2024.04.25
出産
お産を間近に控えている妊婦さんの中には、どうにかして陣痛を起こしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。陣痛を促すために「効果があるといわれるものは試したい」と考えている妊婦さんもいるでしょう。
そこで、お産を早める効果があるといわれる陣痛ジンクスを紹介します。陣痛ジンクスの科学的根拠についても触れているので参考にしてみてください。
お産を迎えるにあたって、妊婦さんが試しやすいのが食べ物にまつわる陣痛ジンクスです。ここでは、食べ物にまつわる陣痛ジンクスの内容と科学的根拠の有無について説明します。
お産前に焼肉を食べるという陣痛ジンクスを実践される妊婦さんは多いでしょう。たんぱく質を中心にスタミナ満点の焼肉ですが、食べたからといって陣痛が促進されるわけではありません。
ただ本格的に陣痛が始まると、しっかりした食事が取りにくくなります。お産の入院前などに焼肉を食べて、スタミナや体力維持に努めるのもよいかもしれません。
妊娠中は体の抵抗力が低下しやすいため、ユッケやレバ刺しなどの生肉のメニューは避けるようにしましょう。
食べ物の陣痛ジンクスでよく知られているのがカレーです。カレールーには、さまざまなスパイスが含まれています。特に、カレーのスパイスでおなじみのターメリック、シナモン、ナツメグは子宮収縮作用があるといわれています。
妊娠中のスパイスの大量摂取は流産や早産につながる恐れもあることから、産科医の中には取り過ぎないように警告している医師もいるほどです。
妊婦さんが一人前のカレーを食べた後に必ず陣痛が来るわけではありません。しかし、少なからず根拠があるといえるので、試してみるのもよいでしょう。
パイナップルには「ブロメライン」というタンパク質分解酵素が含まれています。ブロメラインは妊婦さんの子宮頸管を柔らかくし、入り口を開きやすくする作用があります。
パイナップルの主な生産国である東南アジアでは、妊婦さんの陣痛促進のためにパイナップルを食べるよう勧める国もあるほどです。ただ果物として食べる場合は、薬剤のように高濃度の成分を摂取するわけではないので、パイナップルを食べた後にすぐ陣痛が起こるわけではありません。
しかし、少なからず根拠があるので、陣痛がなかなか来ない時にパイナップルを食べてみるのもよいでしょう。
オロナミンCはビタミンBやビタミンCが含まれている清涼飲料水です。お産前にオロナミンCを飲んでも、陣痛を促す効果はありません。ただ、オロナミンCには糖分が含まれているので、陣痛を待っている際に効率的にエネルギー補給ができます。
一方、オロナミンC1本あたりには18㎎のカフェインが含まれています。日本では妊婦さんのカフェインの摂取目安はありませんが、海外の国の中では妊婦さんの1日あたりのカフェイン摂取量を200~300㎎に設定しているところもあります。
出産前でも、妊婦さんがカフェインを摂取すると、胎盤を介して赤ちゃんにも届きます。陣痛ジンクスを信じて、オロナインCばかり飲んでいると、カフェインの大量摂取につながる恐れがあるので飲み過ぎないように注意しましょう。
産院では、陣痛がなかなか来ないと運動を勧められることがよくあります。ここでは、運動にまつわる陣痛ジンクスについて説明します。
陣痛促進で多く行われる運動がウォーキングです。歩くことにより必ず陣痛が来るというわけではなく、明らかな医学的根拠はありません。
ただ、何もせずに横になっているよりも、体を動かした方が、お産にかかる全体の時間は短縮します。分娩予定日が近づいてウォーキングに取り組むよりも、妊娠中期頃から妊婦さんの体力づくりの一環として、散歩や歩行を取り入れるのがおすすめです。
妊婦さんの中には、陣痛がなかなか来ないときにスクワットに取り組む人も多くいます。ウォーキングが勧められるのと同様に、はっきりとした科学的根拠はありませんが、じっとしているよりもスクワットで体を動かしているのもよいでしょう。
ただ、妊婦さんがスクワットをする際に、下腹部に力が入りやすくなります。大きくなったお腹により、体のバランスも崩れやすくなるため、転倒に注意しながら行う必要があります。
手すりを持ったり、後ろからパートナーに支えてもらったりしながら、ゆっくりスクワットするとよいでしょう。
お産前のトイレ掃除は陣痛促進のためというよりは、「綺麗な赤ちゃんが産まれるように」「良い子どもが生まれるように」という願いを込めて行われてきた風習です。
昔からトイレは自分の「分身」を出す場所であり、清浄に保つことで綺麗で良い子が産まれると考えられてきました。科学技術が発達した現代では、赤ちゃんの器量や性格とトイレ掃除に関連がありません。
とはいえ、トイレ掃除は腰をかがめる必要があり、意外と体力を要するものです。トイレを清潔に保つことは大切ですし、運動の一環としてトイレ掃除をするのもよいでしょう。
陣痛ジンクスには食べ物や運動以外のものもあります。ここではその他の陣痛ジンクスについてみていきましょう。
月の引力は潮の満ち引きに影響を与えます。特に、牛などの家畜では、満月の日に出産数が増えることが報告されています。ヒトの場合では、社会環境や栄養状態などの要因の影響があるため、必ずしも満月の日に陣痛が起こりやすくなるわけではありません。
とはいえ、人間の体の60%は水分であり、お腹の赤ちゃんは羊水の中にいます。月の満ち欠けがお産に影響を与える可能性はゼロではないでしょう。
お迎え棒とは、お産を控えている方がパートナーと性行為をすることをいいます。精液には子宮収縮作用を持つ「プロスタグランジン」という物質が含まれているため、陣痛促進作用が期待されます。
ただ、精液には雑菌も含まれています。妊娠中はパートナーとの性行為でも、感染予防のためにコンドームなどの避妊具の使用が勧められています。お産前はお腹もだいぶ大きくなっているため、無理をしすぎないようにしましょう。
陣痛にまつわるジンクスには、昔からの迷信として行われているものや、少なからず根拠があるものの、陣痛が必ず起こると言い難いものがほとんどです。陣痛ジンクスを過信しすぎず、情報に振り回され過ぎないことが大切です。
ただお産を待つまでは、気持ちが先走りし、なかなか来ない陣痛に焦りや苛立ちを感じることもあります。ジンクスを取り組んでいるあいだに、時間が経過して本格的な陣痛が始まることも多くあります。
陣痛ジンクスは医学的根拠が明確ではありませんが、陣痛が来るまで挑戦してみるのもよいでしょう。
参考:
東京大学大学院農学生命科学研究科 プレスリリース
北海道に於ける妊娠・出産に関する俗信から見た産育意識の一考察
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