り金額は休業前の約8割で、所得税、社会保険料、雇用保険料が免除されます。
内容について3点に絞って紹介していきます。
- 育児休業給付の受給資格
- 育児休業給付の支給要件
- 育児休業給付支給額の計算方法
一つずつ見ていきましょう。
育児休業給付の受給資格
雇用保険の被保険者の方が、原則1歳に達する日前までの子を養育するための育児休業を取得した場合に支給されます。
※一定の要件を満たす必要があります。
育児休業給付の支給要件
1歳未満の子どもを養育するために、「育児休業」を取得した被保険者であれば、性別は問いません。
パパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2ヶ月。さらに保育所に入所できないなどの場合は、1歳6ヶ月または2歳までの子どもが対象です。
下記要件に当てはまる場合は支給対象になります。
- 育休前の過去2年間に11日以上の就業または就業した時間数が80時間以上ある月が12ヶ月以上あること(転職前後を合わせても要件を満たします)
- 育休開始日から1ヶ月前ごとの期間で就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること
有期雇用契約の場合は下記条件が追加されます。
- 子どもが1歳6ヶ月になる日までの間に労働契約の期間が満了、更新しないこと
- 育休開始日に1年以上同じ会社で就業している
育児休業給付支給額の計算方法
育児休業給付支給額の計算方法は下記公式となります。
休業開始日賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から6ヶ月経過後は50%)
休業開始日は、女性は出産日から58日目、男性は配偶者の出産日当日が育児休業開始日となります。
休業開始日賃金金額は、原則として育児休業前の6ヶ月間の賃金を180で割ることで算出されます。6ヶ月経過後は、50%になりますが、育児休業が終了する日まで続きます。
支給額の上限額と下限額もありますので、確認しましょう。
出典:厚生労働省ホームページ 第 11章 育児休業給付について
育児休業給付の申請時に必要なものは?
育児休業給付の申請は事業主の担当者が準備をして提出をしてくれます。
申請時に必要なものとしては下記が挙げられます。
- 母子手帳のコピー
- 手書きで申請書を作成している場合のみ通帳のコピー(本人名義のもの。旧姓の口座は不可)
その他、必要書類の記入などが発生します。
必要書類と添付書類を勤務先へ提出してください。
参考:厚生労働省ホームページ 第 11章 育児休業給付について
参考:厚生労働省ホームページ 育児休業、産後パパ育休や 経済的に支援します
参考:育児休業給付の申請時の必要書類
育児休業給付の注意点は?
育児休業給付の注意点として下記3点が挙げられます。
- 育児休業期間中に仕事に就いた場合は申告が必要(就業時間によっては支給対象外)
- 育児休業期間中に退職すると、支給が終了になる(1ヶ月ごとに期間が区切られている)
- 育児休業給付金の支給は2ヶ月に一度
育児休業給付金は、毎月支給されるわけではありませんので、注意してください。
出典:厚生労働省ホームページ 育児休業、産後パパ育休や 経済的に支援します
その他の出産に関わる国による経済的支援について
他にも出産に関わる国による経済的支援制度があります。2つ紹介します。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
一つずつ見ていきましょう。
出産育児一時金
健康保険から子ども1人につき原則42万円(令和5年4月からは50万円)が支給されます。
出産費貸付制度もあります。
出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度もあります。
出産手当金
健康保険から、産前・産後育休中、無給の場合は、1日につき標準報酬月額の2/3に相当する金額の出産手当金を受けることができます。
育休(育児休業制度)のよくある質問
契約社員でも取得することができる?
有期雇用契約の労働者でも、申し出時点で、子どもが1歳6ヶ月になる日までに、労働契約(契約更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない場合、育児休業を取得することが可能です。
なお、労使協定が締結されている場合には、次の条件に当てはまる場合は除外されます。
- 雇用された期間が1年に満たない
- 育児休業の申出の日から1年以内(1歳から1歳6ヶ月まで及び1歳6ヶ月から2歳までの育児休業をする場合には6ヶ月以内)に雇用関係が終了することが明らかになっている
- 1週間の所定労働日数が2日以下
育児休業は子どもが何歳まで取ることができる?
子どもが1歳になる(誕生日の前日)までの間で、申し出た期間で取得可能です。
保育所などに入れないなど一定の要件を満たす場合は、最長2歳まで延長ができる場合があります。
育休取得の手続きはいつから始めればいい?
原則として、休業開始予定日から1ヶ月前までに書面(事業主が認める場合はFAX、電子メールも可能)で申し出てください。
ただし、職場の人にはなるべく早い時期から相談してください。
産後パパ育休(出産時育児休業)は、休業開始予定日の2週間前までに申し出をしましょう。
会社に育児休業制度がない場合は?
会社に規定がなくても、申し出れば育児休業の取得ができます。
育児休業は、育児・介護休業法に基づき、条件を満たしている労働者が請求できる権利です。
ただし、労使協定が締結されている場合には、次の条件に当てはまる場合は除外されます。
- 雇用された期間が1年に満たない
- 育児休業の申出の日から1年以内(1歳から1歳6ヶ月まで及び1歳6ヶ月から2歳までの育児休業をする場合には6ヶ月以内)に雇用関係が終了することが明らかになっている
- 1週間の所定労働日数が2日以下
参考:厚生労働省ホームページ 男性の育児休業取得促進 研修資料
参考:厚生労働省ホームページ 育児休業を取る|育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト
まとめ:育休制度を確認して準備をしよう
今回の記事では、育休制度について紹介しました。
育児休業は労働者の権利であるため、対象者の方は取得をしましょう。
働けなくなると、金銭面で不安がある人もいますが、給付金などもあります。
妊娠したら、育休制度や給付金などを確認して、出産に向けて準備を進めましょう。
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